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5.身代わりだとしても、今は貴方が婚約者です
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「……そろそろね」
婚約者との定例茶会、開始時刻の10分前を確認して椅子から立ち上がる。
キッカリ10分前にノックされ、温室に入ってきたのは少し軽薄そうに見える赤茶色の髪……では、なく。
“本当に美しいわね”
先日の夜会で見た時は黒にしか見えなかった、太陽光を透かして濃紺に輝く髪だった。
「レヴィン様、本日もお越しくださりありがとうございます」
「いえ、こちらこそ代理で申し訳ありません」
サッと頭を下げると頬に揺れる髪に心がつい高鳴る。
いつもは代理である旨の謝罪を受けたらすぐにベネディクトのどうせ嘘だろう言い訳を聞くのだが。
「こちらはアルベルティーナ嬢に」
「お花……?」
バサッと手渡されたのはまるで星のような花びらの花で作られた花束。
青と白でシンプルにまとめられたその花束は、その可愛らしい見た目から眺めるだけでも元気が出るようで。
「可愛いですね」
「ハナニラで作られた花束です」
告げられた花の名前には残念ながらピンとは来なかったが、この青色がもっと濃ければレヴィン様の髪色と同じね、なんて考えじわりと頬が熱くなる。
“私ったら、何を考えているのかしら!”
関係ないこの考えを振り払うように花からパッと顔を上げた私は、レヴィン様が私の赤くなった顔に気が付く前に話題を変えた。
「これは、どなたからかしら」
「それは……、ベネディクト、です」
「え、ベネディクト様?」
てっきりレヴィン様からなのかと思っていた私はその回答に思わずキョトンとしてしまう。
「先日お礼を言ったから……?」
“だからまた持っていけ、とでも言われたのかしら”
予想外だったせいで怪訝に思うが、確かにレヴィン様から私に直接プレゼントされる謂れはないかと納得する。
そしてそれと同時にその事実を少しだけ残念に思った。
“まぁ、それでもきっと選んだのはレヴィン様ね”
先日貰った花に続き、少し控えめだがこの可愛らしい花をすっかり気に入った私はメイドに頼み、私室へ持っていって貰って。
「本日もお茶を飲まれますか……、と聞きたいところなのですが」
「?」
こほん、と咳払いをしそう切り出すと、てっきりまた席に案内されると思っていたらしいレヴィン様がその紫の瞳を少しだけ見開いて不思議そうな顔をする。
「まず、改めてお礼を。先日の夜会ではレヴィン様のお陰で無事最後まで乗り気れました」
「いえ、俺は特に何もしておりませんので」
“そんなことないわ”
気付いてくれたのも、気遣ってくれたのも隣の婚約者ではなくいつも彼の身代わりにされているレヴィン様。
そしてだからこそ、私はベネディクトではなく彼に感謝の気持ちを抱いていて。
「お礼をしたいのです」
「お礼、ですか? 必要ありませんが」
私の言葉を聞いたレヴィン様が怪訝そうに首を傾げる。
どうやら本当に助けた自覚がないらしい。
「えぇ、このまま何もしないのはエングフェルト家としても恥ですわ」
少し強めにそう主張すると、流石にそれ以上は断り辛かったらしい。
苦笑混じりにゆっくりと頷いてくれたレヴィン様を見て、何故だか私の心が踊る。
「で、ではっ! 今日は街に行きませんこと?」
「街ですか?」
「はい! 何か選ばせてくださいませ」
“もしかしたらベネディクトから手紙の代筆もさせられるかもしれませんし、万年筆とかいいかもしれないわ。あ、でもレヴィン様の綺麗な髪色に似たカフスボタンなんかも素敵かしら”
欲しいものは何でも家に届くこともあり、あまり街でお買い物ということに縁がなかった私は、誰かへのプレゼントをこうやって自分の足で買いに行くなんて初めてで。
そして私のそんなわくわくした様子に気付いたのだろうレヴィン様は、くすりと笑いながら街に行くことに同意をくれた。
エングフェルト家の馬車に二人で乗り込み、大通りの端で下ろして貰った私たちはゆっくり並んで歩き出す。
“そういえば、誰かと二人で出掛けるのって初めてかも”
家族とならばもちろんあるし、ハンナを連れて買い物に出掛けたことだってもちろんある。
けれどプレゼントを選びに行くことも、そして同年代の男性と一緒に行くのも初めてだということに改めて気付いた私はドキリと胸が跳ねた。
……だってつまり、これは。
「もしかして、デート……というやつなのでは」
「え?」
“!! しまった、口に出て……っ”
あ、と思った時にはもう遅く、口から出てしまったその言葉に焦る私。
「違うのです! これはその……っ」
なんとか誤魔化したいが全く何も思い付かず、じわじわと顔が熱くなった。
真っ赤に染まってしまっただろう顔を見られたくなくて、けれどどうすればいいかわからず額に汗が滲みはわはわと口だけを動かしていると。
「そうかもしれませんね」
「……へ?」
しれっと同意したレヴィン様の言葉に唖然とする。
“そうかも、しれない……?”
