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本編
楽しみにしてる
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「よぅ、早漏」
「だから、違うって!」
会社のトイレ。
支倉の隣で用を足しながら言ってやると、思い切り睨まれた。
「あれは、お前が相手だったから、普段はあんなんじゃ」
「そうだよな。イケメン様はさぞかし経験がおありだろうし」
「その経験がまったく役に立たないほど、お前に惚れてるってことだよ」
やっぱり手慣れてるじゃないか。気障な奴だな。
からかうのは楽しいが、支倉に経験が多いのはやっぱり気分が良くない。
「早漏」
「だーかーらー」
「そう怒るなよ。こんな風にお前をからかえるなんて、滅多にないんだしさ」
用を足し終えた瞬間、俺は奴に手を引かれ個室に連れ込まれた。
「あまりからかうなら、俺にも考えがある」
「どんな」
「ここで襲ってやる」
「いいぞ」
「えっ」
そこで驚くな、馬鹿。
「俺はお前が好きだし、されること全部嬉しい。で、何してくれんの?」
「お前、やっぱり俺をからかってるだろ」
「あ、わかる?」
なんて、結構本気なんだけどな。
俺にどーゆー幻想抱いてるのか知らないが、中々手を出してこないし、壊れ物みたいに扱ってくる。
いっそのこと俺から襲った方がいいのかもしれないな……。でも、手を出す勇気がないっていうのはまた逆もしかりだろうから、今のところ同じだけ返すようにしてる。
だってリードする気満々なんだもん、こいつ。いきなり襲ったら絶対心臓が止まるに違いない。
この前なんて、扱かれたから扱き返しただけなのに、凄いショック受けてたしな。しかもそれから手を出して来ない。
襲ってくれるというのなら、願ったり叶ったりだ。
「連れ添って長いと怪しまれるし、キスだけ……」
支倉はそう言って、トイレの壁に俺を縫い付けながらかっこいい顔を近付けてきた。
トイレで壁ドン……。でも、普段使う場所でこういうことするの、倒錯的で興奮する。
俺はおとなしく受け身のままでいた。舌すら入れてこない支倉がもどかしい。
「お前、いくら俺が、その、こういうこと初めてだからって、そこまで遠慮するなよ」
「舌入れていいってこと?」
「聞くな、馬鹿」
「隆弘、可愛い……」
どっちが。ってか、上手い。やっぱ慣れてる。
俺は支倉の背中に手を回して、頑張ってキスに答えた。
熱い舌が口の中を掻き混ぜる。
「っ、ん……」
唇を離された時にはすっかり息が上がっていた。情けない。
「気持ち良かったか?」
対して奴は、余裕ありげにそんなことを訊いてくる。
「ああ」
「やっぱやめておけばよかった。トイレなのに、したくなる」
どうやら見た目よりは余裕がないらしい。少し安心した。
てか、このイケメンが俺なんかにがっついてくれるのは凄く嬉しい。
「トイレだからこそ、しとけば? 俺抜いてやるし」
「ば、馬鹿ッ。時間が」
「お前早いから平気だろ」
「もうそれは忘れろよ! ほら、戻るぞ」
「支倉」
「な……」
出ようとする支倉の肩を掴んで引き留める。そのまま身体を反転させ、今度は俺から口付けた。
「ッ……ん、う!?」
さっき奴が俺にしたように、たっぷりと口内を舐め回す。
膝で股間を刺激してみると、腰がびくりと揺れるのが見えて、確かにこれは止まらなくなりそうだと思った。
「下手だったらごめん。慣れてないもんで。じゃ、一緒に戻ってもアレだし、お先に。それ始末してから来いよ」
「っ、馬鹿……!」
蓋の閉まった洋式に支倉を座らせて、俺は個室を出た。
「腹痛だって言っておいてやるからな」
「お前、こんなことしやがって、報復楽しみにしてろ!」
「楽しみにしてる」
……ホントにな。ホントに、早く手を出して来いよ、支倉。
お前を抱きたいって言うきっかけが掴めない。
その時は頼むから、心臓は止めてくれるなよ。
「だから、違うって!」
会社のトイレ。
支倉の隣で用を足しながら言ってやると、思い切り睨まれた。
「あれは、お前が相手だったから、普段はあんなんじゃ」
「そうだよな。イケメン様はさぞかし経験がおありだろうし」
「その経験がまったく役に立たないほど、お前に惚れてるってことだよ」
やっぱり手慣れてるじゃないか。気障な奴だな。
からかうのは楽しいが、支倉に経験が多いのはやっぱり気分が良くない。
「早漏」
「だーかーらー」
「そう怒るなよ。こんな風にお前をからかえるなんて、滅多にないんだしさ」
用を足し終えた瞬間、俺は奴に手を引かれ個室に連れ込まれた。
「あまりからかうなら、俺にも考えがある」
「どんな」
「ここで襲ってやる」
「いいぞ」
「えっ」
そこで驚くな、馬鹿。
「俺はお前が好きだし、されること全部嬉しい。で、何してくれんの?」
「お前、やっぱり俺をからかってるだろ」
「あ、わかる?」
なんて、結構本気なんだけどな。
俺にどーゆー幻想抱いてるのか知らないが、中々手を出してこないし、壊れ物みたいに扱ってくる。
いっそのこと俺から襲った方がいいのかもしれないな……。でも、手を出す勇気がないっていうのはまた逆もしかりだろうから、今のところ同じだけ返すようにしてる。
だってリードする気満々なんだもん、こいつ。いきなり襲ったら絶対心臓が止まるに違いない。
この前なんて、扱かれたから扱き返しただけなのに、凄いショック受けてたしな。しかもそれから手を出して来ない。
襲ってくれるというのなら、願ったり叶ったりだ。
「連れ添って長いと怪しまれるし、キスだけ……」
支倉はそう言って、トイレの壁に俺を縫い付けながらかっこいい顔を近付けてきた。
トイレで壁ドン……。でも、普段使う場所でこういうことするの、倒錯的で興奮する。
俺はおとなしく受け身のままでいた。舌すら入れてこない支倉がもどかしい。
「お前、いくら俺が、その、こういうこと初めてだからって、そこまで遠慮するなよ」
「舌入れていいってこと?」
「聞くな、馬鹿」
「隆弘、可愛い……」
どっちが。ってか、上手い。やっぱ慣れてる。
俺は支倉の背中に手を回して、頑張ってキスに答えた。
熱い舌が口の中を掻き混ぜる。
「っ、ん……」
唇を離された時にはすっかり息が上がっていた。情けない。
「気持ち良かったか?」
対して奴は、余裕ありげにそんなことを訊いてくる。
「ああ」
「やっぱやめておけばよかった。トイレなのに、したくなる」
どうやら見た目よりは余裕がないらしい。少し安心した。
てか、このイケメンが俺なんかにがっついてくれるのは凄く嬉しい。
「トイレだからこそ、しとけば? 俺抜いてやるし」
「ば、馬鹿ッ。時間が」
「お前早いから平気だろ」
「もうそれは忘れろよ! ほら、戻るぞ」
「支倉」
「な……」
出ようとする支倉の肩を掴んで引き留める。そのまま身体を反転させ、今度は俺から口付けた。
「ッ……ん、う!?」
さっき奴が俺にしたように、たっぷりと口内を舐め回す。
膝で股間を刺激してみると、腰がびくりと揺れるのが見えて、確かにこれは止まらなくなりそうだと思った。
「下手だったらごめん。慣れてないもんで。じゃ、一緒に戻ってもアレだし、お先に。それ始末してから来いよ」
「っ、馬鹿……!」
蓋の閉まった洋式に支倉を座らせて、俺は個室を出た。
「腹痛だって言っておいてやるからな」
「お前、こんなことしやがって、報復楽しみにしてろ!」
「楽しみにしてる」
……ホントにな。ホントに、早く手を出して来いよ、支倉。
お前を抱きたいって言うきっかけが掴めない。
その時は頼むから、心臓は止めてくれるなよ。
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