君の声は蜜の味

いちご

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倭京雨音SIDE

6.

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「操と同じ小学校だったんだな。卒業アルバムに載っててビックリした」
ああ、それで電話番号が分かったのか。
って、卒アルに電話番号って載ってたっけ?

「倭京が来なくなって色々調べたんだ。小学校にも行った。そしたら運良くその頃の担任が居てね、色々教えてくれたよ倭京の事」
「………………………っ…」
知られた。俺の事。

「最初倭京は操と仲良かったんだな」
そうだ。一緒の委員会で、読む本の趣味も似てて話していて楽しかった。
だけど、途中で性癖に目覚めた。
その頃の俺は唯々可愛い子の涙が見たくて色々な子を泣かしていた。
そしてその興味は日野に迄及んだ。
仲の良かった俺から突然向けられた悪意。
戸惑い嘆き悲しむ様が物凄く可愛くて大好きだった。

泣き顔が見たいのになかなか見せてくれない日野。
ヤケになって苛めはエスカレートした。
だけど、気が付くと日野は毎日傷だらけになっていて、暴力は振るってないのにどうしたんだろう?不思議に思った。

だから俺は日野を影から隠れて観察した。
すると女子が集団で日野を叩いたり押したりしていた。
(…………え?)
驚いた俺は日野に聞いたが、日野は苛めを隠した。

日に日に増える傷を見たくなかった。
(イジメの原因ってもしかして俺か?)
罪悪感に苛まれ、俺は日野との接触を絶った。


「どうして操を苛めた?」
やっぱり知ってしまったのか。

「小学校の間ずっとお前が操を苛めてたんだな」
え?
ずっと?
俺が日野を苛めたのは短期間だ。
それ以降は一切接触していない。

「お前の学校の先生に聞いた。6年間ずっと倭京が操を苛めていたって」
どういう事だ?
苛めた事は間違っていないが、話が全く違う。

「中学でもお前が指示を出していたと聞かされた」
何それ?知らない。

確かに俺は日野を苛めた。
他の奴等にも手を出した。
だが、日野を苛めたのは短期間のみ。
その後は本当に何も関わっていない。
なのに、何故全て俺のせいになっているのだろうか。
分からないが、村主が学校から聞いたと口にして漸く理解出来た。

多分学校側は全ての責任を俺に押し付けたんだ。
基本規則で生徒の名前は言えない。
その点俺は問題児。
名前を出しても何も支障がないと考えたのだろう。
だけどこれはあんまりだ。
悪いのは全て俺だが、加害者は他にも居る。
少しでも真実を伝えたくて、今迄の罪を全て話した。

だけど村主は何も信じてくれなかった。

今迄向けてくれていた全てを包み込む様な優しさが消えた。
声に態度に、殺意が篭った。

ああ、嫌われた。
そう悟った瞬間全てが崩れ去っていく音がした。
ガラガラガラガラ足元が壊れる。
立っている事が出来ない。

「……お願い…村主。信じて?」
絞り出す声。震えて上手く言えない。
「村主」
コチラを見ようともしない姿に、目の前が真っ暗になった。

今迄散々な事をしてきた。
良い事なんて何一つしてない。
好き勝手に振る舞って暴れて、沢山の人を傷付けた。
だけどまさかそのしっぺ返しが、初めて好きになった人にきてしまうなんて。

嫌だ、このままじゃ嫌われてしまう。
嫌われたくない。


どうやって家に帰ってきたのか分からない。
気が付くと自分の部屋に居た。

机の引き出しを開け、手にするのは小さなお守り袋。
日野と仲良くなったばかりの頃お土産で貰った綺麗な石。
大事に入れて保管していた。

あの時は楽しかったな。
どうしてこうなったんだろうな、俺。
何故あんなつまらない好奇心で傷付けてしまったのだろうか。
俺がバカなせいで日野が死んでしまった。
村主にも嫌われた。
哀しくて情けなくて、もうどうして良いのか分からない。

「ごめんな、日野」
キュッ、お守り袋を握ると、泣きながら声に出した。
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