17 / 235
1B-修練と改良
1B-09 魔力の雨
しおりを挟む
持参した桶に、ネル川の水を汲む。
ホーミィー村の水は、この川から分岐された上水を使っている。
爺さんの店の水も、同じ源流だ。
水の組成はほぼ同じだろうと見て、慣れた感覚で魔力を通してみる。
だが、川の水に魔力を通すと、すぐに流れて霧散してしまった。
流水は、静水とは勝手が違うようだ。
爺さんの言葉が思い出される。
「他人の魔力に染まった水は、たくさん飲めない。飲むなら、しばらく置いてから使え」
川の水は、他の生物の魔力に少しずつ触れている。
だからこそ、複雑な抵抗があるのだろう。
流水はまだ早いと判断し、まずは桶に汲んで慣らすことにした。
自然の魔力以外のものを排除し、自分の魔力で制御下に置く。
何度も水を汲み、魔力を通し、飛ばして戻す――
地道な訓練を繰り返す。
何事も、経験が一番だ。
しばらくすると、周囲に子供たちが集まっていることに気づいた。
「マリンの兄ちゃんの魔法、水魔法みたいだね!たくさん飛ばして、雨みたいにしてよ!避けるからさ!」
「おう、わかったよ。行くぞ!」
桶の水を細かく分裂させ、空へと飛ばす。
大粒の雨のように降らせると、子供たちはきゃあきゃあと叫びながら避け始めた。
ホーミィー村には娯楽が少ない。
この程度でも、子供たちは夢中になる。
やがて、子供たちは「水を汲む係」と「避ける係」に分かれ始めた。
自分は、ひたすら水を撒く係に決まった。
桶の水の操作は、数をこなしたおかげでだいぶ慣れてきた。
面倒になり、川の水を直接扱い始める。
数をこなした成果か、スムーズに動く。
楽しくなって調子に乗り、ばらまいた結果――
河原は一面、水浸し。
子供たちの服も、びしょ濡れになってしまった。
「ハクション!」
自分だけでなく、子供たちもくしゃみをし始める。
このままでは、親に怒られる。
年長者として、責任を取らなければならない。
まずは、自分の服の水を操作してみる。
繊維に染み込んだ水は、魔力の浸透に抵抗がある。
「水のみ制御」と念じながら、集中して解析する。
コツをつかんだ瞬間、服の水滴を集合させ、周囲に飛ばす。
服は瞬く間に乾いた。
髪や皮膚の水も、同様に払う。
自分の体なら、造作もない。
やれやれ、無事解決――
と思った瞬間、周囲の視線が突き刺さる。
年下の子供たち全員が、じっとこちらを見ている。
「もちろんやってくれるよね、僕たちの分も」
そんな目だ。
「仕方がないな。一列に並んで」
子供たちは、軍隊のように整列した。
年長者として、この場の責任を取るしかない。
順番に乾燥を行っていく。
親に怒られたくないのは、子供たちも同じ。
協力的で、隠蔽工作はスムーズに進んだ。
総勢十人の乾燥を終えた頃には、魔力はほぼ枯渇寸前。
眠気が襲い、ふらふらになりながらマリンと共に帰宅。
夕食を食べた後、スイッチが切れたように眠りについた。
夕食後、マリンと数人の子供の様子がおかしいと、親ネットワーク経由で両親に情報が届いたらしい。
「水遊びには早すぎる。風邪を引いたらどうするの!」
起こされ怒られたのは、当然のことだ。
だが、水操作のコツは掴んだ。
収穫はあった。
怒られるのは、ほぼ想定内。
まあ、仕方がないことだ――
そう思いながら、再度、眠りの中へ沈んでいった。
ホーミィー村の水は、この川から分岐された上水を使っている。
爺さんの店の水も、同じ源流だ。
水の組成はほぼ同じだろうと見て、慣れた感覚で魔力を通してみる。
だが、川の水に魔力を通すと、すぐに流れて霧散してしまった。
流水は、静水とは勝手が違うようだ。
爺さんの言葉が思い出される。
「他人の魔力に染まった水は、たくさん飲めない。飲むなら、しばらく置いてから使え」
川の水は、他の生物の魔力に少しずつ触れている。
だからこそ、複雑な抵抗があるのだろう。
流水はまだ早いと判断し、まずは桶に汲んで慣らすことにした。
自然の魔力以外のものを排除し、自分の魔力で制御下に置く。
何度も水を汲み、魔力を通し、飛ばして戻す――
地道な訓練を繰り返す。
何事も、経験が一番だ。
