21 / 259
level 3
「同じ土俵でこの人たちとは諍いたくないです」
「ヨシキさんダメだからね。高校生に手ぇ出しちゃ。美月ちゃん未成年なんだから」
「え? なんでそこでオレが出てくるわけ?」
横から口をはさんだ百合花さんが、突然話の流れを変えた。
ヨシキさんも意表を突かれた感じで、目を丸くしている。
そこへ魔夢さんも、口を挟んできた。
「そうよ。ヨシキさんって女好きだし、チャラいじゃない。それに、美月さんみたいなストレートヘアで背の高いスレンダーな子って、ドストライクでしょ」
百合花さんも追いうちをかけるように、続ける。
「でも美月さんってマジメなお嬢様そうだから、泣かせるようなことしてほしくないです」
「そうよね。美月さんの『江之宮憐花』って凛々しくて素敵で、わたし、いっぺんで美月さんのファンになっちゃったんだから」
「そうですね。美月さんってすっごい清らかさんだから、変に汚したりしないでくださいね」
「まあ、これだけ美少女だったら、恋人とかいてもおかしくないしね。残念だったね、ヨシキさん。あははは」
「は、はは…」「ははは…」
魔夢さんと百合花さんの連携プレイに、わたしとヨシキさんの乾いた笑いがハモった。
女ってどうしてこう、陰湿なんだろう?
明るく冗談めかしているものの、ふたりとも、わたしや恋子さんに対する牽制がありあり。
『ファン』だなんて、適当なこと言わないでよ。
『清らかさん』とか、変なキャラを作らないで。
人のこと、勝手に恋人がいる設定にするのも、やめてほしいんだけど。
でも、ヨシキさんが自分の彼氏だったら、ふたりともこんな言い方はきっとしないはず。
今の台詞で、百合花さんや魔夢さんがヨシキさんの恋人ではないと、確信が持てた。
『ナンバー1』『ナンバー2』が恋人でないなら、今いるメンバーの中に、ヨシキさんの彼女はいないだろう。ちょっと希望が出てきたかな…
というか、なに?
わたし、ヨシキさんの恋人になりたいわけ?
ここにいるメンバー全員を出し抜いて、ヨシキさんの恋人になりたいわけ?
確かにわたしは、もっとヨシキさんと仲良くなりたいし、もっと深く、彼のことを知り合いたい。
とはいっても、この人たちと同じ土俵では諍いたくない。
なんだか、こっちの女が下がる気がする。
「そろそろお開きにしようぜ。オレ、先週撮った仕事画像のレタッチ任されてるし。早く帰らなくちゃいけないんだ」
場の空気がピリピリしてきたのを敏感に悟ったのか、ヨシキさんはそう言って席を立った。
魔夢さんはまだなにか言い足りないような顔をしていたが、ここにいることに辟易していたわたしは、真っ先に立ち上がった。
「まだここでダベりたいヤツは残ってていいよ。悪いけどオレは先に失礼するわ」
わたしの顔をチラと見ながら、ヨシキさんはバッグを肩にかける。
数人の女の子が、『そうね』と言ってそれに従ったが、魔夢さんをはじめとした半分くらいは、そのまま席に残った。
帰り組は別々に会計を済ませ、ファミレスを出てお別れの挨拶しながら、それぞれ帰途につく。みんなと別れたわたしも、桃李さんと連れ立って歩きはじめた。
「なんかムカつかない? 美月さん!」
近くのバス停へ向かっていたわたしたちのうしろで、憤った声がした。
振り向くとそこには、太い眉をつり上げて唇を尖らせ、怒りの表情を露わにした恋子さんがいて、早足でこちらに歩いてくるところだった。
つづく
「え? なんでそこでオレが出てくるわけ?」
横から口をはさんだ百合花さんが、突然話の流れを変えた。
ヨシキさんも意表を突かれた感じで、目を丸くしている。
そこへ魔夢さんも、口を挟んできた。
「そうよ。ヨシキさんって女好きだし、チャラいじゃない。それに、美月さんみたいなストレートヘアで背の高いスレンダーな子って、ドストライクでしょ」
百合花さんも追いうちをかけるように、続ける。
「でも美月さんってマジメなお嬢様そうだから、泣かせるようなことしてほしくないです」
「そうよね。美月さんの『江之宮憐花』って凛々しくて素敵で、わたし、いっぺんで美月さんのファンになっちゃったんだから」
「そうですね。美月さんってすっごい清らかさんだから、変に汚したりしないでくださいね」
「まあ、これだけ美少女だったら、恋人とかいてもおかしくないしね。残念だったね、ヨシキさん。あははは」
「は、はは…」「ははは…」
魔夢さんと百合花さんの連携プレイに、わたしとヨシキさんの乾いた笑いがハモった。
女ってどうしてこう、陰湿なんだろう?
