トラガール

詩織

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蓋をしてた気持ち

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坂下と飲むようになって半年がたつ頃、いつものように飲んでもりあがってたけど、その日に限って焼酎から日本酒に切り替えてしまった。

「なんか、いつもよりペースが…」

「お前がさ、日本酒たまには飲みたいっていうからさ、注文したら…」

酔ってる人は酔ってない!というが、明らかに私達はいつもよりろれつが回ってない。

「坂下だって、たまには飲んでみたいっていっじゃん!」

「そうだけどよー、少しだけだと思うじゃん普通。3合くらい飲んでね?」

「…覚えてない」

少しふわ~としてきて

「ったく…、まぁ篠山らいけどな」

「私らしいって、どういうことよ!」

「かなり抜けてることろ!」

「そんなに抜けてないって!」

「だってよ!移動教室のとき、お前1人で移動しないでずっと教室にいたことあっただろ?」

「!?」

そーいえば、なんか…誰も居なかった記憶が今になって思い出してきた。

「って、そんな昔の話!!そんなの普通見てる?」

「そりゃ、見てたらかな…」

あっ…

「…」

急に沈黙なる。

そうだ。私達、両思いだったんだ。

今がこんな関係だからつい…

「…あの時はごめん」

「え?」

「ずっと言いたかった。あの時、連絡しなくってごめん」

「あっ…」

「…怖かった。もし電話して拒否られたらって思うと勇気が出なかった。」

「…いや、私もしなかったし」

「ヘタレ過ぎた。何度も掛けようって番号押してはやめて、それを毎日してた。」

「…うん」

「…ごめん」

もう、過ぎたことだ。

「なぁ、俺たちさ…」







「な、なに?」

ここ何処?

ベットの上?

…ホテル?

シャワーの音がする。


ま、まさか…

浴室であろう所からドアが開き

「あっ、起きたんだ」

「さ、坂下…」

これってまさか…

坂下はここのホテルの部屋着に着替えてシャワーを浴びて出てきたようだ。

「ここって…」

「ラブホじゃないよ!シティホテル」

「う、うん…」

目のやり場に… 

「…はぁー」

と言って、ドカッとソファに座る坂下。

時計を見ると夜中2時半だった。

「覚えてる?」



「途中までは…」

「そか。ここに来たのは?」

と、聞かれたので横に首を振った。

「そか。じゃその後のことも覚えてないか」

「…ごめん」

「なぁ、篠山。俺さ…篠山とは友達だと思ってる。けど、昔の話してちょっとあのときの淡い気持ちが出てしまって、俺たち暗黙の了解みたいな感じでここに来た。」

「え?」

確かに、中学の話をしたのは覚えてるけど、まさかそういう流れになって私も了承してたなんて…

「いざ篠山を抱こうとしたら、お前、翔悟さんっと言って泣き出した」

「!?」

「なんで私だけ忘れたの?って言い出して泣き出した」

その話を聞いたら一気に涙が…

「…な、なんで?」

涙が止まらない。

「その翔悟さん、忘れられないの?」

止まらない涙を止めることが出来ず

「そ、そんなこと」

「忘れたって?」

「え?」

「私のことを忘れたって?」



「篠山の気持ち、聞いてもいい?」

「坂下…」

「流石に想う人の名前呼ばれてまで抱くこと出来ないよ」

「…」

私は、ポツポツと翔悟さんのことを語り始めた。

事故で記憶を無くしたと聞いたとき

「お前だけ思いだけないの?」

「…うん」

「そういうことか…」

「…」

「でも、記憶がなくてもお前のこと好きって言ったんだろ?それって凄くない?」

「ビックリした。嬉しかった」

「お前周り気にしすぎじゃね?」

「そうだけど…」

「あと…」



「本当は、違うんじゃない?」

「え?」

「本当は、自分を思い出してくれない事にシコリがあるんじゃないの?周り関係なく」

!?

その言葉を聞いて、また涙が出てしまった。

「ご、ごめ…」

「言いたくっても言えなかったんじゃね?」


そうだ…

私は、周りが…とか、ご両親がとかずっと言い訳にしてた。

本当は、彼に思い出して貰えないことを言うことが出来ず、ずっとそのことが言えず蓋をしてた。

「言えなくって辛かったんだよな」

「…、つ、辛かった…」

本当は辛かった。

何で私だけ…

どうして私だけなの?

「言ったら?」

「え?」

「言ってらいいじゃん」

そ、そんなこと…

「ついてきてって、言ったくらいなんだから、受け止めてくれるんじゃない?」

でも、もう翔悟さんが日本を離れて10ヶ月になろうとしてた。

「今更もう…」

「それで後悔しない?」

後悔…

後悔…わからない。

「好きなんだろ?」

「…うん」

「全部言ってこいよ!それでダメだったら、俺が骨拾ってやるよ」

と、坂下は笑顔で言った。



本当の気持ち、翔悟さんに…
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