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神無月
みかん抗争・相手はハンバーグ・展望台で撮った写真の回(全3話)
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【みかん抗争】
カヤサ「こいつは俺のだ!」
厚史「ズルいぞおい!」
カヤサと厚史は朝から、教室内で追いかけっこをしていた。
アルス「なんの騒ぎや」
エルと共に登校してきたアルスは、その様子を眺めていたクレと飛鳥に状況を尋ねた。
飛鳥「クレがみかんをあげたら、取り合いが始まってさ。」
抗争を繰り広げる2人を、携帯で動画に収めながら簡単に説明した。
クレは「賑やかだね~!」と楽しそうにしている。
飛鳥「あんたがあげなければ、あのバカ達の耳をつんざくような奇声を聞かなくて済むってのに。」
うんざりしたような表情を浮かべる飛鳥だが、その手にしている携帯は一体なんだというのだろうか。
表ではそう言っているが、実は思い出の1つと考え裏では楽しんでいると、みんなは気付いていた。
微笑むクレとエルに顔を合わせると、アルスは歩を進め「おいお前ら」と2人を呼び止める。
アルス「休戦だ、今日くらいは平和に過ごそう。」
カヤサの手からみかんを取ると、人差し指の先に乗せバランスを保つ。
カヤサ「まあ...たまにはな?」
頭の後ろで手を組み、カヤサは意外にもあっさりと提案に乗った。
厚史「じゃあ、3人で分けるか!」
近くの机の上に腰掛け、厚史は解決策を講じた。
アルス「え、俺もいいん?」
パシッとみかんを掴み直すアルスに、カヤサは「当たり前だろ?俺達の仲じゃねぇか!」と肩を組む。
アルス「さんきうな、ほんじゃ皮取るで。」
礼を述べると、アルスはみかんの皮を剥き始めた。
厚史「お前器用だな!?」
途中でちぎれることの無かった剥いたみかんの皮は、綺麗な渦を巻いていた。
アルス「これ取りやすかったわ。...で、三等分にすりゃいいんだよな?」
そう言うと、アルスはカヤサと厚史に3つずつ渡した。
カヤサ「ん?お前ちょっと見せろ。」
違和感を覚えたカヤサはすかさずアルスの手首を掴み、右手に乗せられたみかんの個数を数えた。
カヤサ「いち、に、さん...お前5個あるじゃねぇか!」
カヤサが声を上げると、アルスは「バレたか」と口元を緩ませた。
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
【相手はハンバーグ】~ナタモチ~
隼士は弁当箱を開けると、大きなハンバーグが入っているのが分かった。
隼士「うおっ!?マジかよ!」
軽い気持ちで中身を覗いてしまったが、こいつはつまみ食いできるような相手ではない。
まだ2限目が終わったばかりだと言うのに、食欲がそそられる。
こんなことになるのなら、覗き見しなければよかったと後悔した。
堂々と鎮座するハンバーグから誘惑のオーラが漂い、つい手が伸びようとしてしまう。
一口くらい...そんな甘い気持ちを抑制し、隼士は弁当箱の蓋を閉めた。
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
【展望台で撮った写真の回】~アルスの日常~
ユウキ「なに見てるの?」
ユウキは休み時間、一緒に携帯の画面を見ている近藤と杏姉に声をかけた。
近藤「この前2人でな、ちょっとした登山をしたんだよ。」
近藤は振り向くと、携帯の画面を見せてくれた。
杏姉「展望台の上で、私と近藤君の2人で撮ってみたのですが...。」
少し恥ずかしそうに、杏姉が説明をする。
画面には、近藤がシャッターを切ったであろう自撮り写真が表示されていた。
背景に広がる自然の奥には、小さくなった町が見える。
ユウキ「へぇ~、いい写真だね!よく撮れてると思う!」
写真を称賛すると、近藤は嬉しそうに笑い、杏姉は照れるように微笑んだ。
近藤「こういう2人で映る写真、あまり無かったんだよな。これからはたくさん撮っていきたいと俺は思ってるぜ!」
杏姉「カメラに映るのは苦手ですが...頑張ってみますね。」
