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1st sense
1st sense 3
どうすればいいかもわからず、途方に暮れてたあたしの足は、フラフラと自分の教室に向かってた。
だけどどうしても、中に入る勇気が湧かない。
教室のドアの隣に、あたしは力なくしゃがみ込む。
休み時間が終わったらしく、みんなゾロゾロと教室に戻ってくる。
だれかひとりくらいは、気づいてくれるかもしれない。
あたしは片っ端から、通り過ぎる人に声をかけていった。
ミクと萌香が話しながら、向こうからやってくる。
ふたりとも中学時代からの親友で、いつもつるんでる仲。
だれかの家に上がり込んで、徹夜で恋バナだって、よくやってるし。
今日の放課後だって、いつものショッピングモールに行って、いつものカフェでお茶しながら、航平くんのことをたっぷり話すつもりにしてた。
ふたりともすっごく気が合ってて、テレパシー通じてるんじゃないかってくらい、おんなじこと考えたり、言ったりすることあった。
だったら今のあたしも、このふたりにならきっと気づいてもらえるはず。
そして、この変な状況をわかってくれるはず、、、
<ミク。萌香。
あたし。あずさだよ。
ミク? 萌香?
あたしのこと、わからないの?!
ミクっ! 萌香ぁ!
シカトしないでよ!!
ふたりとも~っ!!!>
声を枯らして話しかけたけど、ミクも萌香もあたしに目もくれず、ここにいることさえ気づかない様子で、教室に入っていく。
始業のベルが鳴り、みんないなくなる。
結局だれにも、あたしの声は届かず、振り返ってくれる人はいなかった。
、、、へこむ。
途方に暮れて、あたしはその場にへたり込んだ。
肩を落としてうつむく。
あたし、これから、、、 どうすればいいんだろう。
「酒井… さん?」
静まり返った廊下に、あたしの名前を呼ぶ声が、かすかな鈴の音のように響いた。
ふと、顔を上げると、そこに立っていたのは、例の陰キャのいじめられっ子、如月摩耶だった。
おどおどとした態度で、彼女は心配そうにあたしを見下ろしていた。
「え、、、 如月、摩耶?! あなた、、、 あたしのことが、わかるの?」
「…」
なにも言わず、彼女は小さくうなずいた。
あたしのこと、ちゃんと見える人がいたんだ!
それが変人と言われてる彼女でも、嬉しい!!
まるで生まれる前からの親友みたいに感じる!!!
<嬉しいっ。如月さんっ!>
喜びのあまり、あたしは勢いよく立ち上がって、如月をハグしようと両手を広げて駆け寄った。
えっ?
両腕が虚しく空を切った。
そして、映画の3D映像のように、あたしは彼女をすり抜けて、そのうしろに立っていた。
「どうして、、、」
わけわかんないまま、あたしは振り返って彼女を見つめた。
「…すみません。気分が悪いので、保健室に行ってきます」
ちらりとあたしを見た如月は、いったん教室に入ってクラス委員にそう言うと、『こっちへ』とでも言うように小さくアイコンタクトをとって、廊下を歩きはじめた。
あたしもそのあとをついていく。
階段を下り、1Fの突き当たりのドアを開け、冷たく白い無機質な壁で囲まれた保健室に入った如月は、立ち止まってあたしを振り返ると、ぎこちない小さな声で言った。
「落ち着いて、聞いてください。
酒井さん。
あなたは、もう、死んで、いるのです」
<え? なにわけわかんないこと言ってるの?>
「やはり、気づいていなかったのですね」
<は? どういうこと??>
「即死。だったらしいです」
<即死?>
「今朝、登校の途中、通りに飛び出したあなたは、クルマにはねられて…
今日の6時からお通夜で、お葬式も明日の午後に行われるそうです」
<はねられたって。死んだって、、、
あたしはそんな実感ないんだけど。現に今こうして、あなたと喋ってるじゃない?>
「わたしには… 見えるんです」
<なにが?>
「…死んだ人が」
<…>
つづく
だけどどうしても、中に入る勇気が湧かない。
教室のドアの隣に、あたしは力なくしゃがみ込む。
休み時間が終わったらしく、みんなゾロゾロと教室に戻ってくる。
だれかひとりくらいは、気づいてくれるかもしれない。
あたしは片っ端から、通り過ぎる人に声をかけていった。
ミクと萌香が話しながら、向こうからやってくる。
ふたりとも中学時代からの親友で、いつもつるんでる仲。
だれかの家に上がり込んで、徹夜で恋バナだって、よくやってるし。
今日の放課後だって、いつものショッピングモールに行って、いつものカフェでお茶しながら、航平くんのことをたっぷり話すつもりにしてた。
ふたりともすっごく気が合ってて、テレパシー通じてるんじゃないかってくらい、おんなじこと考えたり、言ったりすることあった。
だったら今のあたしも、このふたりにならきっと気づいてもらえるはず。
そして、この変な状況をわかってくれるはず、、、
<ミク。萌香。
あたし。あずさだよ。
ミク? 萌香?
