18 / 25
第一期 おカネに関する初歩的なお話
17)ハイパーインフレと世界大恐慌の違い
しおりを挟む
(じいちゃん)
ドイツのハイパーインフレと世界大恐慌の違いについて話をしようと思う。どちらも経済がめちゃくちゃになって、多くの人々が貧困化した。じゃが、ハイパーインフレと大恐慌はまったく別の原因によるものじゃ。
(ねこ)
おんなじようなものかと思っていたにゃ。
(じいちゃん)
第一次世界大戦後のドイツのハイパーインフレは、文字通り猛烈なインフレじゃ。その原因は戦争による供給力の破壊と、賠償金の支払いのための巨額な通貨発行にある。つまりインフレ要因の強烈なダブルパンチによって引き起こされたものじゃ。
戦争によって領土を占領されたり、工場やインフラなどの生産設備に甚大な被害を受けると、供給力(商品の生産力)が著しく低下する。商品を作り出す能力がなくなるため、商品が極端に不足した状態となる。それにより、市場では商品が大きく値上がりする。
また、戦勝国に賠償金を支払うために自国通貨を大量に発行すると、そのおカネは戦勝国だけでなく、そこから国内に流れ込み、それこそおカネがジャブジャブの状態になるのじゃ。多くの人々が大量のおカネを持っているため、市場では商品の激しい値上がりを招いた。
どれくらいジャブジャブだったのか?なんと、第一次世界大戦の前から、10年間でおカネの量がおよそ一万倍以上に増えたのじゃ。アベノミクスでじゃぶじゃぶなどと言われるが、せいぜい1.2倍になった程度じゃ。まさに桁外れにおカネを発行した。
この二つの要因によって、まさにおカネが紙くずほどの価値になった。お札(銀行券)をリヤカーに山積みにして運ぶ写真が有名じゃが、ああいうことになった。しかし、こうしたハイパーインフレの事態は、それこそ、このドイツの例のように、戦争と巨額の賠償金のような極端なことが生じない限り起こらないと言える。
マスコミには、口を開けば「日本がハイパーインフレになるぞー」と騒ぐ評論家も居るが、過去のハイパーインフレの例を冷静に分析すれば、そんなことは絶対に起きないとすぐにわかるはずじゃ。日本は工場もインフラも破壊されていないし、おカネも1.2倍になっただけじゃ。
ハイパーインフレでは多くの人々が貧困になったが、これはインフレが原因ではない。商品がなくなったからじゃ。値段が高くても、おカネがあれば買うことはできる。しかし、商品そのものがない、極端な物不足の状態なのじゃから、いくらおカネがあっても買うことが出来ない。だから貧困になるのじゃ。ここは非常に重要じゃ。モノがないことが貧困化の本質的な原因じゃ。
(ねこ)
うにゃ、インフレになったから貧困になったわけじゃないんだにゃ。よく覚えておくにゃ。
(じいちゃん)
次に世界大恐慌じゃが、これはハイパーインフレとはまるで違う。
まず商品の供給力が破壊されたわけではない。それどころか、大恐慌の発生の直前は、空前の好景気、バブル状態じゃった。そのため、工場やインフラなどの生産設備がフル活動して、あふれるほど多くの商品が生産されていた。
同時に、おカネの量は増え続けていた。バブルによって銀行による貸し出しが増加していたからだ。とはいえ、ハイパーインフレの時のように、一万倍もおカネを発行するというレベルではない。こうして世の中にあふれ出したおカネによって、経済は絶好調じゃった。
ところが、バブルが崩壊すると状況が一変する。バブル崩壊と同時に資産価格が暴落すると、銀行に借金を返せなくなる人や企業が続出するようになり、銀行は不良債権の山積みになった。そのため金融危機が発生。貸し出しが極端に減ったことから、借金を借りる人より返す人が多くなり、世の中のおカネの量が減り始めた。通貨収縮である。
世の中のおカネの量が減ると、おカネの量が増えるのとは逆のことが発生する。市場では商品がうれなくなり、値段が下落し始めた。デフレである。商品が売れないので、企業は労働者の賃金を下げることになる。賃金が下がった人々は、市場で商品を買うことができないので、ますます商品が売れなくなる。
やがて、商品が売れないので、工場は生産休止に追い込まれ、労働者が大量に解雇される。失業者はおカネがないので、商品を買うことができず、ますます商品が売れなくなる。するとさらに多くの工場が生産休止に追い込まれ、従業員が解雇され、世の中は失業者であふれる。
インフレとは逆に、デフレによっておカネの価値はどんどん上昇したが、おカネの価値があがったところで、人々の所得がそれ以上に減り続けるため人々はどんどん貧しくなる。同時に、工場の多くは閉鎖されて、商品が作られなくなる。
つまり、大恐慌の原因は商品がなくなったからではない。おカネがなくなったからじゃ。商品を作る供給力は有り余るほどあっても、人々にそれを買うためのおカネがないのじゃ。だから商品は生産されなくなり、人々は貧困になる。
(ねこ)
にゃんと、ハイパーインフレも大恐慌も、どちらも貧困を引き起こすけど、貧困の原因はまったく違うのにゃ。ハイパーインフレの原因は商品が足りないことが原因で、大恐慌はおカネは足りないことが原因なんだにゃ。
(じいちゃん)
そうじゃ。これはインフレとデフレの違いを理解する最も基本的な知識じゃから、きちんと覚えておいたほうが良いのじゃよ。
ドイツのハイパーインフレと世界大恐慌の違いについて話をしようと思う。どちらも経済がめちゃくちゃになって、多くの人々が貧困化した。じゃが、ハイパーインフレと大恐慌はまったく別の原因によるものじゃ。
