4 / 4
最終話.結論とは極論、それもまた良し
しおりを挟む
「何か言いたいことはありますか」
「ありません」
達した事で多少正気になったメルを座らせ問い詰める。
お互い裸のままだが、シてしまったのだし今更だ。それに野営してると着替えやらなんやらで裸なんて勝手に目に飛び込んでくるし。
ただ、この状況でしゅんと項垂れているメルを見てるとまたなんだかおかしな笑いがこみ上げてきた。
「げ、また笑う?」
「笑わせてるのメルだろ?」
「そうかもしれないけど…」
これからどうするかなぁ、と考えても何もいい案は思い付かなくて。
それに騎士たるもの、いつでも最悪を想定して動くべきと教わってきたしなぁ、と考える。
最悪の状況ってなんだろ。
戦場で、訓練で、日常で。あらゆる状況を思い出し、その全ての場面で側にいるメルの姿に気付く。
そしてそのメルがいなくなることを想像する。
「それは、嫌だなぁ」
いつか政略結婚するかもしれないと意識的に誰かを特別視しないようにしていたはずなのに、未来の自分の隣にもメルがいるのだ。今までずっと側にいたように。
それはとっくに特別視していたということなのではないだろうか。
メルが側にいることがあまりにも当たり前になっていて。
「とりあえず結婚してみるか?」
「………は?」
思い付いた言葉を口に出したら、その赤紫の瞳がこぼれ落ちそうなくらい見開かれて。
この顔見たの2回目だな、と思うとまた少し笑えた。
「お前何言ってるかわかってんの?」
「まぁ、わかってるつもりだけど」
「俺に何されたか忘れた訳じゃないよな?」
「馬車で襲撃されて、連れてこられて、ドレスびりびりにされて、ヤられたかな」
ありのまま伝えると黙りこむ。
後悔するならやるなよと思わなくもないが、思い詰めておかしくなってたしそれに。
「驚いたし、まぁなんてことしてくれたんだと思わなくもないんだけど、不思議と何故か嫌悪感がない」
「は…?」
「メルはどうなんだ、私が他の誰かと結婚してもいいのか?」
「絶対許さない、絶対殺す」
「相手をだよな?いや、相手も殺すな。てかつまり私はお前以外誰とも結婚出来ないだろ、それ」
「え?いや、それは、そうかもしれないが…」
「だったらお前と結婚すればいいかと思った」
「さすがの俺でもその結論はどうかと思う」
反論するメルに少しイラつき、だったらもういいとそっぽを向くと、慌てた気配が伝わってきて。
「で、でもシータは本当にそれでいいわけ?」
困ったように顔を覗き込まれ、いつもと違った表情に少しきゅんとしてしまう。
「どうせ今までもずっと側にいたし、これからもいて欲しいのはメルだなって思ったから」
そう答えると、さっきまでの強引さはどこにいったのか、おずおずとまるでガラス細工を触るかのようにそっと抱き締められた。
「シータが、許してくれるならずっと側にいたい…」
そんなメルの背中に自分の腕を回ししっかり抱き締める。
「他の人に乱暴はするなよ」
そう念押しすると、頷いた気配がしたのでまぁ良しとした。
簡単に湯浴みし、ドレスはもう着れなかったのでメルの隊服の替えに袖を通す。
ジャケットまで着るとかっちりした服があまりにも目立つのでシャツまでだが、袖を折れば問題なく見れる姿にはなった。
ついてこようとするメルを一喝し一人で伯爵家に帰ると、護衛に連れてきていた団員が上手く誤魔化してくれていたのか盗賊に襲撃されたのを撃退して戻ってきたことになっていた。
偶然にも着替えたのが隊服だったので、信憑性が増したのはラッキーだったとしておく。
後日、団員二人にはどう口止めするかと考えながら仕事に行ったらそこはどうやったのかメルが上手く言いくるめてくれたらしく変な噂などにはなっていなかった。
団長と家族に結婚しようと思っている旨を伝えたら、よく私から名前の出る相手だったことも幸いし反対されることもなかった。
団長だけは脅されたかどうか確認してきたが。
「もう夜会には行かなくてよくなったな?」
「もう襲われたくはないからな」
笑いながらそう答えると、少しばつが悪そうにするメルがちょっと可愛く見えてるので、きっとまぁなんとかなるだろう。
…………………多分。
「ありません」
達した事で多少正気になったメルを座らせ問い詰める。
お互い裸のままだが、シてしまったのだし今更だ。それに野営してると着替えやらなんやらで裸なんて勝手に目に飛び込んでくるし。
