ヒロイン系彼氏

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その後の話

温泉旅行編3(R18)

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 ぼくは檜垣くんの本気をなめていた。

「あ……ッ、あ、アッ。酒井……酒井……んッ」

 自らイイトコロに当てながら、腰を振って快感を拾う。
 イキそうになると、動きをとめて熱い息を吐き出す。
 乱れる姿はやらしくて、たまに落ちてくる涙に酷くたまらない気持ちになる。

 そっか。そこを、そうされると気持ちいいんだ……。
 ぼくならもっと、快感を逸らさないで追いつめて、泣きじゃくるまで擦りあげてやるのに。

「ッ……酒井!? うあ、あ、ああッ、ヤダッ……」
「嘘。きゅうってした。さっきからココばっかあてるようにしてるし、いいんだろ?」

 下から突き上げて、身体が傾いだところを狙って体勢逆転。
 隙間がなくなるくらい上から押し込むと、檜垣くんはぼくの腕に甘く爪を立てた。

「ふ、深……ふかくて、こわい……」

 さっきは奥まで入らないように加減していたし、前の時も奥は嫌だって言ってたもんな。腰を下ろすのを嫌がったのも、そのせいだろう。

「無理にしたりしないから、大丈夫」

 優しく耳元で囁きながら、耳に、首筋に、そして唇にキスをする。

「上に乗ってしろって言ったのは、酒井なのに……」

 なんかすでに泣きじゃくり気味だ。中断させたのが悔しかったのかもしれない。それか、君の動きでは満足できないと言われたように感じたとか。

「ごめん。やらしすぎて、我慢できなくなった」
「オレ、ちゃんと淫乱だった?」
「え。う、うん」

 なんか檜垣くん、淫乱を褒め言葉のように捉えてないか?
 大丈夫かコレ……。
 おい、満足そうな顔をするな。笑いそうになるから。

「そうか。なら、仕方ないな。あとは、酒井が好きに動いて」
「じゃあ、奥……」
「無理にしたりはしないんだろ」

 牽制するように、睨まれた。まあ、ぼくもそう簡単に奥まで入るとは思ってない。ぼくのできちんと届くかもわからないし。
 檜垣くんが怯えるのがちょっとよくて、つい言ってしまうんだよな。

「うん。きちんと、君がいいトコだけ……擦る」

 さっき檜垣くんが自分から押し当てていたところを、驚かせないようにゆっくりトントンって突いてみる。中がキュウッとぼくの形にあわせて締まって、檜垣くんは今まで聞いたことがないくらい甘い声を上げた。

「ああッ、嘘、ダメ……ッ。イク、イクから……ッ」
「ん。いいよ……」

 ぼくもかなり、ヤバイ。
 なんだろう。一回目の時より、二回目の時より、具合がいい。馴染んでる、気がする。これからたくさんしたら、もっとよくなってくのかな……。

「酒井、ホントに……もうッ、あ、あ、あー……ッ」

 中がビクビクと痙攣する。吸われるみたい。
 そういえば、指ではイカせたけど……ぼくので、檜垣くんがイクのはコレが初めてだ。
 そのまま中を擦ると、檜垣くんから本気で抵抗された。

「嫌だ、イッ……イッてるから……!」
「でもぼく、まだだから」
「うん……ッ。頼むから、少し、だけ……待ってくれ。そしたら……また、オレも……酒井と、したい、し……」
「中でなら何度でもイケるっていうけど」
「でもキツイ。きついんだよ……ッ。お願い、手加減して」

 それ、逆効果じゃない?
 可愛すぎて余計に手加減なんか、できなくなる。

「ごめん。無理。やりすぎちゃうかも。嫌なら逃げて」

 微かに残る理性でそう言うと、身体を震えさせながらも首を横に振った。

「オレもしたいって言っただろ。が、頑張る、から」
「うん。じゃ、受け止めてくれ」

 酷いことをするその前に、優しく手を取ってキスをする。
 少しの優しさ甘さでも、見せておけば免罪符になるような気がした。

 冬なのに身体中に汗が滲む。ぼくの下で泣き濡れながら懇願する姿は、もう凄絶ないやらしさで。
 もっと、見たいし……。浴衣もすっかり着崩れて肌の色のほうが多いし……。こういうの、昼間からずっと期待してて、でも実物はそれ以上だ。
 汗でぬめる身体を指先で撫でながら、ぼくは檜垣くんをひたすら揺すり続けた。