あたしのこと、わからないの?!
ミクっ! 萌香ぁ!
シカトしないでよ!!
ふたりとも~っ!!!>
声を枯らして話しかけたけど、ミクも萌香もあたしに目もくれず、ここにいることさえ気づかない様子で、教室に入っていく。
始業のベルが鳴り、みんないなくなる。
結局だれにも、あたしの声は届かず、振り返ってくれる人はいなかった。
、、、へこむ。
途方に暮れて、あたしはその場にへたり込んだ。
肩を落としてうつむく。
あたし、これから、、、 どうすればいいんだろう。
「酒井… さん?」
静まり返った廊下に、あたしの名前を呼ぶ声が、かすかな鈴の音のように響いた。
ふと、顔を上げると、そこに立っていたのは、例の陰キャのいじめられっ子、如月摩耶だった。
おどおどとした態度で、彼女は心配そうにあたしを見下ろしていた。
「え、、、 如月、摩耶?! あなた、、、 あたしのことが、わかるの?」
「…」
なにも言わず、彼女は小さくうなずいた。
あたしのこと、ちゃんと見える人がいたんだ!
それが変人と言われてる彼女でも、嬉しい!!
まるで生まれる前からの親友みたいに感じる!!!
<嬉しいっ。如月さんっ!>
喜びのあまり、あたしは勢いよく立ち上がって、如月をハグしようと両手を広げて駆け寄った。
えっ?
両腕が虚しく空を切った。
そして、映画の3D映像のように、あたしは彼女をすり抜けて、そのうしろに立っていた。
「どうして、、、」
わけわかんないまま、あたしは振り返って彼女を見つめた。
「…すみません。気分が悪いので、保健室に行ってきます」
ちらりとあたしを見た如月は、いったん教室に入ってクラス委員にそう言うと、『こっちへ』とでも言うように小さくアイコンタクトをとって、廊下を歩きはじめた。
あたしもそのあとをついていく。
階段を下り、1Fの突き当たりのドアを開け、冷たく白い無機質な壁で囲まれた保健室に入った如月は、立ち止まってあたしを振り返ると、ぎこちない小さな声で言った。
「落ち着いて、聞いてください。
酒井さん。
あなたは、もう、死んで、いるのです」
<え? なにわけわかんないこと言ってるの?>
「やはり、気づいていなかったのですね」
<は? どういうこと??>
「即死。だったらしいです」
<即死?>
「今朝、登校の途中、通りに飛び出したあなたは、クルマにはねられて…
今日の6時からお通夜で、お葬式も明日の午後に行われるそうです」
<はねられたって。死んだって、、、
あたしはそんな実感ないんだけど。現に今こうして、あなたと喋ってるじゃない?>
「わたしには… 見えるんです」
<なにが?>
「…死んだ人が」
<…>
つづく
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