146 / 259
level 16
「ちゃんとやれるということを証明してみせます」
恋人の妹とはいえ、わたしのことを『超絶美少女』だとか『凛子ちゃんみたいな、可愛い妹がほしかった』だとか、やたら褒めて持ち上げて。
今考えてみれば、わたしのこと、懐柔しようとしているみたいだった。
本心では、疎んでいたくせに。
わたしを手なずけて、今度はヨシキさんとも仲良くなろうとしているわけ?
じゃあ、兄はどうなるの?
なにも知らずに優花さんのことを本気で愛していて、結婚の約束までしている兄を、ヨシキさんと天秤にかけるというの?
二股かけるなんて、このわたしが許さない!
「もういいです! 優花さんに相談したのが間違いでした! もう電話しませんから!!」
「凛子ちゃん、まっ…」
一瞬、躊躇う気持ちがかすめたが、勢いの方が勝って、わたしは通話を切った。
『しまった』
そのあとで、罪悪感がじんわりと湧き上がってくる。わたしは臍を噛んで携帯を握りしめた。
とんでもないことしちゃった。
優花さんがメールの送り主だと、決まったわけでもないのに。
いくら苛立っていたとはいえ、根拠のない妄想が先走って、勝手に犯人だと決めつけちゃって。
優花さんはお姉さんのような存在で、いい友達で、いつもわたしのこと、親身になって考えてくれて…
今回のことだって、優花さんの言うことはもっともだ。
わたしとヨシキさんの関係をはたから見れば、『別れた方がいい』と、だれもが忠告するだろう。
なのにわたしは、被害妄想でなにも見えなくなって、ひとりで空回りして、、、
最低なわたし。
だけど、どうしようもない。
だれもがみんな、敵に見えてくる。
あんなに優しくて、親身でいてくれた優花さんさえも。
それもこれも、あのメールと掲示板のせい。
考えれば考えるほど、すべての元凶だ。
あのメールが来たせいで、みんながわたしから離れていく。
たった一晩で、わたしは奈落の底に落とされてしまった。
どうあがけば、ここから這い上がっていけるのだろう。
もしかしてわたし、メンタル弱いのかな?
なぎなたとか、武道を習っているくせに。
精神修養は大事だって。
自分を律する精神力を養えって、いつも教わっているのに。
勢いに流されて、自分を制御できなくなってしまって。
もっと精神、鍛えなきゃ。
…とにかく頑張らなくっちゃいけない。
見返してやる!
ヨシキさんなんかいなくたって、わたしはちゃんとやれるんだということを、証明してみせる。
コスプレだって、だれからも馬鹿にされないようにしてやる。
『へたレイヤー』だとか、『くずレイヤー』だとか、もう、だれにも言わせない。
美咲麗奈や百合花や魔夢なんかに負けない、すごいレイヤーになってやる。
そのためには、ポージングが上達するだけでなく、もっといろんなコスプレをやって、コスプレSNSで写真をたくさん更新して、注目を集めなきゃいけない。
掲示板で嘲笑っている奴らを、見返してやる。
とにかく・・・
頑張るしかないんだ!
「ふぅん。それで、もっとお稽古したいの?」
次の回のモデルレッスンが終わったあとだった。
いつものように森田美湖さんとリビングで紅茶を飲みながら、『レッスンを増やせないか』と、わたしは相談してみたのだ。
真意を探るように、みっこさんはその美しい瞳で、わたしのことをじっと見つめていた。
コスプレやメールや掲示板のことは伏せたまま、わたしはみっこさんに深々と頭を下げた。
みっこさんのことを利用するようで申し訳ないと思いつつ、今のわたしには、他の方法は思い浮かばなかった。
つづく
今考えてみれば、わたしのこと、懐柔しようとしているみたいだった。
本心では、疎んでいたくせに。
わたしを手なずけて、今度はヨシキさんとも仲良くなろうとしているわけ?
じゃあ、兄はどうなるの?
なにも知らずに優花さんのことを本気で愛していて、結婚の約束までしている兄を、ヨシキさんと天秤にかけるというの?
二股かけるなんて、このわたしが許さない!
「もういいです! 優花さんに相談したのが間違いでした! もう電話しませんから!!」
「凛子ちゃん、まっ…」
一瞬、躊躇う気持ちがかすめたが、勢いの方が勝って、わたしは通話を切った。
『しまった』
そのあとで、罪悪感がじんわりと湧き上がってくる。わたしは臍を噛んで携帯を握りしめた。
とんでもないことしちゃった。
優花さんがメールの送り主だと、決まったわけでもないのに。
いくら苛立っていたとはいえ、根拠のない妄想が先走って、勝手に犯人だと決めつけちゃって。
優花さんはお姉さんのような存在で、いい友達で、いつもわたしのこと、親身になって考えてくれて…
今回のことだって、優花さんの言うことはもっともだ。
わたしとヨシキさんの関係をはたから見れば、『別れた方がいい』と、だれもが忠告するだろう。
なのにわたしは、被害妄想でなにも見えなくなって、ひとりで空回りして、、、
最低なわたし。
だけど、どうしようもない。
だれもがみんな、敵に見えてくる。
あんなに優しくて、親身でいてくれた優花さんさえも。
それもこれも、あのメールと掲示板のせい。
考えれば考えるほど、すべての元凶だ。
あのメールが来たせいで、みんながわたしから離れていく。
たった一晩で、わたしは奈落の底に落とされてしまった。
どうあがけば、ここから這い上がっていけるのだろう。
もしかしてわたし、メンタル弱いのかな?
なぎなたとか、武道を習っているくせに。
精神修養は大事だって。
自分を律する精神力を養えって、いつも教わっているのに。
勢いに流されて、自分を制御できなくなってしまって。
もっと精神、鍛えなきゃ。
…とにかく頑張らなくっちゃいけない。
見返してやる!
ヨシキさんなんかいなくたって、わたしはちゃんとやれるんだということを、証明してみせる。
コスプレだって、だれからも馬鹿にされないようにしてやる。
『へたレイヤー』だとか、『くずレイヤー』だとか、もう、だれにも言わせない。
美咲麗奈や百合花や魔夢なんかに負けない、すごいレイヤーになってやる。
そのためには、ポージングが上達するだけでなく、もっといろんなコスプレをやって、コスプレSNSで写真をたくさん更新して、注目を集めなきゃいけない。
掲示板で嘲笑っている奴らを、見返してやる。
とにかく・・・
頑張るしかないんだ!
「ふぅん。それで、もっとお稽古したいの?」
次の回のモデルレッスンが終わったあとだった。
いつものように森田美湖さんとリビングで紅茶を飲みながら、『レッスンを増やせないか』と、わたしは相談してみたのだ。
真意を探るように、みっこさんはその美しい瞳で、わたしのことをじっと見つめていた。
コスプレやメールや掲示板のことは伏せたまま、わたしはみっこさんに深々と頭を下げた。
みっこさんのことを利用するようで申し訳ないと思いつつ、今のわたしには、他の方法は思い浮かばなかった。
つづく
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
女子小学五年生に告白された高校一年生の俺
think
恋愛
主人公とヒロイン、二人の視点から書いています。
幼稚園から大学まである私立一貫校に通う高校一年の犬飼優人。
司優里という小学五年生の女の子に出会う。
彼女は体調不良だった。
同じ学園の学生と分かったので背負い学園の保健室まで連れていく。
そうしたことで彼女に好かれてしまい
告白をうけてしまう。
友達からということで二人の両親にも認めてもらう。
最初は妹の様に想っていた。
しかし彼女のまっすぐな好意をうけ段々と気持ちが変わっていく自分に気づいていく。