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level 17
「火のない所に無理矢理煙を立たせるのですね」
「やるじゃん、美月さん」
人混みにヨシキさんの姿が紛れて見えなくなった頃、小さく拍手しながら、わたしに近づいてくるレイヤーがいた。
美咲麗奈だ。
相変わらず挑発的な、胸元が大きく開いたコスチュームを着て、メロンのような巨乳を揺らしている。
先日のいざこざも忘れたかのように、美咲麗奈は馴れ馴れしく話しかけてきた。
「ヨシキのやつ、最近いい気になってたから、だれかがガツンとやる必要があったのよね」
「いい気に?」
「あいつ、気が多過ぎるんだから。撮影にかこつけてレイヤーとやりまくって、、、
いったい何人のレイヤーを泣かせたら気がすむの?」
「…」
「ヨシキは今、恋子さんとつきあってるのよ」
「えっ? 恋子さんと?」
「夏休みに、ふたりで新島に撮影に行ってるし、恋子さんもブログで、ラブラブっぷりをカミングアウトしてるから、確かね。
でも、持ってまあ、、 一ヶ月ってとこかな」
「そうですか?」
「ヨシキにとって恋愛はゲームなのよ。
攻略するのが楽しいだけで、手に入れてしまった景品には、すぐに飽きちゃうの」
わたしは恋愛ゲームのオマケか?!
なんかムカついたけど、とりあえずグッと呑み込み、それでも皮肉っぽく言い返してみる。
「よくご存知なんですね。ヨシキさんのこと」
「まあね。でも、あんな男と関わるのも、わたしもいい加減イヤになってきたわぁ」
「でも、美咲さんとヨシキさんは、つきあってるわけじゃないんでしょ?」
「ん~、、、 まあ、腐れ縁ってやつかなぁ」
「腐れ縁?」
「そりゃあ、写真の腕はいいし、いっしょに撮影するのは楽しいんだけど、すぐにエロに持ち込もうとするし、しつこいし、変態だし、、、」
「変態?」
「それに、知ってる?」
そう言うと美咲麗奈は、呆れたように肩をすくめ、わたしに耳打ちした。
「ヨシキのサークルにいる中学生が、『ウリ』やってるって話」
「それ… 前も言ってましたよね」
「そうだった?
まあいいわ。だいたい、どっかのアイドルグループじゃあるまいし、本を買った客に握手とかさせて。
そんな枕営業みたいなことまでして本売りたいなんて、汚いわよね。
出してる同人誌も、未成年のエロ絵が載ったのばっかりだし。
ヨシキもミノルもそのうち、児ポ(*児童ポルノ禁止法)で捕まるんじゃない?」
、、、頭が痛くなってきた。
この人はまだ、そんな噂話を撒き散らそうとしているのか。
この前の『リア恋plus』撮影会のときに、美咲麗奈のいう『ウリをやってる中学生』の栞里さんとは、いろいろな話をした。
口数が少なくてどこか無愛想だけど、きちんと礼儀正しく、頭のいい子だった。
なにより、そんな栞里さんが、ヨシキさんの親友のミノルさんとつきあっているのは、すごく意外で、驚きだった。
ミノルさんとの素敵なエピソードを、たどたどしくも嬉しそうに話してくれる栞里さんを見ているうちに、この子は人の外見にとらわれることなく、ちゃんと中身を判断できるのだとわかって、感心したものだ。
美咲さんの言う『ウリ』の話も、本人から打ち明けられていた。
『自分への罰としてやったことで、お金目的じゃないし、今はすごく後悔してる』と。
家庭や学校で居場所がなくなり、荒んで道を踏み外したとのことだったが、それに気づいて自分を正すのは、とても勇気のあることだと思う。
それを、美咲麗奈はいつまでも蒸し返して、栞里さんの脚を引っ張るつもり?
