163 / 196
第三章 放置ダンジョンで冒険者暮らし編
第162話 見た目じゃわからない
サウナ室の中は木の香りと熱気が立ち込め、鼻から息を吸うだけで喉がじりっと焼けるような暑さがあった。
隣に座る人物――最初は女性だと勘違いした相手が、タオルで汗を拭いながら軽く笑った。
「ごめんね、驚かせちゃって。僕、よく間違われるんだ」
「い、いや。こっちこそすまない。ここ男湯だし……男性なのは当然だよな」
そう答えつつも、その整った顔立ちに、少し緊張している自分がいた。
「うん、男だよ。グラヴィス・流麗って言います。こっちはサラマンダーのサラちゃん」
流麗が自己紹介してくれた。グラヴィスは家名かな。そう考えると瞳も青く西洋的な面立ちをしている。
傍らにいたサラマンダーに軽く手を添える。サウナの熱が心地よいのか、サラマンダーは木の床にぺたりと腹をつけてぐてぇっとしていた。
「俺は風間 晴彦。この子は――」
「ワン!」
「ピキィ♪」
「モグ~」
「ゴブゥ」
紹介されるよりも先に元気よく鳴き声をあげるモンスターたち。そんな彼らを見た流麗は目を輝かせた。
「わぁ……すごく可愛い……! それに、すごく仲良さそうだね」
「ありがとな。でも君もすごいね。サラマンダーって初めて見たけど、精霊としても知られてるよな」
神話では火の精霊として知られているサラマンダー。それを現実に見られるとは、ダンジョンが出来る前なら考えられなかっただろうな。
「うん。僕のジョブは【精霊使い】なの。サラちゃんは火の精霊が具現化したモンスターなんだ」
なるほど、精霊使いか。モンスターを使役するジョブとしてはモンスター使いが有名だけど、他にもいろいろあるんだな。
「えっと、貴方のジョブはモンスター使い?」
「いや、実は俺のジョブは農民でね」
「へぇ、農民なんだね。ということは餌付けタイプ?」
おぉ。どうやら流麗はテイムにも詳しいみたいだ。詳しくないと農民なのに何故モンスター?って話になるからな。
最も俺の場合、そもそもジョブストーンを見つける前には仲良くなってたんだけど。
「そうなんだ。皆もよく懐いてくれてね。でもここって、やっぱりモンスターをテイムしている会員も多いのかな。さっきも――見かけてね」
正直面倒な相手ではあったが、あの獅王もモンスター使い系のジョブだろう。
「そうかもしれないね。一緒に来てる僕のお姉ちゃんもテイムしてるからね」
「へぇ。お姉ちゃんと来てるんだ。ジョブは同じ?」
「ううん。お姉ちゃんのジョブは【獣戦者】なんだ。珍しいジョブらしいんだよね」
獣戦者――確かに聞いたことがない。獣で戦う者って意味なんだろうか? なんというか……すごそうだ。
「僕とお姉ちゃんはモンスターバトルにも出てるんだ。だからここもよく利用してるんだよ~」
モンスターバトル――その言葉に興味を持った。獅王も出てると言っていた。
「モンスターバトルは名前は知ってるんだけど、実はよく知らないんだ。良かったら――」
「ちょ! 大丈夫!?」
モンスターバトルについて詳しく聞こうとしたその時、俺の頭がグラッと落ち、流麗が慌てた声を上げた。
しまった、うっかりしてのぼせてしまったようだ。話に夢中になりすぎた。
「ちょ、ごめん。一度出るよ」
「クゥ~ン」
「ピキィ~」
「モグゥ~」
「ゴブゥ~」
細い声を四匹が上げる。心配そうに俺と一緒に出てきてくれた。
「心配だし、僕もそろそろ出るよ。サラちゃん、起きて~」
「クワッ?」
流麗に呼ばれてサラが頭を上げ、そのまま流麗の肩に飛び乗った。
サウナを出た後、流麗がのぼせ対策を教えてくれた。それに従って温めのシャワーに当たると、意識がハッキリしてきた。
「助かったよ、ありがとう」
「ううん。でも本当に大丈夫?」
「クワッ?」
流麗とサラが心配そうに見てきた。今はもう意識もハッキリしていて問題ない。早い段階で気づけたのが幸いだった。
