侍と忍者の記憶を持ったまま転生した俺は、居合と忍法を組み合わせた全く新しいスキル『居合忍法』で無双し異世界で成り上がる!

空地大乃

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第二章 サムジャともふもふ編

第101話 サムジャと数珠丸兼続

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 驚いた。どうやら目の前にいるのは数珠丸恒次らしい。動きやすそうな格好をした男で髪の毛はない。厳つい顔をしているな。

「まさか本当に数珠丸恒次に会えるとは思わなかった。ところでここはどこなんだ?」
「ここは現世とは隔離された空間だ。魂のみが入り込める幽世と言っておこう。そして私もまた刀に宿りし魂である」

 刀の魂なのか。魂がいられる空間に入れたってことは……

「もしかして俺も魂になっているのか?」
「いかにも。今のお前はその魂だけが我を通して幽世に導かれた状態だ」

 そこまで説明してくれた後、数珠丸、長いな。人の姿のときは何となく恒次って感じだからそれでいいか。

 兼続は俺をマジマジと見てきた。

「俺の顔に何かついているか?」
「顔ではない。興味が湧いたのは魂だ。お前は随分と変わった魂をもっているようだな」

 あ~確かに二回転生しているからな。そういう意味では変わっているのだろう。

「信じてもらえるかどうかはわからないが、俺は二回転生してるんだ。その影響かもな」
「二度……そういうことか。理解した。道理でその若さでこっちにこれたわけだ」
「俺が呼びかけたから連れてきてくれたんじゃないのか?」
「私は何もしていない。お前が強く願うことで私の魂と同調し、こちら側に引き込まれたのだ」
「なるほど。そういうこともあるんだな」
「随分と簡単に言っているが、本来ならお前のような若者がこれる領域ではない。達人の域に達した者が努力努力を重ね何十年という長い年月を重ねたごく一部のものがたどり着ける領域だ」
「そうだったのか。そう考えたらちょっと光栄に思えるな」
「……もう少し驚いても良さそうなものだが。まぁいい。どうやら転生した記憶も残っているようだからな。その特殊な条件下で転生したことでその分魂の強さが増したのだろう」

 なるほど。転生した分魂が強いってことなんだな。

「さて、私に強く願ったことでこちらに来たようだが、一体何をそこまで望む?」
「あぁ。実は――」

 俺は恒次にこれまでの経緯を話して聞かせた。

「なるほど。強力な呪いを解呪したいというわけか」
「ざっくりと言うとそうだな。何となく可能かなと思えたんだがどうだ?」

 俺が問うと、しばし瞑目し、再び目を開けて答えた。

「可能ではある。私の力を解放することで抜刀病魔断絶が使えるようになる。あらゆる病魔を断ち切る力だ。呪いも切れる」

 それはまた凄い技だな。

「それを覚える、つまり力を解放するにはどうしたらいい?」
「……試練を乗り越える必要がある」
 
 試練……やはり簡単に授けてくれるわけがないか。

「その試練というのは?」
「迷宮攻略だ」
「迷宮? 一体どこのだ?」
「ここだ」

 こ、ここ? ここに迷宮があるのか。

「この試練の為の迷宮が存在する」
「なるほど。しかし、俺にはあまり時間がない。迷宮攻略する余裕は……」
「時間か。しかしここは幽世だ。時の流れは現実とことなる」
「うん? そうなのか?」
「あぁ。現世で言うところの一秒がこっちの一日と思ってくれればいい」

 それはまた随分な差だな。これだけ話してても現世では一秒も経ってないということか。

「ただし、ここは本来は魂のみが存在を許された空間。時間の流れが遅いからとあまり留まっていては現世との繋がりが消えて戻れなくなるぞ。

「それは大変だな。余裕は一体どれぐらいなんだ?」
「こっちで言えば十日だ」

 つまり十秒ってことか。かなり短いな。

「うん? だがそれだと」
「あぁ、お前が思ったとおりだ。試験は十日以内に達成してもらう必要がある」

 事実上こっちで十日しかいられないなら必然的にそうなるか。

「念の為聞いておくが今のレベルは幾つだ?」
「最近6になった」
「6だと? ……まさかレベル6で同調に成功するとはなかなか規格外な奴だな」

 随分と驚かれてしまったようだ。

「6だと不味いのか?」
「レベルが二桁にも達していない者が挑む試験ではない。もっとも本来はそのレベルでここに来るのは不可能。お前はそれだけ特殊な人間ということだ。それならばもしかしたら試練を乗り越えられるかもしれないが、普通に考えれば望み薄だ」
「そうか。だが俺はここで諦めるわけにはいかない。試練を受けてもいいか?」
「決めるのはお前だ。ただ注意点だけは言っておく。先ずここは幽世故に物を言うのは魂だ。魔力や体力を消費するスキルもここでは全て魂の力で使用することになる」

 なるほど。直に魂を利用するのか。

「しかし魂は生命の源だ。考えなしに使って魂の力がゼロになった場合、お前は死ぬ。しかも魂も含めてだ」

 それはまたなかなかリスクがありそうだな――
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