逢いたくて逢えない先に...

詩織

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結婚1年目の告白

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そろそろ結婚1周年。

2人で旅行でも行こうかなとか色々考えてた。

そしたら

「家で2人でまったり過ごしたい」

と言われて、いつもの省吾なら何かやろうって言いたそうなんだけどなって

別に家でまったりするのも悪くないけど。



当日は色々仕込み、いっぱい料理を作った。

ワインは前から気になってたのを買ってみた。

ちょっとおしゃれでもして待ってみようかな。


「ただいま」

「おかえり」

私を見て

「おお!なに?」

って言って私の服を見たので

「だって記念日だもん。少しはね」

と笑って返した。

省吾は

「そか」

と喜んではいたけど、少しなにか変。


「じゃ、一周年の乾杯」

グラスを傾けて乾杯する。

「すごいな!1人で作ったの?」

「そうだよ。だってお祝いしたいし」

っと言うと

「うん。そうだね」


少し深呼吸して

「ねぇ遥、話たいことがあるんだ」

「何?」

どうしたんだろ?いつもの省吾らしくない。

「今まで言おうかと思ったこと実は何度かあったんだけど、親父たちにはもう捨てろ!なかったことにって言われてた。だから遥にも言うつもりなかったんだが」

じっと私の顔を見て

「やっぱり隠し事遥にしたくなくって、1周年目の今日言うことにした」

省吾?

「これから言うこと、びっくりするかもだけど、嫌いにならないでほしい」

「俺の本当の名前は、桜井陽一さくらいよういちって言うんだ」

「え?」

「俺の親父は、桜井亮二さくらいりょうじって言うんだ」

どこかで…

「連続殺人犯なんだ。本当の父親は」

「!?」

「連続殺人犯で捕まった後、母はおかしくなって俺と妹を連れて、心中するつもりで車の中で一酸化炭素中毒で死のうとしたんだ。けど俺だけ助かってしまった。」

そ、そんな…

「戸籍上は桜井陽一は死んだことになってる。その一家心中で」

「それは、どういう?」

「ちょうどその時、飯山夫妻が事故で一人息子を亡くしててね」

「それって、まさか...」

「そう。俺は桜井陽一を捨てて、亡くなった飯山省吾になったんだ」

「その後しばらくは、周りにバレることを恐れ語学留学ってことで海外に行ってた。22歳になるまでは海外で勉強してた。飯山夫妻は本当にわが子のように大事にしてくれて、俺も本当の両親だと思ってる。けど、一緒に死んだ母だけは...」

省吾は下を向いて肩を震わせた。

「両親と俺以外誰も知らないわけだし。遥にも言うつもりなかった。でも...」

あまりの衝撃な告白に、何も言えないでいる自分。

「ビックリしただろ?」

「...そりゃ」

そりゃ、ビックリするよ。

「それでも俺のこと」

「何言ってるのよ!私の夫は貴方だけなのよ。」

「遥」

「省吾が私の夫なのよ!目の前にいる人が私の夫で省吾なの!」

「俺の子供に殺人鬼の血がと思うと悩んでたのはあった。子供が欲しくないわけではない、でも色々と考えた。」

「省吾と私の子供だもん。大丈夫だよ」

「...そうだな」

「省吾、ありがとう」

「え?」

「本当は言うつもりなかったんでしょ?本当は死ぬまで私には言うつもりなかった。なのに言ってくれて嬉しい」

「遥、ありがとう」

「近々命日なんだ」

「命日っていつ?」

「来月の15日」

「私も行っていい?」

「いいの?」

「当たり前でしょう」

「遥、ありがとう」

省吾は私を抱きしめ、肩を震わせてる。

今までは年下でもずっと頼れる存在だった。

でも今の省吾は別人のように弱々しく、ビックリするくらいだ。

幼少期、想像以上の辛い経験をしたんだなと思うと色々聞けない。今は言ってくれたことにありがとうと言いたい。

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