ブラックアウトガール

茉莉 佳

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9th sense

9th sense 2

「聞いた聞いた?
2組の木葉さん、あずさの幽霊見たって」
「5組の小林さんも、部活帰りに体育館で見たらしいよ!」
「木葉さんや小林さんって、『見える体質』だもんね」
「それで、あずさの幽霊って、どんなだったの?」
「廊下に立ってたんだって。顔とか胸からとかいっぱい血を流してて、制服も血みどろで。怖い顔でこっち睨んでたらしいよ」
「手に血だらけの封筒持ってたって話だけど、なんか意味あるのかな」
「怖い~~~、、、
なんであずさが、幽霊なんかになって出てくるのよぉ?!」
「いったいだれに、怨みがあるのよぉ~~;;;」

三日もしないうちに、あたしの目撃情報は学校中に広まってた。
こないだのアリサって子だけでなく、いろんな人があたしの姿を見たらしい。
そのだいたいが、『霊感体質』と言われてる女の子だった。
彼女たちの表現では、どうやらあたしは事故直後の血みどろの悲惨な姿をしてて、手にはラブレターを持って、恨みがましい顔をしてるらしい。

え~~?
今のあたしって、他の人からはそんな風に見えるわけ?
だいたいその、『霊感体質』ってのが、怪しすぎ。
本当にあたしのことをわかってくれたのは、如月摩耶くらいのもの。
彼女だけはあたしのこと怖がらず、真剣に話を聞いてくれて、力を貸してくれた。
生きてるときと同じように、、、
ううん。
生きてるとき以上にやさしく、真剣にあたしに接してくれた。

、、、その彼女も、もういない。
如月がいなくなった今、あたしに出口を指し示してくれる人は、だれもいない。
あたしは孤独。
『怨』だけの、真っ暗闇の世界で、あたしは見つからない出口を探して、ひとりでもがいてるだけ。
いったいどこへ行けばいいんだろ?
どこへ行けば、あたしは救われるんだろ?!

絶望。

それしか今のあたしには、見えてなかった。
そして、、、
それしか見てないあたしは、気がつきもしなかった。

怨みの真っ暗闇のなかで、ろうそくの炎よりも弱々しい光が、思い出したようにときおり、ポッと、浮かび上がっていたことに、、、

そんなさなか、事件は起こった。



「早く保健室に!
いや。
救急車を呼びなさい!
おまえらボケッと突っ立ってないで、早くそっちを抱えろ!」

顔色を変えて、体育の先生が指図する。
凍りついたように固まってたみんなは、その大声で我に返り、ザワザワと騒ぎはじめた。
何人かの女生徒が集まってきて、心配そうに声をかける。

「萌香、大丈夫?」
「萌香っ!?」

その輪に混ざって、あたしも砂浜に倒れ込んでる女生徒を見る。
それは、親友の萌香だった。
砂まみれでからだを丸めた萌香は、痛みに顔を歪め、歯を食いしばってる。
胸元からは血が噴き出し、真っ白な体操服をみるみる紅く染めていく。
予想もしてなかったできごとに、あたしは 固唾かたずを呑んだ、、、
さっきまではなにごともなく、体育の授業を受けてたのに。


「では次、石谷萌香。やってみろ!」
「はい」

それは、鉄棒の授業中の出来事だった。
列から立ち上がった萌香は、自分の背より高い鉄棒の方へ歩み寄ると、軽くジャンプしてぶら下がった。
そのままからだを前後に大きく振り、勢いをつける。
最後にタイミングよくからだを跳ね上げ、逆上がりを成功させた、、、
かと思った寸前、まるで別の力が働いたかのように、萌香のからだは鉄棒を超え、手を滑らせて逆さまから落ちたのだ。
落ちるときに鉄棒で顔を打ち、さらに運の悪いことに、落ちた先の砂場にはライン引きが置いてあり、尖った金属の部分に胸を打ちつけてしまったらしい。

みんなが騒ぎ慌てる姿を、あたしはただ見てた。

萌香のことは憎かった。
チャンスがあれば復讐してやりたいと、ねらってたのは確か。
この鉄棒の授業でも、遠くから萌香を見ながら、『落ちればいいのに』と想ったりしてた。
だけど、、、
ほんとにそれが実現するなんて。
これはただの事故?
それとも、、、

つづく
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