「俺は今ベネディクトの代理でここにいる訳ですし、それはつまりこの瞬間はアルベルティーナ嬢の婚約者ということになりますよね」
“レヴィン様が、私の婚約者?”
確かに婚約者の代理でここにいる彼は、まさしく身代わりの婚約者とも言えなくはないけれど……
「婚約者同士が二人っきりで街を散策するならば、それは紛れもないデートです」
「!」
ふわりと笑顔を向けながらそう断言された私は、段々とその通りのような気すらしてしまって。
“私が慌てていたから、わざとそういう言い方で肯定してくれたのね”
そしてその彼の優しさに、私の胸の中に温かいものが広がる。
「ですよね?」
「……はい、今はレヴィン様が私の婚約者ですものね」
レヴィン様の気遣いを嬉しく思いながら私もそっと頷いたのだった。
「そういえば、どうしてレヴィン様はベネディクト様の身代わりなんてされておられるの? ご友人同士、なのですよね?」
夜会で見たレヴィン様は、ベネディクトの事を呼び捨てで呼んでいた。
侯爵家と伯爵家で確かに身分は違うが、だからこそ呼び捨てで呼ぶほど親しいのならば毎回彼が融通を利かせ身代わりをする必要などないように思える。
“身分差を理由にいいようにレヴィン様を使っているのかと思っていたけれど、それだと呼び捨てで呼ぶことを許したりはしないでしょうし……”
「確かに俺とベネディクトは友人と呼べても対等ではないんです。領地が隣同士で所謂幼なじみというやつなのですが……」
「友人なのに、対等ではない?」
「お恥ずかしい話ですが、弱いんです。それがベネディクトにもわかっているからでしょう」
レヴィン様が口にした『弱い』の意味がわからず思わず首を傾げる。
「クラウリー領は花の栽培を主にしているんです」
「えぇ、いつも一級品のお花ばかりで、王家からも依頼が入るほどと聞いておりますわ」
“王城の庭園をパーティー用に生花で飾り付けられた時はその美しさに目を奪われたもの”
その技術力や実績もあり、一目置かれていると言っても過言ではないクラウリー伯爵家。
身分こそベネディクトが上だが決して侯爵家だからという理由だけで使いっぱしりになんて出来ないはずで、だからこそ『弱い』と口にする内容に心当たりがなかった。
“まさか腕っぷしの話じゃない……わよね?”
そんな疑問すら頭に過った私だったのだが。
「王都に納品するには、必ずベネディクトの家……ニークヴィスト侯爵家の領地を通らなくてはならないんです」
「あっ」
生花の寿命は短い。
もちろん綺麗な状態を維持し長く花を楽しむことは出来るが、丁度咲き誇る寸前のタイミングで納品しようとすれば、それはかなり花の様子を見極めればならなくて。
そしてそんな一瞬を見極めても、納品先までに距離があればあるほど花の調子は変わってしまうだろう。
“ベネディクトの家は土地の貸し出しや通行料の徴収をメインとしておりましたね”
ニークヴィスト領をぐるりと迂回し王都に入るならば、立地的に三倍以上の時間がかかる。
三倍の時間をかけた結果、天気や気温の変化で花が先に咲いてしまったり逆に全く咲かなくなってしまったら……
「それが『弱い』理由ですのね」
ぽつりと溢すように呟いた私の言葉にレヴィン様は返事をしなかったが、少しだけ瞳を伏せられたのを見て確信した。
“万一歯向かい機嫌を損ねて通れなくなってしまったら、仕事が出来なくなってしまうのね”
友人だがどこか対等ではないその歪な関係。
だからこそ彼はこの四年間、文句も言わずにベネディクトの言う通りひたすら身代わり婚約者の役割をこなしていて。
「今日は、楽しい日にいたしましょう」
「アルベルティーナ嬢?」
「ティナ、で構いませんわ」
「それは……」
愛称で呼ぶように言うと、流石に戸惑った表情になるレヴィン様。
けれど私はそんな彼を無視してにこりと笑顔を向けた。
「だって私たち、今は婚約者同士なのですから!」
婚約者との定例茶会、開始時刻の10分前を確認して椅子から立ち上がる。
キッカリ10分前にノックされ、温室に入ってきたのは少し軽薄そうに見える赤茶色の髪……では、なく。
“本当に美しいわね”
先日の夜会で見た時は黒にしか見えなかった、太陽光を透かして濃紺に輝く髪だった。
「レヴィン様、本日もお越しくださりありがとうございます」
「いえ、こちらこそ代理で申し訳ありません」
サッと頭を下げると頬に揺れる髪に心がつい高鳴る。
いつもは代理である旨の謝罪を受けたらすぐにベネディクトのどうせ嘘だろう言い訳を聞くのだが。
「こちらはアルベルティーナ嬢に」
「お花……?」
バサッと手渡されたのはまるで星のような花びらの花で作られた花束。
青と白でシンプルにまとめられたその花束は、その可愛らしい見た目から眺めるだけでも元気が出るようで。
「可愛いですね」
「ハナニラで作られた花束です」
告げられた花の名前には残念ながらピンとは来なかったが、この青色がもっと濃ければレヴィン様の髪色と同じね、なんて考えじわりと頬が熱くなる。
“私ったら、何を考えているのかしら!”
