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悲報!後輩を・・・ホモにしてしまった。
目を覚ますと体全身が痛みと嫌悪感に包まれていた。
つまり絶不調。
言い表すなら『最低最悪』。
頭はズキズキと痛むし、目は酒で浮腫んでか腫れぼったいし、喉は酒焼けで痛い。且つ喉はガラガラ。
でも、視界はぐわんぐわんゆれてるし、お腹痛いし吐き気もする。足も痛い。健康なところは何処なのだろうか。
「あー・・・頭いてぇ・・・。・・・、・・・最悪だ・・・」
それは独り言のつもりだった。
うだうだと続けようと思っていたのだが、隣から聞こえる呻き声に驚く。
「それは・・・俺のセリフですっ」
「うわぁっ・・・て、、叫ぶなっばかっ・・・」
怒声に驚き頭に響き、反射的に動いて体を痛め叫んでまたその声に頭痛が。
負のスパイラルに追われやっと復帰した頃。
ぐぐぐっとそちらに体を動かした。
「二日酔い・・・たのむから・・・静かにしろ」
「・・・はい」
会社の後輩の久保夏樹は大きな図体をしょんぼりとして返事をする。
俺は隼人。この大きな熊・・・じゃなくて、久保の先輩だ。
具合の悪い隼人にミネラルウォータの蓋を開けて出してくれる。
頭が痛いのは良くならないまま、差し出された水を口に含んだ。
しばらくして、ようやく久保を見るとなぜか全裸。
隼人も全裸。
「???・・・あーすまん。俺ゲロちゃったか?」
「・・・」
「本当に悪い。クリーニング代・・・いや、あと少し休んだら買いに行こう」
今日は幸い土曜日だ。
そう答えつつも、『あと少し』はどれくらいだろうか。などと思っていた。
すると、絶望の声が返ってきた。
「昨日のこと・・・忘れたんすか」
「は?」
「先輩はゲロってません」
「へ??・・・じゃあ・・・なんで」
自分に酒乱気味であるのは理解していたが、脱ぐまでになってしまったのだろうか。
一体昨日は何があったのだろうか。
★★★
昨晩。
金曜の夜。
今週の隼人はどん底だった。
先週末に彼女をデートを誘ったら忙しいと言うので1人で家電を買いに新宿に来ていた。
お目当ての物を購入し、久しぶりに彼女への贈り物でも買うかとデパートを覗いた。
店員に尋ねなが、女性の好きそうな小物を選んでいる時だった。
棚の向こう側にあったエスカレーターにいたのだ。
彼女が。・・・それも、見知らぬ男と手を繋ぎながら。
たった数秒だがあまりの事に表情が一気に無表情になり固まり、それまで親身に接してくれていた店員も何か勘づいた様で言葉を濁した。
その場は気が動転して『あー・・・母親に贈っても喜ばれるものに変えても良いですか?』と、尋ねると、出来た店員で『素敵ですね』と、売り場に誘い出してくれた。
店員の気遣いはありがたかったが、何を会話したか覚えてない。
その日の夜。彼女に電話した。
昼間の男が誰か尋ねると、彼女は途端に面倒臭そうな声色になった。
そして隼人への不満を連ね始める。
面白味がなく他の刺激が欲しかった。
彼はなんでも買ってくれるし、呼んだらすぐ来てくれる。
話も面白いし将来有望で隼人とは比べ物にならない程良い人。背も高いしイケメンだそうだ。
そして、彼女は言いたい事言い切ったのと同時に、隼人への愛情もゼロになったのか、聞いた事もないほど冷たい声で『もう付き合えない。別れる。電話してこないで』と一方的に話を進め、隼人を遮断した。
おまけに隼人を含め友人もみるSNSで『彼氏と別れた。つまんない男だったなー時間もったいな』と、書き込みの後ブロックされた。
彼女には隼人が心底好きでアタックして付き合って貰った。
だからこまめにデートに誘ったり、贈り物を贈ったりしていたが。
ここ最近は仕事が忙しくてそれらを怠っていたからだろうか。
あれこれ思い返してみると全て自分が悪く感じてしまい、反省ばかりだった。
考えはいくら考えても纏まらなくて、次第に目の下にはクマが。
食事も喉が通らなくなったのを見かねて、後輩に飲みに誘われた。
後輩は聞き上手で慰め上手だった。
話し始めは自分が悪いと言う思考だったのだが、終わる頃には酒もあってか『次に行ってやるわ!』と、息巻いていた。
「女はアイツだけじゃない!」
「・・・そうですね」
少し声が煩かったのか、それともしつこかったのだろう。
引き気味の後輩に気付かないまま続けた。
「でも、・・・もう・・・俺女わかんねぇ・・・」
「先輩・・・」
「・・・でも、寂しいんだぁ」
なんてボロボロと泣きだした。
160後半の男がメソメソと泣き出すなんて地獄絵図だったろう。
後輩はそれが恥ずかしかっただけだろうが、隼人の背中を撫で慰めてくれる。
最近ちゃんと寝れていなかったし、食事もできていなかった。だから変な思考になっていたんだと思う。
『女怖い。女怖い』と繰り返す隼人に、後輩も面倒くさくなったのかもしれない。
「じゃぁ。男でも良いんじゃないんすか?」
「・・・、」
「別に寂しいのが紛れるのがいいなら」
「で、でも」
「あ。先輩、掘られるとか心配してる?」
「うっ」
「だったら先輩がだke」
「無理」
酔っているというのに、すぐさま否定する隼人に後輩は苦笑した。
「まぁセックスだけじゃないし。それに・・・」
そう言って後輩は耳元で囁く。
「同じ男の方がチンコの扱い慣れてるから。・・・色々イイって聞きますよ」
「っ」
なんて、ニッコリと微笑む後輩。
酔っていた。間違いなく酔っていた。
隼人も後輩も。
抱くのも抱かれるのも無理だけど、洗った他人のペニスくらいなら握れそうな気がしてきた。
「でも、いきなり他人は怖い」
「ははっそーすね。・・・、・・・、・・・へ?」
「え?」
「え??」
じっと見つめていると後輩は勘違いしたらしい。
焦り出す後輩になんだか楽しくなってきてしまった。
「でもそんなにイイのか」
「そ、そうみたいっす」
「お前は・・・あんのか?」
「!!」
何故か後輩はすぐに否定をせずに隼人から視線を外した。
「さぁ・・・どうだったかな。忘れたっす」
「忘れたなんてことないだろ?すっげー気持ちイイんだろ?」
「ん、まぁ・・・」
なんて、結局認めた。
酒のせいもあるが、今までよりもその頬が赤くなっているではないか。
「ふーん」
「・・・」
「俺初めては知らないやつじゃ嫌なんだけど」
「・・・、・・・」
「なぁお前彼女居なかったよな?」
振られた腹いせと、最近ご無沙汰、あと超絶酔っ払っておかしくなってたんだ。面白くなってた。
そう言った隼人に後輩は怒った。
「っ・・・あぁもう!タチが悪い!!」
「あははっ冗談じゃん!」
ケタケタと笑う隼人に後輩はじっとりと睨んでくる。
「ほら、そのグラス早く開けてください。
さしたら次の店行きますよ。
今日は寝かせてくれないんでしょ?」
「んっサンキューな」
揶揄い含んだ物言いは後輩の優しさだ。
それから結局何軒まわったのだろうか。
最後はゲイバーだったと思う。
そこでも散々後輩に絡んだ。
「なー。お前だったら抱く方なのか?抱かれる方なのか?」
「抱く方ですかね」
なんて、ヤケになって後輩答える。
するとママが呆れたように隼人を見てくる。
「ちょっとナツキ。この人酔いすぎよ。早く連れてっちゃいなさいよ。こんな所で目を離したすぎに速攻掘られるわよ」
「ちゃんと連れて帰りますよ」
「て、終電もうないじゃない」
「えー?もう終電ねぇの???」
ナツキとは後輩のことだ。
ここでは下の名前で呼ぶのがマナーらしい。
店の前で隼人も後輩の事を久保ではなく夏樹で呼ぶ様に練習した。
2人が仲良さそうに話しているのに混ざる。
「今日は寝かせてくれないと言ったじゃないですか」
「あ。そうだった」
「アンタ・・・」
そう言って後輩はママから呆れた様にため息をついた。
でも、そんな事も忘れてしまうくらい酔ってるのがわかった。
「ふー・・・ちょっと酔いすぎたな。・・・カラオケ行く?」
「カラオケ行ったら隼人さん寝るじゃないすか」
「俺、マイク握ったらはなさいもん」
「まぁ、エッチ」
きゃっ!と言うゴツいママに隼人は首を傾げた。
「??」
「ママ。・・・隼人さん歌いたいならここカラオケあるよ」
「んーでも、みんな楽しそうに呑んでるし、そんなに上手いわけじゃねーしな」
そんな時だった。
2人組の男が隼人に声をかけてきた。
1人は背が高くモデルの様な男、もう1人は女性の様に可愛い男だった。
「ねぇ。カラオケ行くって聞こえたけど俺らと一緒に来る?」
「え。誰」
「俺?俺は・・・そうだな。カラオケ行くなら教えるよ」
「俺も」
馴れ馴れしく両肩にそれぞれ手を置かれ、後輩側に男が滑り込んできた。
「女に振られてむしゃくしゃしてるんでしょ?
呑むのも楽しいけどやっぱり大声出してスッキリした方がいいよ」
「そう。ベッドもあるから疲れたら寝れるし」
「ぷはっそれってラブホじゃん」
「そーだよ」
「うん♪」
そう言って男が耳元で何か囁こうとした時だ。
男が引き離される。
「そうだな。ラブホの方がいいかも。行こうか?隼人さん」
「へ?」
「誰かれ構わず誘う様になってもう危なさすぎる」
「は?」
後輩の言葉はよくわからない言葉である。
「ふーん。なんだ落としてる最中かと思ったけど、混ざる?いや・・・混ぜてが正しいか?」
可愛い感じの男が後輩の肩を組んだが、その腕を後輩がバシンッと払った。
後輩は金をカウンターに置くと、隼人の肩に手を置いて店を出た。
その間、隼人は能天気に『え?マジ?本当にホテル行くの?www』と、騒いでいたが後輩は隼人のことを捨てたりはせずにつれて行った。
そして宣言通りラブホテルにたどり着く。
かろうじて空いていた部屋に入った。
部屋に着くなり隼人は嬉々としてシャワーを浴びて『お前もチンコ綺麗にしろよなー!』とか、部屋の後輩に叫んでた。今からでも自分を殴りたい。
風呂から上がると入れ替わりで後輩がシャワーを浴びに行く。
その間隼人は持ち込んだ酒を煽った。
そして、後輩が出て来るのをみるとニヤニヤと笑って・・・。
「じゃっヤルか!」
なんて、情緒もくそもない。凄くノリノリだった。
今思えば後輩は呆れっぱなしだ。
だが、五月蝿いから諦めたのか、すぐにベッドへ向かった。
笑っていたのはそれまでで、互いのものを扱き始めたのだが、すぐに余裕が無くなった。
「っ・・・はぁ・・・、おまえ・・・本当に、上手いな」
「そんなに気持ちイイっすか?」
「ん」
部屋にはくちゅくちゅと音が響き始める。
「ぁっ・・・ヤバイ・・・それ、・・・はぁ・・・ぁっ」
隼人が扱いていた手は完全に止まり腰が揺れる。
「夏樹ッ・・・手をっ・・・イクッ」
「良い。俺の手の中に濃いのぶち撒けてください」
「はっ・・・ぁっくぅぅっ・・・あぁぁ!」
後輩の手淫に抗えなかった。
たしかに自分でやるより全然気持ち良いのを感じながら乱れた。
★★★
それ以降の事はうる覚えだ。
確か『お前も逝かせてやる』とか、『ケツって気持ちイイって試して良い??』とか・・・。
ここはラブホ。
ローションは当然あり、『先輩命令!準備しろー!』などとのたまい・・・、ここから先は本当に覚えてない。
顔面蒼白である。
「ぁ、あの」
「・・・」
「俺、まさか」
そう良いながら下半身の違和感に気付き、恐る恐る布団をめくると、使用済みのゴムが自分のモノに付いている。
「・・・、・・・」
「・・・」
頭が痛いとか二日酔いの気持ち悪さなど吹っ飛んだ。
隼人は慌てて土下座をする。
「すまんっ」
「・・・」
「いやっ申し訳ありませんでした!!