顔を合わせて笑顔を浮かべる2人を見て、ユウキは温かな気持ちに包まれた。
カヤサ「こいつは俺のだ!」
厚史「ズルいぞおい!」
カヤサと厚史は朝から、教室内で追いかけっこをしていた。
アルス「なんの騒ぎや」
エルと共に登校してきたアルスは、その様子を眺めていたクレと飛鳥に状況を尋ねた。
飛鳥「クレがみかんをあげたら、取り合いが始まってさ。」
抗争を繰り広げる2人を、携帯で動画に収めながら簡単に説明した。
クレは「賑やかだね~!」と楽しそうにしている。
飛鳥「あんたがあげなければ、あのバカ達の耳をつんざくような奇声を聞かなくて済むってのに。」
うんざりしたような表情を浮かべる飛鳥だが、その手にしている携帯は一体なんだというのだろうか。
表ではそう言っているが、実は思い出の1つと考え裏では楽しんでいると、みんなは気付いていた。
微笑むクレとエルに顔を合わせると、アルスは歩を進め「おいお前ら」と2人を呼び止める。
アルス「休戦だ、今日くらいは平和に過ごそう。」
カヤサの手からみかんを取ると、人差し指の先に乗せバランスを保つ。
カヤサ「まあ...たまにはな?」
頭の後ろで手を組み、カヤサは意外にもあっさりと提案に乗った。
厚史「じゃあ、3人で分けるか!」
近くの机の上に腰掛け、厚史は解決策を講じた。
アルス「え、俺もいいん?」
パシッとみかんを掴み直すアルスに、カヤサは「当たり前だろ?俺達の仲じゃねぇか!」と肩を組む。
アルス「さんきうな、ほんじゃ皮取るで。」
礼を述べると、アルスはみかんの皮を剥き始めた。
厚史「お前器用だな!?」
途中でちぎれることの無かった剥いたみかんの皮は、綺麗な渦を巻いていた。
アルス「これ取りやすかったわ。...で、三等分にすりゃいいんだよな?」
そう言うと、アルスはカヤサと厚史に3つずつ渡した。
カヤサ「ん?お前ちょっと見せろ。」
違和感を覚えたカヤサはすかさずアルスの手首を掴み、右手に乗せられたみかんの個数を数えた。
カヤサ「いち、に、さん...お前5個あるじゃねぇか!」
カヤサが声を上げると、アルスは「バレたか」と口元を緩ませた。
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【相手はハンバーグ】~ナタモチ~
隼士は弁当箱を開けると、大きなハンバーグが入っているのが分かった。
隼士「うおっ!?マジかよ!」
軽い気持ちで中身を覗いてしまったが、こいつはつまみ食いできるような相手ではない。
まだ2限目が終わったばかりだと言うのに、食欲がそそられる。
こんなことになるのなら、覗き見しなければよかったと後悔した。
堂々と鎮座するハンバーグから誘惑のオーラが漂い、つい手が伸びようとしてしまう。
一口くらい...そんな甘い気持ちを抑制し、隼士は弁当箱の蓋を閉めた。
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【展望台で撮った写真の回】~アルスの日常~
ユウキ「なに見てるの?」
ユウキは休み時間、一緒に携帯の画面を見ている近藤と杏姉に声をかけた。
近藤「この前2人でな、ちょっとした登山をしたんだよ。」
近藤は振り向くと、携帯の画面を見せてくれた。
杏姉「展望台の上で、私と近藤君の2人で撮ってみたのですが...。」
少し恥ずかしそうに、杏姉が説明をする。
画面には、近藤がシャッターを切ったであろう自撮り写真が表示されていた。
背景に広がる自然の奥には、小さくなった町が見える。
ユウキ「へぇ~、いい写真だね!よく撮れてると思う!」
写真を称賛すると、近藤は嬉しそうに笑い、杏姉は照れるように微笑んだ。
近藤「こういう2人で映る写真、あまり無かったんだよな。これからはたくさん撮っていきたいと俺は思ってるぜ!」
杏姉「カメラに映るのは苦手ですが...頑張ってみますね。」
顔を合わせて笑顔を浮かべる2人を見て、ユウキは温かな気持ちに包まれた。
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