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第16話 好きだから、離れる
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秀ちゃんは僕を好きなんだろうか?
僕は秀ちゃんを好きになってもいいんだろうか?
今まで蓋をしてきた想いが、頭の中いっぱいに膨れ上がる。
そんなことはあるはずがない、と、きつく縛っておいた想いは宙に浮かんで、ふわふわと身体を軽くする。
微熱。
フェロモンが出る時、微熱が出るって聞いた。
今は、身体の芯に熱がこもってる感じ。
これが治まらないと、明日、学校を休むはめになる。秀ちゃんを、心配させる。
がっかりされない、自分になりたい。
「音寧ねぇ、また少し熱っぽくて」
母さんの声が聞こえる。いつも、2階の僕の部屋まで聞こえるボリュームだ。
カーテンの端からのぞく青空は、天高く鮮やかなのに、僕の心に晴れ間はない。
昨日、秀ちゃんと気持ちが重なった気がしたのに――。
「すみません、顔見せてください」
とん、とん、と品の良い足音が聞こえる。ああ、もうダメだ。情けない顔を見せてしまう。
「音寧」
「おはよう、秀ちゃん。僕⋯⋯」
「聞いた。熱っぽいんだろう? 仕方ない、昨日の今日だ。悪いのは俺だ、だから許してくれ」
秀ちゃんは大人に怒られた子供のような顔をしていた。シュンとしたその顔がかわいそうで、頭を撫でてあげたくなる。
「堪え性、無かったよな、昨日の俺。こうなるって理性で考えればわかるはずだったのに、どうしてお前の方が辛くなるのに我慢できなかったんだろう。あんなβ女子のことなんか気にしなきゃ良かったんだ」
「⋯⋯気にしたの?」
「したに決まってるだろう? お前、自分が周りからどう見られてるか知らないのか? 特進クラスのαたちだって⋯⋯その、まぁ、そういうことだ」
秀ちゃんは目を逸らして、僕の方を見なかった。
半分、怒ったような口調でそう言ったかと思うと、ゆっくり口を開いた。
「許してくれ。俺はお前が婚約者になる前から、独り占めしたい気持ちでいっぱいだったんだ。そうだよ、友だちだった子供の頃から。
その頃はその気持ちに名前を付けることができなかったけど、今ならわかる。独り占めさせてくれよ、これからもずっと。昨日みたいな無理はもうさせないから」
秀一郎さん、遅刻しますよ、と階下から声がして「落ち着いたら病院、行けよ」と言い残して秀ちゃんは学校に行ってしまった。
”番”という、とんでもない言葉が頭に浮かぶ。
今まではずっと未来のことだと思っていて、あまり考えてこなかった。
でも、僕たちは敷かれたレールの上を走らされていて、将来、番になることを決められている関係だった。
番になったら、秀ちゃんの言ったことも本当になる。
⋯⋯独占。甘美な響き。
アールグレイの僕を誘う香りを思い出す。体温が0.1度、上がる。
◇
「ふぅん、榊原くんもなかなかやるな。先に緊急用抑制剤を飲ませておいて、抱きしめてくるなんて。さすがαだな。こっちの裏をかいてきたか」
「⋯⋯はぁ」
日高先生はうれしそうにそう語った。話してる内容は物々しいのに、なぜか楽しげで、どちらにしても顔を上げられない。
「数値を見るに、今日一日しっかり休めば、明日は学校に行けるだろう。これは榊原くんは次回、お仕置きだな。こんなことを続けたら、君のフェロモンバランスが崩れて、ヒート周期に乱れが出てしまうよ」
目を上げる。
次のヒートにはまだまだ早い。でも確かに今みたいなことが重なったら。
「君を守りたいって気持ちは、すごくよくわかるんだ。そして君たちが、感情的にも、バース的にも離れられずにいるということも。
だけど一緒にいればいるほど、もっと近付きたくなるだろう? 君たちは相性が抜群にいい。少し、距離を置くのも一つの手かもしれないよ。
榊原くんに強めの薬を処方したのに、まさかこんなことをするような子だと思ってなかったよ」
はぁ、と覇気のない返事しか出てこない。
触れ合うことがダメだと言われて、今度はとうとう距離を置けと言われるなんて。
秀ちゃんに、会えなくなる。
「榊原くんにもよく話をしておくから、最良の方法を考えよう。いっそ番っちゃえばいいのに。話がシンプルになる。けど、君たちはまだそうするには若いしね。ご家族の意向も、大学卒業後というお話だからね。一応、念頭に入れておかないと。あ、今日はバス?」