しばらくすると、周囲に子供たちが集まっていることに気づいた。
「マリンの兄ちゃんの魔法、水魔法みたいだね!たくさん飛ばして、雨みたいにしてよ!避けるからさ!」
「おう、わかったよ。行くぞ!」
桶の水を細かく分裂させ、空へと飛ばす。
大粒の雨のように降らせると、子供たちはきゃあきゃあと叫びながら避け始めた。
ホーミィー村には娯楽が少ない。
この程度でも、子供たちは夢中になる。
やがて、子供たちは「水を汲む係」と「避ける係」に分かれ始めた。
自分は、ひたすら水を撒く係に決まった。
桶の水の操作は、数をこなしたおかげでだいぶ慣れてきた。
面倒になり、川の水を直接扱い始める。
数をこなした成果か、スムーズに動く。
楽しくなって調子に乗り、ばらまいた結果――
河原は一面、水浸し。
子供たちの服も、びしょ濡れになってしまった。
「ハクション!」
自分だけでなく、子供たちもくしゃみをし始める。
このままでは、親に怒られる。
年長者として、責任を取らなければならない。
まずは、自分の服の水を操作してみる。
繊維に染み込んだ水は、魔力の浸透に抵抗がある。
「水のみ制御」と念じながら、集中して解析する。
コツをつかんだ瞬間、服の水滴を集合させ、周囲に飛ばす。
服は瞬く間に乾いた。
髪や皮膚の水も、同様に払う。
自分の体なら、造作もない。
やれやれ、無事解決――
と思った瞬間、周囲の視線が突き刺さる。
年下の子供たち全員が、じっとこちらを見ている。
「もちろんやってくれるよね、僕たちの分も」
そんな目だ。
「仕方がないな。一列に並んで」
子供たちは、軍隊のように整列した。
年長者として、この場の責任を取るしかない。
順番に乾燥を行っていく。
親に怒られたくないのは、子供たちも同じ。
協力的で、隠蔽工作はスムーズに進んだ。
総勢十人の乾燥を終えた頃には、魔力はほぼ枯渇寸前。
眠気が襲い、ふらふらになりながらマリンと共に帰宅。
夕食を食べた後、スイッチが切れたように眠りについた。
夕食後、マリンと数人の子供の様子がおかしいと、親ネットワーク経由で両親に情報が届いたらしい。
「水遊びには早すぎる。風邪を引いたらどうするの!」
起こされ怒られたのは、当然のことだ。
だが、水操作のコツは掴んだ。
収穫はあった。
怒られるのは、ほぼ想定内。
まあ、仕方がないことだ――
そう思いながら、再度、眠りの中へ沈んでいった。
353
あなたにおすすめの小説
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。
カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。
【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?
公爵令嬢アナスタシアの華麗なる鉄槌
招杜羅147
ファンタジー
「婚約は破棄だ!」
毒殺容疑の冤罪で、婚約者の手によって投獄された公爵令嬢・アナスタシア。
彼女は獄中死し、それによって3年前に巻き戻る。
そして…。
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
【完】あの、……どなたでしょうか?
桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー
爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」
見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は………
「あの、……どなたのことでしょうか?」
まさかの意味不明発言!!
今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!!
結末やいかに!!
*******************
執筆終了済みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる