モテモテの幼馴染み

詩織

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モテモテの幼馴染み

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進路かぁー

高校3年生になって3か月。

皆進路を決めてるのに、私はまだ決められないでいた。

大学はいくつもりなく、就職も...

斉田楓子さいだふうこ、17歳。自分の中で何がしたいのか解らないでいた。

高校時代のほとんどは、部活のバスケに夢中だった。

といってもバスケはそこまで上手くない。

高校じたいそこまでうまくもないし、県大で上位を目指すほどの腕でもない。

それなのになんでバスケに夢中だったかというと

『俺はずっとバスケしてる』

三件となりの同じ歳の幼馴染、堂森拓どうもりたく、私の初恋の相手であり今も想いがある。

中学までは一緒だった。高校はバスケの推薦で強い学校に行ってしまった。

中学2年のはじめまでは話してたけど、急に背が伸びて私より大きくなって女子から声かけられて、そっからはもう話しかけることがなかった。

そして推薦の話を聞き、進学校でとても行けるレベルではなく諦めた。

小学校の時はかわいい弟みたいな存在で、でもその存在が実は恋してたんだなって小学校の5年生の時に気が付いて、恋してると解ってからはいつも拓のことばかり考えていた。

高校も違うし、唯一の接点はバスケだけ。

向こうは有名進学校で県大会もでる強豪校。私となんか全然レベルが違うけど唯一の接点だから。

たまに家の近くで見る拓は、本当のかっこよくなっていて、何人かの女子と寄り添って歩いてたのも見てる。


私も悔しくって彼氏作ったりしたけど、長く続かなかった。

しっかり拓を忘れて付き合わないとダメなんだろうなって...



そろそろ進路をっと思ってた時に、お金がたまったらいっぱい旅行に行きたいってのが夢だったので、短大に観光学科ってのがあるので、短大に行ってみようとかなり遅い決断に至った。

将来は旅行会社とかに就職するのもいいかもしれない。

受験勉強もしてはいたが、就職するかも進学するかも曖昧だったのであまり本腰ではなかった。これからは本格的に勉強しないと。



秋になって周りは受験ムード。

私も受験生なんだけど、どこか置いてけぼりな感じがしていた。

「なぁ」

家に帰ろうとして声かけられた

え?

後ろを見たら、拓だった。

ああ、ここは拓の家の前か。

多分4年半?ぶりかもしれない。私と話すの

「な、なに?」

「進学するの?」

「え?」

「進路」

なんで私の進路なんか...

「そういうそっちはどうなの?」

「俺は大学いく」

だよな、進学校だもんね。

「私は、まぁ進学予定だけど短大受験かな。それじゃ」

っと言って、家に向かった。

ビックリした。ドキドキした。真正面向かってみることもできなかった。

背も高かったし、かっこよかったし、声も前より低い気がした。

男の人だった。

あれじゃ、モテるだろ?

いやいや、そんなことより受験勉強だ。


だってもう、拓とは別世界。

私の恋は既に終わってる。

拓のことは諦めて、短大行って合コンして新しい出会いだ!


「あ、あった!」

なんとか滑り込み受験をしたものの、短大には合格した。

とりあえずはホッとした。

家に帰って合格したことを報告する。

「もう進路ギリギリまでよくわからなかったし、一時はどうなるかと思った」

っと、母に言われ

「そういえば、堂森さんの拓君、K大受かったんだって。お母さんと昨日あったのよ、すごいわね」

そんな凄い大学受かったんだ。さすが進学校。

落ち込むのは辞めよう。もうすでに拓とは道が違うんだ。

進学も決まったことで、色々買いたいなって思うのも増え、バイトを始めていた。

高校卒業まであと1か月。

バイトはケーキ屋さん。ここのケーキ屋さんは元々好きだったのでバイト募集を見てすぐ応募した。

短大行ってからもここでバイトする予定でいる。


「おつかれさまでした!」

店をしても片付けがあるので、終わるのはだいたい22時前になる。

バイト先でも話せる友達もできたし長く続けられそうかな。

裏口から出て、自転車で家に向かおうとしたら

「ひぃ」

急に腕を掴まれた

な、なに?痴漢?

必死に腕を振りほどこうとしたら

「ちょっと、俺だって」

「え?」

拓?

な、なに!?

「なんで?」

なんでいるの?

「おばさんが、ここでバイトしてるって聞いたから」

「え?」

なに?なんで?

「短大、合格したんだってな。おめでとう」

「ああ、あ、K大だって?すごいね。おめでとう」

私に用でもあるの?

お互い立ったままで、どうしていいかわからず

「ああ、わ、私帰るから」

といって、自転車に乗ろうとしたら

「いや、あの」

自転車の前に立つ拓。

「ちょっと、帰りたいんだけど」

「なんで?」

え?

「なんで避けてる?」

「へ?」

「避けてるだろ?俺のこと」

「べ、別に避けてなんか」

避けてるってか、そっちが手が届かないところに行ったんじゃん。

その後、話が続かず無言。

「俺、ダメなのか?」

「な、なにが?」

急にダメなのか?って言われて全く意味がわからずで

「あの、ごめん意味がわからない。」

「お、俺じゃダメなの?」

「だから、なにが?」

「俺対象外?」

全く意味がわからない。

「ごめん、ほんと意味わからないから、帰...」

「男として対象外?俺」

「は?」

な、なに言ってるんだ?拓は

腕を掴んで離さない拓。

「また別々の道だと思ったら、もっと離れる気がして」

「は、離れるも何ももうすでに、別々でしょう?」

そこでまた話しが途切れた。

「なぁ、どうしたら俺のこと見てくれるの?」

「何言ってるの?」

「気づいてないの?」

これじゃまるで、拓が私のこと...


腕を引っ張って抱きしめられる。

自転車が倒れた音がした。

「なぁ本当に気づいてないの?」

ビックリして、硬直しちゃってて

「俺、お前だけだよ。小さい頃からずっとお前だけだ」



『ふうちゃん、大きくなったら僕のお嫁さんになって』

『拓君、大好きだからなる!』


ああ、なんか小さい頃そんなこと言ってた記憶がある。

でもそんなの

「私なんかより、かわいい子いっぱいいつも連れてるし、K大ならいっぱいいるし、それに」

「楓子でないと、俺ダメなんだ」

「だ、ダメだよ。ダメだよ」

「何がダメなんだ?」

「私よりもなんでもできて、いい大学いって、バスケもできて」

「そんなのどうでもいい!」

急に声をあげたのでビクッとした。

「お前の隣に男がいると、嫉妬に狂いそうだった。声かけたくってもどうせ俺のことなんかって思ってた。でももう後悔したくない。楓子ずっと好きだ」

!?

「楓子は?楓子は俺のことどう思ってる?」

拓の心臓の音がうるさい。

「わ、わたし」

いいのかな?こんな私が相手でも

「す、好きだけど、でも」

「好きなら、でもとかそういうのいらない」

そう言って、キスをして

「お願いだから、もう離れないで」

「た、拓?」

「もう離れるな!」


後日、うちのお母さんが拓に彼氏出来たかもしれないよ。いいの?っとはっぱをかけたとかで。

拓のお母さんもうちのお母さんも私達の気持はお見通しのようで

「いい加減早くくっつきなさいよ」

っと言われた。


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