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level 15
「ほんとうに好きならちゃんと言い訳してください」
「…いないよ。凛子ちゃん以外に、つきあってる子なんて」
「信じられない」
「ほんとだよ。
そりゃ、ちょっと前までは、ぶっちゃけ、エッチすることもある女友達は何人かいたさ」
「なんですか、それ! しれっと言わないで下さい!」
「最後まで聞いてくれよ。頼むから。
こういう話をカノジョにするのって、マナー違反だとは思うけど、もうしかたない。
確かにセフレみたいな子はいたけど、今はもうみんな、ちゃんと清算してる。
それは、凛子ちゃんのことが、だれよりも大切だからだよ」
「そんなの当たり前です! 全然言い訳になりませんっ」
「じゃあ、どう言えばいいんだ?」
「知りませんっ!」
「そっか…」
次第に熱を帯びていくわたしの口調とはうらはらに、ヨシキさんの声はどんどんトーンが下がっていく。
しばらくの沈黙のあと、ヨシキさんのくぐもった電気の声は、冷たい言葉を告げてきた。
「…オレのことキライになって、凛子ちゃんが『別れたい』っていうなら… それもしかたないな」
「…」
「つきあってる意味ないもんな。いちばん信用してほしい凛子ちゃんに、オレのこと信じてもらえないなら」
「…」
「オレ、自分のやりたいことに干渉されるのが、いちばんイヤな性格だし、その性格だけは直せないと思う。だけどそれじゃあ、凛子ちゃんはイヤなんだろ。感情的に」
「…」
「明日早いし、もう切るよ。もう少し凛子ちゃんが冷静になっ…」
「…サイテー! もう別れましょ!」
話の途中にもかかわらず、ひとことそう叫んで、わたしは通話を切った。
『しまった』とは思ったけど、もう遅い。
握りしめていた携帯の画面に、水滴が一粒、ほとばしる。
え?
わたし、泣いているの?
やだ。
こんなことで泣くなんて、どうかしている。
みっともない。
プライドが許さない。
涙、とめなきゃ。
そう思って歯を食いしばってみても、涙は次から次に溢れてきて、止まらない。
なに?
あの、あっさりした態度は。
ほんとうにわたしのことが好きなのなら、ちゃんと言い訳して謝って、もっと引き留めてくれたっていいじゃない。
『凛子ちゃんが『別れたい』っていうなら… それでもいいよ』
なんなの? それ。
そんなに簡単に別れ話を切り出されるくらい、わたしってどうでもいい存在だったわけ?
あんな薄情な男に惚れていたわたしが、馬鹿みたい。
むかつく!
最低!!
ううん…
わたしが、あんなやつに惚れるわけがない。
みんな錯覚だったんだ。
思い込みだったんだ。
好きだという感情も。
愛しい想いも。
なにもかも。
今、この瞬間は確かに辛い。
だけど、傷はいっときですむはず。
あんなヤツのことなんか、すぐにでも忘れてやる!
もう、とっくに夜中の2時を回っていたけど、寝間着姿のまま、わたしはひったくるように薙刀を手にして部屋を飛び出し、近くの神社に駆け込んだ。
『えいっ! えいっ!』
心の中で思いっきり叫びながら、がむしゃらに薙刀を振り回す。
額からは汗が飛び散り、ひと振りごとにポタポタと、地面に染みを作る。
『この! このっ!! ヨシキのバカっ!! 冷血っ! 薄情者っ!! 浮気者っ!! 知らないっ!! もうっ!! 知らないっっ!!!』
かけ声はいつしか、ヨシキさんへの罵倒に変わっていた。
つづく
「信じられない」
「ほんとだよ。
そりゃ、ちょっと前までは、ぶっちゃけ、エッチすることもある女友達は何人かいたさ」
「なんですか、それ! しれっと言わないで下さい!」
「最後まで聞いてくれよ。頼むから。
こういう話をカノジョにするのって、マナー違反だとは思うけど、もうしかたない。
確かにセフレみたいな子はいたけど、今はもうみんな、ちゃんと清算してる。
それは、凛子ちゃんのことが、だれよりも大切だからだよ」
「そんなの当たり前です! 全然言い訳になりませんっ」
「じゃあ、どう言えばいいんだ?」
「知りませんっ!」
「そっか…」
次第に熱を帯びていくわたしの口調とはうらはらに、ヨシキさんの声はどんどんトーンが下がっていく。
しばらくの沈黙のあと、ヨシキさんのくぐもった電気の声は、冷たい言葉を告げてきた。
「…オレのことキライになって、凛子ちゃんが『別れたい』っていうなら… それもしかたないな」
「…」
「つきあってる意味ないもんな。いちばん信用してほしい凛子ちゃんに、オレのこと信じてもらえないなら」
「…」
「オレ、自分のやりたいことに干渉されるのが、いちばんイヤな性格だし、その性格だけは直せないと思う。だけどそれじゃあ、凛子ちゃんはイヤなんだろ。感情的に」
「…」
「明日早いし、もう切るよ。もう少し凛子ちゃんが冷静になっ…」
「…サイテー! もう別れましょ!」
話の途中にもかかわらず、ひとことそう叫んで、わたしは通話を切った。
『しまった』とは思ったけど、もう遅い。
握りしめていた携帯の画面に、水滴が一粒、ほとばしる。
え?
わたし、泣いているの?
やだ。
こんなことで泣くなんて、どうかしている。
みっともない。
プライドが許さない。
涙、とめなきゃ。
そう思って歯を食いしばってみても、涙は次から次に溢れてきて、止まらない。
なに?
あの、あっさりした態度は。
ほんとうにわたしのことが好きなのなら、ちゃんと言い訳して謝って、もっと引き留めてくれたっていいじゃない。
『凛子ちゃんが『別れたい』っていうなら… それでもいいよ』
なんなの? それ。
そんなに簡単に別れ話を切り出されるくらい、わたしってどうでもいい存在だったわけ?
あんな薄情な男に惚れていたわたしが、馬鹿みたい。
むかつく!
最低!!
ううん…
わたしが、あんなやつに惚れるわけがない。
みんな錯覚だったんだ。
思い込みだったんだ。
好きだという感情も。
愛しい想いも。
なにもかも。
今、この瞬間は確かに辛い。
だけど、傷はいっときですむはず。
あんなヤツのことなんか、すぐにでも忘れてやる!
もう、とっくに夜中の2時を回っていたけど、寝間着姿のまま、わたしはひったくるように薙刀を手にして部屋を飛び出し、近くの神社に駆け込んだ。
『えいっ! えいっ!』
心の中で思いっきり叫びながら、がむしゃらに薙刀を振り回す。
額からは汗が飛び散り、ひと振りごとにポタポタと、地面に染みを作る。
『この! このっ!! ヨシキのバカっ!! 冷血っ! 薄情者っ!! 浮気者っ!! 知らないっ!! もうっ!! 知らないっっ!!!』
かけ声はいつしか、ヨシキさんへの罵倒に変わっていた。
つづく
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