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第6話 エフはがんばり屋さん
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家に帰ってお茶を飲んでいると、大人サイズに戻ったエフが歩いてきた。
「ご主人、メールが七件届いています」
エフはそう言って、手紙を懐から七通取り出した。
「メールって……この手紙?」
「はい。私たちが人型になっているときは、メールは手紙の形で取り出せるんです。FQ社のコメントでは、『電子メールに苦手意識を持つ方にオススメ』とのことです」
「面白いこと考えるね、FQ社……」
人間に変身する携帯に、アナログなメールか……。
「メールを書く際は市販の便せんに書いて、私が文面を電子メール化することで送信も可能です。また、電話の場合は黒電話、ネットの場合はテレビ型ディスプレイを取り出して使用が可能です」
「君のスーツの中は異次元につながってんの?」
面白すぎるよFQ社。
「しかし、メール七件って随分来たな……誰から?」
「ええと、三通ほど、ご友人の方々から届いています。四通は……――!?」
友人から届いた三通を私に手渡したあと、残りのメールを見たエフが固まった。心なしか顔が赤い。
「ん? どしたん?」
「……」
エフは私に背を向けて、手に持っていた四通の手紙を破き始めた。
「え、ちょっ!? 何してんの!?」
「い、いえ、あの……」
エフは顔を真っ赤にしてうろたえている。破かれた手紙の切れ端に、アダルト系の広告が印刷されているのが目に入った。
「……あー……なるほど」
「め、迷惑メールだったので、削除しておきます。あと、受信拒否もしておきますので」
エフは咳払いをすると、びりびりに破いた手紙を懐につっこんだ。
「うん、頼むわ」
私は苦笑いをしながら言った。
「今日の夕食は何にいたしましょうか」
「んー、今日はいいや。たまには自分で作らないと腕がなまるからね」
そう言うと、エフは予想していなかったのか、ひどく驚いた様子だった。
「え……あ、そうですか。じゃあ、えっと……お背中流しましょうか」
「え!? いやいや、自分で洗えるよ!?」
今度は私が驚く番だった。携帯と風呂に入るなんて聞いたことがない。だいたい、携帯とはいえ男性と風呂はちょっと。
「あ、そ、そうですよね、すいません! で、では私は何をしたら……」
「別に何もしなくてもいいよ? どうしたの、一体」
エフの様子がおかしい。
「私は携帯電話ですから、ご主人の役に立たなければいけないんです。ご主人のために何かしないと、不安で……」
エフはうつむいて、悲しそうに言った。
携帯ゆえの義務感ってやつか……。
「たまには休んでもいいよ。私がやりたいって言ってることだし。というか、携帯は普通、料理とか風呂の手伝いとか仕事の範囲外でしょ。あんまり無理に仕事しなくていいんだよ。手伝ってほしいときは言うからさ」
私は笑って言った。
「そ、そうですか……」
「うん、そう。エフは気張りすぎだよ。今日は私が腕をふるうからさ。ふっふっふ、私の料理の腕にひれ伏すがいい!」
「まあ、私は食べれないんですけどね」
「あ、そうだった!」
エフと私は、笑いながら夕食の準備を始めたのだった。
「ああっ、ご主人、鍋がふきこぼれてます!」
「ぎゃー、包丁で指切った!」
〈続く〉
「ご主人、メールが七件届いています」
エフはそう言って、手紙を懐から七通取り出した。
「メールって……この手紙?」
「はい。私たちが人型になっているときは、メールは手紙の形で取り出せるんです。FQ社のコメントでは、『電子メールに苦手意識を持つ方にオススメ』とのことです」
「面白いこと考えるね、FQ社……」
人間に変身する携帯に、アナログなメールか……。
「メールを書く際は市販の便せんに書いて、私が文面を電子メール化することで送信も可能です。また、電話の場合は黒電話、ネットの場合はテレビ型ディスプレイを取り出して使用が可能です」
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面白すぎるよFQ社。
「しかし、メール七件って随分来たな……誰から?」
「ええと、三通ほど、ご友人の方々から届いています。四通は……――!?」
友人から届いた三通を私に手渡したあと、残りのメールを見たエフが固まった。心なしか顔が赤い。
「ん? どしたん?」
「……」
エフは私に背を向けて、手に持っていた四通の手紙を破き始めた。
「え、ちょっ!? 何してんの!?」
「い、いえ、あの……」
エフは顔を真っ赤にしてうろたえている。破かれた手紙の切れ端に、アダルト系の広告が印刷されているのが目に入った。
「……あー……なるほど」
「め、迷惑メールだったので、削除しておきます。あと、受信拒否もしておきますので」
エフは咳払いをすると、びりびりに破いた手紙を懐につっこんだ。
「うん、頼むわ」
私は苦笑いをしながら言った。
「今日の夕食は何にいたしましょうか」
「んー、今日はいいや。たまには自分で作らないと腕がなまるからね」
そう言うと、エフは予想していなかったのか、ひどく驚いた様子だった。
「え……あ、そうですか。じゃあ、えっと……お背中流しましょうか」
「え!? いやいや、自分で洗えるよ!?」
今度は私が驚く番だった。携帯と風呂に入るなんて聞いたことがない。だいたい、携帯とはいえ男性と風呂はちょっと。
「あ、そ、そうですよね、すいません! で、では私は何をしたら……」
「別に何もしなくてもいいよ? どうしたの、一体」
エフの様子がおかしい。
「私は携帯電話ですから、ご主人の役に立たなければいけないんです。ご主人のために何かしないと、不安で……」
エフはうつむいて、悲しそうに言った。
携帯ゆえの義務感ってやつか……。
「たまには休んでもいいよ。私がやりたいって言ってることだし。というか、携帯は普通、料理とか風呂の手伝いとか仕事の範囲外でしょ。あんまり無理に仕事しなくていいんだよ。手伝ってほしいときは言うからさ」
私は笑って言った。
「そ、そうですか……」
「うん、そう。エフは気張りすぎだよ。今日は私が腕をふるうからさ。ふっふっふ、私の料理の腕にひれ伏すがいい!」
「まあ、私は食べれないんですけどね」
「あ、そうだった!」
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「ああっ、ご主人、鍋がふきこぼれてます!」
「ぎゃー、包丁で指切った!」
〈続く〉
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