ブラックアウトガール

茉莉 佳

文字の大きさ
3 / 70
1st sense

1st sense 3

 どうすればいいかもわからず、途方に暮れてたあたしの足は、フラフラと自分の教室に向かってた。
だけどどうしても、中に入る勇気が湧かない。
教室のドアの隣に、あたしは力なくしゃがみ込む。
休み時間が終わったらしく、みんなゾロゾロと教室に戻ってくる。
だれかひとりくらいは、気づいてくれるかもしれない。
あたしは片っ端から、通り過ぎる人に声をかけていった。
ミクと萌香が話しながら、向こうからやってくる。
ふたりとも中学時代からの親友で、いつもつるんでる仲。
だれかの家に上がり込んで、徹夜で恋バナだって、よくやってるし。
今日の放課後だって、いつものショッピングモールに行って、いつものカフェでお茶しながら、航平くんのことをたっぷり話すつもりにしてた。
ふたりともすっごく気が合ってて、テレパシー通じてるんじゃないかってくらい、おんなじこと考えたり、言ったりすることあった。
だったら今のあたしも、このふたりにならきっと気づいてもらえるはず。
そして、この変な状況をわかってくれるはず、、、

<ミク。萌香。
あたし。あずさだよ。
ミク? 萌香?
あたしのこと、わからないの?!
ミクっ! 萌香ぁ!
シカトしないでよ!!
ふたりとも~っ!!!>
声を枯らして話しかけたけど、ミクも萌香もあたしに目もくれず、ここにいることさえ気づかない様子で、教室に入っていく。
始業のベルが鳴り、みんないなくなる。
結局だれにも、あたしの声は届かず、振り返ってくれる人はいなかった。

、、、へこむ。

途方に暮れて、あたしはその場にへたり込んだ。
肩を落としてうつむく。
あたし、これから、、、 どうすればいいんだろう。

「酒井… さん?」

静まり返った廊下に、あたしの名前を呼ぶ声が、かすかな鈴ののように響いた。
ふと、顔を上げると、そこに立っていたのは、例の陰キャのいじめられっ子、如月摩耶だった。
おどおどとした態度で、彼女は心配そうにあたしを見下ろしていた。

「え、、、 如月、摩耶?! あなた、、、 あたしのことが、わかるの?」
「…」

なにも言わず、彼女は小さくうなずいた。
あたしのこと、ちゃんと見える人がいたんだ!
それが変人と言われてる彼女でも、嬉しい!!
まるで生まれる前からの親友みたいに感じる!!!

<嬉しいっ。如月さんっ!>

喜びのあまり、あたしは勢いよく立ち上がって、如月をハグしようと両手を広げて駆け寄った。

えっ?

両腕が虚しくくうを切った。
そして、映画の3D映像のように、あたしは彼女をすり抜けて、そのうしろに立っていた。

「どうして、、、」

わけわかんないまま、あたしは振り返って彼女を見つめた。

「…すみません。気分が悪いので、保健室に行ってきます」

ちらりとあたしを見た如月は、いったん教室に入ってクラス委員にそう言うと、『こっちへ』とでも言うように小さくアイコンタクトをとって、廊下を歩きはじめた。
あたしもそのあとをついていく。
階段を下り、1Fの突き当たりのドアを開け、冷たく白い無機質な壁で囲まれた保健室に入った如月は、立ち止まってあたしを振り返ると、ぎこちない小さな声で言った。

「落ち着いて、聞いてください。
酒井さん。
あなたは、もう、死んで、いるのです」
<え? なにわけわかんないこと言ってるの?>
「やはり、気づいていなかったのですね」
<は? どういうこと??>
「即死。だったらしいです」
<即死?>
「今朝、登校の途中、通りに飛び出したあなたは、クルマにはねられて…
今日の6時からお通夜で、お葬式も明日の午後に行われるそうです」
<はねられたって。死んだって、、、
あたしはそんな実感ないんだけど。現に今こうして、あなたと喋ってるじゃない?>
「わたしには… 見えるんです」
<なにが?>
「…死んだ人が」
<…>

つづく
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

母の下着 タンスと洗濯籠の秘密

MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。 颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。 物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。 しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。 センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。 これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。 どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件

こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。 その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。 全7話

中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語

jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
 中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ  ★作品はマリーの語り、一人称で進行します。