こんなくだらない噂話なんて、聞きたくもない。
どれも邪推と偏見に満ちていて、信じるに足る話なんて、ひとつもありはしない。
こんな、火のない所に無理矢理煙を立たせるようなことを言うなんて…
メールの送り主は、やはり、この人かもしれない。
つづく
人混みにヨシキさんの姿が紛れて見えなくなった頃、小さく拍手しながら、わたしに近づいてくるレイヤーがいた。
美咲麗奈だ。
相変わらず挑発的な、胸元が大きく開いたコスチュームを着て、メロンのような巨乳を揺らしている。
先日のいざこざも忘れたかのように、美咲麗奈は馴れ馴れしく話しかけてきた。
「ヨシキのやつ、最近いい気になってたから、だれかがガツンとやる必要があったのよね」
「いい気に?」
「あいつ、気が多過ぎるんだから。撮影にかこつけてレイヤーとやりまくって、、、
いったい何人のレイヤーを泣かせたら気がすむの?」
「…」
「ヨシキは今、恋子さんとつきあってるのよ」
「えっ? 恋子さんと?」
「夏休みに、ふたりで新島に撮影に行ってるし、恋子さんもブログで、ラブラブっぷりをカミングアウトしてるから、確かね。
でも、持ってまあ、、 一ヶ月ってとこかな」
「そうですか?」
「ヨシキにとって恋愛はゲームなのよ。
攻略するのが楽しいだけで、手に入れてしまった景品には、すぐに飽きちゃうの」
わたしは恋愛ゲームのオマケか?!
なんかムカついたけど、とりあえずグッと呑み込み、それでも皮肉っぽく言い返してみる。
「よくご存知なんですね。ヨシキさんのこと」
「まあね。でも、あんな男と関わるのも、わたしもいい加減イヤになってきたわぁ」
「でも、美咲さんとヨシキさんは、つきあってるわけじゃないんでしょ?」
「ん~、、、 まあ、腐れ縁ってやつかなぁ」
「腐れ縁?」
「そりゃあ、写真の腕はいいし、いっしょに撮影するのは楽しいんだけど、すぐにエロに持ち込もうとするし、しつこいし、変態だし、、、」
「変態?」
「それに、知ってる?」
そう言うと美咲麗奈は、呆れたように肩をすくめ、わたしに耳打ちした。
「ヨシキのサークルにいる中学生が、『ウリ』やってるって話」
「それ… 前も言ってましたよね」
「そうだった?
まあいいわ。だいたい、どっかのアイドルグループじゃあるまいし、本を買った客に握手とかさせて。
そんな枕営業みたいなことまでして本売りたいなんて、汚いわよね。
出してる同人誌も、未成年のエロ絵が載ったのばっかりだし。
ヨシキもミノルもそのうち、児ポ(*児童ポルノ禁止法)で捕まるんじゃない?」
、、、頭が痛くなってきた。
この人はまだ、そんな噂話を撒き散らそうとしているのか。
この前の『リア恋plus』撮影会のときに、美咲麗奈のいう『ウリをやってる中学生』の栞里さんとは、いろいろな話をした。
口数が少なくてどこか無愛想だけど、きちんと礼儀正しく、頭のいい子だった。
なにより、そんな栞里さんが、ヨシキさんの親友のミノルさんとつきあっているのは、すごく意外で、驚きだった。
ミノルさんとの素敵なエピソードを、たどたどしくも嬉しそうに話してくれる栞里さんを見ているうちに、この子は人の外見にとらわれることなく、ちゃんと中身を判断できるのだとわかって、感心したものだ。
美咲さんの言う『ウリ』の話も、本人から打ち明けられていた。
『自分への罰としてやったことで、お金目的じゃないし、今はすごく後悔してる』と。
家庭や学校で居場所がなくなり、荒んで道を踏み外したとのことだったが、それに気づいて自分を正すのは、とても勇気のあることだと思う。
それを、美咲麗奈はいつまでも蒸し返して、栞里さんの脚を引っ張るつもり?
こんなくだらない噂話なんて、聞きたくもない。
どれも邪推と偏見に満ちていて、信じるに足る話なんて、ひとつもありはしない。
こんな、火のない所に無理矢理煙を立たせるようなことを言うなんて…
メールの送り主は、やはり、この人かもしれない。
つづく
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