「いえ、車で」
「バスはダメだよ。昨日、緊急用のを2錠も飲んだなら、今日はヒート期用のを飲んでおいて。効き方がマイルドだから。でも、今日は家から出ない。3日間はヒート期用の薬を飲むなら、学校に行ってもいいよ。お母さん、来てる?」
失礼しました、と診察室を出る。
先生は「気を付けてね」と電子カルテの入力をしながら言った。
「音寧? アンタ、顔色悪くない?」
身体の芯が熱いのに、寒気がする。看護師さんが通りかかる。「どうかしましたか?」と声をかけられて、毛布を借りる。
「母さん、ちょっと先生とお話してくるからね」
母さんは診察室に入っていった。
――それが終わりの始まりだった。
「アンタ、何も話してなかったじゃない? フェロモンバランスの話しかしてなかったじゃない。秀一郎くんとの相性の話、どういうこと? 少し距離を置いた方がいいなんて、婚約者でいられるの?」
「⋯⋯母さんは、僕が秀ちゃんの婚約者じゃなくなったら、困る?」
ミラー越しに母さんが困った顔をする。僕が困った顔をしているからかもしれない。
母さんはため息をついて、ハンドルを握った。車はスムーズに発進する。
「別にね、アンタが決められた人と結婚して、私たちがいい思いしたいわけじゃないの。
最初にこの話をいただいた時は、そりゃ驚いたけど、音寧は秀一郎くんと小さい頃から特に仲が良かったし、別に途中で気が変わっても構わないっていう話だったしね。
だけど秀一郎くんはアンタを気に入ってくれたみたいだったじゃない? だから今まで何も言わずにいたんだけど⋯⋯相性が良すぎるから離れた方がいいって、母さんにはよくわからないんだけど」
僕だってわからないよ、と言いたかった。
どうしてせっかく気持ちが通じ合ってきた秀ちゃんと、離れなくちゃいけないのか。
それが本当にいいことなのか、悪いことなのか。
秀ちゃんにメッセージを送る。空は晴れているのに、指先が冷たい。
珍しく、学校にいるはずの秀ちゃんからメッセージが届く。
『放課後、俺も病院に行く』
『秀ちゃんも具合悪いの?』
『ちょっとな。心配するな。αだって調子の悪い時があるんだよ』
またな、とそのやり取りは終わった。
秀ちゃんの具合が悪くなるなんて、考えたこともなかった。
病院に行ったら秀ちゃんも同じ話を聞くんだろう。そうしたら、僕たちは⋯⋯。
僕は秀ちゃんを好きになってもいいんだろうか?
今まで蓋をしてきた想いが、頭の中いっぱいに膨れ上がる。
そんなことはあるはずがない、と、きつく縛っておいた想いは宙に浮かんで、ふわふわと身体を軽くする。
微熱。
フェロモンが出る時、微熱が出るって聞いた。
今は、身体の芯に熱がこもってる感じ。
これが治まらないと、明日、学校を休むはめになる。秀ちゃんを、心配させる。
がっかりされない、自分になりたい。
「音寧ねぇ、また少し熱っぽくて」
母さんの声が聞こえる。いつも、2階の僕の部屋まで聞こえるボリュームだ。
カーテンの端からのぞく青空は、天高く鮮やかなのに、僕の心に晴れ間はない。
昨日、秀ちゃんと気持ちが重なった気がしたのに――。
「すみません、顔見せてください」
とん、とん、と品の良い足音が聞こえる。ああ、もうダメだ。情けない顔を見せてしまう。
「音寧」
「おはよう、秀ちゃん。僕⋯⋯」
「聞いた。熱っぽいんだろう? 仕方ない、昨日の今日だ。悪いのは俺だ、だから許してくれ」
秀ちゃんは大人に怒られた子供のような顔をしていた。シュンとしたその顔がかわいそうで、頭を撫でてあげたくなる。
「堪え性、無かったよな、昨日の俺。こうなるって理性で考えればわかるはずだったのに、どうしてお前の方が辛くなるのに我慢できなかったんだろう。あんなβ女子のことなんか気にしなきゃ良かったんだ」
「⋯⋯気にしたの?」
「したに決まってるだろう? お前、自分が周りからどう見られてるか知らないのか? 特進クラスのαたちだって⋯⋯その、まぁ、そういうことだ」
秀ちゃんは目を逸らして、僕の方を見なかった。
半分、怒ったような口調でそう言ったかと思うと、ゆっくり口を開いた。
「許してくれ。俺はお前が婚約者になる前から、独り占めしたい気持ちでいっぱいだったんだ。そうだよ、友だちだった子供の頃から。
その頃はその気持ちに名前を付けることができなかったけど、今ならわかる。独り占めさせてくれよ、これからもずっと。昨日みたいな無理はもうさせないから」
秀一郎さん、遅刻しますよ、と階下から声がして「落ち着いたら病院、行けよ」と言い残して秀ちゃんは学校に行ってしまった。
”番”という、とんでもない言葉が頭に浮かぶ。
今まではずっと未来のことだと思っていて、あまり考えてこなかった。
でも、僕たちは敷かれたレールの上を走らされていて、将来、番になることを決められている関係だった。
番になったら、秀ちゃんの言ったことも本当になる。
⋯⋯独占。甘美な響き。
アールグレイの僕を誘う香りを思い出す。体温が0.1度、上がる。
◇
「ふぅん、榊原くんもなかなかやるな。先に緊急用抑制剤を飲ませておいて、抱きしめてくるなんて。さすがαだな。こっちの裏をかいてきたか」
「⋯⋯はぁ」
日高先生はうれしそうにそう語った。話してる内容は物々しいのに、なぜか楽しげで、どちらにしても顔を上げられない。
「数値を見るに、今日一日しっかり休めば、明日は学校に行けるだろう。これは榊原くんは次回、お仕置きだな。こんなことを続けたら、君のフェロモンバランスが崩れて、ヒート周期に乱れが出てしまうよ」
目を上げる。
次のヒートにはまだまだ早い。でも確かに今みたいなことが重なったら。
「君を守りたいって気持ちは、すごくよくわかるんだ。そして君たちが、感情的にも、バース的にも離れられずにいるということも。
だけど一緒にいればいるほど、もっと近付きたくなるだろう? 君たちは相性が抜群にいい。少し、距離を置くのも一つの手かもしれないよ。
榊原くんに強めの薬を処方したのに、まさかこんなことをするような子だと思ってなかったよ」
はぁ、と覇気のない返事しか出てこない。
触れ合うことがダメだと言われて、今度はとうとう距離を置けと言われるなんて。
秀ちゃんに、会えなくなる。
「榊原くんにもよく話をしておくから、最良の方法を考えよう。いっそ番っちゃえばいいのに。話がシンプルになる。けど、君たちはまだそうするには若いしね。ご家族の意向も、大学卒業後というお話だからね。一応、念頭に入れておかないと。あ、今日はバス?」
「いえ、車で」
「バスはダメだよ。昨日、緊急用のを2錠も飲んだなら、今日はヒート期用のを飲んでおいて。効き方がマイルドだから。でも、今日は家から出ない。3日間はヒート期用の薬を飲むなら、学校に行ってもいいよ。お母さん、来てる?」
失礼しました、と診察室を出る。
先生は「気を付けてね」と電子カルテの入力をしながら言った。
「音寧? アンタ、顔色悪くない?」
身体の芯が熱いのに、寒気がする。看護師さんが通りかかる。「どうかしましたか?」と声をかけられて、毛布を借りる。
「母さん、ちょっと先生とお話してくるからね」
母さんは診察室に入っていった。
――それが終わりの始まりだった。
「アンタ、何も話してなかったじゃない? フェロモンバランスの話しかしてなかったじゃない。秀一郎くんとの相性の話、どういうこと? 少し距離を置いた方がいいなんて、婚約者でいられるの?」
「⋯⋯母さんは、僕が秀ちゃんの婚約者じゃなくなったら、困る?」
ミラー越しに母さんが困った顔をする。僕が困った顔をしているからかもしれない。
母さんはため息をついて、ハンドルを握った。車はスムーズに発進する。
「別にね、アンタが決められた人と結婚して、私たちがいい思いしたいわけじゃないの。
最初にこの話をいただいた時は、そりゃ驚いたけど、音寧は秀一郎くんと小さい頃から特に仲が良かったし、別に途中で気が変わっても構わないっていう話だったしね。
だけど秀一郎くんはアンタを気に入ってくれたみたいだったじゃない? だから今まで何も言わずにいたんだけど⋯⋯相性が良すぎるから離れた方がいいって、母さんにはよくわからないんだけど」
僕だってわからないよ、と言いたかった。
どうしてせっかく気持ちが通じ合ってきた秀ちゃんと、離れなくちゃいけないのか。
それが本当にいいことなのか、悪いことなのか。
秀ちゃんにメッセージを送る。空は晴れているのに、指先が冷たい。
珍しく、学校にいるはずの秀ちゃんからメッセージが届く。
『放課後、俺も病院に行く』
『秀ちゃんも具合悪いの?』
『ちょっとな。心配するな。αだって調子の悪い時があるんだよ』
またな、とそのやり取りは終わった。
秀ちゃんの具合が悪くなるなんて、考えたこともなかった。
病院に行ったら秀ちゃんも同じ話を聞くんだろう。そうしたら、僕たちは⋯⋯。
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