「ゴメンな、皆」
「ワン!」
「モグゥ~♪」
「ピキィ♪」
「ゴブゥ」
モコ、モグ、ラム、ゴブが俺にしがみついてきた。心配してくれてるのが伝わってきて、なんだか胸が温かくなる。
その後はマーメイド風呂――つまり水風呂でクールダウンすることにした。冷たい水に肩まで浸かると、火照っていた身体がじわじわと落ち着いていく。
これが心地よくて、頭もかなりスッキリしてきた。皆で軽くシャワーを浴び直して、俺たちはゆっくりと風呂を後にした――
隣に座る人物――最初は女性だと勘違いした相手が、タオルで汗を拭いながら軽く笑った。
「ごめんね、驚かせちゃって。僕、よく間違われるんだ」
「い、いや。こっちこそすまない。ここ男湯だし……男性なのは当然だよな」
そう答えつつも、その整った顔立ちに、少し緊張している自分がいた。
「うん、男だよ。グラヴィス・流麗って言います。こっちはサラマンダーのサラちゃん」
流麗が自己紹介してくれた。グラヴィスは家名かな。そう考えると瞳も青く西洋的な面立ちをしている。
傍らにいたサラマンダーに軽く手を添える。サウナの熱が心地よいのか、サラマンダーは木の床にぺたりと腹をつけてぐてぇっとしていた。
「俺は風間 晴彦。この子は――」
「ワン!」
「ピキィ♪」
「モグ~」
「ゴブゥ」
紹介されるよりも先に元気よく鳴き声をあげるモンスターたち。そんな彼らを見た流麗は目を輝かせた。
「わぁ……すごく可愛い……! それに、すごく仲良さそうだね」
「ありがとな。でも君もすごいね。サラマンダーって初めて見たけど、精霊としても知られてるよな」
神話では火の精霊として知られているサラマンダー。それを現実に見られるとは、ダンジョンが出来る前なら考えられなかっただろうな。
「うん。僕のジョブは【精霊使い】なの。サラちゃんは火の精霊が具現化したモンスターなんだ」
なるほど、精霊使いか。モンスターを使役するジョブとしてはモンスター使いが有名だけど、他にもいろいろあるんだな。
「えっと、貴方のジョブはモンスター使い?」
「いや、実は俺のジョブは農民でね」
「へぇ、農民なんだね。ということは餌付けタイプ?」
おぉ。どうやら流麗はテイムにも詳しいみたいだ。詳しくないと農民なのに何故モンスター?って話になるからな。
最も俺の場合、そもそもジョブストーンを見つける前には仲良くなってたんだけど。
「そうなんだ。皆もよく懐いてくれてね。でもここって、やっぱりモンスターをテイムしている会員も多いのかな。さっきも――見かけてね」
正直面倒な相手ではあったが、あの獅王もモンスター使い系のジョブだろう。
「そうかもしれないね。一緒に来てる僕のお姉ちゃんもテイムしてるからね」
「へぇ。お姉ちゃんと来てるんだ。ジョブは同じ?」
「ううん。お姉ちゃんのジョブは【獣戦者】なんだ。珍しいジョブらしいんだよね」
獣戦者――確かに聞いたことがない。獣で戦う者って意味なんだろうか? なんというか……すごそうだ。
「僕とお姉ちゃんはモンスターバトルにも出てるんだ。だからここもよく利用してるんだよ~」
モンスターバトル――その言葉に興味を持った。獅王も出てると言っていた。
「モンスターバトルは名前は知ってるんだけど、実はよく知らないんだ。良かったら――」
「ちょ! 大丈夫!?」
モンスターバトルについて詳しく聞こうとしたその時、俺の頭がグラッと落ち、流麗が慌てた声を上げた。
しまった、うっかりしてのぼせてしまったようだ。話に夢中になりすぎた。
「ちょ、ごめん。一度出るよ」
「クゥ~ン」
「ピキィ~」
「モグゥ~」
「ゴブゥ~」
細い声を四匹が上げる。心配そうに俺と一緒に出てきてくれた。
「心配だし、僕もそろそろ出るよ。サラちゃん、起きて~」
「クワッ?」
流麗に呼ばれてサラが頭を上げ、そのまま流麗の肩に飛び乗った。
