標識しか召喚出来ない無能と蔑まれ召喚師の里から始末されかけ隣国に逃げ延びましたが、どうやら予想以上に標識の力は凄まじかったようですよ

空地大乃

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第二章 新天地での活躍編

第46話 凱旋

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 町に戻るといい時間だったのでその日は一旦宿に戻り、翌日、僕たちは冒険者ギルドへ報告に向かった。もちろん昨日あった出来事を全て隠さずに伝えるつもりだ。

 冒険者ギルドに裏切り者がいたことは頭が痛い問題だろうけど、真実は明るみにしないといけないと思う
 
 明朝、予定通り僕とフェレスは冒険者ギルドに向かった。既にブレブたちの姿もギルドにあった。

「さて。これからギルドに報告しようと思うが、基本的には僕の方から説明していこうと思う」

 それに異論はなかった。今回の討伐隊ではリーダー格だったブレブだし、それが一番スムーズだったと思う。

「報告前に一応確認だけど、マーク。君は落とし穴に落ちた後、アグレイの使役したゴブリンに襲われたんだったね」
「えぇ。大きなゴブリンでした」
「なるほどね。やはり魔物使いであった可能性が高いか……」

 僕の話を聞いた後、ブレブと一緒に受付に向かった。ゴブリン討伐が上手くいったという報告を受けて受付嬢が驚きすぐにギルドマスターのダンバルを呼びに言ったよ。

「やれやれ確かにゴブリン討伐を期待はしたが、ここまで早く解決してしまうなんてね」

 ギルドマスターのダンバルが話を聞きに来てくれた。杖持ちの魔法師タイプのダンバルは鼻眼鏡を直しながら苦笑している。

 「とにかく詳しい話を聞かせてもらおうじゃないか」

 それからブレブが中心となり僕たちは事のあらましを説明した。ゴブリンロード討伐を果たしたことはダンバルからしても驚きだったみたいだ。

「まさかこのメンツでゴブリンロードを倒すとは、やはり君の実力は確かだったようだね」

 ダンバルが僕を見ながら言った。改めて言われると照れくさい。それに――

「僕の力はそれほど、やっぱり皆の力が大きいです」
「それは謙遜がすぎるにゃ。間違いなくこの討伐作戦成功はマークの召喚魔法があってこそにゃ」

 フェレスが僕をフォローしてくれた。なんだか嬉しい気持ちになるよ。でもやっぱり照れるからこれ以上はやめてほしいところだけど――

「あぁ。確かにマークの活躍は目覚ましかった」
「そうだな。マークのサポートあってこそ俺らの活躍だぜ」
「はい。マークさんのおかげで私たちは助けられました!」

 キリンやナックル、アニンや皆が僕を称えてくれた。恥ずかしいけど生まれ育った里では絶対にこんな評価は受けなかった。そう考えたらこの国に来て良かったなと思えるよ。

「一通りの話はわかったが、アグレイの姿がないようだけど……」
 
 ダンバルの表情に影が差す。もしかしたら今回の討伐作戦で犠牲になったと考えているのかもしれない。

「その件なんだが実はこのゴブリン騒動を引き起こしたのはアグレイのようなんだ」
「……それは本当なのかい?」

 ブレブの話を聞いて一瞬息を呑んだダンバルだったけど、すぐに表情を引き締めた。ここで取り乱さないのは流石ギルドマスターだと思う。

「僕も信じられないが、実際マークも狙われたんだ。アグレイの策略にはまり落とし穴に落とされて、更にその先で閉じ込められ・・・・・・アグレイの使役したゴブリンジャイアント・・・・・・に襲われたようでね」
  
 ブレブの説明をダンバルが真剣に聞いている。それはいいのだけど今のって――

「……そうか。アグレイがあのゴブリンの群れを使役したのか」
「それは確かだろうと思う」
「……しかしまさか魔物使いが現れるとはね。この件に関してはギルドからも直接調査班を結成させて調べることにしよう」

 アグレイの件はギルドとしても見過ごせない問題だったようだ。調査によって事実と判明した暁には追加報酬も出るんだとか。

 とは言えとりあえずは今回の討伐作戦の報酬を受け取り山分けとする形となった。最初は僕に多めに分ける形で提案されたけどそれは丁重に断った。

「はぁ、とりあえずは問題も解決したし、大金も手に入ったわけだしこれはもう呑むしかないわね!」

 ダンバルとの話も終わり一旦ギルドの席につくとマジュがいい笑顔で誘ってきた。

「いい話だとは思うけど流石にまだ早いかな」
「えぇいいじゃん」
「マジュだめですよ無理強いしては」
「俺もちょっと予定があるのでな」
「俺は付き合うぜ!」
「仕方ないねぇ。私も飲むか」

 結局皆一緒とはいかなかったけど、ナックルとユニーはこれからマジュと飲むらしい。

「私はちょっと教会に」
「私も動物たちのお世話があるから」
「うん。二人もお疲れ様。また一緒に仕事出来たらいいね」
「にゃ! もう皆は仲間にゃ!」

 そしてアニンとエベともわかれた僕たち。

「ところであたしたちはどうするにゃ?」

 一旦区切りがついたところでフェレスが聞いてきた。それについてだけど――

「ブレブちょっといいかな?」
「うん。なんだい?」
「実は今回ブレブと同行出来たことで色々勉強になったと思ってるんだ。それで良ければこれから時間があるなら一緒に何か依頼を受けてもらえると嬉しいんだけど……」

 僕はブレブにそう持ちかけた。僕がこんな提案することにフェレスは驚いていたけど――

「うん。そういうことなら付き合うよ。とは言え昨日の今日だからね。簡単な依頼でいいかな?」
「それは勿論。ではお願いします」
 
 こうして僕たちは改めてブレブと依頼をこなすことになった――
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