落ち込んでる俺を慰めてるくれたのにっ
お前のお陰で久しぶりに楽しい気持ちとか思い出したのに・・・!」
「・・・」
床に頭を擦りつけて「ごめん!」と、繰り返す隼人。
しかし、何も答えてくれない後輩。
当然である。隼人はしばらく頭を上げると、ふらふらと立ち上がる。
「俺・・・警察行ってくる」
「は?」
「後輩・・・レイプしてしまったて。会社も辞めるからっ」
「止めてください!!!」
「っ」
大きな声にビクつく。
額に手を当てながらしでかした事に震えが止まらない。
「す、すまない。
警察は・・・そうだな・・・お前にも聴取取られるよな。
ごめん、気が動転して・・・いや、お前の方がショックなのにっ」
すると、小さくため息つき、視線を上げると後輩は苦笑を浮かべていた。
「・・・もう。昨日の事は良いですよ」
何が良いのだろうか。
自分が同じ立場な怒り狂うし許さない。
後輩は面倒になったと言う事なのだろうか。
謝罪を受け取ってくれたのかもしれないが、隼人には納得行かなくてどんな事でお詫びになるか必死に考える。
「っ・・・本当にすまない。俺に出来ることはなんでも償うから」
そう頭を下げ続ける隼人に、後輩が止まる。
「なら、丁度いい償いがある」
やってしまったことは元に戻らない。
だが、この時償える手立てがあると言う事に救いを感じてしまった。
「なんだ?俺ができる事ならなんでもするっ」
必死に後輩に言えば満面の笑みを浮かべた。・・・のだが。
「隼人さんに抱かれて女の人無理になったから付き合って」
それは今日2回目の衝撃だった。
★★★
あの日以来、後輩・・・夏樹と付き合う事になった。
その事に隼人はショックを受けていた。
男と付き合うという事も少なからずあるが、それよりも夏樹の人生を狂わせてしまったから。
だから、夏樹に求められればなんでも応えた。
主に互いの家の中だが、手を繋ぎたいだとかキスをしたいだとか。
勿論、求められたら互いに扱きあったりもした。
素面の隼人にはとんでもなく難易度が高かったが、夏樹はオナニーの天才なのかもしれない。
手淫がメチャクチャ気持ちがいい。
あと、夏樹が少しでも元にも取る様にしたいと言うので、素股も付き合った。
女の足とは違い肉もなく良いものでもないじゃないか?と、夏樹に尋ねたが最高に気持ちがいいと言うので、させたい様にしている。
ちなみに、隼人は後ろからチンコを刺激されてその刺激で逝ってしまった。
そこからヒント得て、チンコを擦り合わせると気持ち良いって初めて知った。別に知らなくていい事だけど・・・。
そう言ったら兜合わせと言うものを教えられた。
顔に似合わず、夏樹がエロい事を知ってる事に驚いた。
勿論隼人は夏樹の手淫に呆気なく逝った。
最近思うんだが、もしかしてら夏樹の手からそう言う分泌物が出ているのかもしれない。
夏樹には爆笑されたけど、隼人はまだ疑っている。
流石に夏樹がフェラをしたいと言い出した時は焦った。
そこまで行ったら夏樹が本当に戻れなくなる気がして、何度か止めたが女よりも絶対気持ち良くさせる自信があるとかで、結局咥えられてしまったのだが。
「・・・俺って快楽に弱いのか?」
そんな事を呟けば、ソファの隣に座っていた夏樹が吹き出した。
「男ってそんなもんでしょ。
まぁ、気持ちもあるし、女の浮気と考えると急に立たなくなるとかるけどね」
「繊細なのか単細胞なのかいまいちだな」
そう言った隼人に夏樹はクスクスと笑った。
「そう言えば、なんか口調変わったな」
「あぁ・・・まぁ、恋人同士になったわけだから、後輩ぽく話してると仕事思い出すでしょ?」
「そういうことか。・・・前からそうでも構わなかったのに。夏樹はTPOわかってるから他の先輩の前ではちゃんとするし」
現に今でもそうだ。
「そうだけど。恋人じゃなくとも、少なくとも友達でなければこう言う口調には出来ないでしよ」
「え。・・・あぁ・・・まぁそうか」
「どうかした?」
正直なところ、夏樹は同僚よりも仲がいいと思っていた。
こうなる前も土日遊びに行ったりもしていたくらいだ。
「いや。俺は友達気分だったから。
・・・もしかして、先輩で気を遣ってた?
悪かった。気付かなくて」
隼人の告白に驚いた様に目を見開く夏樹。
しかし、笑顔を浮かべた。
「そう言ってくれて嬉しい。
今は恋人だから本当にそう思う。
・・・あの頃は確かに『先輩』だったけど、隼人さんに誘われて嬉しかったよ」
「!・・・そっか」
そんな言葉にホッとする隼人。
「その、隼人さん」
「ん?」
「今度の連休、お家デートしませんか?」
確かに外で男2人でデートは難しい。
けど、それ一層同性愛から抜けられないのではないのだろうか。
視線に気付いたのか、弄っていたスマートフォンをソファに置くと、隼人を抱きしめてきた。
「ごめん。・・・女の人が駄目になって・・・」
「っ」
「隼人さんを逃したくないって思ってしまうのかも。
・・・嫌なら俺を捨てて」
「!」
そんな風に言われたら何も言えなくなり続けた。
「連休。・・・覚悟が出来たら俺のうちに来て」
「か、覚悟?」
「隼人さんに抱かれたから女の人だけなくなったけど、男の人としか恋愛出来なくなったのは別に困ってないし、隼人さんとの恋人は楽しかったからもう大丈夫」
「そ、・・・それは俺以外にもいるってことか?」
『恋人』だっていう立場で応対してたから、最初は緊張したが手を繋ぐのもキスをするのも抵抗がなくなっていた。
夏樹と過ごすのはとても楽だった。気が休まるし楽しい。
夏樹が今の生活から無くなるのは正直考えられなかった。
「もし、先輩後輩のなっても、友人になるのは無理だろうか」
しかし、夏樹はその質問には答えてくれなかった。
★★★
とある日。
実家に呼ばれた。
姉が子供を産んで戻っているらしい。
初孫に両親はフィーバーである。
隼人も子供は好きで初の姪に喜んだ。
出産祝いと姪にお小遣いを包んだ隼人に、お小遣いは早いと言いつつも子供貯金をするとお礼を言われた。
親が張り切って寿司をくれて皆んなで食べた。
父親も母親も姪にメロメロだ。
隼人がそれを見てると姉が気づいた。
「どうかした?」
「え?」
「なんか思い詰めてるみたい」
「っ・・・いや」
姉は昔から優しい。
隼人はそれに甘えていたが、今は育児で疲れてる姉に相談なんて。
いや。こんなこと育児に関係なく相談なんて出来ない。
「ううん。なんでないよ」
それから気を遣わせまいと振る舞っていた。
しけし、流石家族と言うべきか。
母が姉を送りに外へ出ると父に酒を飲もうと誘われた。
始終ニコニコしながら、姪が可愛いとずっと言う父。
そんな事を言われていないのに、なんだか『次はお前だ』と、言われている気分になってくる。
しかし、そんな隼人に父はあっけらかんと言った。
「まぁ。孫は見れたからもう満足だ」
「男の子見たくないの?」
「そりゃ見れたら嬉しいが、人数分幸せになるわけじゃないだろ。お前バカだな」
なんてカラカラと笑いながら日本酒を煽る。
「・・・」
「好きでもない奴と無理やり結婚して、子供作るとかすんなよ?」
「!そんなことは、考えてないけど」
「愛してなきゃそれで出来た子供が可哀想だ。
うちは別に継がなきゃいけない様な由緒正しい家じゃないしな」
無理やり結婚する様なバカな真似はするなと言うが、悲しくもなる。
「それに愛し合って結婚して子供に恵まれない場合だってある」
「・・・」
それでも納得していない様子の隼人に父は一度だけ深く息を吐いた。
「明美も知ってることだから言うか」
明美とは姉の事である。
なんだか隠していた秘密を話される事に緊張した。
「明美は養子だ」
「へ?」
「俺と母さんは・・・、いや。俺は精子が薄いそうだ」
「!!!」
「それなりに、色も白いしネバネバしてるしくせぇんだけどな。顕微鏡で見るとすくないそうだ」
「いや、具体的なことはいいから・・・」
親の精子の状態なんで知りたくない話である。
嫌がる息子に父は笑った。
「じゃあ、俺も・・・」
「いや。お前は俺と母さんの子供だよ」
よく話を聞くと姉を引き取り2年が経ち落ち着いた頃、母が妊娠したそうだ。
「治療は行っていたが俺は12回目の検査で精神が参ってたんだ。
・・・そんな時に、母さんが長い時間をかけて自分達の子供を待つよりも、養子を引き取ろうって言ってくれた」
「・・・、」
「血の繋がりよりも大切なのは過ごす時間だと俺はその言葉に救われた。それで迎えたのが明美で幼稚園年少の頃だ」
「そ、・・・なんだ」
「感違いして欲しくないのだが、お前が生まれたのは勿論嬉しかったぞ?」
「・・・わかってる」
「奇跡だと思った」
そう言って隼人を見つめる目は優しかった。
隼人が小さい頃も姉と分け隔てなく愛してくれたと思う。
もしかしたら、姉は感じていることがあるかもしれないが、息子から感じなかった。
「・・・明美はな。
自分の本当の子じゃねぇのを心の底で悪いと思ってる。
常に俺達に気を使い偶然出来たお前を1番に可愛がった。6歳も離れてるのもあるかもしれねぇが常にお前に譲ってた。
お前、一時期明美にもらったオヤツ食い過ぎて夕飯食えないことがあったろう。・・・あれは」
そこで父親は言葉を詰まらせる。
酒が入っていることもあるのか涙脆くなっている様で、鼻をティッシュで拭いた。
「最初はお前があまりにも美味しそうに食べるからあげたって言ってたが。母さんはあえて明美の好きなおやつを続けて出してる時に『隼人は幸せじゃなきゃ駄目』て言ってて可笑しい事に気づいたそうだ。
それで母さんが根気よく話しを聞くと、捨てられるんじゃないかって怖かったと」
その言葉に父は泣きながら話し、隼人の鼻の頭も痛くなる。
能天気に姉の優しさに甘えてた。
いつだって甘やかしそれで叱ってくれてた。
「明美は実の両親から捨てられている」
「!」
「幼稚園にも通わせてもらえず、当然食事は満足に与えられず、ガリガリに痩せ細り、身体中には親に気まぐれでつけられた体罰の跡であざだらけ。腹にはタバコの焼け跡がつけられてる。
泣き叫んだ明美の声に近所の通報で警察が家に行くと、平均よりも5キロも軽い明美に、危機を感じ児童相談所で保護。親はネグレクトで逮捕された。
あんな小さな子供に手をあげるなんて信じられないが、・・・母親がいうには明美は前夫の子供で養育費を貰うために引き取ったそうだ」
「!一緒に住んでたの実父じゃなかったてこと?・・・、前夫の人は姉貴、引き取らなかったの?」
勿論姉には感謝してるし、今でもこれからも姉でいてほしい。
隼人の言葉に父は首を横に振った。
「既に家庭があり明美は引き取れないと」
「っ」
「明美は俺の娘、いや。俺達の娘で、俺たちの家族だ。
誰にも譲らん。
けど・・・あんな風に物の様に扱う親を聞くと俺は・・・。
血のつながりなんてクソ喰らえって思ってる」
「っあぁ」
「今は・・・義息子のものになっちまったが・・・」
「幸せそうなんだからいいじゃん。義兄がいなきゃ姪っ子にも会えなかったんだし」
凄く不愉快そうに眉を顰めていて涙が引っ込んで笑った。
結婚挨拶に式当日まで、父は号泣が止まらなかったほど姉を溺愛している。
隼人の言葉に咳払いをした。
「ふぅ・・・なんだ。だからつまり。
お前がどんな生き方をしても構わん。
ニューハーフになろうが、独身貴族でいようが何しようとな。
だが幸せにならないと絶対駄目だ」
「親父・・・っ」
そんな言葉に胸が熱くなった。
姪の事を見る目がそんな風に焦っている様な、深刻そうに見えたのだろうか。
しかし。
その言葉を信じていいのだろうか?
夏樹のことを考えていた。
罪悪感と同情。
けれど、どうしても夏樹を嫌いになれない。
いつか、夏樹を抱ける日も来るのだろうか。
男らしくカッコいい甘いマスクを持った夏樹を、今は抱こうと思えない。
しけし、『恋人はセックスが大事なわけじゃない』なんて、言葉を思い出してしまう。
今隼人自身好きな女どころか、女との恋愛入らないと思っているから、いいと思ってしまうのかもしれない。
ぐちゃぐちゃの思考の中で、父がそんな事を言うから思わず言ってしまった。
「・・・、・・・そんな事言ったら、うちに彼氏連れてくるぞ」
そう言うと、父親はピタリと止まり固まった。
多分先に言った『ニューハーフ』と言うのは例えばなしだろう。
明らかに慌ててる様だった。
「っ・・・ごめん」
「!いや。・・・いやいやいや。
父さんが良いと言ったんだ。
ただまさかとは思わなかったから驚いただけだ!