関係ないこの考えを振り払うように花からパッと顔を上げた私は、レヴィン様が私の赤くなった顔に気が付く前に話題を変えた。
「これは、どなたからかしら」
「それは……、ベネディクト、です」
「え、ベネディクト様?」
てっきりレヴィン様からなのかと思っていた私はその回答に思わずキョトンとしてしまう。
「先日お礼を言ったから……?」
“だからまた持っていけ、とでも言われたのかしら”
予想外だったせいで怪訝に思うが、確かにレヴィン様から私に直接プレゼントされる謂れはないかと納得する。
そしてそれと同時にその事実を少しだけ残念に思った。
“まぁ、それでもきっと選んだのはレヴィン様ね”
先日貰った花に続き、少し控えめだがこの可愛らしい花をすっかり気に入った私はメイドに頼み、私室へ持っていって貰って。
「本日もお茶を飲まれますか……、と聞きたいところなのですが」
「?」
こほん、と咳払いをしそう切り出すと、てっきりまた席に案内されると思っていたらしいレヴィン様がその紫の瞳を少しだけ見開いて不思議そうな顔をする。
「まず、改めてお礼を。先日の夜会ではレヴィン様のお陰で無事最後まで乗り気れました」
「いえ、俺は特に何もしておりませんので」
“そんなことないわ”
気付いてくれたのも、気遣ってくれたのも隣の婚約者ではなくいつも彼の身代わりにされているレヴィン様。
そしてだからこそ、私はベネディクトではなく彼に感謝の気持ちを抱いていて。
「お礼をしたいのです」
「お礼、ですか? 必要ありませんが」
私の言葉を聞いたレヴィン様が怪訝そうに首を傾げる。
どうやら本当に助けた自覚がないらしい。
「えぇ、このまま何もしないのはエングフェルト家としても恥ですわ」
少し強めにそう主張すると、流石にそれ以上は断り辛かったらしい。
苦笑混じりにゆっくりと頷いてくれたレヴィン様を見て、何故だか私の心が踊る。
「で、ではっ! 今日は街に行きませんこと?」
「街ですか?」
「はい! 何か選ばせてくださいませ」
“もしかしたらベネディクトから手紙の代筆もさせられるかもしれませんし、万年筆とかいいかもしれないわ。あ、でもレヴィン様の綺麗な髪色に似たカフスボタンなんかも素敵かしら”
欲しいものは何でも家に届くこともあり、あまり街でお買い物ということに縁がなかった私は、誰かへのプレゼントをこうやって自分の足で買いに行くなんて初めてで。
そして私のそんなわくわくした様子に気付いたのだろうレヴィン様は、くすりと笑いながら街に行くことに同意をくれた。
エングフェルト家の馬車に二人で乗り込み、大通りの端で下ろして貰った私たちはゆっくり並んで歩き出す。
“そういえば、誰かと二人で出掛けるのって初めてかも”
家族とならばもちろんあるし、ハンナを連れて買い物に出掛けたことだってもちろんある。
けれどプレゼントを選びに行くことも、そして同年代の男性と一緒に行くのも初めてだということに改めて気付いた私はドキリと胸が跳ねた。
……だってつまり、これは。
「もしかして、デート……というやつなのでは」
「え?」
“!! しまった、口に出て……っ”
あ、と思った時にはもう遅く、口から出てしまったその言葉に焦る私。
「違うのです! これはその……っ」
なんとか誤魔化したいが全く何も思い付かず、じわじわと顔が熱くなった。
真っ赤に染まってしまっただろう顔を見られたくなくて、けれどどうすればいいかわからず額に汗が滲みはわはわと口だけを動かしていると。
「そうかもしれませんね」
「……へ?」
しれっと同意したレヴィン様の言葉に唖然とする。
“そうかも、しれない……?”