明るく冗談めかしているものの、ふたりとも、わたしや恋子さんに対する牽制がありあり。
『ファン』だなんて、適当なこと言わないでよ。
『清らかさん』とか、変なキャラを作らないで。
人のこと、勝手に恋人がいる設定にするのも、やめてほしいんだけど。
でも、ヨシキさんが自分の彼氏だったら、ふたりともこんな言い方はきっとしないはず。
今の台詞で、百合花さんや魔夢さんがヨシキさんの恋人ではないと、確信が持てた。
『ナンバー1』『ナンバー2』が恋人でないなら、今いるメンバーの中に、ヨシキさんの彼女はいないだろう。ちょっと希望が出てきたかな…
というか、なに?
わたし、ヨシキさんの恋人になりたいわけ?
ここにいるメンバー全員を出し抜いて、ヨシキさんの恋人になりたいわけ?
確かにわたしは、もっとヨシキさんと仲良くなりたいし、もっと深く、彼のことを知り合いたい。
とはいっても、この人たちと同じ土俵では諍いたくない。
なんだか、こっちの女が下がる気がする。
「そろそろお開きにしようぜ。オレ、先週撮った仕事画像のレタッチ任されてるし。早く帰らなくちゃいけないんだ」
場の空気がピリピリしてきたのを敏感に悟ったのか、ヨシキさんはそう言って席を立った。
魔夢さんはまだなにか言い足りないような顔をしていたが、ここにいることに辟易していたわたしは、真っ先に立ち上がった。
「まだここでダベりたいヤツは残ってていいよ。悪いけどオレは先に失礼するわ」
わたしの顔をチラと見ながら、ヨシキさんはバッグを肩にかける。
数人の女の子が、『そうね』と言ってそれに従ったが、魔夢さんをはじめとした半分くらいは、そのまま席に残った。
帰り組は別々に会計を済ませ、ファミレスを出てお別れの挨拶しながら、それぞれ帰途につく。みんなと別れたわたしも、桃李さんと連れ立って歩きはじめた。
「なんかムカつかない? 美月さん!」
近くのバス停へ向かっていたわたしたちのうしろで、憤った声がした。
振り向くとそこには、太い眉をつり上げて唇を尖らせ、怒りの表情を露わにした恋子さんがいて、早足でこちらに歩いてくるところだった。
つづく
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
**俺、東大院生の実験対象にされてた。**同居している美人家庭教師のやばい秘密
まさき
恋愛
俺は今、東大院生の実験対象になっている。
ある雨の夜、アパートの前にずぶ濡れの美女が立っていた。
「家庭教師です。住まわせてください」
突然すぎる申し出に困惑しながらも、なぜか断れなかった。
桐島咲楽、東大大学院生。成績は天才、料理は壊滅的、距離感はおかしい。毎日転ぶ、焦がす、なぜか距離が近い。そのくせ授業は鬼のように丁寧で、俺のことを誰よりもよく見ていた。
偏差値42だった俺の成績は、気づけば上がっていた。でも、それより気になることがある。
咲楽さんが、研究ノートに何かを書いている。「被験者」という文字が、見えた気がした。
距離が近いのは、データのためか。褒めてくれるのは、実験のためか。でも、あの顔は。あの声は。
「データじゃなくて、私がそう思っています」
嘘をついているような顔じゃなかった。
偏差値42の俺に、東大院生の美女が押しかけてきた。ドタバタな毎日の中で、俺の心臓が休まる暇がない。これはドキドキなのか、心配なのか。それとも、もう恋なのか。
不器用な天才と、鈍感な高校生の、やばい同居生活。