サウナを出た後、流麗がのぼせ対策を教えてくれた。それに従って温めのシャワーに当たると、意識がハッキリしてきた。
「助かったよ、ありがとう」
「ううん。でも本当に大丈夫?」
「クワッ?」
流麗とサラが心配そうに見てきた。今はもう意識もハッキリしていて問題ない。早い段階で気づけたのが幸いだった。
「ゴメンな、皆」
「ワン!」
「モグゥ~♪」
「ピキィ♪」
「ゴブゥ」
モコ、モグ、ラム、ゴブが俺にしがみついてきた。心配してくれてるのが伝わってきて、なんだか胸が温かくなる。
その後はマーメイド風呂――つまり水風呂でクールダウンすることにした。冷たい水に肩まで浸かると、火照っていた身体がじわじわと落ち着いていく。
これが心地よくて、頭もかなりスッキリしてきた。皆で軽くシャワーを浴び直して、俺たちはゆっくりと風呂を後にした――
あなたにおすすめの小説
猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める
遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】
猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。
そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。
まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。
レベル1の時から育ててきたパーティメンバーに裏切られて捨てられたが、俺はソロの方が本気出せるので問題はない
あつ犬
ファンタジー
王国最強のパーティメンバーを鍛え上げた、アサシンのアルマ・アルザラットはある日追放され、貯蓄もすべて奪われてしまう。 そんな折り、とある剣士の少女に助けを請われる。「パーティメンバーを助けてくれ」! 彼の人生が、動き出す。
実家の裏庭がダンジョンだったので、口裂け女や八尺様に全自動で稼がせて俺は寝て暮らす〜元社畜のダンジョン経営〜
チャビューヘ
ファンタジー
過労死寸前でブラック企業を辞めた俺が手に入れたのは、祖父の古民家と「ダンジョン経営システム」だった。
しかもバグで、召喚できるのは「口裂け女」「八尺様」「ターボババア」など日本の怪異だけ。
……最高じゃないか。物理無効で24時間稼働。これぞ究極の不労所得。
元SEの知識でシステムの穴を突き、怪異たちに全自動でダンジョンを回させる。
ゴブリンは資源。スライムは美容液の原料。災害は全て収益に変換する。
「カイトさん、私……きれい?」
「ああ。効率的で、機能美すらある」
「……褒めてる?」
「褒めてる」
口裂け女は俺の言葉で即落ちした。チョロい。だがそれでいい。
ホワイト待遇で怪異を雇い、俺は縁側で茶をすする。
働いたら負け。それが元社畜の結論だ。
これは、壊れた男と健気な怪異たちが送る、ダンジョン経営スローライフの物語。
俺だけLVアップするスキルガチャで、まったりダンジョン探索者生活も余裕です ~ガチャ引き楽しくてやめられねぇ~
シンギョウ ガク
ファンタジー
仕事中、寝落ちした明日見碧(あすみ あおい)は、目覚めたら暗い洞窟にいた。
目の前には蛍光ピンクのガチャマシーン(足つき)。
『初心者優遇10連ガチャ開催中』とか『SSRレアスキル確定』の誘惑に負け、金色のコインを投入してしまう。
カプセルを開けると『鑑定』、『ファイア』、『剣術向上』といったスキルが得られ、次々にステータスが向上していく。
ガチャスキルの力に魅了された俺は魔物を倒して『金色コイン』を手に入れて、ガチャ引きまくってたらいつのまにか強くなっていた。
ボスを討伐し、初めてのダンジョンの外に出た俺は、相棒のガチャと途中で助けた異世界人アスターシアとともに、異世界人ヴェルデ・アヴニールとして、生き延びるための自由気ままな異世界の旅がここからはじまった。