お前が幸せならいい」
そんな風に言われるとは思わなかった。
よくあるテレビの様に勘当されるとも思っていた。
だが父の最後の言葉には返せなかった。
「わからないんだ・・・」
「お前彼女いると母さんから聞いていたが、
・・・その方が、つまり女性になった男性ということか?」
父なりに言葉に気遣っているのが分かる。
隼人は首を横に振り、ことの経緯を全て話した。
勿論やんわりと話を薄めて隼人がレイプしてしまった事、そしてそれを理由に付き合っている事を。
本当ならこんなことは話さないがうちは特殊だった。
「お前・・・酒癖悪いのか」
呆れた様なため息である。
そして暫く考えた後重い口を開いた。
「お前は・・・振られて落ち込んでいたからとは言え、酔った勢いでなんという事を」
反論しようが無くて隼人は俯いた。
「本来。警察なり訴えられて当然の事だ。
だが、内容なだけにそうなってしまったというのはわからんでもないが」
目頭を抑える父。
「・・・相手は示談については何か言ってきてないのか」
「金銭で片付けるような人間ではないよ」
「違うだろう。相手は警察や裁判にして恥を晒したくないからお前を訴えないんだ」
「!」
「示談は金銭を払うから許してもらう行為ではなく謝罪でありけじめだ」
確かにそうだ。
夏樹もあの時動転したいたから、そう言うことが思いつかなかったのかもしれない。
「暫く時間が経ち今更話題に出すのも傷を抉りそうな気もするが、かと言ってこちらが弁護士を立てて謝罪するのも相手の気持ちを無視する行為だ。
・・・それに」
そこで、父親は言葉を切った。
そして、少し悩んだ後隼人をジッと見てくる。
「1人の男の人生を狂わした自覚はあるんだな」
「うん」
「そうか。・・・誠心誠意詫びてこい。
金銭を要求されたならそれに答えろ」
「わかった」
「それで捨てられたら諦めて帰ってこい」
「・・・、」
「そんな顔するな。お前は加害者だ」
「っ・・・はい」
「両親に謝罪させろと言うなら呼べ」
「!っ・・・ごめん、親父・・・」
『気にするな』とも言わなかったが、そう言ってくれるのは有り難かった。
「・・・そんな事にはならないだろうがな(ボソリ)」
「なんか言った?」
「いいや。それで罪悪感を抜いたらお前の気持ちはどうなんだ」
「わからないんだ・・・」
「・・・そうか。まぁこればかりはお前の気持ち次第だ。
もし、・・・お前が相手に示談を提案するとき、慎重にしろよ」
「うん、それは勿論だよ」
そう答えた後、2人は少し飲んでお開きとした。
本当は母親を待ち送ってもらう予定だったが、なんとなく顔を合わせづらく、隼人は1人で帰った。
★★★
約束の日。
デートと称したが時間を貰いたいと言うと「わかった」と、帰ってきた。
隼人は当日スーツを来てお詫びの品を持って夏樹の部屋に向かう。
普通なら菓子折りだとかそう言うものだが、一人暮らしの男だ。
夏樹の好きないも焼酎を持って持参した。
スーツ姿を見て驚いた様だが、部屋に招き入れた。
リビングに通されソファを薦められたが、隼人はそこで頭を下げた。
「誠に申し訳ありませんでした!」
「え」
手をつき頭を下げる隼人に呆気に取られながらも、次に取り出した物に夏樹は無表情になる。
それは、頭を下げつづける隼人には見えなかったが。
隼人が取り出したのはキャッシュカードだ。
「これに、全財産が入っている」
「・・・、」
「夏樹が気がすむままで引き下ろしていい。
足りないならいくらか教えてほしい」
これは、隼人が考えた隼人なりの謝罪だった。
謝罪に「振られてムシャクシャしてた」とか「酔っぱらっていた」なんて言い訳にしかならない。
しかし、夏樹は答えを返さなかった。
5分くらいそうしていただろうか、耐えきれずに顔を上げればあまりにも無表情な夏樹の顔に息を飲んだ。
「手切れ金ですか」
「っ違う!そうではなく、謝罪の意味を込めて」
「また好きな女が出来たんですか?」
「違うっ」
「許さないですよ。自分だけ幸せになるなんて」
「!!!」
そう言われて隼人には出来ることはひとつだけ。
「すまなかったっ」
隼人が頭を下げ続けるも、夏樹はため息をついた。
「許して欲しいですか」
「・・・、」
別に許してもらいたいわけではない。
だが、そろりと顔を上げれると、口角を上げ冷たい笑みを浮かべる夏樹がいた。
「なら、抱かせて下さい」
「え?」
「隼人さんを抱かせて下さい」
「っでも、お前抱かれたいんじゃ」
抱かれたから女は抱かないと言った言葉が頭に浮かんだ。
「なんですか?なんでもすると言うのは嘘だったんですか」
「っ違う!」
「なら、いいですよね」
「っ・・・あぁ」
そう言う隼人に夏樹は寝室に何かを撮りに行き、戻ってきた手には何か器具ととハンガーが持たれていた。
「それと全部服を脱いで。汚れるかもしれないので」
「っ・・・わかった」
ネクタイを解きワイシャツのボタンを外し始めると、ネクタイをハンガーにかけられる。
順番に服を脱ぎ、靴下まで脱ぎ終わると隼人の服をすべてハンガーにかけるとクローゼットにしまった。
「服を脱いだら浴室に」
訳がわからぬまま浴室に連れていかれると、壁に手をつかされた。
困惑をしていると尻に何かを差し込まれ・・・。
「っ・・・うぁぁっ」
何も言われなかったことに驚いた。
尻を触られるのも驚きだが、尻に突っ込まれたのは硬い物質で細くて小さいものだったが、そこから液体が中に放たれたのだ。
逆流してくる感覚が気持ちが悪い。
「っ・・・か、・・・浣腸・・・?」
「そう」
何度か水を入れられると、すぐにお腹が痛くなってきた。
「っ・・・夏樹っ・・・これ・・・やだっ」
「我慢して」
そう言い切るとちゅぷんと抜かれた。
そして腹側を撫でられる。
「痛い?苦しい??」
「っ・・・っ」
何度もこくこく頷いた。
しかし、中指の先端を尻の穴にちゅぽちゅぽ差し込みながら耳元で囁く。
「駄目。まだ早い。・・・今出したもう一回」
「っ・・・っ・・・っ」
「セックス中にトイレ行きたくなるより、今出した方が楽だから。
それに止まらなくなる。・・・覚えてないかもしれないけど」
「っ」
そう言った夏樹は手加減などしてくれなかった。
トイレに行くことを許してくれた頃は本当に余裕がなくなっていた。
漏らすことを強要されているのかとも思ったが、最後にはトイレにはいかせてくれる。
ドアが閉じられているとは言え、木の板一枚だけで隔たれた状態で、すべてが終わった瞬間泣きそうな気分になった。
このままここに閉じこもってしまおうかとも思ったが、それは夏樹のノックでかなわなかった。
トイレから出ると夏樹はトイレ前と違って優しくなっていた。
まだ放心している隼人を浴室につれてってくれると綺麗に洗われながら、同時に夏樹もシャワーを浴びた。
浴室から出れたときにはもうへとへとだった。
「・・・俺・・・あの日こんなことしたのか?」
「いや。隼人さんは酔ってすぐさま押し倒してたよ。でも調べたらこれはとても重要な事なんだ」
夏樹は『酔って』のあたりでくすりと笑った。
男同士のセックスは本来こういうことをしなければならないらしい。
夏樹は好きになれる性別が男性と意識してから自分で調べて知っているのだろうか。
兎に角、以前は自分が性急だったのだと改めて思う。
「ごめんな」
「もう沢山謝られたよ。・・・それよりまだ準備はおわってないから」
「っ・・。そうか」
正直、現時点で雰囲気とかムードとかかけ離れすぎていて、夏樹が満足できるようにふるまえるか自信がない。
夏樹に連れられて寝室に入ったが不安が消えない。
ベッドに上がるように言われ、のそのそと上がるとすぐに夏樹も追ってきた。
いつもととは違う視線・・・の、ような気がする。
真剣な眼差しに所在なさげに視線を逸らすと首筋に口づけられた。
「っ・・・お前・・・俺相手で勃たないかもしれないぞ」
「大丈夫。・・・ほら」
「・・・、・・・!」
そこには完勃ちの夏樹のモノにまじまじと見てしまった。
「そ・・・触ってもないぞ」
「ね。どうしてかな。隼人さんの処女貰えるからかも」
「しょっ・・・俺は女じゃない!」
「・・・今日は俺のオンナになってもらうけど」
「っ~・・・っ・・・」
馬鹿にしている?そんなことはないだろうが、そう言われると苛立ちよりも羞恥が強い。
今日は夏樹を受け入れるのだと言われているようなものだ。
「隼人さん・・・」
「っ」
こっちを向けと呼ばれているような声色にそちらにちらりと視線を向ける。
口付けはもう何度もしている。
そっと触れるようなキスを繰り返すと、後ろに押し倒された。
そうすることで逃げ道ががない。
「!」
しかし、それよりも熱く硬いモノが足の付け根に押し当てられ息を飲んだ。
夏樹は自分に興奮している
それはなんとも複雑ではあるが、そんなことを考える余裕はキスが深くなるとなくなっていった。
貪るような口づけをしながら、乳首をこねられる。
そこは今まで触れたことはなかったところだが、つねってこねられて。
優しく撫でられると、なんだかもどかしい。
快感とは程遠いのだが、腹の奥に意識が良く。
「っ・・・っ・・・そんな・・・女じゃな無いんだから平たい胸いじっても」
「感じちゃう?」
「っ・・・そういう、わけじゃないけど」
「なら良いでしょ?」
そう言いながら口に含まれながら、陰茎をゆっくりと扱かれる。
「っ・・・っ・・・はぁっ・・・っ・・・そんなんじゃ・・・なくて」
「なに?」
肉厚の舌がピンと立った乳首を舐っていた。
自分の乳首がこんなに硬くなるとは思わなかった。
「っ・・・っ・・・」
そうなってくると、・・・なんてことだろうか。
自分の声があまくなりそうで・・・。
慌てて口を閉じた。
「して欲しいことあるなら・・・、・・・言って?隼人さん」
ちゅぱちゅぱと音を立て、時折見せつけるように吸い付かれた。
「っ・・・っ・・・!」
「あと・・・声も聞かせて欲しい」
「!?じょっ・・・冗談っ・・・気持ち悪すぎる」
「俺は好きだけど」
「は!?喘いだことなんてないだろっ」
「俺のヴァージン奪ってくれた日、結構声出てたよ」
「!!?!?!?!?!!!?!?!?!?!」
「実は隼人さん・・・セックスの時声でてるんじゃない?」
「そ、・・・そうなのか!?」
「・・・確かめてみようか。それに・・・声出した方が気持ちよくなれるってきくし、遠慮しなくて良い。
うちは防音だから」
「っ・・・夏樹のは声出さなくても十分気持ちいいから良い!!!」
断固拒否したのだが、それは夏樹を喜ばせるだけだった。
隼人の感じる様をジッと見つめられながら、扱かれながら乳首を吸われる。
吸われてない方との差が解るほどに、ぷっくりと立っていた。
唾液で濡れた乳首を人差し指で潰される。
「ふぅっ・・・」
なんだか本当に乳首を感じるようにさせられそうで怖くなってきた頃、夏樹は乳首への愛撫をやめた。
終わりかと思ったらそんなわけもなく、股間へと顔をうずめると躊躇なく隼人のペニスが夏樹の口の中へと吸い込まれる。
下品な音を立てながら吸われ、ついに尻の穴をに触れられた。
「あ!」
しかしすぐには入れられず、くにくにとそこを悪戯する。
皺を伸ばす様に撫でられ、軽く指を左右に振られた。
「っ・・・っ・・・」
尻穴に意識が行くと、今度はペニスの方に意識を向けさせる様に、鬼頭をちゅぽんちゅぽんと吸われる。
「っ・・・はぁっ・・・っ・・・んっ」
声色が甘くなっていることには気づかなかった
先端を吸われ、舌先で嬲れながら竿を扱かれると自然と腰が浮いてしまう。
「・・・隼人さん。膝裏をもって足を広げて」
「っ・・・、・・・やばいな」
「大丈夫。羞恥なんてすぐに感じなくなるから」
そう言うと、夏樹は開いた両足の間に入るとペニスをしゃぶりながら、尻穴の愛撫に入った。