 快感で気を失うなんて、本当にあるものなんだな。
 いや、これは体力が尽きただけかもしれない。

「無理させてごめんな。檜垣くん」

 涙の残る目元を舐めて、そっとキスをする。
 今のうちに身体を綺麗にして、汚れたタオルとかも洗ってしまおう。

 ……うう。ぼくも普段から運動してるわけじゃないから、結構腰にきてる。

 簡単な後始末を済ませ、タオルを洗って干してから戻ると、檜垣くんが掛け布団を丸めて抱きまくらにしていた。
 せっかく着せてあげた浴衣の裾は無残に乱れ、白い太腿があらわになっている。
 一緒に寝ていたら、今頃ああして抱きしめられているのはぼくだったのに……とか、無機物にまで妬くなんて、どうかしてる。

 隣の布団で寝ればいい話だけど、せっかくだから一緒に寝たい。でも起こすのはな……。
 旅行から戻ればまた禁欲の日々が待ってるんだ。こうしていられるのも、今だけ。

「ごめん。少しだけ起きて……」
「ん……直哉ァ……」

 甘えるような声を出して、ますます布団を抱きしめた。
 しかし、起きることなく寝息が続く。

 ……もしかして、ソレ、ぼくだと思いこんで抱きまくらにしてるのか?
 指先で耳のあたりをくすぐると、身をすくませて、ふふーと笑う。

 んん。可愛い……。

「できたらホンモノをギュッてしてほしいな」
「んッ!? あれ。直……酒井?」

 今度はハッキリと目を開けた。
 なんで言い直す。直哉のままでいいのに。

 ぼくが分裂したとでも思ったのか、丸まった掛け布団とぼくを不思議そうな顔で見比べている。まだ多少寝ぼけてるっぽい。

「あー……」
「いい夢でも見てたのか?」
「わからない。でも、起きたら酒井の顔がそこにあって、優しい顔でオレを見てて、今がいい夢を見てるみたいだってことはわかる」

 恥ずかしい台詞をペラペラと。さすがの檜垣くん。

「あ。着替えさせてくれたんだな。オレ、どれくらい寝てた?」
「一時間も経ってないよ」
「よかった。せっかくの旅行なのに、もったいないことをした。まだするよな?」
「えっ。檜垣くん、気を失ってたのに?」

 まさか、してる途中に寝たとでも思い込んでるんだろうか。
 そのあたりの記憶は曖昧だったらしく、しばらく思い出すように黙り込んで、徐々に頬を染めていった。

「そうか……。オレ……。そうか……。はあ……」

 そして途切れ途切れに、内容のわからない短い言葉を並べては、熱い溜息をついている。
 そんなに悩ましい表情をされると、ぼくのほうはその気になってしまうんだけど。

「どうする? 頑張る?」
「酒井は平気なのか?」
「ぼくより、檜垣くんだろ」
「……多分、意味が違うな。そうじゃ……そうじゃ、なくてさ。またしばらくオアズケになるのに、平気なのか?」

 ああ、そういう、意味……。

「平気なわけない。でも、檜垣くんの身体も心配」
「さっきみたいな無茶をしないでもらえれば。身体をくっつけて、ゆっくりいちゃいちゃしたい……」
「うん、そうだな。ぼくも……」

 檜垣くんは布団を綺麗にセッティングしなおして、中に入って掛け布団をめくると、一人分空けたスペースをポンポンと叩いた。

「おいで。直哉」
「ふはっ。それどんな行動だよ」
「たまには少女漫画の、オトコノコ側になってみた」
「いやいや……。さすがに布団でソレは、ギャグでしょ」
「そうか?」
「うん」

