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8th sense
8th sense 5
“カンカンカンカンカンカン…”
踏切の乾いた警告音が、夕闇の濃くなった街角に鳴り響く。
ミクと萌香の顔には、警報機の赤い光がほのかに映ってる。
血のように真っ赤な光を交互に点滅させながら、警報機が電車が来ることを知らせてる。
線路の向こうをぼんやり見つめてたミクは、ポツリと漏らした。
「なんか、、、 あの頃のことが、夢みたいね」
萌香は不思議そうに、ミクを振り向いた。
目線を遠くに向けたまま、ミクは続ける。
「萌香とわたしと、、、 あずさで。こうしてよく、いっしょに帰ってたじゃない。
コンビニでドリンク買ってさ。駅のホームで電車が来るまで、よく話し込んでた。
電車が来ても、何本もやり過ごして、ずっとしゃべってたよね。
どうでもいいような内容ばかりで、盛り上がってたよね。
いつまでもいつまでも、話が尽きなかった。
ずっとあのまま、三人いっしょにいたかったね」
ミクの言葉に、萌香も遠くを見るような眼差しになって、ため息ついた。
「、、、そうだったわね。まだ三ヶ月も経ってないのに、随分昔のことみたいに感じるね」
「ん、、、」
そう言ってミクはうつむき、唇を噛んだ。
「わたし、、、 あずさに悪いこと、してるのかな?」
「航平くんのこと?」
萌香の問いに、ミクは黙ってうなずいた。
『航平くんのこと』って、いったいなに?
「わたし、時々思ってしまうのよ。
あのときほんとに、あずさが如月さんに取り憑いてたんじゃないのかな? って」
「大谷川の橋でのこと?」
「ん」
「そんなバカなこと、あるわけないじゃない。
ミクの言ってたとおり、それは如月さんのお芝居なんじゃないの?
如月さんって、なに考えてるかわかんなかったし、時々変なこと口走ってたし、航平くんのことが好きだったとしても、それをいびつな形でしか伝えられなかったのかもよ」
「わたしだってそう思ってた。でも、、、
如月さんが死んじゃった今、冷静になってあのときのこと考えてみたら、如月さんの態度。『演技してる』って感じじゃなかったもん。萌香はその場にいなかったから、わかんないだろうけど」
「…」
「まるで、あずさがそこにいるみたい、だった」
「まさか」
「ほんとは、如月さんはあずさに憑き殺されちゃったのかも」
「…」
「航平くんの具合が悪いのも、あずさが取り憑いてるからかもしれない」
「、、、そんなオカルトみたいなこと」
「ないって言い切れる?
わたしだってそんなの、信じてない。
でも、あのときだって、、、
机の上に置いてた航平くんの鞄が、勝手に落ちてきた。
絶対、落ちるようなところに置いてなかったのよ。
そのあとの航平くんの態度も、ヘンだったし。
如月さんが言ったように、あずさは航平くんの近くにいつもいて、わたしたちと同じように、学校にも来てるんじゃないかしら?」
「、、、まさか」
「萌香、、、 わたし、怖い。
如月さんにはいじわるなことしちゃって、後悔してる。
あずさにも、悪いことしてるって思うし…」
そう言って、ミクは萌香をじっと見つめた。
萌香もそれ以上反論できず、ただ、ミクを見つめてる。
“カンカンカンカンカンカン… プァン”
踏切の警報音に混じって、遠くで電車の警笛が響く。
ふたりの間に、一陣の風が巻き起こった。
「、、、そうだとしても、あずさもわかってくれるよ」
ストレートの長い髪が、萌香の頬をなでる。
慰めるように、萌香は言った。
「ほんとはミクが、ずっと、航平くんのこと、想ってたってことも」
え?
ちょ、、、
それ。
どういうこと?
つづく
踏切の乾いた警告音が、夕闇の濃くなった街角に鳴り響く。
ミクと萌香の顔には、警報機の赤い光がほのかに映ってる。
血のように真っ赤な光を交互に点滅させながら、警報機が電車が来ることを知らせてる。
線路の向こうをぼんやり見つめてたミクは、ポツリと漏らした。
「なんか、、、 あの頃のことが、夢みたいね」
萌香は不思議そうに、ミクを振り向いた。
目線を遠くに向けたまま、ミクは続ける。
「萌香とわたしと、、、 あずさで。こうしてよく、いっしょに帰ってたじゃない。
コンビニでドリンク買ってさ。駅のホームで電車が来るまで、よく話し込んでた。
電車が来ても、何本もやり過ごして、ずっとしゃべってたよね。
どうでもいいような内容ばかりで、盛り上がってたよね。
いつまでもいつまでも、話が尽きなかった。
ずっとあのまま、三人いっしょにいたかったね」
ミクの言葉に、萌香も遠くを見るような眼差しになって、ため息ついた。
「、、、そうだったわね。まだ三ヶ月も経ってないのに、随分昔のことみたいに感じるね」
「ん、、、」
そう言ってミクはうつむき、唇を噛んだ。
「わたし、、、 あずさに悪いこと、してるのかな?」
「航平くんのこと?」
萌香の問いに、ミクは黙ってうなずいた。
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「わたし、時々思ってしまうのよ。
あのときほんとに、あずさが如月さんに取り憑いてたんじゃないのかな? って」
「大谷川の橋でのこと?」
「ん」
「そんなバカなこと、あるわけないじゃない。
ミクの言ってたとおり、それは如月さんのお芝居なんじゃないの?
如月さんって、なに考えてるかわかんなかったし、時々変なこと口走ってたし、航平くんのことが好きだったとしても、それをいびつな形でしか伝えられなかったのかもよ」
「わたしだってそう思ってた。でも、、、
如月さんが死んじゃった今、冷静になってあのときのこと考えてみたら、如月さんの態度。『演技してる』って感じじゃなかったもん。萌香はその場にいなかったから、わかんないだろうけど」
「…」
「まるで、あずさがそこにいるみたい、だった」
「まさか」
「ほんとは、如月さんはあずさに憑き殺されちゃったのかも」
「…」
「航平くんの具合が悪いのも、あずさが取り憑いてるからかもしれない」
「、、、そんなオカルトみたいなこと」
「ないって言い切れる?
わたしだってそんなの、信じてない。
でも、あのときだって、、、
机の上に置いてた航平くんの鞄が、勝手に落ちてきた。
絶対、落ちるようなところに置いてなかったのよ。
そのあとの航平くんの態度も、ヘンだったし。
如月さんが言ったように、あずさは航平くんの近くにいつもいて、わたしたちと同じように、学校にも来てるんじゃないかしら?」
「、、、まさか」
「萌香、、、 わたし、怖い。
如月さんにはいじわるなことしちゃって、後悔してる。
あずさにも、悪いことしてるって思うし…」
そう言って、ミクは萌香をじっと見つめた。
萌香もそれ以上反論できず、ただ、ミクを見つめてる。
“カンカンカンカンカンカン… プァン”
踏切の警報音に混じって、遠くで電車の警笛が響く。
ふたりの間に、一陣の風が巻き起こった。
「、、、そうだとしても、あずさもわかってくれるよ」
ストレートの長い髪が、萌香の頬をなでる。
慰めるように、萌香は言った。
「ほんとはミクが、ずっと、航平くんのこと、想ってたってことも」
え?
ちょ、、、
それ。
どういうこと?
つづく
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