祖母の幸せ

詩織

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おばあちゃんの人生

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「え?」

母から聞いて言葉を亡くす。

祖母がもう長くないと…

「美咲はおばあちゃん子だったからね。今のうちに会っときなさい」

木内美咲きうちみさき、今年から短大生。

以前の母は、仕事人間だったので祖母がよく面倒みてくれた。

祖母は3ヶ月前から入院していた。



翌日、学校が終って病院に行く

「おばあちゃん」

「あら、美咲。学校終わったの?」

「うん。」

祖母は何か手紙のようなものを見ていた。

「手紙?」

「あー、これは昔のよ。大事な手紙」

「へー」

確かに色も茶色ぽくなってて、古く感じてた。

ちらっと見たが

「達筆すぎて読めないわ!」

祖母は笑って

「そうね。美咲じゃ読めないわね」

「おばあちゃんの大事な人なの?」

「そう。ずっと大事な人」

なんとなく、その人は亡くなってるんだろうと察した。

「そーなんだ」

祖母は愛しそうにその手紙をみてる。

「おばあちゃんの好きな人?」

「そうねー、ずっと愛してる人ね」

そのことを思い出すように言った。

「おじいちゃんじゃないの?」

「おじいちゃんも好きだったわよ。でもおじいちゃんも私も、戦時中に最愛の人を亡くして、戦後親同士に言われてお見合いしてね」

「そうなの?」

「ええ。おじいちゃんも私もショックで結婚なんかする気になかったんだけど、まぁ当時はね生きるのも必死だったので選択がなかったのね」

戦後のおばあちゃん達の大変さは、私にはわからないけど、でも想像を超えるんだろうとは思う

「お互い大事な人をなくした物同士よりそって生きようとしたんだけど、結局おじいちゃんは、私に対してそんな気持ちで夫婦でいることに申し訳なくで多額の保険金をかけて自ら命をたってね」

「え?」

知らなかった

「お母さんから、事故で死んだと聞いてたけど」

「皆には事故って言ってるけど、本当は自殺なのよ。誰にも言ってないからお母さんや皆には内緒ね」

そんな大きな嘘、私聞いちゃっていいの?

「私知って大丈夫だったの?」

と言うと、

「誰かに本当のこと言いたかったのかしらね」

と笑顔で返された。

その後も少し話して私は帰宅した。

衝撃な話に、忘れられるわけもなく、でもそう言わないと母とかのことも考えたんだろうなとも思った。


「おばあちゃん」

「あら、昨日もきたのに」

「なんか、昨日の話聞いたからね、続きが聞きたくって」

「続き?」

「うん。おばあちゃんの大事な人の話」

「ああ」

「聞きたい」

と、言うと

「おばあちゃんの好きな人は、大きい病院の医院長さんの息子さんでね、許嫁もいたのよ。当時は親同士が決めたことに言い返すことは少なかったからね、その人も親の言うとおり結婚する予定だった。」

「えっ、そなの?」

「そして戦争が始まり、世の中は変わった。そんな戦時中に出会ったのよ」

「戦時中に?」

「そう。私は病院で看護師不足だったから看護師のお手伝いってことで、その方のお父さんの病院で働きだしたのよ。もう学校なんかいける余裕がないからね」

そうだよな。戦争してるのに学校とかって行ける余裕ないだろうな。

「その人とはそこで出会ったのよ。彼は許嫁さんがいたけど、恋したのは私が始めてと言ってくれて、周りに気づかれずに、戦争も長くないから、戦争が終わったら二人で駆け落ちしようって話てたの」

「ひぇー!!おばあちゃん、かっこいい!」

「ふふふ」

おばあちゃんは、凄い嬉しそうに笑った。

「でもね…、終戦少し前に戦争に行くことになってね、絶対戻ってくるって言うのを信じて待ってたんだけど」

「あっ、もしかして」

「うん。何年たっても戻って来なくって、それで親にお見合いをほぼ強制的にされて、同じ境遇のおじいちゃんと会ったのよ」

「おばあちゃんは、強制的におじいちゃんと結婚したけど、やっぱり辛かった?」

少し考えて

「始めはお互いに失った人を待っていたいと思ってたからね。でも既に戦死してることは分かってて、認めたくないのもあってね。いい加減に諦めろってね。相手の両親もうちの両親も同じこと言ってたわ」

「そっかぁ」

「だから、そういうのを共有できる人ってことで寄り添って、まぁ周りに言われるまま結婚したかな。でもね、おじいちゃんも優しくって、大事にしてくれて、ちゃんと愛もあったと思うのよ。」

「…うん」

「でも、私達には戦争ってのがやっぱりね、忘れられなくって衝撃が強すぎて、最愛な人も含めて友達も親戚も、おばあちゃんは兄弟も亡くしたし、どこかやっぱり二人で前に進むってのが出来なかったのかもね」

「…うん」

「おじいちゃんは、私のことも愛してるけど、やっぱり彼女のところに行きたいって逝ってしまったわ」

胸が締め付けられてる感じがして、泣きそう。

「おばあちゃんも同じだったけど、貴方のお母さんも既に居たしね、一緒には死ねなかった」

「…うん」

「って、長くなったけどそんな感じかしら」

「おばあちゃん」

「ん?」

「お母さんを育ててくれてありがとう」

「美咲に会えたからおばあちゃんは幸せよ」

おばあちゃんは笑顔で私に言った。

「今まで、誰にも言ったこなかったから、美咲に聞いてもらえてよかった。ありがとね」

「うんん。こっちこそ、話してくれてありがとう」

いっぱい話して疲れたから休むと言ったので、私は帰ることにした。

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