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level 3
「くだらない女の戦いに巻き込まないでください」
どうしてわたし、こんな場所にいるんだろ。
なんか、馬鹿みたい。
アフターなんて、ついて来るんじゃなかった。
こんな人、好きになるんじゃなかった。
知れば知るほど、思い知らされる。
たった三つしか席が離れていないのに、ヨシキさんが遥か遠くに感じる。
森田美湖のような有名モデルや女優だけでなく、ここにいるコスプレイヤーさんたちと較べても、コスプレ初心者で、メイクも下手で服もダサいわたしなんて、ヨシキさんから相手にもされないだろう。
なんだか、よくあるパターンの少女マンガみたい。
学園一のモテ男君に恋する、冴えない主人公。
地味で目立たない存在で、なんの取り柄もなく、ただ、モテ男を遠くから見ているだけ。
なのに、モテ男は他の美女には目もくれず、冴えない主人公を好きになる。
そんな乙女妄想… 現実にはあるわけがない。
『なに弱気になっているの凛子! あんたは取り柄のないダサ女なんかじゃないわ!』
心のなかで叫び、わたしは自分を鼓舞した。
わたしは地味でも冴えない女でもないはずだし、それなりに綺麗だと、ひそかに自負もしている。
意志が強そうで凛々しい顔立ちは、『怖い』と言われることもあるけど、なぎなた部の後輩からは憧れの目で見られることもあり、他の学校にもファンがたくさんいると聞いたこともある。
ファッションセンスやメイクだって、これから頑張ればきっとよくなるはず。
今はまだだけど、磨けば光るダイヤの原石なんだ。
わたしはだれにも負けたくない!
と言っても、ここにいる人たちを押しのけて、自分がヨシキさんのとなりに座ろうなんて、思ってもいないこと。
…本当に、思ってもないのだろうか?
わたしはヨシキさんを、ただ遠くから眺めているだけで満足なんだろうか?
「ヨシキさん、今度海撮してよ! わたしもうすぐ20歳だし、10代のうちに綺麗な海で、ビキニでエロっぽく撮ってほしい!」
そのとき、わたしの思いを吹き飛ばすように、強烈なアピールが耳に飛び込んできた。
発言者はわたしの向かいの席に座っていた、『ナンバー7』の女の子だ。
『10代』という彼女の言葉に、魔夢さんや百合花さんが、一瞬ピリリと反応したのがわかる。
「お~、ビキニいいね! 恋子ちゃんは相変わらず、ガンガンアピールしてくるな~」
「そりゃあね。自分からお願いしないと、いつまでたっても撮影してもらえないじゃん」
「そんなことないよ」
「じゃあ夏休みの間に、どっかの綺麗な海に連れてってよ!」
「こんな真夏に海撮とかしたら、一発で日焼けするよ。夏はあまり野外で撮影しない方がいいな」
「大丈夫。あたしまだ10代だから、お肌の回復も早いし。日焼けでシミとかできないし。やっぱりギャラリーに水着フォトアップするなら、ピッチピチの若い娘っしょ!」
こっ、この人、喧嘩売ってるの?
百合花さんが呆れた顔をし、魔夢さんが怖い目をして彼女を睨んでいる。
だけど、『恋子』と呼ばれた眉の太い猫顔の勝ち気そうな女の子は、お姉様方の思惑なんてお構いなしに、ストレートに自分をアピールしていて、見ているこちらの方がヒヤヒヤしてくる。
「そう言えば、美月さんは高校生だっけ?」
魔夢さんがなぜか、矛先をわたしに向けてきた。
「え? はい、そうですけど…」
「何年生?」
「高3です」
「え~、じゃあ17か18?」
「17歳です」
「若いわね~。羨ましぃ~! やっぱり高校生っていいよね~」
「はあ…」
「身長も高いわね。いくつ?」
「167cmですけど」
「やっぱりカッコいいコスするんだったら、そのくらいタッパがないとね~。恋子さんももう少し背があればよかったのに」
「…」
なに?
恋子さんより若いわたしをダシにして、彼女を貶めようとしているわけ?
しかも、努力ではどうにもならないような身体的指摘をするなんて。
わたしをそんな、くだらない女の戦いに巻き込まないでよ!
つづく
なんか、馬鹿みたい。
アフターなんて、ついて来るんじゃなかった。
こんな人、好きになるんじゃなかった。
知れば知るほど、思い知らされる。
たった三つしか席が離れていないのに、ヨシキさんが遥か遠くに感じる。
森田美湖のような有名モデルや女優だけでなく、ここにいるコスプレイヤーさんたちと較べても、コスプレ初心者で、メイクも下手で服もダサいわたしなんて、ヨシキさんから相手にもされないだろう。
なんだか、よくあるパターンの少女マンガみたい。
学園一のモテ男君に恋する、冴えない主人公。
地味で目立たない存在で、なんの取り柄もなく、ただ、モテ男を遠くから見ているだけ。
なのに、モテ男は他の美女には目もくれず、冴えない主人公を好きになる。
そんな乙女妄想… 現実にはあるわけがない。
『なに弱気になっているの凛子! あんたは取り柄のないダサ女なんかじゃないわ!』
心のなかで叫び、わたしは自分を鼓舞した。
わたしは地味でも冴えない女でもないはずだし、それなりに綺麗だと、ひそかに自負もしている。
意志が強そうで凛々しい顔立ちは、『怖い』と言われることもあるけど、なぎなた部の後輩からは憧れの目で見られることもあり、他の学校にもファンがたくさんいると聞いたこともある。
ファッションセンスやメイクだって、これから頑張ればきっとよくなるはず。
今はまだだけど、磨けば光るダイヤの原石なんだ。
わたしはだれにも負けたくない!
と言っても、ここにいる人たちを押しのけて、自分がヨシキさんのとなりに座ろうなんて、思ってもいないこと。
…本当に、思ってもないのだろうか?
わたしはヨシキさんを、ただ遠くから眺めているだけで満足なんだろうか?
「ヨシキさん、今度海撮してよ! わたしもうすぐ20歳だし、10代のうちに綺麗な海で、ビキニでエロっぽく撮ってほしい!」
そのとき、わたしの思いを吹き飛ばすように、強烈なアピールが耳に飛び込んできた。
発言者はわたしの向かいの席に座っていた、『ナンバー7』の女の子だ。
『10代』という彼女の言葉に、魔夢さんや百合花さんが、一瞬ピリリと反応したのがわかる。
「お~、ビキニいいね! 恋子ちゃんは相変わらず、ガンガンアピールしてくるな~」
「そりゃあね。自分からお願いしないと、いつまでたっても撮影してもらえないじゃん」
「そんなことないよ」
「じゃあ夏休みの間に、どっかの綺麗な海に連れてってよ!」
「こんな真夏に海撮とかしたら、一発で日焼けするよ。夏はあまり野外で撮影しない方がいいな」
「大丈夫。あたしまだ10代だから、お肌の回復も早いし。日焼けでシミとかできないし。やっぱりギャラリーに水着フォトアップするなら、ピッチピチの若い娘っしょ!」
こっ、この人、喧嘩売ってるの?
百合花さんが呆れた顔をし、魔夢さんが怖い目をして彼女を睨んでいる。
だけど、『恋子』と呼ばれた眉の太い猫顔の勝ち気そうな女の子は、お姉様方の思惑なんてお構いなしに、ストレートに自分をアピールしていて、見ているこちらの方がヒヤヒヤしてくる。
「そう言えば、美月さんは高校生だっけ?」
魔夢さんがなぜか、矛先をわたしに向けてきた。
「え? はい、そうですけど…」
「何年生?」
「高3です」
「え~、じゃあ17か18?」
「17歳です」
「若いわね~。羨ましぃ~! やっぱり高校生っていいよね~」
「はあ…」
「身長も高いわね。いくつ?」
「167cmですけど」
「やっぱりカッコいいコスするんだったら、そのくらいタッパがないとね~。恋子さんももう少し背があればよかったのに」
「…」
なに?
恋子さんより若いわたしをダシにして、彼女を貶めようとしているわけ?
しかも、努力ではどうにもならないような身体的指摘をするなんて。
わたしをそんな、くだらない女の戦いに巻き込まないでよ!
つづく
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