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1st sense
1st sense 2
「静かに。静かに!」
“パンパン”と両手を叩いてざわつくみんなを静めると、井上先生は固い表情のまま言う。
「詳細についてはまた連絡が入ると思いますが、通夜会場は駅裏の本町斎場。制服のままでいいので、みんな出席して下さい。
<は? 先生、冗談はやめて下さい! あたしここにいるじゃないですかっ!!>
「…喪章はそれまでに学校で用意しておいて、終礼のときに渡します」
<先生?!>
「香典などの準備は必要ありませんが…」
<先生っ!!>
こらえきれずに勢いよく席を立ち、あたしは抗議した。
しかし井上先生はこちらには目もくれず、あたしの『お通夜』について、説明を続けた。
いったいなんなの?!
わけわかんない!
ちょっと遅刻したからって、こんな冗談、悪質で陰険すぎる。
これは明らかにいじめだ!
先生が率先するクラスぐるみの。
いたたまれなくなり、あたしは机を蹴っ飛ばして走り出し、ドアを勢いよく開けて、教室を出ていった。だけどだれも、あたしを止めようとしないし、追いかけてもこない。
ほんっと腹立つ!
そりゃあたしは、ちょっとわがままで気の強いとこあって、ケンカもよくするけど、萌香やミクとは中学時代からの親友だし、いじめられたりハブられたりするキャラじゃないはず。
そういえば同じクラスに、典型的ないじめられっ子がいたっけ。
如月摩耶っていう、ネクラ陰キャで不思議系の子が。
すっごい美少女のくせに、いつもおどおどしてて、気が弱そうで、空気みたいに薄くて目立たない存在。なに考えてるかわかんないし、なにより言動がおかしい。
意味不明なことを口走ったり、突然怯えて逃げ出したりと、かなりキョドってる。
そんな彼女がハブられイジメられるのはまあわかるけど、ふつーの女子高生してるあたしがなぜ、、、
そのときはテンパってたから気づかなかったけど、教室の一番隅の机から、その如月摩耶が、じっとあたしの行く先を見つめていたのだった。
わけわからずに教室を飛び出したあたしは、行くあてもなく、廊下を呆然と彷徨った。
休み時間になったのか、教室からは大勢の生徒が廊下へと溢れ出してくる。
そんな人ごみのなかを、あたしはうろついていた。
だけどだれも、あたしに気づきもしない。
すれ違った友達の何人かに声かけてみたけど、だれもあたしのことを振り向きもしない。
、、、やっと気がついた。
そういえば、あたしの回りは静寂に包まれてる。
教室も廊下も、みんなの笑い声や足音なんかで騒々しいはずなのに、その音はちゃんと聞こえてくることはなく、まるで遥か遠くでこだまのように響いてるだけ。
『なに、、 どうなってんの?』
思わずつぶやき、あたしは足がすくんだ。
なにかがおかしい。
ようやくあたしは、自分の置かれた状況の異常さに気づいた。
あたしを囲む世界は、今までとどこか違ってる。
うまくは言えないけど、あたしと、それ以外の人たちは、目に見えない透明な境界で隔たれてるみたい。
存在してる次元が違うっていうか、、、
言いようのない絶望と孤独。
よく目を凝らして回りを見れば、教室の隅や校庭の端の雑草の茂みなんかに、小さいけど真っ黒な得体の知れない物体が、フワフワと漂ってる。
なんなの? これ。
その物体は、煙のようにも見えるものもあれば、人の形をしてるものもある。
なんだか、見てはいけないものを見た感じ。
慌ててわたしは、教室の方へ視線をそらした。
だけど、その光景も異様だった。
教室には日差しがいっぱいに差し込んでるはずなのに、まるで靄がかかったように、淡くかすんでる。
窓から見える空は灰色に濁り、遠くの町並みも重苦しいモノトーンで、この世のものとは思われない陰惨な光景。
いったい、いつからこんな景色になってしまったの?
そう……
今朝学校へ来る途中で、ブラックアウトしてからだ。
なんなの、これ?
怖い、、、
だれか、助けて。
このわけわかんない世界から、あたしを救い出して!
