親友と婚約者に裏切られ仕事も家も失い自暴自棄になって放置されたダンジョンで暮らしてみたら可愛らしいモンスターと快適な暮らしが待ってました

空地大乃

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第三章 放置ダンジョンで冒険者暮らし編

第141話 問題なかった装備とジョブストーン

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「しかし、風間のモンスターは本当に可愛いなぁ」
「ワオン♪」
「ピキィ♪」
「マァ♪」
「ゴブゥ♪」
「モグゥ♪」

 昇格の話が終わるや否や、小澤マスターはモンスターたちを次々抱き上げて頬ずり。険つい顔がとろけきっている。

「いい年した大男が、モンスターを前にするとこれだからな」

 言って熊谷が肩をすくめる。

「良いではないか。俺も美しい筋肉を見ればテンションが上がる。親近感だ」

 笑いながら中山が胸を張った。

「じゃあマスターの身体を見ても何か思うわけ?」と愛川がツッコむ。

「当然だ。マスターの筋肉は実に良い! 学ぶ点が多い」

 中山がポージングを決めると、小澤マスターも負けじと筋肉アピールを開始。

「ムッ! ならばこれでどうだ!」
「ほう、ならば俺の“究極二頭筋”!」
「俺ら、何見せられてんだ……」熊谷が額に手を当てる。
「ワンワン!」

 二人の様子を見ていたモコも尻尾を振りつつポーズを真似していた。可愛い。

「モコちゃんは今のままで可愛いからいいよ」

 愛川が抱え上げると、モコは誇らしげに胸を張った。 

 俺としてもモコがムキムキになるのはどうかなとは思う。本人がどうしてもと言うなら仕方ないけど、そんな感じでもないからな。

「動画的にも今のほうが可愛らしくていいかな」
「マァ~♪」

 秋月がマールを撫でながら言った。マールも嬉しそうだな。

「マスター。おふざけはそこまでで、そろそろ本題をお願いします」
「ムッ、別にふざけてないぞ」
「うむ。我々は本気で、互いの筋肉を認め合っているのだ!」

 香川からの指摘が入るも、小澤マスターと中山は納得していない様子だ。

「私は真面目に仕事してくださいと言ってるのですが?」
「そ、そうだな。調子に乗りすぎた……」
「お、俺も焚き付けたようで申し訳ない」

 香川の眼鏡がきらり、言葉には何処か圧が感じられた。小澤マスターと中山もビビってるな。もしかしてこの中で一番の強者は香川なのかもしれない。

 結局小澤マスターは咳払いし、改めて着席した。

「預かっていた狂血の大鎌だが、鑑定の結果“呪装”ではあるものの危険度は低いと判断された。用法を守り気分が悪い時に使わないなど注意書きを守れば、十分実戦投入可能だ」

 薬の添付文書みたいな注意事項に思わず苦笑してしまう。

「というわけで、自己責任で所持を許された。後で返却されるからサインをして受け取ってくれ。ただし、諸刃の剣とも言える武器なのは確かだ。扱いには気をつけてくれ」
 
 どうやらあの呪装は戻ってくるようだ。もっともあれが危険なのは使った俺が一番よくわかっている。だから基本的には鍬をメインで使うことになるだろう。

 そもそも戦わないにこしたことはないんだけどな。

「それともう一つダンジョンで見つけた武器があったわね」
「はい。鍬も見つけましたので」

 香川に聞かれたので答えた。そっちは所持を許されているから預けてはいないけど。

「すげぇな。どんだけお宝拾うんだよ」

 熊谷が羨ましげに言った。

「うむ。俺も筋肉映えするお宝を発掘したいものだ」
「そんな限定的なお宝あるの……?」

 中山の発言に愛川が苦笑している。

「持ってきてもらえれば、その鍬の鑑定も可能です」
「そうなんだな。あ、それならゴブが見つけたスリングも鑑定出来るかな?」
「ご希望であれば」
「そうか。良かったなゴブ」
「ゴブゥ~♪」

 ゴブを撫でると目を細めて嬉しそうにしていた。ダンジョンで見つけたアイテムとかはギルドにくれば見てもらえるんだな。覚えておこう。

 とは言え今日は持ってきていないから、また改めて鑑定してもらうことになるかな。

「最後にジョブストーンと腕輪の件だ。例の暴走組から押収した品だが、正式に彼女への譲渡が決まった」
「本当ですか!? やった!」

 秋月はぱっと顔を輝かせ、愛川と手を取り合って飛び跳ねる。マールとラムも輪に加わり、その場がちょっとした祝賀ムードに。

「ジョブストーンは今日受け渡し可能です。講習の予約も同時に取れますよ」
「じゃあ予約していきますね」

 こうして秋月も冒険者登録することが決まった。

 その後、俺はゴブとモグの検査・登録を終え、秋月はジョブストーンを受け取って講習日を確定。俺たちは冒険者証の書き替えも済ませ、正式にF級冒険者となった。振込通知には、例の報酬がしっかり反映されている。

「これで皆さんF級です。探索できるダンジョンの幅も広がりますが、それだけ危険も増します。無理は決してしないように」

 香川は最後の一文で俺にピンポイントの視線を送る。
 ――そんなに無茶するタイプじゃないんだけどなぁ。モンスターたちと穏やかに畑仕事ができれば、それで十分だ。

 モグが小さく「モグゥ」と鳴き、俺のズボンの裾を引っ張った。――ああ、分かってる。みんなを守るためにも、まずは慎重第一でいこう。

 新しいランク、新しい仲間、新しい装備。胸の奥がほんの少しだけ高鳴った。
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