(ねこ)
おんなじようなものかと思っていたにゃ。
(じいちゃん)
第一次世界大戦後のドイツのハイパーインフレは、文字通り猛烈なインフレじゃ。その原因は戦争による供給力の破壊と、賠償金の支払いのための巨額な通貨発行にある。つまりインフレ要因の強烈なダブルパンチによって引き起こされたものじゃ。
戦争によって領土を占領されたり、工場やインフラなどの生産設備に甚大な被害を受けると、供給力(商品の生産力)が著しく低下する。商品を作り出す能力がなくなるため、商品が極端に不足した状態となる。それにより、市場では商品が大きく値上がりする。
また、戦勝国に賠償金を支払うために自国通貨を大量に発行すると、そのおカネは戦勝国だけでなく、そこから国内に流れ込み、それこそおカネがジャブジャブの状態になるのじゃ。多くの人々が大量のおカネを持っているため、市場では商品の激しい値上がりを招いた。
どれくらいジャブジャブだったのか?なんと、第一次世界大戦の前から、10年間でおカネの量がおよそ一万倍以上に増えたのじゃ。アベノミクスでじゃぶじゃぶなどと言われるが、せいぜい1.2倍になった程度じゃ。まさに桁外れにおカネを発行した。
この二つの要因によって、まさにおカネが紙くずほどの価値になった。お札(銀行券)をリヤカーに山積みにして運ぶ写真が有名じゃが、ああいうことになった。しかし、こうしたハイパーインフレの事態は、それこそ、このドイツの例のように、戦争と巨額の賠償金のような極端なことが生じない限り起こらないと言える。
マスコミには、口を開けば「日本がハイパーインフレになるぞー」と騒ぐ評論家も居るが、過去のハイパーインフレの例を冷静に分析すれば、そんなことは絶対に起きないとすぐにわかるはずじゃ。日本は工場もインフラも破壊されていないし、おカネも1.2倍になっただけじゃ。
ハイパーインフレでは多くの人々が貧困になったが、これはインフレが原因ではない。商品がなくなったからじゃ。値段が高くても、おカネがあれば買うことはできる。しかし、商品そのものがない、極端な物不足の状態なのじゃから、いくらおカネがあっても買うことが出来ない。だから貧困になるのじゃ。ここは非常に重要じゃ。モノがないことが貧困化の本質的な原因じゃ。
(ねこ)
うにゃ、インフレになったから貧困になったわけじゃないんだにゃ。よく覚えておくにゃ。
(じいちゃん)
次に世界大恐慌じゃが、これはハイパーインフレとはまるで違う。
まず商品の供給力が破壊されたわけではない。それどころか、大恐慌の発生の直前は、空前の好景気、バブル状態じゃった。そのため、工場やインフラなどの生産設備がフル活動して、あふれるほど多くの商品が生産されていた。
同時に、おカネの量は増え続けていた。バブルによって銀行による貸し出しが増加していたからだ。とはいえ、ハイパーインフレの時のように、一万倍もおカネを発行するというレベルではない。こうして世の中にあふれ出したおカネによって、経済は絶好調じゃった。
ところが、バブルが崩壊すると状況が一変する。バブル崩壊と同時に資産価格が暴落すると、銀行に借金を返せなくなる人や企業が続出するようになり、銀行は不良債権の山積みになった。そのため金融危機が発生。貸し出しが極端に減ったことから、借金を借りる人より返す人が多くなり、世の中のおカネの量が減り始めた。通貨収縮である。
世の中のおカネの量が減ると、おカネの量が増えるのとは逆のことが発生する。市場では商品がうれなくなり、値段が下落し始めた。デフレである。商品が売れないので、企業は労働者の賃金を下げることになる。賃金が下がった人々は、市場で商品を買うことができないので、ますます商品が売れなくなる。
やがて、商品が売れないので、工場は生産休止に追い込まれ、労働者が大量に解雇される。失業者はおカネがないので、商品を買うことができず、ますます商品が売れなくなる。するとさらに多くの工場が生産休止に追い込まれ、従業員が解雇され、世の中は失業者であふれる。
インフレとは逆に、デフレによっておカネの価値はどんどん上昇したが、おカネの価値があがったところで、人々の所得がそれ以上に減り続けるため人々はどんどん貧しくなる。同時に、工場の多くは閉鎖されて、商品が作られなくなる。
つまり、大恐慌の原因は商品がなくなったからではない。おカネがなくなったからじゃ。商品を作る供給力は有り余るほどあっても、人々にそれを買うためのおカネがないのじゃ。だから商品は生産されなくなり、人々は貧困になる。
(ねこ)
にゃんと、ハイパーインフレも大恐慌も、どちらも貧困を引き起こすけど、貧困の原因はまったく違うのにゃ。ハイパーインフレの原因は商品が足りないことが原因で、大恐慌はおカネは足りないことが原因なんだにゃ。
(じいちゃん)
そうじゃ。これはインフレとデフレの違いを理解する最も基本的な知識じゃから、きちんと覚えておいたほうが良いのじゃよ。
0
あなたにおすすめの小説
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様を書いたストーリーです。
熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)
MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる