76 / 77
next stage
最終回〜 恋ができないわけがない
next stage
あの夜から、もう1ヶ月、、、
季節は少しずつ秋めいてきて、栞里ちゃんの中学校でも新学期がはじまってるし、ぼくの大学生活最後の夏休みも、もうすぐ終わる。
栞里ちゃんとはほとんど毎日、メールかメッセージで連絡をとり合ってる。
『今日は学校でこんな事があったよ。こんな事したよ』
なんでもない日常の些細な出来事を、栞里ちゃんは綴ってくる。
ぼくも、ふだんの出来事の他に、新しい漫画やイラストのネタ(全年齢限定)なんかを、見せたりしてる。
学校裏サイトはしばらく、栞里ちゃんの噂話でもちきりだった。
『死檻のやつ、ブログイメチェンしてる。なにがあったんだ?』
『あのフレンドって何者? 彼氏?』
『記事が時々閲覧できる様になったな』
こんな、トイレの落書きみたいなサイトなんて、もう気にもしてないかの様に、栞里ちゃんはブログに楽しいできごとを綴る様になり、そういう記事は一般公開する様にしていた。
そんな彼女をからかうのがつまらなくなったのか、裏サイトでの誹謗中傷も、少しずつ収まっていった。
栞里ちゃんは、やっぱり強い。
自分の力で前向きに進むパワーがある。
ぼくなんかがいなくても、ちゃんとやっていける。
ちょっと掲示板に悪口書かれて凹む様なヘタレな自分の方が、むしろ支えられてる気がする。
そんな事を彼女にこぼすと、『お兄ちゃんがいたから、それができる様になったんだよ』って言われた。
8歳も年下の中学生から慰められるなんて、、、
彼女ができても、やっぱりヘタレは変わんないな、自分、、、 orz
同人誌即売イベントに参加する時、栞里ちゃんは必ず手伝いに来てくれる。
本が売れた時の『握手会』も、すっかりうちのサークルの定番イベントになってしまって、夏コミ合わせで作った本も早々と在庫がなくなり、増刷しなきゃいけないくらいだった。
最近は彼女自身も、コスプレにハマッてきた。
『別の自分に変身できるのがいい』
って言って髪を伸ばしはじめ、ウィッグをつけたりメイクもあれこれ試したり、ゲーム画面を見てポージングを研究したりと、より高瀬みくに近づいてきた感じだ。
『リア恋plus』だけじゃなく、人気ボーカロイドキャラの『初音ミク』もやる様になったけど、、、
さすがにあのロングツインテは、、、 もっ、萌える!!
だけどぼくは、会場内では彼女の写真を撮らない様にした。
自分的に、恋人が他の男に写真撮られてるのを見るのって、やっぱり愉快じゃない。
だから、撮影したい時は、ロケ場所を探して出かけたり、コスプレ専用のスタジオを借りたりして、ふたりだけでじっくり撮る事にしてる。
栞里ちゃんもその辺は心得てるみたいで、ぼく以外のカメコと個人撮影はしない。
誘われても、全部お断りしてるのだ。
個人撮影は、ぼくだけの特権。
そんなスペシャル感が、『恋人同士なんだな~』って実感できるかな。
『オレもそろそろ、ちゃんと彼女作って、おまえみたいに育ててみようかな。なんか育成ゲームみたいで、萌えるじゃん』
と、ヨシキはぼくたちの事を茶化すが、育てられてるのは、実はぼくの方な気がする(笑)。
ぼくの服は栞里ちゃんが選んでくれるし、髪型なんかも彼女の意見を尊重してる。
オタクの自分より栞里ちゃんの方が、ずっとファッションに詳しいし、センスもいい。
ダイエットもさせられて、少しずつ男を磨かされてる感じ。
やっぱり、痩せるとからだも軽くなるし、服のラインも綺麗に見えるし、彼女にも気に入ってもらえるしで、いいことだらけかも。
人はだれでも、一生の間にひとつは、自分だけの物語を作れるという。
よくわかった。
現実から逃げ出せば、物語もはじまらないって事が。
ぼくには漫画。オタクというアイデンティティしかない。
それでも全然、いいんだ。
ヨシキから叱咤激励され、ヘタレながらもなんとか前向きになれたから、デブサキモヲタなぼくでも、こうして栞里ちゃんと恋ができた。
ぼくと栞里ちゃんの物語は、まだはじまったばかりだ(と思いたい)けど、新しい、素晴らしいステージが、目の前にはいくつも続いてるはずだ。
そう信じて、ぼくは次のステージをめざす。
栞里ちゃんといっしょに、、、
END
2012.7.28 初稿
2016.8.15 改稿
2018.1.14 改稿
2019.9.04 改稿
あの夜から、もう1ヶ月、、、
季節は少しずつ秋めいてきて、栞里ちゃんの中学校でも新学期がはじまってるし、ぼくの大学生活最後の夏休みも、もうすぐ終わる。
栞里ちゃんとはほとんど毎日、メールかメッセージで連絡をとり合ってる。
『今日は学校でこんな事があったよ。こんな事したよ』
なんでもない日常の些細な出来事を、栞里ちゃんは綴ってくる。
ぼくも、ふだんの出来事の他に、新しい漫画やイラストのネタ(全年齢限定)なんかを、見せたりしてる。
学校裏サイトはしばらく、栞里ちゃんの噂話でもちきりだった。
『死檻のやつ、ブログイメチェンしてる。なにがあったんだ?』
『あのフレンドって何者? 彼氏?』
『記事が時々閲覧できる様になったな』
こんな、トイレの落書きみたいなサイトなんて、もう気にもしてないかの様に、栞里ちゃんはブログに楽しいできごとを綴る様になり、そういう記事は一般公開する様にしていた。
そんな彼女をからかうのがつまらなくなったのか、裏サイトでの誹謗中傷も、少しずつ収まっていった。
栞里ちゃんは、やっぱり強い。
自分の力で前向きに進むパワーがある。
ぼくなんかがいなくても、ちゃんとやっていける。
ちょっと掲示板に悪口書かれて凹む様なヘタレな自分の方が、むしろ支えられてる気がする。
そんな事を彼女にこぼすと、『お兄ちゃんがいたから、それができる様になったんだよ』って言われた。
8歳も年下の中学生から慰められるなんて、、、
彼女ができても、やっぱりヘタレは変わんないな、自分、、、 orz
同人誌即売イベントに参加する時、栞里ちゃんは必ず手伝いに来てくれる。
本が売れた時の『握手会』も、すっかりうちのサークルの定番イベントになってしまって、夏コミ合わせで作った本も早々と在庫がなくなり、増刷しなきゃいけないくらいだった。
最近は彼女自身も、コスプレにハマッてきた。
『別の自分に変身できるのがいい』
って言って髪を伸ばしはじめ、ウィッグをつけたりメイクもあれこれ試したり、ゲーム画面を見てポージングを研究したりと、より高瀬みくに近づいてきた感じだ。
『リア恋plus』だけじゃなく、人気ボーカロイドキャラの『初音ミク』もやる様になったけど、、、
さすがにあのロングツインテは、、、 もっ、萌える!!
だけどぼくは、会場内では彼女の写真を撮らない様にした。
自分的に、恋人が他の男に写真撮られてるのを見るのって、やっぱり愉快じゃない。
だから、撮影したい時は、ロケ場所を探して出かけたり、コスプレ専用のスタジオを借りたりして、ふたりだけでじっくり撮る事にしてる。
栞里ちゃんもその辺は心得てるみたいで、ぼく以外のカメコと個人撮影はしない。
誘われても、全部お断りしてるのだ。
個人撮影は、ぼくだけの特権。
そんなスペシャル感が、『恋人同士なんだな~』って実感できるかな。
『オレもそろそろ、ちゃんと彼女作って、おまえみたいに育ててみようかな。なんか育成ゲームみたいで、萌えるじゃん』
と、ヨシキはぼくたちの事を茶化すが、育てられてるのは、実はぼくの方な気がする(笑)。
ぼくの服は栞里ちゃんが選んでくれるし、髪型なんかも彼女の意見を尊重してる。
オタクの自分より栞里ちゃんの方が、ずっとファッションに詳しいし、センスもいい。
ダイエットもさせられて、少しずつ男を磨かされてる感じ。
やっぱり、痩せるとからだも軽くなるし、服のラインも綺麗に見えるし、彼女にも気に入ってもらえるしで、いいことだらけかも。
人はだれでも、一生の間にひとつは、自分だけの物語を作れるという。
よくわかった。
現実から逃げ出せば、物語もはじまらないって事が。
ぼくには漫画。オタクというアイデンティティしかない。
それでも全然、いいんだ。
ヨシキから叱咤激励され、ヘタレながらもなんとか前向きになれたから、デブサキモヲタなぼくでも、こうして栞里ちゃんと恋ができた。
ぼくと栞里ちゃんの物語は、まだはじまったばかりだ(と思いたい)けど、新しい、素晴らしいステージが、目の前にはいくつも続いてるはずだ。
そう信じて、ぼくは次のステージをめざす。
栞里ちゃんといっしょに、、、
END
2012.7.28 初稿
2016.8.15 改稿
2018.1.14 改稿
2019.9.04 改稿
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件
こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
**俺、東大院生の実験対象にされてた。**同居している美人家庭教師のやばい秘密
まさき
恋愛
俺は今、東大院生の実験対象になっている。
ある雨の夜、アパートの前にずぶ濡れの美女が立っていた。
「家庭教師です。住まわせてください」
突然すぎる申し出に困惑しながらも、なぜか断れなかった。
桐島咲楽、東大大学院生。成績は天才、料理は壊滅的、距離感はおかしい。毎日転ぶ、焦がす、なぜか距離が近い。そのくせ授業は鬼のように丁寧で、俺のことを誰よりもよく見ていた。
偏差値42だった俺の成績は、気づけば上がっていた。でも、それより気になることがある。
咲楽さんが、研究ノートに何かを書いている。「被験者」という文字が、見えた気がした。
距離が近いのは、データのためか。褒めてくれるのは、実験のためか。でも、あの顔は。あの声は。
「データじゃなくて、私がそう思っています」
嘘をついているような顔じゃなかった。
偏差値42の俺に、東大院生の美女が押しかけてきた。ドタバタな毎日の中で、俺の心臓が休まる暇がない。これはドキドキなのか、心配なのか。それとも、もう恋なのか。
不器用な天才と、鈍感な高校生の、やばい同居生活。
俺をフッた女子に拉致されて、逃げ場のない同棲生活が始まりました
ちくわ食べます
キャラ文芸
大学のサークル飲み会。
意を決して想いを告げた相手は、学内でも有名な人気女子・一ノ瀬さくら。
しかし返ってきたのは――
「今はちょっと……」という、曖昧な言葉だった。
完全にフラれたと思い込んで落ち込む俺。
その3日後――なぜか自分のアパートに入れなくなっていた。
妻に不倫され間男にクビ宣告された俺、宝くじ10億円当たって防音タワマンでバ美肉VTuberデビューしたら人生爆逆転
小林一咲
ライト文芸
不倫妻に捨てられ、会社もクビ。
人生の底に落ちたアラフォー社畜・恩塚聖士は、偶然買った宝くじで“非課税10億円”を当ててしまう。
防音タワマン、最強機材、そしてバ美肉VTuber「姫宮みこと」として新たな人生が始まる。
どん底からの逆転劇は、やがて裏切った者たちの運命も巻き込んでいく――。