ブラックアウトガール

茉莉 佳

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4th sense

4th sense 6

 そうやって、航平くんの側にずっときまとって、しばらく経った頃だった。
いつもなら、下校時間ギリギリまでバトミントンの練習を一生懸命やってる航平くんが、その日は部活もそこそこに切り上げて、ひとりで帰ってしまった。
帰り道も急ぎ足で、お決まりのコンビニに寄ることもなく、まっすぐ家を目指してる。
玄関に入ると、靴を脱ぐのももどかしいように、二階の自分の部屋に駆け込んだ航平くんは、制服のブレザーを脱ぎながら、パソコンの電源を入れた。

モニターを見ながら、熱心になにかをカチカチ、クリックしてる。

『なに見てるんだろう?』

そう思いながら、あたしは隣から画面を覗き込んだ。

えっ?
これって、、、

画面いっぱいに映し出されてるのは、あたしの写真だった。
これ、、、
見覚えがある。

確か、去年の夏の宿泊研修で、海に行ったときの写真。
自由時間のときになぎさで砂遊びをしてるとこを、カメラマンさんが撮ってくれたものだ。
萌香が砂浜に寝転んでて、あたしとミクが砂をかけて埋めてるやつ。
四つん這いになってキャイキャイ言ってるところをいきなり撮られたから、ちゃんとポーズ作るヒマもなくて、あたしもミクも妙にセクシーな格好で写ってしまったという、みんなの間で盛り上がった衝撃お色気写真だ。
なんでそれを、航平くんが持ってるの?

ディスプレイに表示されてた画像を、航平くんはパソコンのツールを使って、あたしだけをトリミングし、A4の紙いっぱいにプリントアウトした。
水に濡れたスクール水着と砂にまみれた太腿が、テカテカ光ってて、すごくなまめかしい。
四つん這いでこっち向いてるせいで、胸の谷間がくっきり写ってて、くびれた腰と高くあげたおしりのラインが、男子がよく見てる雑誌のグラビアみたいに、エロっぽい。

こんなセクシーポーズを大きくプリントされるなんて、、、
恥ずかしいよぉ~。

想いに耽るように、航平くんはしばらくプリントを見つめていたが、目を閉じるとゆっくりと顔を近づけ、紙の上のあたしにキスをした。

え~~~~~っ!!!

せつない、、、
切なすぎるよ!

あたしだって、航平くんとキスしたいよ。
あたしも実は、このときの航平くんの写真、持ってるんだ。
販売用に張り出されてた写真のなかで、いちばんカッコよく写ってた、上半身はだかの航平くんの写真。
もちろん自分じゃ買えるわけないから、ミクから男子に頼んで買ってもらって、アルバムに入れてある。
航平くんも誰かに根回しして、この写真ゲットしたんだろな。

胸が熱い。
涙が出そう。
今なら航平くんに、この想いが届きそう。

<航平くん!>

あたしは力いっぱい叫んでみた。
それに気づかず、航平くんは写真に見入ったまま。

<航平くんっ!!!!>

思いっきり大きな声で、あたしは航平くんの名前を呼んだ。

「…え?」

小さくつぶやき、航平くんは写真から目を離し、周囲を見渡した。

えっ??

驚いたのはこっちの方だ!
もしかして、あたしの声が航平くんに届いたの?
そうだとしたら、、、

<航平くん航平くん!!
あたしはここ!
酒井あずさはここにいるわ!!
航平くんのすぐ隣にいるのよっ!!!>

あたしは必死に訴えた。
航平くんはまだ、訝しげに周囲を見回してる。
わたしのことを想ってくれてる今、ふたりの気持ちがシンクロしてるに違いない。
今、この瞬間なら、航平くんとコンタクトできるかもしれない!

航平くんはしばらく、キョロキョロと周りを気にしていた。
しかし、しばらくすると机の本棚からクリアファイルを取り出し、プリントを仕舞って、気を取り直すように教科書を広げた。

、、、もう。
あたしの声は聞こえないのか、、、、、、、、
残念。

でも、今日はさらに希望が見えてきた。
とりあえずあたしは、その光に向かって、突き進むしかない。
もっと想いが昂じれば、航平くんはきっと、あたしに気づいてくれるはず!
それを信じて、あたしはいつでも航平くんの側にピッタリ、き添ってるしかないんだ!!

つづく
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