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5th sense
5th sense 5
口を噤んだまま、航平くんはしばらく考えてたけど、コクリとうなずき、ひと言だけ言った。
「好き… だった。酒井さんのこと」
その言葉を聞いたミクはポロリと涙を流し、嬉しいような悲しいような顔で、無理矢理微笑みを作った。
「嬉しい。
ありがと、航平くん。
あずさは世界でいちばん、幸せよね。
あの子はもういないけど、今の航平くんの言葉を聞かせてあげたい」
<お~~~い。
あたしはここにいるぞ~~~っ!!
今の航平くんの言葉も、しっかり聞いたぞ~~~っ!!!>
思いっきり大きな声で、あたしはふたりに向かって叫んだ。
そりゃ、嬉しいよ。
航平くんから『好き』って、言葉にしてもらえるなんて。
嬉しくって、涙が出そうだよ。
ミクの言うとおり、あたしは世界でいちばん幸せ。
だけど、、、
なんか、複雑。
『航平くんとの恋を、なんとか叶えてやりたかった』だの、
『好き… だった。酒井さんのこと』だの。
な~んか、、、
全部、過去形。
『故人の思い出を語る』って感じなのが、気にくわない。
そりゃ、今のあたしはふたりにとってすでに過去の人だし、存在してる世界が違いすぎてるし、、、
やっぱりあたし、生きたかった。
生きて、航平くんに伝えたかった。
ミクが航平くんの気持ちを聞き出してくれたのは嬉しいけど、やっぱりあたし自身の言葉で、伝えたかった。
そのために、夜なべしてラブレターだって書いたのに、、、
「ねえ、航平くん、、、」
あたしの想いを遮るように、ミクは切り出した。
「…あずさに。キスして」
そう言ってミクは航平くんの目の前に立つと、憂いのある瞳で彼を見上げた。
えっ?
ち、ちょっとミク。
いったいどういうこと??
「あずさの想い、わたし、叶えてあげたいの。
あずさはずっと航平くんと結ばれたがってたから。
あずさの気持ちは、わたしが誰より、いちばんよく知ってる」
「…」
「だから、わたしのこと、あずさだと思って。ね。
…航平くん」
そう言うと、ミクは航平くんの二の腕に自分の手を重ね、目を閉じると、そのふっくらとした可愛い唇をかすかに緩め、航平くんに差し出した。
ちょっとちょっとちょっと~~~!
『あたしの代わり』なんて、そんなの頼んでないわよ!!
あんたは安藤未來で、酒井あずさなんかじゃないでしょ!!!
騙されないで航平くんっ!!!!
ミクとキスなんか、しないでっ!!!!!
「ミ、、、 いや。あずささん、、、」
ほのかに街のイルミネーションが照り返した、艶かしいミクの唇に魅入られたのか。
それともほんとに、彼女をあたしと錯覚したのか。
航平くんはゆっくりと、ミクに唇を近づけていった。
<やめて、航平くん~~~っ!!!>
「…」
ふたりの間に割って入って、あたしは思いっきり叫んだ。
しかし、そんな抵抗も虚しく、航平くんはミクに唇を重ねた。
「ん、んっ…」
可愛らしい声を漏らしながら、ミクは航平くんを受け入れ、その唇を貪った。
ちょっとぉ~~、ミクぅ~~!
変な声、出さないでよっ!!
あたし、まだ未経験なのに、いきなりそんな激しいキス、しないわよ~~~っ!!!
いったいどのくらい、そうしてただろ。
長いキスのあと、ようやくふたりのシルエットは、ゆっくりと離れた。
「、、、ごめん」
頬を染めながら、航平くんはうつむき、ひとこと言った。
目にいっぱいの涙を浮かべ、ミクは思いっきりかぶりを振る。
「あやまらないで。わたしは酒井あずさなんだから」
「安藤さん、、、」
「『あずさ』って呼んで」
「あ、あずさ。さん」
「ありがと、、」
「…」
「…これであずさも思い残すこと、ないと思う。
ありがと。航平くん」
照れくさそうに頬を染めながら、安藤未來は航平くんに微笑みかけた。
航平くんも清々しい笑みで、ミクを見つめてる。
思い残すこと、大ありだ~~~っ!
ミクの気持ちは嬉しいけど、キスをしたのは、あくまでミクと航平くん。
あたしじゃない!
もしかしてミク。
あんたの狙いは、これだったの?!
泣かせる台詞も涙も、みんな航平くんの気を惹くため?
、、、信じられない。
親友だったのにっ!
こうなったらもっともっと念を込めて、航平くんの前に現れてやる!
なんとしてでも、ほんとの酒井あずさを見せてやるっ!!
そしてほんとに、あたしが航平くんとキスしてやるんだからっ!!!
つづく
「好き… だった。酒井さんのこと」
その言葉を聞いたミクはポロリと涙を流し、嬉しいような悲しいような顔で、無理矢理微笑みを作った。
「嬉しい。
ありがと、航平くん。
あずさは世界でいちばん、幸せよね。
あの子はもういないけど、今の航平くんの言葉を聞かせてあげたい」
<お~~~い。
あたしはここにいるぞ~~~っ!!
今の航平くんの言葉も、しっかり聞いたぞ~~~っ!!!>
思いっきり大きな声で、あたしはふたりに向かって叫んだ。
そりゃ、嬉しいよ。
航平くんから『好き』って、言葉にしてもらえるなんて。
嬉しくって、涙が出そうだよ。
ミクの言うとおり、あたしは世界でいちばん幸せ。
だけど、、、
なんか、複雑。
『航平くんとの恋を、なんとか叶えてやりたかった』だの、
『好き… だった。酒井さんのこと』だの。
な~んか、、、
全部、過去形。
『故人の思い出を語る』って感じなのが、気にくわない。
そりゃ、今のあたしはふたりにとってすでに過去の人だし、存在してる世界が違いすぎてるし、、、
やっぱりあたし、生きたかった。
生きて、航平くんに伝えたかった。
ミクが航平くんの気持ちを聞き出してくれたのは嬉しいけど、やっぱりあたし自身の言葉で、伝えたかった。
そのために、夜なべしてラブレターだって書いたのに、、、
「ねえ、航平くん、、、」
あたしの想いを遮るように、ミクは切り出した。
「…あずさに。キスして」
そう言ってミクは航平くんの目の前に立つと、憂いのある瞳で彼を見上げた。
えっ?
ち、ちょっとミク。
いったいどういうこと??
「あずさの想い、わたし、叶えてあげたいの。
あずさはずっと航平くんと結ばれたがってたから。
あずさの気持ちは、わたしが誰より、いちばんよく知ってる」
「…」
「だから、わたしのこと、あずさだと思って。ね。
…航平くん」
そう言うと、ミクは航平くんの二の腕に自分の手を重ね、目を閉じると、そのふっくらとした可愛い唇をかすかに緩め、航平くんに差し出した。
ちょっとちょっとちょっと~~~!
『あたしの代わり』なんて、そんなの頼んでないわよ!!
あんたは安藤未來で、酒井あずさなんかじゃないでしょ!!!
騙されないで航平くんっ!!!!
ミクとキスなんか、しないでっ!!!!!
「ミ、、、 いや。あずささん、、、」
ほのかに街のイルミネーションが照り返した、艶かしいミクの唇に魅入られたのか。
それともほんとに、彼女をあたしと錯覚したのか。
航平くんはゆっくりと、ミクに唇を近づけていった。
<やめて、航平くん~~~っ!!!>
「…」
ふたりの間に割って入って、あたしは思いっきり叫んだ。
しかし、そんな抵抗も虚しく、航平くんはミクに唇を重ねた。
「ん、んっ…」
可愛らしい声を漏らしながら、ミクは航平くんを受け入れ、その唇を貪った。
ちょっとぉ~~、ミクぅ~~!
変な声、出さないでよっ!!
あたし、まだ未経験なのに、いきなりそんな激しいキス、しないわよ~~~っ!!!
いったいどのくらい、そうしてただろ。
長いキスのあと、ようやくふたりのシルエットは、ゆっくりと離れた。
「、、、ごめん」
頬を染めながら、航平くんはうつむき、ひとこと言った。
目にいっぱいの涙を浮かべ、ミクは思いっきりかぶりを振る。
「あやまらないで。わたしは酒井あずさなんだから」
「安藤さん、、、」
「『あずさ』って呼んで」
「あ、あずさ。さん」
「ありがと、、」
「…」
「…これであずさも思い残すこと、ないと思う。
ありがと。航平くん」
照れくさそうに頬を染めながら、安藤未來は航平くんに微笑みかけた。
航平くんも清々しい笑みで、ミクを見つめてる。
思い残すこと、大ありだ~~~っ!
ミクの気持ちは嬉しいけど、キスをしたのは、あくまでミクと航平くん。
あたしじゃない!
もしかしてミク。
あんたの狙いは、これだったの?!
泣かせる台詞も涙も、みんな航平くんの気を惹くため?
、、、信じられない。
親友だったのにっ!
こうなったらもっともっと念を込めて、航平くんの前に現れてやる!
なんとしてでも、ほんとの酒井あずさを見せてやるっ!!
そしてほんとに、あたしが航平くんとキスしてやるんだからっ!!!
つづく
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