俺の家に異世界ファンタジーガチャが来た結果→現実世界で最強に ~極大に増えていくスキルの数が膨大になったので現実世界で無双します~
仮実谷 望
ファンタジー
ガチャを廻したいからそんな理由で謎の異世界ガチャを買った主人公はガチャを廻して自分を鍛えて、最強に至る。現実世界で最強になった主人公は難事件やトラブルを解決する。敵の襲来から世界を守るたった一人の最強が誕生した。そしてガチャの真の仕組みに気付く主人公はさらに仲間と共に最強へと至る物語。ダンジョンに挑戦して仲間たちと共に最強へと至る道。
ガチャを廻しまくり次第に世界最強の人物になっていた。
ガチャ好きすぎて書いてしまった。
辻ヒーラー、謎のもふもふを拾う。社畜俺、ダンジョンから出てきたソレに懐かれたので配信をはじめます。
月ノ@最強付与術師の成長革命/発売中
ファンタジー
ブラック企業で働く社畜の辻風ハヤテは、ある日超人気ダンジョン配信者のひかるんがイレギュラーモンスターに襲われているところに遭遇する。
ひかるんに辻ヒールをして助けたハヤテは、偶然にもひかるんの配信に顔が映り込んでしまう。
ひかるんを助けた英雄であるハヤテは、辻ヒールのおじさんとして有名になってしまう。
ダンジョンから帰宅したハヤテは、後ろから謎のもふもふがついてきていることに気づく。
なんと、謎のもふもふの正体はダンジョンから出てきたモンスターだった。
もふもふは怪我をしていて、ハヤテに助けを求めてきた。
もふもふの怪我を治すと、懐いてきたので飼うことに。
モンスターをペットにしている動画を配信するハヤテ。
なんとペット動画に自分の顔が映り込んでしまう。
顔バレしたことで、世間に辻ヒールのおじさんだとバレてしまい……。
辻ヒールのおじさんがペット動画を出しているということで、またたくまに動画はバズっていくのだった。
他のサイトにも掲載
なろう日間1位
カクヨムブクマ7000
異世界から日本に帰ってきたら魔法学院に入学 パーティーメンバーが順調に強くなっていくのは嬉しいんだが、妹の暴走だけがどうにも止まらない!
枕崎 削節
ファンタジー
〔小説家になろうローファンタジーランキング日間ベストテン入り作品〕
タイトルを変更しました。旧タイトル【異世界から帰ったらなぜか魔法学院に入学。この際遠慮なく能力を発揮したろ】
3年間の異世界生活を経て日本に戻ってきた楢崎聡史と桜の兄妹。二人は生活の一部分に組み込まれてしまった冒険が忘れられなくてここ数年日本にも発生したダンジョンアタックを目論むが、年齢制限に壁に撥ね返されて入場を断られてしまう。ガックリと項垂れる二人に救いの手を差し伸べたのは魔法学院の学院長と名乗る人物。喜び勇んで入学したはいいものの、この学院長はとにかく無茶振りが過ぎる。異世界でも経験したことがないとんでもないミッションに次々と駆り出される兄妹。さらに二人を取り巻く周囲にも奇妙な縁で繋がった生徒がどんどん現れては学院での日常と冒険という非日常が繰り返されていく。大勢の学院生との交流の中ではぐくまれていく人間模様とバトルアクションをどうぞお楽しみください!
ギフト”錬金”持ちの召喚勇者は自由を求めて世界最強へと至る
ゆーき@書籍発売中
ファンタジー
高校二年のある日の事。俺、水上斗真(みずかみとうま)は昼休み中に突然、クラスメイト諸共異世界に勇者として召喚された。
そこで魔王を倒すという使命と”錬金”というギフトを授かった俺は、何気に面白い錬金術を極めながら、着々と力をつけていった。
非戦闘組であるせいで、増長した戦闘組の奴らからやっからみを受けるのだけが面倒だったが、それ以外は案外楽しかった。
だが、国の思惑を知ってしまった事で、俺の運命は大きく変わる事となる。
これは自由を求めて、やがて世界最強となる錬金術師の物語。