ただ、この状況でしゅんと項垂れているメルを見てるとまたなんだかおかしな笑いがこみ上げてきた。
「げ、また笑う?」
「笑わせてるのメルだろ?」
「そうかもしれないけど…」
これからどうするかなぁ、と考えても何もいい案は思い付かなくて。
それに騎士たるもの、いつでも最悪を想定して動くべきと教わってきたしなぁ、と考える。
最悪の状況ってなんだろ。
戦場で、訓練で、日常で。あらゆる状況を思い出し、その全ての場面で側にいるメルの姿に気付く。
そしてそのメルがいなくなることを想像する。
「それは、嫌だなぁ」
いつか政略結婚するかもしれないと意識的に誰かを特別視しないようにしていたはずなのに、未来の自分の隣にもメルがいるのだ。今までずっと側にいたように。
それはとっくに特別視していたということなのではないだろうか。
メルが側にいることがあまりにも当たり前になっていて。
「とりあえず結婚してみるか?」
「………は?」
思い付いた言葉を口に出したら、その赤紫の瞳がこぼれ落ちそうなくらい見開かれて。
この顔見たの2回目だな、と思うとまた少し笑えた。
「お前何言ってるかわかってんの?」
「まぁ、わかってるつもりだけど」
「俺に何されたか忘れた訳じゃないよな?」
「馬車で襲撃されて、連れてこられて、ドレスびりびりにされて、ヤられたかな」
ありのまま伝えると黙りこむ。
後悔するならやるなよと思わなくもないが、思い詰めておかしくなってたしそれに。
「驚いたし、まぁなんてことしてくれたんだと思わなくもないんだけど、不思議と何故か嫌悪感がない」
「は…?」
「メルはどうなんだ、私が他の誰かと結婚してもいいのか?」
「絶対許さない、絶対殺す」
「相手をだよな?いや、相手も殺すな。てかつまり私はお前以外誰とも結婚出来ないだろ、それ」
「え?いや、それは、そうかもしれないが…」
「だったらお前と結婚すればいいかと思った」
「さすがの俺でもその結論はどうかと思う」
反論するメルに少しイラつき、だったらもういいとそっぽを向くと、慌てた気配が伝わってきて。
「で、でもシータは本当にそれでいいわけ?」
困ったように顔を覗き込まれ、いつもと違った表情に少しきゅんとしてしまう。
「どうせ今までもずっと側にいたし、これからもいて欲しいのはメルだなって思ったから」
そう答えると、さっきまでの強引さはどこにいったのか、おずおずとまるでガラス細工を触るかのようにそっと抱き締められた。
「シータが、許してくれるならずっと側にいたい…」
そんなメルの背中に自分の腕を回ししっかり抱き締める。
「他の人に乱暴はするなよ」
そう念押しすると、頷いた気配がしたのでまぁ良しとした。
簡単に湯浴みし、ドレスはもう着れなかったのでメルの隊服の替えに袖を通す。
ジャケットまで着るとかっちりした服があまりにも目立つのでシャツまでだが、袖を折れば問題なく見れる姿にはなった。
ついてこようとするメルを一喝し一人で伯爵家に帰ると、護衛に連れてきていた団員が上手く誤魔化してくれていたのか盗賊に襲撃されたのを撃退して戻ってきたことになっていた。
偶然にも着替えたのが隊服だったので、信憑性が増したのはラッキーだったとしておく。
後日、団員二人にはどう口止めするかと考えながら仕事に行ったらそこはどうやったのかメルが上手く言いくるめてくれたらしく変な噂などにはなっていなかった。
団長と家族に結婚しようと思っている旨を伝えたら、よく私から名前の出る相手だったことも幸いし反対されることもなかった。
団長だけは脅されたかどうか確認してきたが。
「もう夜会には行かなくてよくなったな?」
「もう襲われたくはないからな」
笑いながらそう答えると、少しばつが悪そうにするメルがちょっと可愛く見えてるので、きっとまぁなんとかなるだろう。
…………………多分。
17
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
彼の巨大な体に覆われ、満たされ、貪られた——一晩中
桜井ベアトリクス
恋愛
妹を救出するため、一ヶ月かけて死の山脈を越え、影の沼地を泳ぎ、マンティコアとポーカー勝負までした私、ローズ。
やっと辿り着いた先で見たのは——フェイ王の膝の上で甘える妹の姿。
「助けなんていらないわよ?」
は?
しかも運命の光が私と巨漢戦士マキシマスの間で光って、「お前は俺のものだ」宣言。
「片手だけなら……」そう妥協したのに、ワイン一杯で理性が飛んだ。
彼の心臓の音を聞いた瞬間、私から飛びついて、その夜、彼のベッドで戦士のものになった。
没落令嬢、執事に逃げられる~手紙を見てしまった私の、必死な七日間~【全8話】
長田桂陣
恋愛
没落した伯爵家の令嬢コーデリアには、たった一人の使用人がいた。
献身的な執事ウィリアム――通称ウィル。
母の治療費で財産を使い果たし、父も亡くなった今、この屋敷に残っているのは彼女とウィルだけ。
料理も掃除もできないわがままなコーデリアは、完全にウィルに依存していた。
ある日、コーデリアは偶然ウィルの部屋で一通の手紙を見つけてしまう。
『執事ウィリアム殿を新しい執事長として迎え入れたく存じます。破格の待遇でお迎えいたします――マグナス公爵家』
――ウィルが、出ていく?
でも、聞けない。「本当に行くの?」なんて。
だって、答えが怖いから。
それからというもの、わがままを言うたびに後悔する日々が始まった。
――待って!「では公爵家に行きます」とか言わないわよね!?
婚約破棄された侯爵令嬢、帝国最強騎士に拾われて溺愛される
夜桜
恋愛
婚約者である元老院議員ディアベルに裏切られ、夜会で婚約破棄を宣言された侯爵令嬢ルイン。
さらにバルコニーから突き落とされ、命を落としかけた彼女を救ったのは、帝国自由騎士であるジョイアだった。
目を覚ましたルインは、落下のショックで記憶を失っていた。
優しく寄り添い守ってくれるジョイアのもとで、失われた過去と本当の自分を探し始める。
一方、ルインが生きていると知ったディアベルと愛人セリエは、再び彼女を排除しようと暗躍する。
しかし、ルインの中に眠っていた錬金術師としての才能が覚醒し、ジョイアや父の助けを得て、裏切った元婚約者に立ち向かう力を取り戻していく。
下賜されまして ~戦場の餓鬼と呼ばれた軍人との甘い日々~
星森
恋愛
王宮から突然嫁がされた18歳の少女・ソフィアは、冷たい風の吹く屋敷へと降り立つ。迎えたのは、無愛想で人嫌いな騎士爵グラッド・エルグレイム。金貨の袋を渡され「好きにしろ」と言われた彼女は、侍女も使用人もいない屋敷で孤独な生活を始める。
王宮での優雅な日々とは一転、自分の髪を切り、服を整え、料理を学びながら、ソフィアは少しずつ「夫人」としての自立を模索していく。だが、辻馬車での盗難事件や料理の失敗、そして過労による倒れ込みなど、試練は次々と彼女を襲う。
そんな中、無口なグラッドの態度にも少しずつ変化が現れ始める。謝罪とも言えない金貨の袋、静かな気遣い、そして彼女の倒れた姿に見せた焦り。距離のあった二人の間に、わずかな波紋が広がっていく。
これは、王宮の寵姫から孤独な夫人へと変わる少女が、自らの手で居場所を築いていく物語。冷たい屋敷に灯る、静かな希望の光。
⚠️本作はAIとの共同製作です。
周囲からはぐうたら聖女と呼ばれていますがなぜか専属護衛騎士が溺愛してきます
鳥花風星
恋愛
聖女の力を酷使しすぎるせいで会議に寝坊でいつも遅れてしまう聖女エリシアは、貴族たちの間から「ぐうたら聖女」と呼ばれていた。
そんなエリシアを毎朝護衛騎士のゼインは優しく、だが微妙な距離感で起こしてくれる。今までは護衛騎士として適切な距離を保ってくれていたのに、なぜか最近やたらと距離が近く、まるでエリシアをからかっているかのようなゼインに、エリシアの心は揺れ動いて仕方がない。
そんなある日、エリシアはゼインに縁談が来ていること、ゼインが頑なにそれを拒否していることを知る。貴族たちに、ゼインが縁談を断るのは聖女の護衛騎士をしているからだと言われ、ゼインを解放してやれと言われてしまう。
ゼインに幸せになってほしいと願うエリシアは、ゼインを護衛騎士から解任しようとするが……。
「俺を手放そうとするなんて二度と思わせませんよ」
聖女への思いが激重すぎる護衛騎士と、そんな護衛騎士を本当はずっと好きだった聖女の、じれじれ両片思いのラブストーリー。
身代わり令嬢、恋した公爵に真実を伝えて去ろうとしたら、絡めとられる(ごめんなさぁぁぁぁい!あなたの本当の婚約者は、私の姉です)
柳葉うら
恋愛
(ごめんなさぁぁぁぁい!)
辺境伯令嬢のウィルマは心の中で土下座した。
結婚が嫌で家出した姉の身代わりをして、誰もが羨むような素敵な公爵様の婚約者として会ったのだが、公爵あまりにも良い人すぎて、申し訳なくて仕方がないのだ。
正直者で面食いな身代わり令嬢と、そんな令嬢のことが実は昔から好きだった策士なヒーローがドタバタとするお話です。
さくっと読んでいただけるかと思います。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる