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「『天然お嬢さま』じゃなくなってしまいました」
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『悪魔カメコ夜死期の悪行を晒すスレ』だけじゃない。
この掲示板からリンクされていた、レイヤーやカメコ関連のいくつかのスレッドまで、わたしは巡回するようになっていた。
自分に対する誹謗中傷が書き込まれていないか。
ヨシキさんや、他のレイヤーやカメコの新情報が載っていないか。
コスプレの流行や評判はどうなのか。
そんなことを、マメにチェックするようになっていた。
ヨシキさんの言っていたように、あらかじめ掲示板を見ておくことは、防御としても役に立つ。
いや・・・
むしろ、掲示板を見ておかなきゃ、不安になってくる。
他人がわたしをどんな目で見ているのか、とっても気になる。
書き込みされるのはもちろんイヤだし、気持ちもざわついてくるけど、なにも書かれてないのはそれで、自分の存在を無視されているような・・
問題にもされていないような、疎外感を感じてしまう。
無益で無駄な時間と手間だとわかっていながら、やめられない。
わたしはもう、美咲麗奈の言う、『掲示板も見ないような天然お嬢さま』なんかじゃなくなっていた。
イベントのあった日は『ネタ』が豊富に提供されているせいか、掲示板も賑わっている。
わたしがヨシキさんをひっぱたいたことが、早速書き込まれていて、そのあとはしばらく、わたしの話題でもちきりだったが、『モデルクラブに所属する』とか、『ヨシキさんとエッチしてる』とかいう様な書き込みは、どこにもなかった。
少しほっとする。
やっぱり恋子さんは、シロみたいだ。
「ううん。まだわからないわ」
ひとりごちながら、わたしは書き込みを目で追っていった。
もちろん、メールを送ってきた犯人は美咲麗奈でほぼ確定だけど、恋子さんも掲示板で、わたしを中傷しているかもしれない。
彼女が今日、書き込むかはわからない。
聞いたばかりの話をすぐに書けば、足がつく。
そこまで計算して、出所がわからなくなったタイミングを見計らって、カキコするかもしれない。
わたしの心の中は、疑心暗鬼でいっぱいだった。
“ピロリロリロ…♪”
そのとき、携帯からメールの着信音が流れ、わたしはハッとした。
この音は、ヨシキさん!!
急いで携帯を手にとり、メールを開く。
『窓を開けて』
メールにはひとことだけ書いてあった。
携帯を手にしたまま、わたしは部屋の窓を開ける。
二階の窓からは、夜の闇に紛れるように、ヨシキさんの黒い『TOYOTA bB』が、路地の片隅にひっそりと停まっているのが見えた。その前に、スマホを手にしたヨシキさんが立っていて、わたしを認めて軽く手を上げている。
“ピロリロリロ…♪”
また着信音。
『今から出れる?』
もう、夜の11時を回っている。
出かける口実なんか、どう考えても見つからない。
『無理』
ひとこと返信した。
すぐに次のメールが来る。
『あやまりたい』
『なにを?』
わたしもすぐに返し、ヨシキさんが返事を打っているところを、二階の窓から見つめる。
着信音はすぐに鳴った。
『いろいろ』
『じゃ電話で』
『直接話したい』
『またにして』
『今がいい』
『だから無理』
『オレがそこに行く』
「行くって・・・」
思わず声を漏らした。
それって、『夜這い』ってやつ?
両親はまだ起きているし、となりの部屋には兄もいる。
さすがにそれはまずい。
いったいどうすれば・・・
つづく
この掲示板からリンクされていた、レイヤーやカメコ関連のいくつかのスレッドまで、わたしは巡回するようになっていた。
自分に対する誹謗中傷が書き込まれていないか。
ヨシキさんや、他のレイヤーやカメコの新情報が載っていないか。
コスプレの流行や評判はどうなのか。
そんなことを、マメにチェックするようになっていた。
ヨシキさんの言っていたように、あらかじめ掲示板を見ておくことは、防御としても役に立つ。
いや・・・
むしろ、掲示板を見ておかなきゃ、不安になってくる。
他人がわたしをどんな目で見ているのか、とっても気になる。
書き込みされるのはもちろんイヤだし、気持ちもざわついてくるけど、なにも書かれてないのはそれで、自分の存在を無視されているような・・
問題にもされていないような、疎外感を感じてしまう。
無益で無駄な時間と手間だとわかっていながら、やめられない。
わたしはもう、美咲麗奈の言う、『掲示板も見ないような天然お嬢さま』なんかじゃなくなっていた。
イベントのあった日は『ネタ』が豊富に提供されているせいか、掲示板も賑わっている。
わたしがヨシキさんをひっぱたいたことが、早速書き込まれていて、そのあとはしばらく、わたしの話題でもちきりだったが、『モデルクラブに所属する』とか、『ヨシキさんとエッチしてる』とかいう様な書き込みは、どこにもなかった。
少しほっとする。
やっぱり恋子さんは、シロみたいだ。
「ううん。まだわからないわ」
ひとりごちながら、わたしは書き込みを目で追っていった。
もちろん、メールを送ってきた犯人は美咲麗奈でほぼ確定だけど、恋子さんも掲示板で、わたしを中傷しているかもしれない。
彼女が今日、書き込むかはわからない。
聞いたばかりの話をすぐに書けば、足がつく。
そこまで計算して、出所がわからなくなったタイミングを見計らって、カキコするかもしれない。
わたしの心の中は、疑心暗鬼でいっぱいだった。
“ピロリロリロ…♪”
そのとき、携帯からメールの着信音が流れ、わたしはハッとした。
この音は、ヨシキさん!!
急いで携帯を手にとり、メールを開く。
『窓を開けて』
メールにはひとことだけ書いてあった。
携帯を手にしたまま、わたしは部屋の窓を開ける。
二階の窓からは、夜の闇に紛れるように、ヨシキさんの黒い『TOYOTA bB』が、路地の片隅にひっそりと停まっているのが見えた。その前に、スマホを手にしたヨシキさんが立っていて、わたしを認めて軽く手を上げている。
“ピロリロリロ…♪”
また着信音。
『今から出れる?』
もう、夜の11時を回っている。
出かける口実なんか、どう考えても見つからない。
『無理』
ひとこと返信した。
すぐに次のメールが来る。
『あやまりたい』
『なにを?』
わたしもすぐに返し、ヨシキさんが返事を打っているところを、二階の窓から見つめる。
着信音はすぐに鳴った。
『いろいろ』
『じゃ電話で』
『直接話したい』
『またにして』
『今がいい』
『だから無理』
『オレがそこに行く』
「行くって・・・」
思わず声を漏らした。
それって、『夜這い』ってやつ?
両親はまだ起きているし、となりの部屋には兄もいる。
さすがにそれはまずい。
いったいどうすれば・・・
つづく
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