侍と忍者の記憶を持ったまま転生した俺は、居合と忍法を組み合わせた全く新しいスキル『居合忍法』で無双し異世界で成り上がる!

空地大乃

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第二章 サムジャともふもふ編

第109話 サムジャと試練のダンジョン 其の七  

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 幻魔眼・刹那は、居合忍法としてはかなり使える忍法かも知れない。これは相手がこっちの目さえ見てくれる状況なら確実に幻覚に陥る。

 その時間は一瞬だが、居合忍法の場合、幻覚に落ちた瞬間には抜刀していることになる。つまり俺の目を見た場合は一方的にこっちの攻撃が当たるということだ。

 防御も出来ないので相手からすればカウンターを喰らうようなものだ。上手く使えばかなり戦いが有利に運ぶ。

 ただ、そもそも幻覚を見ない相手だと当然通用しない。普通のアンデッド系なんかはそうだな。

 とは言え対人戦などならより強力な武器になり得るだろう。さて、ドラウグルを倒したことだし先を急ぐ。

 このあたりから更に強力なアンデッドが出るようになった。鎌を持った死神みたいなアンデッドはドクロを飛ばすような魔法を連発してくるし、鎌の一撃はかなり強力だった。魂力の減りもはげしかったが、ソーマを温存しておいてよかった。

 居合忍法で撃破し、薬で魂力も完全に回復した。罠も含めてかなりギリギリだったが何とか切り抜けていき、ついに入ってきたのと同じ骨の門のある場所にまでたどり着いた。
 
 だが、門はしまったままだった。すると魔法陣が光り輝き、中から全身がツギハギのようになった巨体を誇る男が姿を見せた。

 どうやらこいつがこの試験のフィナーレを飾るボスなようだな。

「グオォオォオォオォォォオオォオオ!」

 叫び声を上げ、両手を握りしめハンマーのように振り下ろした。咄嗟に飛び退き避けた、つもりだったが両拳が振り下ろされると同時に電撃が放たれ迫る。

「チッ!」

 虚影でも、躱しきれず魂力が削られた。更にボスは両手を振り回しながら竜巻のような攻撃を繰り出してくる。

「居合忍法・氷床の術!」

 肉体系の相手はとりあえず足を封じる。床が氷漬けになったことでボスも足を取られた、が踏ん張ることで氷が砕けた。

 大したパワーだ。どうやらこれはあまり効果がなさそうだな。

 ボスがまた俺に迫る。だけど、この相手は意思がある。

「居合忍法・抜刀幻魔眼・刹那燕返し!」

 俺と目があったのを見計らって忍法を行使。動きが止まり、同時に俺の放った燕返しがまともにヒットした。

 だけど、怯まない! かなりタフだな、て、しまった!

「ウォオォオォォオオ!」

 相手の膝蹴りがヒットし俺の体が浮き上がる。それに合わせるように相手も飛び、両手を合わせて振り下ろし俺を地面に叩きつけてきた。

 痛みはないが魂の減りが激しい。完全なパワー型だな。

「ウォォオォオォオォオオ!」

 今度は巨体が跳躍し飛び蹴りを放ってきた。これもかなりの迫力だったが、虚影で蹴りが俺を素通りした。

 慌てた様子のボスの背中目掛けて、俺は忍法を行使する。

「居合忍法・抜刀影分身燕返し!」

 二十四の斬撃が降り注ぐ。よし、これには相手もたまらずたたらを踏んだな。

 更に追い打ちをかける。接近し、柄に手をかけた。

「居合忍法――」
「グオォォォォォオォオオオ!」

 だが、俺の手を読んでいたのか絶妙なタイミングでボスがカウンターを仕掛けてきた。

「抜刀フェイント!」

 しかし、フェイントだ。相手は何かを狙ってそうだったからな。そういうのはなんとなくわかってしまうのさ。
 
 フェイントで何もせず終わり、相手の攻撃をすれすれで躱す。体が完全に流されてしまったところへ、逆にカウンターで攻撃をまとめた。

「グゥウゥウゥウウゥウウオオォオォオオ!」
「悪いがちょっとうるさいな。居合忍法・抜刀爆撃!」

 相手の肉体が二回爆発する。ここで更に怯んだのを認め、追い打ちの忍法を放つ。

「居合忍法・抜刀烈火連弾燕返し!」

 炎の珠が、その巨体を蹂躙した。これで終わってくれという願いが強い。ソーマもなく魂力にも余裕がないんだ――

「グオッォオォォォォォオォオオオ!」

 だが相手はまだ立っていた。声を荒げて叫ぶ。チッ、まだ終わらないのか、と思ったが、直後ボスが傾倒しダンジョンが激しく揺れた。

 どうやら最後の烈火連弾はしっかり効いていたようだな。

 ボスが倒れ粒子になって消えた。かと思えば骨の門がゆっくりと開かれていき、俺は口を開けた門に飛び込んだ――
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