毎日!アルスの日常365

星月

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弥生

【テーマ】ミュージック(全3タイトル)

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【はじめに】

今回はミュージックの日にちなんで、ミュージカルイベントの話を書いてみました。

3つのタイトルが連動しており、3話構成となっております。



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《電脳戦士の理》

今日は地元の文化ホールで、合唱団によるミュージカルイベントが開催される。
リリーの所属する団体も出演するということなので、リーテと茉愛はその様子を見に来ていた。

公演時間となり、ホール内は消灯。
眩しく照らされたステージには早速、リリーの姿があった。

オープニングセレモニーの代わりというのか、合唱団を代表したリリーがミュージカルの余興として一曲歌唱する...というプログラムがある。

静まった会場内は、リリーの艶やかな歌声で包まれた。

朗々とした会場内は、先ほどとはまるで別世界のよう。
云わばそれは、夜明けを見ているかのような...そんな趣を感じられる。

普段からおっとりとしている、小柄なリリー。
そんな彼女からは、まるで想像のできない風柄だった。



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クレ「ん~!このクレープ美味しい!」

公演後に開かれた小さなお祭りのようなイベント。
時刻は13時に差し掛かる頃だったので、当然お腹が空いていた。

しかし、クレは初っぱなクレープにありついている様子。

飛鳥「もう、早速それいっちゃうんだから...ほら、焼きそば食べなよ。」

飛鳥が焼きそばの入ったパックを差し出す。

サトシ「おう、リリー。このあとツレとカラオケ行くんだが来るか?」

そこへ、リリーがよく引っ付きに行ってる、同級生のサトシが現れた。

リリー「行くよぉ!」

リリーは迷うことなく答えを出した。

カヤサ「いやさっき歌ったばっかだろ」
リリー「サトシ君のお誘いは絶対だからねぇ~」

そう言って、サトシの腕に自身の両手を通すリリー。

サトシ「んな決まり作んな」

笑顔を向けるリリーを、無愛想に受け流すサトシ。

サトシ「時間あるならお前らも来るか?」
クレ「いいの!?じゃあみんなで行こうよ!」

サトシの誘いに、クレは同調する。

厚史「しゃーねぇ、付き添ってやるかぁ。」

そんな流れで、カラオケへ行くことになった。

リリーの喉が心配である。



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《アルスの日常》

文化ホールでの音楽イベントが終わり、カラオケへとやってきた一同。

今日はなんか、やたらとメンバーが多い。
それも、あまり馴染みのない人達がいる。

分かることと言えば、隣のクラスの生徒であり、クレの友達だということだ。
アルスは彼らと打ち解けるのに、そう時間はかからなかった。

アルス「にしてもすごかったよな、さっきのミュージカル。」

ドリンクバーのジュースを片手に、今日のイベントの振り返りを始める。

アルス「透き通るような声色って言うんかね、音にも綺麗さがあるってことに気が付いたな。」
リリー「えへへ~、嬉しいなぁ。」

アルスの評価に、リリーは照れているのか、指先に髪を絡める。

サトシ「久々に聴いたわ、お前の歌声。」

曲を選びながら、サトシが呟く。

エル「いつも歌ってるじゃん?」
サトシ「そんなんじゃなくて今日みたいなガチのはな」

普段から教室や廊下でも歌っているが、そうではない。
イベントやらを通してでの歌唱は久々に聴いたのだった。

アルス「というかリリー、公演後だけど大丈夫なのか?喉痛めたりとかしないん?」

ジュースを飲みながら、調子を尋ねる。

リリー「まだまだいけるよぉ!今日はた~っくさん歌っちゃおうかなぁ!」

歌う前から楽しそうなリリー。
これだけウキウキしているとこを見るのは初めてかもしれない。

まあ、本人が大丈夫だと言うんだし、余計な心配なのかもしれないな。



数時間後...。

部屋の扉が空き、近藤が姿を表した。
彼の後ろには、杏姉も立っていた。

近藤「おめーら!遅れてすまん...え?」

連絡で教えられた部屋にやってきた近藤だが、もうすでにほとんどの人が疲れている様子。

スイッチが入っているのは、クレとリリーの2人であった。

リリー「みんな予約しないのぉ?追加で三曲入れちゃってもい~い?」

歌い終わったリリーが、次々と予約していく。
一体どれだけのストックがあるというのか。

アルス「いや、本当に喉壊れるやろ。」

ここまで来たら流石に心配せざるを得なかった。
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