つづく
“パンパン”と両手を叩いてざわつくみんなを静めると、井上先生は固い表情のまま言う。
「詳細についてはまた連絡が入ると思いますが、通夜会場は駅裏の本町斎場。制服のままでいいので、みんな出席して下さい。
<は? 先生、冗談はやめて下さい! あたしここにいるじゃないですかっ!!>
「…喪章はそれまでに学校で用意しておいて、終礼のときに渡します」
<先生?!>
「香典などの準備は必要ありませんが…」
<先生っ!!>
こらえきれずに勢いよく席を立ち、あたしは抗議した。
しかし井上先生はこちらには目もくれず、あたしの『お通夜』について、説明を続けた。
いったいなんなの?!
わけわかんない!
ちょっと遅刻したからって、こんな冗談、悪質で陰険すぎる。
これは明らかにいじめだ!
先生が率先するクラスぐるみの。
いたたまれなくなり、あたしは机を蹴っ飛ばして走り出し、ドアを勢いよく開けて、教室を出ていった。だけどだれも、あたしを止めようとしないし、追いかけてもこない。
ほんっと腹立つ!
そりゃあたしは、ちょっとわがままで気の強いとこあって、ケンカもよくするけど、萌香やミクとは中学時代からの親友だし、いじめられたりハブられたりするキャラじゃないはず。
そういえば同じクラスに、典型的ないじめられっ子がいたっけ。
如月摩耶っていう、ネクラ陰キャで不思議系の子が。
すっごい美少女のくせに、いつもおどおどしてて、気が弱そうで、空気みたいに薄くて目立たない存在。なに考えてるかわかんないし、なにより言動がおかしい。
意味不明なことを口走ったり、突然怯えて逃げ出したりと、かなりキョドってる。
そんな彼女がハブられイジメられるのはまあわかるけど、ふつーの女子高生してるあたしがなぜ、、、
そのときはテンパってたから気づかなかったけど、教室の一番隅の机から、その如月摩耶が、じっとあたしの行く先を見つめていたのだった。
わけわからずに教室を飛び出したあたしは、行くあてもなく、廊下を呆然と彷徨った。
休み時間になったのか、教室からは大勢の生徒が廊下へと溢れ出してくる。
そんな人ごみのなかを、あたしはうろついていた。
だけどだれも、あたしに気づきもしない。
すれ違った友達の何人かに声かけてみたけど、だれもあたしのことを振り向きもしない。
、、、やっと気がついた。
そういえば、あたしの回りは静寂に包まれてる。
教室も廊下も、みんなの笑い声や足音なんかで騒々しいはずなのに、その音はちゃんと聞こえてくることはなく、まるで遥か遠くでこだまのように響いてるだけ。
『なに、、 どうなってんの?』
思わずつぶやき、あたしは足がすくんだ。
なにかがおかしい。
ようやくあたしは、自分の置かれた状況の異常さに気づいた。
あたしを囲む世界は、今までとどこか違ってる。
うまくは言えないけど、あたしと、それ以外の人たちは、目に見えない透明な境界で隔たれてるみたい。
存在してる次元が違うっていうか、、、
言いようのない絶望と孤独。
よく目を凝らして回りを見れば、教室の隅や校庭の端の雑草の茂みなんかに、小さいけど真っ黒な得体の知れない物体が、フワフワと漂ってる。
なんなの? これ。
その物体は、煙のようにも見えるものもあれば、人の形をしてるものもある。
なんだか、見てはいけないものを見た感じ。
慌ててわたしは、教室の方へ視線をそらした。
だけど、その光景も異様だった。
教室には日差しがいっぱいに差し込んでるはずなのに、まるで靄がかかったように、淡くかすんでる。
窓から見える空は灰色に濁り、遠くの町並みも重苦しいモノトーンで、この世のものとは思われない陰惨な光景。
いったい、いつからこんな景色になってしまったの?
そう……
今朝学校へ来る途中で、ブラックアウトしてからだ。
なんなの、これ?
怖い、、、
だれか、助けて。
このわけわかんない世界から、あたしを救い出して!
つづく
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