 まあ、檜垣くん自身は少女漫画から飛び出してきたようなイケメンだから、サマになってはいるんだけどさ。
 ……口を開かなければの話。

 もしぼくが女の子ならキュンとしたかどうかに関しては、黙秘権を貫きたい。
 ここが高級ホテルのスイートかなんかだったら、きっとアリだ。

「それじゃ、お邪魔しまーす」

 隣に滑り込むとばさりと掛け布団が落ちてきて、そのままギュッと抱きしめられた。

「はあ……。酒井ィー」

 めちゃくちゃ嗅がれてる。ぼくが想定していたいちゃいちゃと違う。確かに身体をくっつけてはいるけど。

「ち、ちょっと。檜垣くん。ひゃっ」

 首筋を舐められて変な声が出た。

「さっき散々されたから、今度はオレが、好きにする」
「さっきだって檜垣くんがぼくの上に乗ってただろ」
「あれは、酒井がそう望んだからだし、途中からひっくり返された!」
「なら、また乗る? ぼくのチンコ、好きに使っていいよ」

 と言いつつ反撃させていただいた。
 耳を噛んで、好きって甘えるように囁いただけで腰砕け。

「あ、オレが……するって」
「ぼくもしたい」
「……オレ、酒井に欲しがってもらえたら……。何もかも、どうでもよくなってしまう……」

 本当に檜垣くんは、こう……。なんというか。ぼくのことを大好きだな。
 まあ、ここは、お言葉に甘えてありがたく。
 次はいつになるかわからないんだ。できる時に、たっぷりしておかないと。

 今度はゆっくり、長く、丁寧に。それこそ外が白むまで、ぼくは檜垣くんと抱き合っていた。




 腰だっる……。さすがにやりすぎたし、まだ眠い。
 まあぼくより、檜垣くんのグロッキーさたるや。
 朝食をうつらうつらしながら二人でとって、部屋に戻ってぐったりして。
 ……でも、明日からはまた、ただの友人同士な日々に戻るってわかってたから、手だけはずっと繋いでた。

 昨日宿についた時はさわやかクンな檜垣くんだったけど、今日はなんとも言えない淫猥な雰囲気がある。やらしすぎるから、チェックアウトまでにはオーラをもうちょっと抑えてほしい。
 まあ、明け方まで揺さぶって、喉が枯れるくらい声も出させたから、無理もないか……。

「自分があんなに淫乱になれるなんて知らなかった……」
「いや、うん……そうだな」

 確かにやらしかったけど、誇らしげなのがほんと意味わかんないよな。

「あと、酒井があんなにエッチなのも知らなかった」
「普通だろ、普通」

 恋人のいる、やりたい盛りの男子高校生としては。
 むしろ普段はよく我慢しているほうだと思う。

「チェックアウトまで、あと一時間か……」

 檜垣くんが寂しそうに、溜息をついた。
 土日だけの小旅行。なのに、まるで夏休みが終わってしまうような名残惜しさがある。
 2日間、たっぷりイチャイチャできたはずなのに。

 旅館を出るからって旅行が終わるわけじゃないし、今日サヨナラしてもまた明日、学校で顔はあわせる。
 それでも、きちんとした『恋人同士』の時間は、ぼくらにとって中々訪れるものじゃない。

「もう少し、キスしとこっか」

 ぼくの提案に、檜垣くんは幸せそうに、ん、と頷いた。
 さっきまであんなにやらしい顔をしていたのに、そんな乙女みたいな顔しちゃってさ。
 ああ、もう……。本当に、たまんないなあ。

 今日は……チェックアウトを終えたら、少し観光して、お昼を食べて……そこからは、地獄が待っている。

 長時間、電車に揺られるっていう地獄が。
 ぼくの腰と檜垣くんの尻に大打撃。特に檜垣くん。

 ごめんなと心の中で謝りながら、そっと舌を絡ませた。
 タイムリミットまで、あと少し。それまでは、存分に。
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