素直になっていいの?

詩織

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〈番外編〉吉井拓真1

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「結婚するんだ」

最愛の人からの告白

わかっていた。どんなに想ってても無理だってことは。

彼女との出会は俺が中学生の時、家庭教師で来てくれた。4歳年上の人で美人てよりかわいい子だった。

俺が高校生の時、彼女と初めての経験をする。高校生、大学生の差を感じつつも付き合ってると俺は思ってたが、彼女は社会人の彼氏がいた。

彼女が彼氏と会ってるときは、他の女を抱いて憂さ晴らししていた。

他に彼氏がいても俺とは切れる間ではなくなってた。

社会人になり、少しは俺のことを…と思ったら今の告白だ

「もう、終わりにしよう」



家に帰っても1人が寂しく、バーに1人で来ていた。べったり化粧してる女から声を掛けられ、そのままホテルに。

女が目を覚める前に出て、会社に向かった。

出勤には早すぎて、ほとんど人がいない。

屋上にあがり、あまり吸わない煙草を一服

ぼーとした時に、ずっと堪えてた涙が出る。

その時に、1人の女がみてた。

急に付き合ってください!はビックリしたが、もう誰でもよかった。

周りにいつもいる田上紗英も抱いてはいるが、強い想いが面倒に感じていた。

他に数人、名前をちゃんと覚えてない女とも会ってたりして、彼女もその1人に過ぎなかった。



大学を卒業して就職した先は親父の会社だ。

俺が中学生のときは、そこまで大きくなかった会社だったから継ぐこともそこまで考えてなかった。

最近になりドンドンと大きくなり、真剣に継ぐことを考えてほしいと言われた。

弟はまだ高校生。もしやる気にでもなったら弟に任せればいっか、みたいな気持ちで親父の会社に就職した。

親父の子供とバレて気を使われても面倒なんで、最低限の人しか知らない。名前ももしものことを考えて母の旧姓を使うことにした。

社会人になって2年目、どっからか情報が漏れたのか俺が社長の息子と知ってる人もいるようだ。それでも聞かれることは無いので知らない振りをしている。



「お腹空いた」

そう言ったらチャーハンを作ってくれた人がいた。

身体の関係になって2~3ヶ月の年上の女だ。

彼女は笑顔で作ってくれた。

「うまい」

素直にうまいと思った。

その時、嬉しそうに幸せにそうに笑った彼女が印象的だった。

他の女とは身体だけ関係してすぐ帰ってしまう。

彼女とは身体の関係が終わった後、夕飯を作ってくれるようになった。

今まで全く会話がなかったが、映画やテレビ、昔してたゲームの話、今の仕事の愚痴とかそういう現実的な話ではなかった。それが逆に少し癒やされた。

名前はなんていったけ?そこで少し名前を覚えてみるかと、スマホを取り出す。

そこで、戸川加奈と確認し、あーそういえばそんな名前だったなーと

戸川加奈とそんな付き合いが半年過ぎた頃

「葉山君、もうここにこないでほしいの」

そう言われた。

歳も上だしそろそろ結婚か?と思い、それ以降は彼女の家に行かなくなった。

その分他のところ行けばいいし、特には問題はなかった

それから半年も過ぎた頃

いつもは使ってない社食をつかった。

お昼過ぎてまで仕事してたので、何処行っても混んでるし、たまには社食でもいっかという気持ちで行った。

「えええ!?まじて?」

少し離れた女子社員が大声で叫んでた。

「バカ!煩いよ」

「だってぇー、ピックリするじゃん。あのお局様が?」

「でも戸川さん結婚してないみたいだよ!一緒に歩いてる人に戸川さんって呼ばれてたもん」

「じゃ、シングルマザー?」

「うーん、解らないけどそうなるのかなぁー?」

戸川?

「あの、すいません」

「え?」

3人で話してた女子社員が俺の顔をみてビックリしてた。

そりゃそうだ。急にこっちから声かけたんだしな

「その戸川さんって」

「えっ?あ、戸川えっとなんだっけ?名前」

「加奈じゃなかった?」

「あー、そそうそう」

「その戸川さんが妊娠してたんですか?」

俺はシングルマザーと聞いて、そう聞いた。

「え、まぁ…かなりお腹目立ってたんで」

少し籠もって返された

「あ、いや先輩がね、戸川さんのこと気にしてて」

と、とっさに嘘をついた。

「あー、急に退職したしね」

「妊娠して辞めたってことか」

「え?」

辞めた事も知らなかった。てか何処の部署も知ってなかった。

「戸川さんのこともう少し知りたいらしく、戸川さんのこと知ってる人っているのかな?」

「あー、それなら総務の鳥井主任でない?」

「よく2人でいるの見てたもんね」

「ありがとう」

そう言って社食を出たて、聞きに行こうとしたが、昼休みが終わるので、定時後総務に行った。

座席表を確認し、鳥井主任のところに向かった。

「失礼します。鳥井主任。お時間を頂きたいのですが」

ギロっと睨まれた。

彼女のこと知ってる。そう思った。

「仕事の話じゃなよね?」

背はそこまで高くないが、美人系のキツめな顔をしてる。役だと悪女みたいな役が似合いそうだ。

「はい」

「もう少しで終わるから、駅前のデッキという喫茶店に居てくれないかしら?」

「わかりました」

先に指定された店に向かった。

20分後、鳥井主任が来た

「おまたせしました。それで話って?」

「戸川さんのことですが、今何をされてるかご存知ですか?」

「知ってるわ」

顔は合わせず、そして

「知ってても貴方に話さない」

そこで、彼女のお腹の子は自分の子だと確信した

「今更聞いてどうなるの?」

「戸川さんと話したいです」

「今更?」

既に半年がたっている。本当に今更だ

「話はそれだけ?なら失礼するわ」

そう言って、鳥井主任は帰って行った

俺は彼女と会って話をして、どうするつもりだったんだ?

自分で会って話がしたいと言ったのに、その先のことは全く考えてなかった。

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