尻穴にはすでに風呂でローションを入れられている為、夏樹が指を入れ始めると何のとっかかりもなく中に入っていってしまった。
すぐに根元までは入れず、入口の緊張をほぐす様に指を動かされる。
そんなことを何分されたのだろうか。
隼人の息もすっかり上がった頃だ。
口淫で嬲っていた陰茎を離すと、両方の人差し指でほぐした穴を確かめるように開かれた。
「っ・・・っ・・・ひろ・・・げるなぁ」
「広げなきゃ入れられないって」
可笑しそうに笑いながら、それを離すと一番長い中指をゆっくりと挿入される。
散々解された穴に指は簡単に入っていった。
「っ・・・っ・・・っ」
尻に指が入るなんて本当に信じられない。
驚いてその様子をまじまじ見てしまう。
痛くもないが、気持ちよくはない。
少なくとも女が抱けなくなるという感覚は無い。
これだったら夏樹のフェラの方が断然気持ちが良い。
・・・なんて、そう思っていたのはその時だけだった。
指を付け根まで入れると夏樹はその指を腹側に向て折り曲げ、ゆっくりと引き抜いた。
「?・・・??・・・?・・・っ・・・!?」
今までのほぐす行為とは変わり何をしているかよくわからなくて、それを見ていたのだが。
引き抜かれた指があるところまで来ると、体がざわついた。
驚き凝視をしている隼人の変化に夏樹は見逃さなかった。
すぐさま指を戻すと、さっきの場所をぐりぐりと小さく円を描くようにいじる。
「っ・・・ぅぁっ・・・そっ・・そこっ」
「みつけた」
「??っ・・・なつきっ・・・そこっ・・だっ・・・ああぁぁっ」
そこをとんとんとリズミカルに刺激をされるとたまらなかった。
じっとはしていられなくて、体を捩ろうとするが、夏樹の体があってそれも出来ない。
そんな隼人に遠慮もなく、そこに刺激を与えながら再び夏樹の口淫が始まる。
「っぁっ・・・やめっ・・・いっしょっ・・だめっ・・・くち放せっ・・・夏樹っ!!」
じゅぼじゅぼっといやらしい音を響かせ、中・・・前立腺をクっと強く押されるともう我慢が出来なかった。
「あぁぁっ!・・・っ・・・ごめっ・・・ちょっ出せ馬鹿!!」
射精した余韻に浸れることもなく、夏樹が隼人の放ったものを飲み込んだのを見て頭を押さえたが、すでに時すでに遅し。
「ごちそうさま」
「っ・・・っ・・・しんじ・・・らんねぇっ」
これまでも数回やられたことがあるが、・・・毎回こんな満面な笑顔で飲まれる。
「色が白いからって・・・プロテインかなんかと勘違いしてんのか!?」
「そんなわけないよ。・・・さぁおしゃべりはここまで」
「っ・・・」
夏樹は体を起こすと隼人の体を引き寄せた。
そして猛ったモノを窄まりに充てられる。
それだけで熱く太いのが解る。
「・・・、・・・」
「大丈夫。絶対無理はしないから」
「・・・・うん」
確かに怖いが、むしろ自分の時は無茶をしたのだろう。
今は夏樹を信じるしかなく、出来ることは力を抜くくらいだ。
「そう。・・・力を入れるとつらいから、そのままでいて」
夏樹はそう言うとゆっくりと腰を推し進めてきた。
ローションと夏樹の先走りでたっぷり濡れたそこは、夏樹の大きなモノも止まることなくゆっくりと入ってくる。
挿入はスムーズだが存在感は凄い。内臓を圧迫しているのが解る。
「っ・・・はぁっ・・・はぁっ・・・くっ」
なかでなじむまで待ってくれていた。
その間も、乳首をはじかれたり、陰茎を扱かれ気を紛らわせられた。
「はぁっ・・・んっ」
「動くよ」
「っ・・・ん」
それが合図に夏樹が腰を動かし始める。
的確に隼人が感じる前立腺を擦り上げながら、陰茎を扱かれるとたまらなかった。
「っ・・・だからぁっ・・・同時はっ・・・だめだってぇっ」
「駄目って・・・気持ちイイからだろ?」
「っ・・・っ・・・すぐ・・・イクから」
「・・・中は何度でもイケるっていうから大丈夫」
「っ・・・大丈夫じゃねぇよっ」
その間にも意地悪く腰を突き上げられる。
「ぁぁっ・・・はぁっ・・・くぅっ・・・あぁぁっっ」
「・・・でも、俺だって・・・隼人さんの・・・こんな気持ちよくて・・・動かないとか無理だから!」
「っ・・・・あぁぁっ」
そう良いな強く打ち付けられる。
「ねぇ・・・隼人さん・・・30分だけ好きに動いて良い・・・?」
「!?そんなしねぇだろっ」
揶揄われた言葉にそう言ったが、夏樹は笑うだけで隼人の返答を待たずに腰を打ち付け始める。
「ぁっ・・・あぁっ・・・あぁぁっ・・・っ」
「隼人さん・・・隼人さんっ・・・・マジで・・・ヤバい」
「っ・・・っ・・・ひぃぁっ・・・んっ・・・ぁっぁっ」
「・・・あぁ・・・イキそう・・・隼人さん・・・隼人さんはちゃんと気持ちイイ?」
「っ・・・うんっ・・・いいっ・・・すっげぇ・・・ヤバいっ」
肉と肉がぶつかる音を響かせながら、突き上げられる。
「あぁ!・・・イクッ夏樹・・・!」
「隼人さんっ・・・・っく」
隼人の中をひと際大きく突き上げると、2人は同時に絶頂を迎えるのだった。
★★★
あれから3回も抱かれた後。
ベッドの中で夏樹の機嫌はすっかり直っていた。
体を重ねた後の後処理は夏樹が手伝ってくれた。
そう言えば襲ってしまった日も隼人の体は綺麗だったが、もしかして夏樹はそんな事をしてくれているのだろうか。
体格は少し隼人が小さいくらいなのに、よく抱えられたものだ。
「え。謝罪が足りなかったと思ったって・・・なんども謝られているし・・・。
うちに来るときにだって毎回手土産とか食べに行った時だって出してくれているのに」
「・・・、・・・でもやっぱり俺はお前の人生を狂わせたわけだから」
「・・・、」
そう言うと、夏樹は隼人のこめかみに口付けた。
「・・・、・・・正直なところに言うと、その気は元々あったんだ。
けど、自分のなかで否定していて認めたくなかった。
・・・男同士で抜き合って良いだとか普通知りえない」
「!・・・っ・・・でも、俺がその背中を押しちゃったわけだろう?」
そんな隼人に夏樹は苦笑した。
「遅かれ早かれ俺はゲイになってた」
「っ・・・」
「・・・それなのに、俺は隼人さんを騙すような形で抱いた。俺こそ慰謝料を請求されると思う」
「・・・」
「隼人さんを抱けて俺は満足だ。・・・だから、腹立つなら俺も慰謝料払うし、目障りなら会社も辞める」
「!!駄目だっ」
「・・・でも」
「お前がいなくなったらうちの部はどうなるんだ!お前自分がどれだけ貢献しているのか理解しているのか!」
「・・・、・・・」
「それに・・・、・・・、・・・俺もお前がいないと・・・さみしい」
「・・・隼人さん」
隼人の言葉に夏樹は驚いた様に名前を呼んだ。
「なぁ。夏樹。・・・なんで俺を抱いて満足なんだ」
「それ・・・は」
「男が抱けたから?」
「違う!」
「ならどうして」
「それは・・・」
良い淀み夏樹は言葉を詰まらせた。
実際はそれ程長い時間ではなかったのだと思う。
だが、隼人はそれを我慢できずにつづけた。
「俺はお前に恋人になれって言われた時も、・・・今日ここに恋人つづける気があるなら来いって言われたときも凄く迷っていた」
「・・・」
「男相手じゃ恋愛対象にならねぇから。
・・・て、思ってた。
お前への感情が何なのかわからなかったけれど、でも確実に言えんのは・・・嫌じゃなかったってことだ」
「・・・隼人さん・・・それでやっぱり違うとか残酷なこと・・・言うんですか?」
こんなことをした夏樹だが、彼もおびえていたのだと解る。
慰謝料を提案されてそれを手切れ金だと人の話を聞かないくらいには余裕がなかったのだ。
「言わないよ。そんなこと言うくらいならめんどくさいからそれこそ弁護士でも雇ってる」
「・・・、・・・」
「・・・好きだ。夏樹」
「隼人さん・・・!」
しょぼんとしていた夏樹に、そう言ってやると夏樹は信じられない様にしつつも徐々に笑顔になっていく。
なんだか可愛くて。意地悪気に微笑んだ。
「多分な」
「っ」
「まぁ。これから深めていけばいいんじゃねぇのかな」
楽観的にそう言うが、夏樹は苦笑を浮かべる。
「恋人ごっこ・・・続けてくれるんだ」
「『ごっこ』じゃねぇ。
『ごっこ』で親父に紹介したら俺が殴られる」
「・・・、・・・は?」
「あー・・・えっと、まぁ色々あって、俺が夏樹を襲ったこととか恋人になっていることも知っている。
・・・たぶん・・・親父は・・・夏樹を好きだって事解ってるんじゃねぇのかな。
俺がわかんないって言ってんのにさ」
今思えばそう思える節があって1人納得していると、夏樹が震えた声で尋ねてくる。
「ご両親に・・・話したんですか?」
「両親つーか。親父に?母さんにはまだ。でも母さんも姉貴もなんも言わないと思う。
うちは『気持ち』と幸せになる事が重要なんだと。・・・・変わってるよな」
くすくすと笑いながら言うと、夏樹からするりと抱きしめられる。
「・・・あー・・・、勝手に言って悪かったな」
「そんな事。・・・俺・・・ご挨拶に行っていいのかな」
「あぁ。いつ空いているか聞いとく」
「っ」
迷いもせず言い切る隼人にぎゅうっと抱きしめられる。
「・・・素敵なお義父さんですね」
「ん?あぁ。そうかもな」
褒められてまんざらでもない様に返事をする隼人。
「・・・隼人さん」
「ん?」
「俺、もっと隼人さんに好かれるように頑張ります」
「おう」
「隼人さん」
「ん?」
「愛しています」
「っ・・・、・・・~・・・・俺も・・・・愛・・・してる」
言いなれない言葉に頬が熱くなった。
それから2人は、ベッドの中でこれからのことを眠くなるまで話し合うのだった。
★★★
【夏樹視点】
ある日。
今日は隼人が残業で遅くなるため、以前のバーに来ていた。
時間は早く客はいなかった。
カウンターに掛けると、ママが意地悪く微笑んだ。
「なんだ。逃がしちゃったの」
そんなことを嬉しそうに言うのは、優しさでもある。
面白くして笑ってくれているのだ。
本当に傷ついている人間にはこんなことを言うような人ではない。
つまり、夏樹が落ち込んでなさそうだからこんな風に言ったのだ。
「違うよ。隼人さんは仕事」
「あら。・・・じゃぁあのノンケ君あんたの毒牙に掛かっちゃたのね」
「人聞きの悪い」
「あんた。ここの常連でブイブイ言わせてたって知らないんでしょ?」
「知る必要ない。・・・万が一隼人さんがきても余計なこと言うなよ」
「解ってるわよ。・・・あぁ・・・常連客が1人減っちゃうのかぁ」
「ママがここ界隈じゃなく、普通にバーをやってくれんなら通うよ」
「そんなの、私の出会いがないじゃない」
「ここでもないじゃないか」
「ッチ。自分が幸せだからって・・・憎たらしい餓鬼ねぇ」
夏樹の好きな酒を作ると前に置いた。
「でもあんまり舐めすぎてハメ外しすぎないようにね」
「当たり前。もうだましたりはしない」
「・・・そうすることね。
彼女にホストをけしかけたり、自分のザーメン入ったゴムをかぶせて襲わせた様に見せるなんて・・・。
本当に・・・可哀そう」
「ママ」
「はいはい。もう口に出したりしないわ。今客がいないから言ったのよ」
「そうだね。ママは口が堅い」
こういう店のママが口が軽いのは致命的でもある。
満足そうに酒を飲む夏樹に、ママはクスリと笑った。
「残業ならそれ呑んだら家に帰って迎える準備でもしてあげたら?」
「言われなくともそうするつもり」
「そう。ならそれはご馳走するから。後は好きにしてちょうだい」
そう言うと、ママは店の準備を再開させた。
グラスの中の琥珀色の液体を眺めながら、夏樹は笑みを浮かべる。
「わかった」
少々予想外のことはあったが思った通りに行き、夏樹はほくそ笑む。
隼人を幸せにするのは自分だけだ。
そう思いながら、愛の巣に戻る為に一気に酒を煽るのだった。
┬┬┬
お忙しい中御覧いただきありがとうございます!
とても嬉しいです。
また、しおりやお気に入り本当に励みになります^^
所でこれはサイコパスになるんですかね?
サイコパスとヤンデレの違いがよくわかっていません。すみません。
でも両方好きです。
チンコてこんなに書いたの初めてかもしれない。
↓以下ネタバレ
★元カノが浮気したのは夏樹のけしかけたホストのせいです。
★隼人は夏樹を襲っていません。それどころかおしりを弄られています。
★夏樹がやたら「女を抱けなくなった」と言いますが、隼人の罪悪感にチクチク攻撃しているる為です。
つまり絶不調。
言い表すなら『最低最悪』。
頭はズキズキと痛むし、目は酒で浮腫んでか腫れぼったいし、喉は酒焼けで痛い。且つ喉はガラガラ。
でも、視界はぐわんぐわんゆれてるし、お腹痛いし吐き気もする。足も痛い。健康なところは何処なのだろうか。
「あー・・・頭いてぇ・・・。・・・、・・・最悪だ・・・」
それは独り言のつもりだった。
うだうだと続けようと思っていたのだが、隣から聞こえる呻き声に驚く。
「それは・・・俺のセリフですっ」
「うわぁっ・・・て、、叫ぶなっばかっ・・・」
怒声に驚き頭に響き、反射的に動いて体を痛め叫んでまたその声に頭痛が。
負のスパイラルに追われやっと復帰した頃。
ぐぐぐっとそちらに体を動かした。
「二日酔い・・・たのむから・・・静かにしろ」
「・・・はい」
会社の後輩の久保夏樹は大きな図体をしょんぼりとして返事をする。
俺は隼人。この大きな熊・・・じゃなくて、久保の先輩だ。
具合の悪い隼人にミネラルウォータの蓋を開けて出してくれる。
頭が痛いのは良くならないまま、差し出された水を口に含んだ。
しばらくして、ようやく久保を見るとなぜか全裸。
隼人も全裸。
「???・・・あーすまん。俺ゲロちゃったか?」
「・・・」
「本当に悪い。クリーニング代・・・いや、あと少し休んだら買いに行こう」
今日は幸い土曜日だ。
そう答えつつも、『あと少し』はどれくらいだろうか。などと思っていた。
すると、絶望の声が返ってきた。
「昨日のこと・・・忘れたんすか」
「は?」
「先輩はゲロってません」
「へ??・・・じゃあ・・・なんで」
自分に酒乱気味であるのは理解していたが、脱ぐまでになってしまったのだろうか。
一体昨日は何があったのだろうか。
★★★
昨晩。
金曜の夜。
今週の隼人はどん底だった。
先週末に彼女をデートを誘ったら忙しいと言うので1人で家電を買いに新宿に来ていた。
お目当ての物を購入し、久しぶりに彼女への贈り物でも買うかとデパートを覗いた。
店員に尋ねなが、女性の好きそうな小物を選んでいる時だった。
棚の向こう側にあったエスカレーターにいたのだ。
彼女が。・・・それも、見知らぬ男と手を繋ぎながら。
たった数秒だがあまりの事に表情が一気に無表情になり固まり、それまで親身に接してくれていた店員も何か勘づいた様で言葉を濁した。
その場は気が動転して『あー・・・母親に贈っても喜ばれるものに変えても良いですか?』と、尋ねると、出来た店員で『素敵ですね』と、売り場に誘い出してくれた。
店員の気遣いはありがたかったが、何を会話したか覚えてない。
その日の夜。彼女に電話した。
昼間の男が誰か尋ねると、彼女は途端に面倒臭そうな声色になった。
そして隼人への不満を連ね始める。
面白味がなく他の刺激が欲しかった。
彼はなんでも買ってくれるし、呼んだらすぐ来てくれる。
話も面白いし将来有望で隼人とは比べ物にならない程良い人。背も高いしイケメンだそうだ。
そして、彼女は言いたい事言い切ったのと同時に、隼人への愛情もゼロになったのか、聞いた事もないほど冷たい声で『もう付き合えない。別れる。電話してこないで』と一方的に話を進め、隼人を遮断した。
おまけに隼人を含め友人もみるSNSで『彼氏と別れた。つまんない男だったなー時間もったいな』と、書き込みの後ブロックされた。
彼女には隼人が心底好きでアタックして付き合って貰った。
だからこまめにデートに誘ったり、贈り物を贈ったりしていたが。
ここ最近は仕事が忙しくてそれらを怠っていたからだろうか。
あれこれ思い返してみると全て自分が悪く感じてしまい、反省ばかりだった。
考えはいくら考えても纏まらなくて、次第に目の下にはクマが。
食事も喉が通らなくなったのを見かねて、後輩に飲みに誘われた。
後輩は聞き上手で慰め上手だった。
話し始めは自分が悪いと言う思考だったのだが、終わる頃には酒もあってか『次に行ってやるわ!』と、息巻いていた。
「女はアイツだけじゃない!」
「・・・そうですね」
少し声が煩かったのか、それともしつこかったのだろう。
引き気味の後輩に気付かないまま続けた。
「でも、・・・もう・・・俺女わかんねぇ・・・」
「先輩・・・」
「・・・でも、寂しいんだぁ」
なんてボロボロと泣きだした。
160後半の男がメソメソと泣き出すなんて地獄絵図だったろう。
後輩はそれが恥ずかしかっただけだろうが、隼人の背中を撫で慰めてくれる。
最近ちゃんと寝れていなかったし、食事もできていなかった。だから変な思考になっていたんだと思う。
『女怖い。女怖い』と繰り返す隼人に、後輩も面倒くさくなったのかもしれない。
「じゃぁ。男でも良いんじゃないんすか?」
「・・・、」
「別に寂しいのが紛れるのがいいなら」
「で、でも」
「あ。先輩、掘られるとか心配してる?」
「うっ」
「だったら先輩がだke」
「無理」
酔っているというのに、すぐさま否定する隼人に後輩は苦笑した。
「まぁセックスだけじゃないし。それに・・・」
そう言って後輩は耳元で囁く。
「同じ男の方がチンコの扱い慣れてるから。・・・色々イイって聞きますよ」
「っ」
なんて、ニッコリと微笑む後輩。
酔っていた。間違いなく酔っていた。
隼人も後輩も。
抱くのも抱かれるのも無理だけど、洗った他人のペニスくらいなら握れそうな気がしてきた。
「でも、いきなり他人は怖い」
「ははっそーすね。・・・、・・・、・・・へ?」
「え?」
「え??」
じっと見つめていると後輩は勘違いしたらしい。
焦り出す後輩になんだか楽しくなってきてしまった。
「でもそんなにイイのか」
「そ、そうみたいっす」
「お前は・・・あんのか?」
「!!」
何故か後輩はすぐに否定をせずに隼人から視線を外した。
「さぁ・・・どうだったかな。忘れたっす」
「忘れたなんてことないだろ?すっげー気持ちイイんだろ?」
「ん、まぁ・・・」
なんて、結局認めた。
酒のせいもあるが、今までよりもその頬が赤くなっているではないか。
「ふーん」
「・・・」
「俺初めては知らないやつじゃ嫌なんだけど」
「・・・、・・・」
「なぁお前彼女居なかったよな?」
振られた腹いせと、最近ご無沙汰、あと超絶酔っ払っておかしくなってたんだ。面白くなってた。
そう言った隼人に後輩は怒った。
「っ・・・あぁもう!タチが悪い!!」
「あははっ冗談じゃん!」
ケタケタと笑う隼人に後輩はじっとりと睨んでくる。
「ほら、そのグラス早く開けてください。
さしたら次の店行きますよ。
今日は寝かせてくれないんでしょ?」
「んっサンキューな」
揶揄い含んだ物言いは後輩の優しさだ。
それから結局何軒まわったのだろうか。
最後はゲイバーだったと思う。
そこでも散々後輩に絡んだ。
「なー。お前だったら抱く方なのか?抱かれる方なのか?」
「抱く方ですかね」
なんて、ヤケになって後輩答える。
するとママが呆れたように隼人を見てくる。
「ちょっとナツキ。この人酔いすぎよ。早く連れてっちゃいなさいよ。こんな所で目を離したすぎに速攻掘られるわよ」
「ちゃんと連れて帰りますよ」
「て、終電もうないじゃない」
「えー?もう終電ねぇの???」
ナツキとは後輩のことだ。
ここでは下の名前で呼ぶのがマナーらしい。
店の前で隼人も後輩の事を久保ではなく夏樹で呼ぶ様に練習した。
2人が仲良さそうに話しているのに混ざる。
「今日は寝かせてくれないと言ったじゃないですか」
「あ。そうだった」
「アンタ・・・」
そう言って後輩はママから呆れた様にため息をついた。
でも、そんな事も忘れてしまうくらい酔ってるのがわかった。
「ふー・・・ちょっと酔いすぎたな。・・・カラオケ行く?」
「カラオケ行ったら隼人さん寝るじゃないすか」
「俺、マイク握ったらはなさいもん」
「まぁ、エッチ」
きゃっ!と言うゴツいママに隼人は首を傾げた。
「??」
「ママ。・・・隼人さん歌いたいならここカラオケあるよ」
「んーでも、みんな楽しそうに呑んでるし、そんなに上手いわけじゃねーしな」
そんな時だった。
2人組の男が隼人に声をかけてきた。
1人は背が高くモデルの様な男、もう1人は女性の様に可愛い男だった。
「ねぇ。カラオケ行くって聞こえたけど俺らと一緒に来る?」
「え。誰」
「俺?俺は・・・そうだな。カラオケ行くなら教えるよ」
「俺も」
馴れ馴れしく両肩にそれぞれ手を置かれ、後輩側に男が滑り込んできた。
「女に振られてむしゃくしゃしてるんでしょ?
呑むのも楽しいけどやっぱり大声出してスッキリした方がいいよ」
「そう。ベッドもあるから疲れたら寝れるし」
「ぷはっそれってラブホじゃん」
「そーだよ」
「うん♪」
そう言って男が耳元で何か囁こうとした時だ。
男が引き離される。
「そうだな。ラブホの方がいいかも。行こうか?隼人さん」
「へ?」
「誰かれ構わず誘う様になってもう危なさすぎる」
「は?」
後輩の言葉はよくわからない言葉である。
「ふーん。なんだ落としてる最中かと思ったけど、混ざる?いや・・・混ぜてが正しいか?」
可愛い感じの男が後輩の肩を組んだが、その腕を後輩がバシンッと払った。
後輩は金をカウンターに置くと、隼人の肩に手を置いて店を出た。
その間、隼人は能天気に『え?マジ?本当にホテル行くの?www』と、騒いでいたが後輩は隼人のことを捨てたりはせずにつれて行った。
そして宣言通りラブホテルにたどり着く。
かろうじて空いていた部屋に入った。
部屋に着くなり隼人は嬉々としてシャワーを浴びて『お前もチンコ綺麗にしろよなー!』とか、部屋の後輩に叫んでた。今からでも自分を殴りたい。
風呂から上がると入れ替わりで後輩がシャワーを浴びに行く。
その間隼人は持ち込んだ酒を煽った。
そして、後輩が出て来るのをみるとニヤニヤと笑って・・・。
「じゃっヤルか!」
なんて、情緒もくそもない。凄くノリノリだった。
今思えば後輩は呆れっぱなしだ。
だが、五月蝿いから諦めたのか、すぐにベッドへ向かった。
笑っていたのはそれまでで、互いのものを扱き始めたのだが、すぐに余裕が無くなった。
「っ・・・はぁ・・・、おまえ・・・本当に、上手いな」
「そんなに気持ちイイっすか?」
「ん」
部屋にはくちゅくちゅと音が響き始める。
「ぁっ・・・ヤバイ・・・それ、・・・はぁ・・・ぁっ」
隼人が扱いていた手は完全に止まり腰が揺れる。
「夏樹ッ・・・手をっ・・・イクッ」
「良い。俺の手の中に濃いのぶち撒けてください」
「はっ・・・ぁっくぅぅっ・・・あぁぁ!」
後輩の手淫に抗えなかった。
たしかに自分でやるより全然気持ち良いのを感じながら乱れた。
★★★
それ以降の事はうる覚えだ。
確か『お前も逝かせてやる』とか、『ケツって気持ちイイって試して良い??』とか・・・。
ここはラブホ。
ローションは当然あり、『先輩命令!準備しろー!』などとのたまい・・・、ここから先は本当に覚えてない。
顔面蒼白である。
「ぁ、あの」
「・・・」
「俺、まさか」
そう良いながら下半身の違和感に気付き、恐る恐る布団をめくると、使用済みのゴムが自分のモノに付いている。
「・・・、・・・」
「・・・」
頭が痛いとか二日酔いの気持ち悪さなど吹っ飛んだ。
隼人は慌てて土下座をする。
「すまんっ」
「・・・」
「いやっ申し訳ありませんでした!!