「俺は今ベネディクトの代理でここにいる訳ですし、それはつまりこの瞬間はアルベルティーナ嬢の婚約者ということになりますよね」
“レヴィン様が、私の婚約者?”
確かに婚約者の代理でここにいる彼は、まさしく身代わりの婚約者とも言えなくはないけれど……
「婚約者同士が二人っきりで街を散策するならば、それは紛れもないデートです」
「!」
ふわりと笑顔を向けながらそう断言された私は、段々とその通りのような気すらしてしまって。
“私が慌てていたから、わざとそういう言い方で肯定してくれたのね”
そしてその彼の優しさに、私の胸の中に温かいものが広がる。
「ですよね?」
「……はい、今はレヴィン様が私の婚約者ですものね」
レヴィン様の気遣いを嬉しく思いながら私もそっと頷いたのだった。
「そういえば、どうしてレヴィン様はベネディクト様の身代わりなんてされておられるの? ご友人同士、なのですよね?」
夜会で見たレヴィン様は、ベネディクトの事を呼び捨てで呼んでいた。
侯爵家と伯爵家で確かに身分は違うが、だからこそ呼び捨てで呼ぶほど親しいのならば毎回彼が融通を利かせ身代わりをする必要などないように思える。
“身分差を理由にいいようにレヴィン様を使っているのかと思っていたけれど、それだと呼び捨てで呼ぶことを許したりはしないでしょうし……”
「確かに俺とベネディクトは友人と呼べても対等ではないんです。領地が隣同士で所謂幼なじみというやつなのですが……」
「友人なのに、対等ではない?」
「お恥ずかしい話ですが、弱いんです。それがベネディクトにもわかっているからでしょう」
レヴィン様が口にした『弱い』の意味がわからず思わず首を傾げる。
「クラウリー領は花の栽培を主にしているんです」
「えぇ、いつも一級品のお花ばかりで、王家からも依頼が入るほどと聞いておりますわ」
“王城の庭園をパーティー用に生花で飾り付けられた時はその美しさに目を奪われたもの”
その技術力や実績もあり、一目置かれていると言っても過言ではないクラウリー伯爵家。
身分こそベネディクトが上だが決して侯爵家だからという理由だけで使いっぱしりになんて出来ないはずで、だからこそ『弱い』と口にする内容に心当たりがなかった。
“まさか腕っぷしの話じゃない……わよね?”
そんな疑問すら頭に過った私だったのだが。
「王都に納品するには、必ずベネディクトの家……ニークヴィスト侯爵家の領地を通らなくてはならないんです」
「あっ」
生花の寿命は短い。
もちろん綺麗な状態を維持し長く花を楽しむことは出来るが、丁度咲き誇る寸前のタイミングで納品しようとすれば、それはかなり花の様子を見極めればならなくて。
そしてそんな一瞬を見極めても、納品先までに距離があればあるほど花の調子は変わってしまうだろう。
“ベネディクトの家は土地の貸し出しや通行料の徴収をメインとしておりましたね”
ニークヴィスト領をぐるりと迂回し王都に入るならば、立地的に三倍以上の時間がかかる。
三倍の時間をかけた結果、天気や気温の変化で花が先に咲いてしまったり逆に全く咲かなくなってしまったら……
「それが『弱い』理由ですのね」
ぽつりと溢すように呟いた私の言葉にレヴィン様は返事をしなかったが、少しだけ瞳を伏せられたのを見て確信した。
“万一歯向かい機嫌を損ねて通れなくなってしまったら、仕事が出来なくなってしまうのね”
友人だがどこか対等ではないその歪な関係。
だからこそ彼はこの四年間、文句も言わずにベネディクトの言う通りひたすら身代わり婚約者の役割をこなしていて。
「今日は、楽しい日にいたしましょう」
「アルベルティーナ嬢?」
「ティナ、で構いませんわ」
「それは……」
愛称で呼ぶように言うと、流石に戸惑った表情になるレヴィン様。
けれど私はそんな彼を無視してにこりと笑顔を向けた。
「だって私たち、今は婚約者同士なのですから!」
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