弟を好きになりました

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小学生高学年編

一人になりました

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 ついにこの日が来てしまった。
 律を抱きしめて眠れなくなる日が。
 
「もう、そんな顔しないでよ。修学旅行へ行くだけなのに!」
「律ぅ……」
 
 できることならついて行きたい。
 今日から恋人が、修学旅行です。
 
 
 

 朝部屋で泣きながら律を見送って、就活中の俺は仕方なく大学へ。
 でも、外にいる方がまだ楽だ。あの部屋に俺しかいないんだと、そう実感させられるのが凄く辛い。
 律は「一人暮らしの練習にちょうどいいよ」なんて笑ってた。
 君は寂しくないのかなあ。俺はこんなに寂しいのに。
 まあ律はいいさ。置いていく方だからな。向こうでは青春がいっぱいなんだろう。
 可愛い子に告白されたり、クラスメイトに襲われたりしたらどうしよう。
 ああ、本当にいてもたってもいられない!
 今日はどこかに泊まって帰るか、誰かに合コンとか誘ってもらったりしようかなとも思う。
 でも、夜携帯電話でこっそりラブコールしてくれるって言ってたからそうもいかない。
 電話越しに聞く律の声とか、楽しみすぎる。
 寂しいけど。絶対寂しいけど、でも来年からは毎日こうなるんだ。本当に今から慣れておかなくちゃならない。
 
 今頃律は鹿せんべいとか買って鹿に襲われたりしてるのかなー。ああー……。
 いや、おちつけ俺、この時間じゃ普通にバスの中だ。カラオケしてたりするかも。
 今度二人でカラオケもいいな。あんな暗い場所で二人きりになるのは危険かな……。監視カメラから見られたら俺、逮捕される……。
 
 そんな感じで、一日律のことばかり考えて過ごしてしまった。まあ、割りといつものことなんだけど。
 でも家に帰ってからはやっぱり違った。
 時間を潰していつもより遅く帰って来たのに、律が家にいない。
 両親がこんな時間に帰っているはずもなく、しんとしてる。
 帰って律がいないことは別にこれが初めてじゃないのに、なんだか凄く切ない気持ちになった。
 
 部屋に戻ってベッドに身を投げ出す。毛布にくるまれば、律に抱きしめられている気分になる。
 携帯電話の充電、忘れずにしておかないと。
 消灯終わったあとこっそりトイレからかけてくれるって言ってたから、それまで仮眠しておくかな。
 寝ちゃって電話に出られないなんてことがあったら、絶対に死んでも死に切れないほど後悔する。
 俺は目覚ましと携帯電話のアラームを22時にセットして、眠りについた。 




 軽いアラームの音。目覚ましはまだ鳴ってない。
 時刻はきっかり22時。起きた途端目覚ましも音を立て始めた。
 多分まだかかってこない……よな?
 両方止めて、先に風呂へ入っておくことにした。
 珍しく両親揃って帰って来てるみたい。まさか俺、不安に思われてるんじゃないだろうか。
 でも、なんだか情けないけど一人じゃないことにホッとした。
 
 さっと寝汗を流して戻るとちょうど着信音が流れて、俺は慌てて携帯電話に駆け寄った。
 
「あっ、ごめん、律。ちょうどシャワー浴びてて」
『そんな焦らなくてもいいよ』

 電話の向こう、律がくすくすと笑う。律の声……律の声だ。

「律……律ぅ……。やっぱ君が部屋にいないのは寂しいよ……」

 たった1日なのにこんな泣き言を言って、うざく思われたりしないだろうか。
 でも、寂しい。こんなのが毎日続いたら、絶対気が狂ってしまう。

『……僕のタンスから、パンツくすねてもいいから』
「ッ! ほっ、本物がいいっ」

 律には俺をからかう余裕があるのに、俺ときたら本当に情けない兄ちゃんだ。

『そんなに寂しい?』
「うん」
『僕も……やっぱり凄く寂しいかな』

 友達に囲まれていても、そう思ってくれる律が愛おしい。

『可愛い』
「え?」
『1日会えないくらいでそんな、泣くほど寂しいの?』
「なっ、泣いてなんかない」

 確かに少し泣きそうにはなってるけど。
 
「今声聞けて、ホッとしたから平気だ……」

 そして、安心したら電話越しの声にムラムラしてきた。
 囁くような、くすぐるような音がたまらない。
 思わず下肢に手を伸ばしそうになる。でも電話中くらいは我慢。あとでオカズにするけど。
 ……許可もらったからパンツもくすねよう。

『シャワー浴びてたなら、今は湯上がりなんだね』
「そう。律から電話かかってきたらそれに集中したかったから」
『ん……』
「どうした?」
『なんか変な気分になってきた』

 電話向こうで甘い吐息がハッともれて、俺の下半身は一気にパジャマの布を押し上げてしまった。
 思わずそれを握って、律の手の平を想像する。
 今日は俺の妄想だ。妄想ならいつもより、凄いことができる。電話越しだけど……。
 俺は携帯電話に音を立ててキスをした。

「律、自分の握ってみて。俺がしてるんだと思って」

 今日は両親がいるから、あまり大きい声は出せないな。
 それでも欲情の潜む声に、律は俺が何しているのか判ったらしい。

『お兄ちゃんも、今してるの?』
「してる……。でもあまり気持ち良くない。やっぱ律の手じゃないと……」
『お兄ちゃん、あんまり上手くないしね』

 がーん……。一気に萎えそうになった。むしろ萎えなかったのが凄い。

『だから口でして欲しいな。僕にもさせて?』
「律……」
『いつもはダメって言うけど、想像でならいいよね?』
 
 心臓の音、凄い。確かに想像でなら、律の……舐められる。舐めてもらえる。

「律、えっちな音聞かせて。電話、下半身の方持ってって……そう」

 粘っこい水音が聞こえてくる。
 してるんだ。本当に……。律が、俺を思ってトイレで……。

『今のでいい?』

 律の声が欲情に掠れる。電話越しだと少し低く聞こえてどきりとする。

「ん……。うん、律……」
『じゃあ、次は僕に聞かせて……? 舐めてあげる』

 律の小さな舌が俺のそこに這うのを想像しながら、ゆっくり擦る。
 現実じゃさせられないし、できない。でも、こういう形でなら……。

『中学に上がって、今より背も伸びたら、現実でさせてね? 約束……』

 俺、ここまでで耐えられるかな。入れたくなるかも。
 それは高校生くらいまで我慢しないと……。
 でも、舐めるくらいなら……。

「俺も、律の舐めたい……。舐めて欲しい」

 声がひきつる。自分の手は律のと違って確かにあまり器用ではない。
 でも律とこうなる前までは長年付き添った恋人だ。
 それに何より、電話越しに律の声がある。頭の中では、これは律の舌なのだ。
 犯罪っぽい絵面が、今は逆に俺を興奮させていく。
 
 律の喘ぐ声、たまらない。俺なんかに欲情してくれてる。
 もっといっぱい舐めるから、俺の口に出して欲しい。絶対全部飲んでやる。

「やっぱ、現実で抱きしめたい……」
『っ……ん、僕も……。帰ったら、いっぱい、しよ?』

 あー……可愛い。
 それは時間的にはそんなに長くなかったけど、しっかりとしてしまった。させてしまった。

 テレフォンセックスを。

 なんかこれ、凄い変態くさくないか? ……今更か。

『凄い気持ち良かった』

 ちゅっ、と電話越しのキスがくすぐったい。俺もキスを返す。

『また明日ね、おやすみなさい』
「うん、おやすみ、律……」

 修学旅行は二泊三日だ。明日も律は帰ってこない。
 寂しいけど、これ少しはまりそう……。
 
 結局次の日もこんなことして、帰って来たあとは興奮して足腰立たなくなるくらいした。
 おみやげの八ツ橋よりも、律の方が甘くて濃厚だった。
 
 ……まあ、起き上がれないのは俺だけなんだけどね。 
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