落ち込んでる俺を慰めてるくれたのにっ
お前のお陰で久しぶりに楽しい気持ちとか思い出したのに・・・!」
「・・・」
床に頭を擦りつけて「ごめん!」と、繰り返す隼人。
しかし、何も答えてくれない後輩。
当然である。隼人はしばらく頭を上げると、ふらふらと立ち上がる。
「俺・・・警察行ってくる」
「は?」
「後輩・・・レイプしてしまったて。会社も辞めるからっ」
「止めてください!!!」
「っ」
大きな声にビクつく。
額に手を当てながらしでかした事に震えが止まらない。
「す、すまない。
警察は・・・そうだな・・・お前にも聴取取られるよな。
ごめん、気が動転して・・・いや、お前の方がショックなのにっ」
すると、小さくため息つき、視線を上げると後輩は苦笑を浮かべていた。
「・・・もう。昨日の事は良いですよ」
何が良いのだろうか。
自分が同じ立場な怒り狂うし許さない。
後輩は面倒になったと言う事なのだろうか。
謝罪を受け取ってくれたのかもしれないが、隼人には納得行かなくてどんな事でお詫びになるか必死に考える。
「っ・・・本当にすまない。俺に出来ることはなんでも償うから」
そう頭を下げ続ける隼人に、後輩が止まる。
「なら、丁度いい償いがある」
やってしまったことは元に戻らない。
だが、この時償える手立てがあると言う事に救いを感じてしまった。
「なんだ?俺ができる事ならなんでもするっ」
必死に後輩に言えば満面の笑みを浮かべた。・・・のだが。
「隼人さんに抱かれて女の人無理になったから付き合って」
それは今日2回目の衝撃だった。
★★★
あの日以来、後輩・・・夏樹と付き合う事になった。
その事に隼人はショックを受けていた。
男と付き合うという事も少なからずあるが、それよりも夏樹の人生を狂わせてしまったから。
だから、夏樹に求められればなんでも応えた。
主に互いの家の中だが、手を繋ぎたいだとかキスをしたいだとか。
勿論、求められたら互いに扱きあったりもした。
素面の隼人にはとんでもなく難易度が高かったが、夏樹はオナニーの天才なのかもしれない。
手淫がメチャクチャ気持ちがいい。
あと、夏樹が少しでも元にも取る様にしたいと言うので、素股も付き合った。
女の足とは違い肉もなく良いものでもないじゃないか?と、夏樹に尋ねたが最高に気持ちがいいと言うので、させたい様にしている。
ちなみに、隼人は後ろからチンコを刺激されてその刺激で逝ってしまった。
そこからヒント得て、チンコを擦り合わせると気持ち良いって初めて知った。別に知らなくていい事だけど・・・。
そう言ったら兜合わせと言うものを教えられた。
顔に似合わず、夏樹がエロい事を知ってる事に驚いた。
勿論隼人は夏樹の手淫に呆気なく逝った。
最近思うんだが、もしかしてら夏樹の手からそう言う分泌物が出ているのかもしれない。
夏樹には爆笑されたけど、隼人はまだ疑っている。
流石に夏樹がフェラをしたいと言い出した時は焦った。
そこまで行ったら夏樹が本当に戻れなくなる気がして、何度か止めたが女よりも絶対気持ち良くさせる自信があるとかで、結局咥えられてしまったのだが。
「・・・俺って快楽に弱いのか?」
そんな事を呟けば、ソファの隣に座っていた夏樹が吹き出した。
「男ってそんなもんでしょ。
まぁ、気持ちもあるし、女の浮気と考えると急に立たなくなるとかるけどね」
「繊細なのか単細胞なのかいまいちだな」
そう言った隼人に夏樹はクスクスと笑った。
「そう言えば、なんか口調変わったな」
「あぁ・・・まぁ、恋人同士になったわけだから、後輩ぽく話してると仕事思い出すでしょ?」
「そういうことか。・・・前からそうでも構わなかったのに。夏樹はTPOわかってるから他の先輩の前ではちゃんとするし」
現に今でもそうだ。
「そうだけど。恋人じゃなくとも、少なくとも友達でなければこう言う口調には出来ないでしよ」
「え。・・・あぁ・・・まぁそうか」
「どうかした?」
正直なところ、夏樹は同僚よりも仲がいいと思っていた。
こうなる前も土日遊びに行ったりもしていたくらいだ。
「いや。俺は友達気分だったから。
・・・もしかして、先輩で気を遣ってた?
悪かった。気付かなくて」
隼人の告白に驚いた様に目を見開く夏樹。
しかし、笑顔を浮かべた。
「そう言ってくれて嬉しい。
今は恋人だから本当にそう思う。
・・・あの頃は確かに『先輩』だったけど、隼人さんに誘われて嬉しかったよ」
「!・・・そっか」
そんな言葉にホッとする隼人。
「その、隼人さん」
「ん?」
「今度の連休、お家デートしませんか?」
確かに外で男2人でデートは難しい。
けど、それ一層同性愛から抜けられないのではないのだろうか。
視線に気付いたのか、弄っていたスマートフォンをソファに置くと、隼人を抱きしめてきた。
「ごめん。・・・女の人が駄目になって・・・」
「っ」
「隼人さんを逃したくないって思ってしまうのかも。
・・・嫌なら俺を捨てて」
「!」
そんな風に言われたら何も言えなくなり続けた。
「連休。・・・覚悟が出来たら俺のうちに来て」
「か、覚悟?」
「隼人さんに抱かれたから女の人だけなくなったけど、男の人としか恋愛出来なくなったのは別に困ってないし、隼人さんとの恋人は楽しかったからもう大丈夫」
「そ、・・・それは俺以外にもいるってことか?」
『恋人』だっていう立場で応対してたから、最初は緊張したが手を繋ぐのもキスをするのも抵抗がなくなっていた。
夏樹と過ごすのはとても楽だった。気が休まるし楽しい。
夏樹が今の生活から無くなるのは正直考えられなかった。
「もし、先輩後輩のなっても、友人になるのは無理だろうか」
しかし、夏樹はその質問には答えてくれなかった。
★★★
とある日。
実家に呼ばれた。
姉が子供を産んで戻っているらしい。
初孫に両親はフィーバーである。
隼人も子供は好きで初の姪に喜んだ。
出産祝いと姪にお小遣いを包んだ隼人に、お小遣いは早いと言いつつも子供貯金をするとお礼を言われた。
親が張り切って寿司をくれて皆んなで食べた。
父親も母親も姪にメロメロだ。
隼人がそれを見てると姉が気づいた。
「どうかした?」
「え?」
「なんか思い詰めてるみたい」
「っ・・・いや」
姉は昔から優しい。
隼人はそれに甘えていたが、今は育児で疲れてる姉に相談なんて。
いや。こんなこと育児に関係なく相談なんて出来ない。
「ううん。なんでないよ」
それから気を遣わせまいと振る舞っていた。
しけし、流石家族と言うべきか。
母が姉を送りに外へ出ると父に酒を飲もうと誘われた。
始終ニコニコしながら、姪が可愛いとずっと言う父。
そんな事を言われていないのに、なんだか『次はお前だ』と、言われている気分になってくる。
しかし、そんな隼人に父はあっけらかんと言った。
「まぁ。孫は見れたからもう満足だ」
「男の子見たくないの?」
「そりゃ見れたら嬉しいが、人数分幸せになるわけじゃないだろ。お前バカだな」
なんてカラカラと笑いながら日本酒を煽る。
「・・・」
「好きでもない奴と無理やり結婚して、子供作るとかすんなよ?」
「!そんなことは、考えてないけど」
「愛してなきゃそれで出来た子供が可哀想だ。
うちは別に継がなきゃいけない様な由緒正しい家じゃないしな」
無理やり結婚する様なバカな真似はするなと言うが、悲しくもなる。
「それに愛し合って結婚して子供に恵まれない場合だってある」
「・・・」
それでも納得していない様子の隼人に父は一度だけ深く息を吐いた。
「明美も知ってることだから言うか」
明美とは姉の事である。
なんだか隠していた秘密を話される事に緊張した。
「明美は養子だ」
「へ?」
「俺と母さんは・・・、いや。俺は精子が薄いそうだ」
「!!!」
「それなりに、色も白いしネバネバしてるしくせぇんだけどな。顕微鏡で見るとすくないそうだ」
「いや、具体的なことはいいから・・・」
親の精子の状態なんで知りたくない話である。
嫌がる息子に父は笑った。
「じゃあ、俺も・・・」
「いや。お前は俺と母さんの子供だよ」
よく話を聞くと姉を引き取り2年が経ち落ち着いた頃、母が妊娠したそうだ。
「治療は行っていたが俺は12回目の検査で精神が参ってたんだ。
・・・そんな時に、母さんが長い時間をかけて自分達の子供を待つよりも、養子を引き取ろうって言ってくれた」
「・・・、」
「血の繋がりよりも大切なのは過ごす時間だと俺はその言葉に救われた。それで迎えたのが明美で幼稚園年少の頃だ」
「そ、・・・なんだ」
「感違いして欲しくないのだが、お前が生まれたのは勿論嬉しかったぞ?」
「・・・わかってる」
「奇跡だと思った」
そう言って隼人を見つめる目は優しかった。
隼人が小さい頃も姉と分け隔てなく愛してくれたと思う。
もしかしたら、姉は感じていることがあるかもしれないが、息子から感じなかった。
「・・・明美はな。
自分の本当の子じゃねぇのを心の底で悪いと思ってる。
常に俺達に気を使い偶然出来たお前を1番に可愛がった。6歳も離れてるのもあるかもしれねぇが常にお前に譲ってた。
お前、一時期明美にもらったオヤツ食い過ぎて夕飯食えないことがあったろう。・・・あれは」
そこで父親は言葉を詰まらせる。
酒が入っていることもあるのか涙脆くなっている様で、鼻をティッシュで拭いた。
「最初はお前があまりにも美味しそうに食べるからあげたって言ってたが。母さんはあえて明美の好きなおやつを続けて出してる時に『隼人は幸せじゃなきゃ駄目』て言ってて可笑しい事に気づいたそうだ。
それで母さんが根気よく話しを聞くと、捨てられるんじゃないかって怖かったと」
その言葉に父は泣きながら話し、隼人の鼻の頭も痛くなる。
能天気に姉の優しさに甘えてた。
いつだって甘やかしそれで叱ってくれてた。
「明美は実の両親から捨てられている」
「!」
「幼稚園にも通わせてもらえず、当然食事は満足に与えられず、ガリガリに痩せ細り、身体中には親に気まぐれでつけられた体罰の跡であざだらけ。腹にはタバコの焼け跡がつけられてる。
泣き叫んだ明美の声に近所の通報で警察が家に行くと、平均よりも5キロも軽い明美に、危機を感じ児童相談所で保護。親はネグレクトで逮捕された。
あんな小さな子供に手をあげるなんて信じられないが、・・・母親がいうには明美は前夫の子供で養育費を貰うために引き取ったそうだ」
「!一緒に住んでたの実父じゃなかったてこと?・・・、前夫の人は姉貴、引き取らなかったの?」
勿論姉には感謝してるし、今でもこれからも姉でいてほしい。
隼人の言葉に父は首を横に振った。
「既に家庭があり明美は引き取れないと」
「っ」
「明美は俺の娘、いや。俺達の娘で、俺たちの家族だ。
誰にも譲らん。
けど・・・あんな風に物の様に扱う親を聞くと俺は・・・。
血のつながりなんてクソ喰らえって思ってる」
「っあぁ」
「今は・・・義息子のものになっちまったが・・・」
「幸せそうなんだからいいじゃん。義兄がいなきゃ姪っ子にも会えなかったんだし」
凄く不愉快そうに眉を顰めていて涙が引っ込んで笑った。
結婚挨拶に式当日まで、父は号泣が止まらなかったほど姉を溺愛している。
隼人の言葉に咳払いをした。
「ふぅ・・・なんだ。だからつまり。
お前がどんな生き方をしても構わん。
ニューハーフになろうが、独身貴族でいようが何しようとな。
だが幸せにならないと絶対駄目だ」
「親父・・・っ」
そんな言葉に胸が熱くなった。
姪の事を見る目がそんな風に焦っている様な、深刻そうに見えたのだろうか。
しかし。
その言葉を信じていいのだろうか?
夏樹のことを考えていた。
罪悪感と同情。
けれど、どうしても夏樹を嫌いになれない。
いつか、夏樹を抱ける日も来るのだろうか。
男らしくカッコいい甘いマスクを持った夏樹を、今は抱こうと思えない。
しけし、『恋人はセックスが大事なわけじゃない』なんて、言葉を思い出してしまう。
今隼人自身好きな女どころか、女との恋愛入らないと思っているから、いいと思ってしまうのかもしれない。
ぐちゃぐちゃの思考の中で、父がそんな事を言うから思わず言ってしまった。
「・・・、・・・そんな事言ったら、うちに彼氏連れてくるぞ」
そう言うと、父親はピタリと止まり固まった。
多分先に言った『ニューハーフ』と言うのは例えばなしだろう。
明らかに慌ててる様だった。
「っ・・・ごめん」
「!いや。・・・いやいやいや。
父さんが良いと言ったんだ。
ただまさかとは思わなかったから驚いただけだ!
お前が幸せならいい」
そんな風に言われるとは思わなかった。
よくあるテレビの様に勘当されるとも思っていた。
だが父の最後の言葉には返せなかった。
「わからないんだ・・・」
「お前彼女いると母さんから聞いていたが、
・・・その方が、つまり女性になった男性ということか?」
父なりに言葉に気遣っているのが分かる。
隼人は首を横に振り、ことの経緯を全て話した。
勿論やんわりと話を薄めて隼人がレイプしてしまった事、そしてそれを理由に付き合っている事を。
本当ならこんなことは話さないがうちは特殊だった。
「お前・・・酒癖悪いのか」
呆れた様なため息である。
そして暫く考えた後重い口を開いた。
「お前は・・・振られて落ち込んでいたからとは言え、酔った勢いでなんという事を」
反論しようが無くて隼人は俯いた。
「本来。警察なり訴えられて当然の事だ。
だが、内容なだけにそうなってしまったというのはわからんでもないが」
目頭を抑える父。
「・・・相手は示談については何か言ってきてないのか」
「金銭で片付けるような人間ではないよ」
「違うだろう。相手は警察や裁判にして恥を晒したくないからお前を訴えないんだ」
「!」
「示談は金銭を払うから許してもらう行為ではなく謝罪でありけじめだ」
確かにそうだ。
夏樹もあの時動転したいたから、そう言うことが思いつかなかったのかもしれない。
「暫く時間が経ち今更話題に出すのも傷を抉りそうな気もするが、かと言ってこちらが弁護士を立てて謝罪するのも相手の気持ちを無視する行為だ。
・・・それに」
そこで、父親は言葉を切った。
そして、少し悩んだ後隼人をジッと見てくる。
「1人の男の人生を狂わした自覚はあるんだな」
「うん」
「そうか。・・・誠心誠意詫びてこい。
金銭を要求されたならそれに答えろ」
「わかった」
「それで捨てられたら諦めて帰ってこい」
「・・・、」
「そんな顔するな。お前は加害者だ」
「っ・・・はい」
「両親に謝罪させろと言うなら呼べ」
「!っ・・・ごめん、親父・・・」
『気にするな』とも言わなかったが、そう言ってくれるのは有り難かった。
「・・・そんな事にはならないだろうがな(ボソリ)」
「なんか言った?」
「いいや。それで罪悪感を抜いたらお前の気持ちはどうなんだ」
「わからないんだ・・・」
「・・・そうか。まぁこればかりはお前の気持ち次第だ。
もし、・・・お前が相手に示談を提案するとき、慎重にしろよ」
「うん、それは勿論だよ」
そう答えた後、2人は少し飲んでお開きとした。
本当は母親を待ち送ってもらう予定だったが、なんとなく顔を合わせづらく、隼人は1人で帰った。
★★★
約束の日。
デートと称したが時間を貰いたいと言うと「わかった」と、帰ってきた。
隼人は当日スーツを来てお詫びの品を持って夏樹の部屋に向かう。
普通なら菓子折りだとかそう言うものだが、一人暮らしの男だ。
夏樹の好きないも焼酎を持って持参した。
スーツ姿を見て驚いた様だが、部屋に招き入れた。
リビングに通されソファを薦められたが、隼人はそこで頭を下げた。
「誠に申し訳ありませんでした!」
「え」
手をつき頭を下げる隼人に呆気に取られながらも、次に取り出した物に夏樹は無表情になる。
それは、頭を下げつづける隼人には見えなかったが。
隼人が取り出したのはキャッシュカードだ。
「これに、全財産が入っている」
「・・・、」
「夏樹が気がすむままで引き下ろしていい。
足りないならいくらか教えてほしい」
これは、隼人が考えた隼人なりの謝罪だった。
謝罪に「振られてムシャクシャしてた」とか「酔っぱらっていた」なんて言い訳にしかならない。
しかし、夏樹は答えを返さなかった。
5分くらいそうしていただろうか、耐えきれずに顔を上げればあまりにも無表情な夏樹の顔に息を飲んだ。
「手切れ金ですか」
「っ違う!そうではなく、謝罪の意味を込めて」
「また好きな女が出来たんですか?」
「違うっ」
「許さないですよ。自分だけ幸せになるなんて」
「!!!」
そう言われて隼人には出来ることはひとつだけ。
「すまなかったっ」
隼人が頭を下げ続けるも、夏樹はため息をついた。
「許して欲しいですか」
「・・・、」
別に許してもらいたいわけではない。
だが、そろりと顔を上げれると、口角を上げ冷たい笑みを浮かべる夏樹がいた。
「なら、抱かせて下さい」
「え?」
「隼人さんを抱かせて下さい」
「っでも、お前抱かれたいんじゃ」
抱かれたから女は抱かないと言った言葉が頭に浮かんだ。
「なんですか?なんでもすると言うのは嘘だったんですか」
「っ違う!」
「なら、いいですよね」
「っ・・・あぁ」
そう言う隼人に夏樹は寝室に何かを撮りに行き、戻ってきた手には何か器具ととハンガーが持たれていた。
「それと全部服を脱いで。汚れるかもしれないので」
「っ・・・わかった」
ネクタイを解きワイシャツのボタンを外し始めると、ネクタイをハンガーにかけられる。
順番に服を脱ぎ、靴下まで脱ぎ終わると隼人の服をすべてハンガーにかけるとクローゼットにしまった。
「服を脱いだら浴室に」
訳がわからぬまま浴室に連れていかれると、壁に手をつかされた。
困惑をしていると尻に何かを差し込まれ・・・。
「っ・・・うぁぁっ」
何も言われなかったことに驚いた。
尻を触られるのも驚きだが、尻に突っ込まれたのは硬い物質で細くて小さいものだったが、そこから液体が中に放たれたのだ。
逆流してくる感覚が気持ちが悪い。
「っ・・・か、・・・浣腸・・・?」
「そう」
何度か水を入れられると、すぐにお腹が痛くなってきた。
「っ・・・夏樹っ・・・これ・・・やだっ」
「我慢して」
そう言い切るとちゅぷんと抜かれた。
そして腹側を撫でられる。
「痛い?苦しい??」
「っ・・・っ」
何度もこくこく頷いた。
しかし、中指の先端を尻の穴にちゅぽちゅぽ差し込みながら耳元で囁く。
「駄目。まだ早い。・・・今出したもう一回」
「っ・・・っ・・・っ」
「セックス中にトイレ行きたくなるより、今出した方が楽だから。
それに止まらなくなる。・・・覚えてないかもしれないけど」
「っ」
そう言った夏樹は手加減などしてくれなかった。
トイレに行くことを許してくれた頃は本当に余裕がなくなっていた。
漏らすことを強要されているのかとも思ったが、最後にはトイレにはいかせてくれる。
ドアが閉じられているとは言え、木の板一枚だけで隔たれた状態で、すべてが終わった瞬間泣きそうな気分になった。
このままここに閉じこもってしまおうかとも思ったが、それは夏樹のノックでかなわなかった。
トイレから出ると夏樹はトイレ前と違って優しくなっていた。
まだ放心している隼人を浴室につれてってくれると綺麗に洗われながら、同時に夏樹もシャワーを浴びた。
浴室から出れたときにはもうへとへとだった。
「・・・俺・・・あの日こんなことしたのか?」
「いや。隼人さんは酔ってすぐさま押し倒してたよ。でも調べたらこれはとても重要な事なんだ」
夏樹は『酔って』のあたりでくすりと笑った。
男同士のセックスは本来こういうことをしなければならないらしい。
夏樹は好きになれる性別が男性と意識してから自分で調べて知っているのだろうか。
兎に角、以前は自分が性急だったのだと改めて思う。
「ごめんな」
「もう沢山謝られたよ。・・・それよりまだ準備はおわってないから」
「っ・・。そうか」
正直、現時点で雰囲気とかムードとかかけ離れすぎていて、夏樹が満足できるようにふるまえるか自信がない。
夏樹に連れられて寝室に入ったが不安が消えない。
ベッドに上がるように言われ、のそのそと上がるとすぐに夏樹も追ってきた。
いつもととは違う視線・・・の、ような気がする。
真剣な眼差しに所在なさげに視線を逸らすと首筋に口づけられた。
「っ・・・お前・・・俺相手で勃たないかもしれないぞ」
「大丈夫。・・・ほら」
「・・・、・・・!」
そこには完勃ちの夏樹のモノにまじまじと見てしまった。
「そ・・・触ってもないぞ」
「ね。どうしてかな。隼人さんの処女貰えるからかも」
「しょっ・・・俺は女じゃない!」
「・・・今日は俺のオンナになってもらうけど」
「っ~・・・っ・・・」
馬鹿にしている?そんなことはないだろうが、そう言われると苛立ちよりも羞恥が強い。
今日は夏樹を受け入れるのだと言われているようなものだ。
「隼人さん・・・」
「っ」
こっちを向けと呼ばれているような声色にそちらにちらりと視線を向ける。
口付けはもう何度もしている。
そっと触れるようなキスを繰り返すと、後ろに押し倒された。
そうすることで逃げ道ががない。
「!」
しかし、それよりも熱く硬いモノが足の付け根に押し当てられ息を飲んだ。
夏樹は自分に興奮している
それはなんとも複雑ではあるが、そんなことを考える余裕はキスが深くなるとなくなっていった。
貪るような口づけをしながら、乳首をこねられる。
そこは今まで触れたことはなかったところだが、つねってこねられて。
優しく撫でられると、なんだかもどかしい。
快感とは程遠いのだが、腹の奥に意識が良く。
「っ・・・っ・・・そんな・・・女じゃな無いんだから平たい胸いじっても」
「感じちゃう?」
「っ・・・そういう、わけじゃないけど」
「なら良いでしょ?」
そう言いながら口に含まれながら、陰茎をゆっくりと扱かれる。
「っ・・・っ・・・はぁっ・・・っ・・・そんなんじゃ・・・なくて」
「なに?」
肉厚の舌がピンと立った乳首を舐っていた。
自分の乳首がこんなに硬くなるとは思わなかった。
「っ・・・っ・・・」
そうなってくると、・・・なんてことだろうか。
自分の声があまくなりそうで・・・。
慌てて口を閉じた。
「して欲しいことあるなら・・・、・・・言って?隼人さん」
ちゅぱちゅぱと音を立て、時折見せつけるように吸い付かれた。
「っ・・・っ・・・!」
「あと・・・声も聞かせて欲しい」
「!?じょっ・・・冗談っ・・・気持ち悪すぎる」
「俺は好きだけど」
「は!?喘いだことなんてないだろっ」
「俺のヴァージン奪ってくれた日、結構声出てたよ」
「!!?!?!?!?!!!?!?!?!?!」
「実は隼人さん・・・セックスの時声でてるんじゃない?」
「そ、・・・そうなのか!?」
「・・・確かめてみようか。それに・・・声出した方が気持ちよくなれるってきくし、遠慮しなくて良い。
うちは防音だから」
「っ・・・夏樹のは声出さなくても十分気持ちいいから良い!!!」
断固拒否したのだが、それは夏樹を喜ばせるだけだった。
隼人の感じる様をジッと見つめられながら、扱かれながら乳首を吸われる。
吸われてない方との差が解るほどに、ぷっくりと立っていた。
唾液で濡れた乳首を人差し指で潰される。
「ふぅっ・・・」
なんだか本当に乳首を感じるようにさせられそうで怖くなってきた頃、夏樹は乳首への愛撫をやめた。
終わりかと思ったらそんなわけもなく、股間へと顔をうずめると躊躇なく隼人のペニスが夏樹の口の中へと吸い込まれる。
下品な音を立てながら吸われ、ついに尻の穴をに触れられた。
「あ!」
しかしすぐには入れられず、くにくにとそこを悪戯する。
皺を伸ばす様に撫でられ、軽く指を左右に振られた。
「っ・・・っ・・・」
尻穴に意識が行くと、今度はペニスの方に意識を向けさせる様に、鬼頭をちゅぽんちゅぽんと吸われる。
「っ・・・はぁっ・・・っ・・・んっ」
声色が甘くなっていることには気づかなかった
先端を吸われ、舌先で嬲れながら竿を扱かれると自然と腰が浮いてしまう。
「・・・隼人さん。膝裏をもって足を広げて」
「っ・・・、・・・やばいな」
「大丈夫。羞恥なんてすぐに感じなくなるから」
そう言うと、夏樹は開いた両足の間に入るとペニスをしゃぶりながら、尻穴の愛撫に入った。
尻穴にはすでに風呂でローションを入れられている為、夏樹が指を入れ始めると何のとっかかりもなく中に入っていってしまった。
すぐに根元までは入れず、入口の緊張をほぐす様に指を動かされる。
そんなことを何分されたのだろうか。
隼人の息もすっかり上がった頃だ。
口淫で嬲っていた陰茎を離すと、両方の人差し指でほぐした穴を確かめるように開かれた。
「っ・・・っ・・・ひろ・・・げるなぁ」
「広げなきゃ入れられないって」
可笑しそうに笑いながら、それを離すと一番長い中指をゆっくりと挿入される。
散々解された穴に指は簡単に入っていった。
「っ・・・っ・・・っ」
尻に指が入るなんて本当に信じられない。
驚いてその様子をまじまじ見てしまう。
痛くもないが、気持ちよくはない。
少なくとも女が抱けなくなるという感覚は無い。
これだったら夏樹のフェラの方が断然気持ちが良い。
・・・なんて、そう思っていたのはその時だけだった。
指を付け根まで入れると夏樹はその指を腹側に向て折り曲げ、ゆっくりと引き抜いた。
「?・・・??・・・?・・・っ・・・!?」
今までのほぐす行為とは変わり何をしているかよくわからなくて、それを見ていたのだが。
引き抜かれた指があるところまで来ると、体がざわついた。
驚き凝視をしている隼人の変化に夏樹は見逃さなかった。
すぐさま指を戻すと、さっきの場所をぐりぐりと小さく円を描くようにいじる。
「っ・・・ぅぁっ・・・そっ・・そこっ」
「みつけた」
「??っ・・・なつきっ・・・そこっ・・だっ・・・ああぁぁっ」
そこをとんとんとリズミカルに刺激をされるとたまらなかった。
じっとはしていられなくて、体を捩ろうとするが、夏樹の体があってそれも出来ない。
そんな隼人に遠慮もなく、そこに刺激を与えながら再び夏樹の口淫が始まる。
「っぁっ・・・やめっ・・・いっしょっ・・だめっ・・・くち放せっ・・・夏樹っ!!」
じゅぼじゅぼっといやらしい音を響かせ、中・・・前立腺をクっと強く押されるともう我慢が出来なかった。
「あぁぁっ!・・・っ・・・ごめっ・・・ちょっ出せ馬鹿!!」
射精した余韻に浸れることもなく、夏樹が隼人の放ったものを飲み込んだのを見て頭を押さえたが、すでに時すでに遅し。
「ごちそうさま」
「っ・・・っ・・・しんじ・・・らんねぇっ」
これまでも数回やられたことがあるが、・・・毎回こんな満面な笑顔で飲まれる。
「色が白いからって・・・プロテインかなんかと勘違いしてんのか!?」
「そんなわけないよ。・・・さぁおしゃべりはここまで」
「っ・・・」
夏樹は体を起こすと隼人の体を引き寄せた。
そして猛ったモノを窄まりに充てられる。
それだけで熱く太いのが解る。
「・・・、・・・」
「大丈夫。絶対無理はしないから」
「・・・・うん」
確かに怖いが、むしろ自分の時は無茶をしたのだろう。
今は夏樹を信じるしかなく、出来ることは力を抜くくらいだ。
「そう。・・・力を入れるとつらいから、そのままでいて」
夏樹はそう言うとゆっくりと腰を推し進めてきた。
ローションと夏樹の先走りでたっぷり濡れたそこは、夏樹の大きなモノも止まることなくゆっくりと入ってくる。
挿入はスムーズだが存在感は凄い。内臓を圧迫しているのが解る。
「っ・・・はぁっ・・・はぁっ・・・くっ」
なかでなじむまで待ってくれていた。
その間も、乳首をはじかれたり、陰茎を扱かれ気を紛らわせられた。
「はぁっ・・・んっ」
「動くよ」
「っ・・・ん」
それが合図に夏樹が腰を動かし始める。
的確に隼人が感じる前立腺を擦り上げながら、陰茎を扱かれるとたまらなかった。
「っ・・・だからぁっ・・・同時はっ・・・だめだってぇっ」
「駄目って・・・気持ちイイからだろ?」
「っ・・・っ・・・すぐ・・・イクから」
「・・・中は何度でもイケるっていうから大丈夫」
「っ・・・大丈夫じゃねぇよっ」
その間にも意地悪く腰を突き上げられる。
「ぁぁっ・・・はぁっ・・・くぅっ・・・あぁぁっっ」
「・・・でも、俺だって・・・隼人さんの・・・こんな気持ちよくて・・・動かないとか無理だから!」
「っ・・・・あぁぁっ」
そう良いな強く打ち付けられる。
「ねぇ・・・隼人さん・・・30分だけ好きに動いて良い・・・?」
「!?そんなしねぇだろっ」
揶揄われた言葉にそう言ったが、夏樹は笑うだけで隼人の返答を待たずに腰を打ち付け始める。
「ぁっ・・・あぁっ・・・あぁぁっ・・・っ」
「隼人さん・・・隼人さんっ・・・・マジで・・・ヤバい」
「っ・・・っ・・・ひぃぁっ・・・んっ・・・ぁっぁっ」
「・・・あぁ・・・イキそう・・・隼人さん・・・隼人さんはちゃんと気持ちイイ?」
「っ・・・うんっ・・・いいっ・・・すっげぇ・・・ヤバいっ」
肉と肉がぶつかる音を響かせながら、突き上げられる。
「あぁ!・・・イクッ夏樹・・・!」
「隼人さんっ・・・・っく」
隼人の中をひと際大きく突き上げると、2人は同時に絶頂を迎えるのだった。
★★★
あれから3回も抱かれた後。
ベッドの中で夏樹の機嫌はすっかり直っていた。
体を重ねた後の後処理は夏樹が手伝ってくれた。
そう言えば襲ってしまった日も隼人の体は綺麗だったが、もしかして夏樹はそんな事をしてくれているのだろうか。
体格は少し隼人が小さいくらいなのに、よく抱えられたものだ。
「え。謝罪が足りなかったと思ったって・・・なんども謝られているし・・・。
うちに来るときにだって毎回手土産とか食べに行った時だって出してくれているのに」
「・・・、・・・でもやっぱり俺はお前の人生を狂わせたわけだから」
「・・・、」
そう言うと、夏樹は隼人のこめかみに口付けた。
「・・・、・・・正直なところに言うと、その気は元々あったんだ。
けど、自分のなかで否定していて認めたくなかった。
・・・男同士で抜き合って良いだとか普通知りえない」
「!・・・っ・・・でも、俺がその背中を押しちゃったわけだろう?」
そんな隼人に夏樹は苦笑した。
「遅かれ早かれ俺はゲイになってた」
「っ・・・」
「・・・それなのに、俺は隼人さんを騙すような形で抱いた。俺こそ慰謝料を請求されると思う」
「・・・」
「隼人さんを抱けて俺は満足だ。・・・だから、腹立つなら俺も慰謝料払うし、目障りなら会社も辞める」
「!!駄目だっ」
「・・・でも」
「お前がいなくなったらうちの部はどうなるんだ!お前自分がどれだけ貢献しているのか理解しているのか!」
「・・・、・・・」
「それに・・・、・・・、・・・俺もお前がいないと・・・さみしい」
「・・・隼人さん」
隼人の言葉に夏樹は驚いた様に名前を呼んだ。
「なぁ。夏樹。・・・なんで俺を抱いて満足なんだ」
「それ・・・は」
「男が抱けたから?」
「違う!」
「ならどうして」
「それは・・・」
良い淀み夏樹は言葉を詰まらせた。
実際はそれ程長い時間ではなかったのだと思う。
だが、隼人はそれを我慢できずにつづけた。
「俺はお前に恋人になれって言われた時も、・・・今日ここに恋人つづける気があるなら来いって言われたときも凄く迷っていた」
「・・・」
「男相手じゃ恋愛対象にならねぇから。
・・・て、思ってた。
お前への感情が何なのかわからなかったけれど、でも確実に言えんのは・・・嫌じゃなかったってことだ」
「・・・隼人さん・・・それでやっぱり違うとか残酷なこと・・・言うんですか?」
こんなことをした夏樹だが、彼もおびえていたのだと解る。
慰謝料を提案されてそれを手切れ金だと人の話を聞かないくらいには余裕がなかったのだ。
「言わないよ。そんなこと言うくらいならめんどくさいからそれこそ弁護士でも雇ってる」
「・・・、・・・」
「・・・好きだ。夏樹」
「隼人さん・・・!」
しょぼんとしていた夏樹に、そう言ってやると夏樹は信じられない様にしつつも徐々に笑顔になっていく。
なんだか可愛くて。意地悪気に微笑んだ。
「多分な」
「っ」
「まぁ。これから深めていけばいいんじゃねぇのかな」
楽観的にそう言うが、夏樹は苦笑を浮かべる。
「恋人ごっこ・・・続けてくれるんだ」
「『ごっこ』じゃねぇ。
『ごっこ』で親父に紹介したら俺が殴られる」
「・・・、・・・は?」
「あー・・・えっと、まぁ色々あって、俺が夏樹を襲ったこととか恋人になっていることも知っている。
・・・たぶん・・・親父は・・・夏樹を好きだって事解ってるんじゃねぇのかな。
俺がわかんないって言ってんのにさ」
今思えばそう思える節があって1人納得していると、夏樹が震えた声で尋ねてくる。
「ご両親に・・・話したんですか?」
「両親つーか。親父に?母さんにはまだ。でも母さんも姉貴もなんも言わないと思う。
うちは『気持ち』と幸せになる事が重要なんだと。・・・・変わってるよな」
くすくすと笑いながら言うと、夏樹からするりと抱きしめられる。
「・・・あー・・・、勝手に言って悪かったな」
「そんな事。・・・俺・・・ご挨拶に行っていいのかな」
「あぁ。いつ空いているか聞いとく」
「っ」
迷いもせず言い切る隼人にぎゅうっと抱きしめられる。
「・・・素敵なお義父さんですね」
「ん?あぁ。そうかもな」
褒められてまんざらでもない様に返事をする隼人。
「・・・隼人さん」
「ん?」
「俺、もっと隼人さんに好かれるように頑張ります」
「おう」
「隼人さん」
「ん?」
「愛しています」
「っ・・・、・・・~・・・・俺も・・・・愛・・・してる」
言いなれない言葉に頬が熱くなった。
それから2人は、ベッドの中でこれからのことを眠くなるまで話し合うのだった。
★★★
【夏樹視点】
ある日。
今日は隼人が残業で遅くなるため、以前のバーに来ていた。
時間は早く客はいなかった。
カウンターに掛けると、ママが意地悪く微笑んだ。
「なんだ。逃がしちゃったの」
そんなことを嬉しそうに言うのは、優しさでもある。
面白くして笑ってくれているのだ。
本当に傷ついている人間にはこんなことを言うような人ではない。
つまり、夏樹が落ち込んでなさそうだからこんな風に言ったのだ。
「違うよ。隼人さんは仕事」
「あら。・・・じゃぁあのノンケ君あんたの毒牙に掛かっちゃたのね」
「人聞きの悪い」
「あんた。ここの常連でブイブイ言わせてたって知らないんでしょ?」
「知る必要ない。・・・万が一隼人さんがきても余計なこと言うなよ」
「解ってるわよ。・・・あぁ・・・常連客が1人減っちゃうのかぁ」
「ママがここ界隈じゃなく、普通にバーをやってくれんなら通うよ」
「そんなの、私の出会いがないじゃない」
「ここでもないじゃないか」
「ッチ。自分が幸せだからって・・・憎たらしい餓鬼ねぇ」
夏樹の好きな酒を作ると前に置いた。
「でもあんまり舐めすぎてハメ外しすぎないようにね」
「当たり前。もうだましたりはしない」
「・・・そうすることね。
彼女にホストをけしかけたり、自分のザーメン入ったゴムをかぶせて襲わせた様に見せるなんて・・・。
本当に・・・可哀そう」
「ママ」
「はいはい。もう口に出したりしないわ。今客がいないから言ったのよ」
「そうだね。ママは口が堅い」
こういう店のママが口が軽いのは致命的でもある。
満足そうに酒を飲む夏樹に、ママはクスリと笑った。
「残業ならそれ呑んだら家に帰って迎える準備でもしてあげたら?」
「言われなくともそうするつもり」
「そう。ならそれはご馳走するから。後は好きにしてちょうだい」
そう言うと、ママは店の準備を再開させた。
グラスの中の琥珀色の液体を眺めながら、夏樹は笑みを浮かべる。
「わかった」
少々予想外のことはあったが思った通りに行き、夏樹はほくそ笑む。
隼人を幸せにするのは自分だけだ。
そう思いながら、愛の巣に戻る為に一気に酒を煽るのだった。
┬┬┬
お忙しい中御覧いただきありがとうございます!
とても嬉しいです。
また、しおりやお気に入り本当に励みになります^^
所でこれはサイコパスになるんですかね?
サイコパスとヤンデレの違いがよくわかっていません。すみません。
でも両方好きです。
チンコてこんなに書いたの初めてかもしれない。
↓以下ネタバレ
★元カノが浮気したのは夏樹のけしかけたホストのせいです。
★隼人は夏樹を襲っていません。それどころかおしりを弄られています。
★夏樹がやたら「女を抱けなくなった」と言いますが、隼人の罪悪感にチクチク攻撃しているる為です。
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