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level 23
「一度はじめると病みつきになって抜け出せません」
「そう言ってくださると、なんだか嬉しいです」
「古い武家屋敷とかお城とか、断崖絶壁とか廃墟とか、そういう雰囲気に合ったロケで撮って世界観を表現していけば、展示会にも並べられる作品になると思うよ。ぼくもそういうの、チャレンジしてみたいかも」
「えっ、ほんとですか? じゃ今度、コスプレ卒業記念に撮って下さい!」
「ああ。任せといてよ」
「確かに… あのコスプレは可愛いわよね」
わたしたちの会話を聞いていたみっこさんも、身を乗り出して話に入ってきた。
「あたし、コミックやゲームのことは詳しくないけど、長いツインテールをなびかせて、ミニのプリーツスカートがひらひらした衣装って、すっごいキュートだと思うわ。
メイドさんのエプロンドレスとかも洒落てて、ニーハイソックスも可愛いし、思わず着てみたくなるわよね♪」
「そうなんです!
コスプレって一度はじめると病みつきになるっていうか、なかなか抜け出せないんです!」
「なんか、わかる気がするわ」
「みっこもやってみるかい? コスプレ」
おどけた口調で、川島さんが言う。
「まさかぁ。今さらあたしがあんな可愛い服着ても、痛々しいだけよ」
「そんなことないですよ。みっこさんだったらきっと似合うと思います。今度衣装持っていきますから、ぜひ着てみて下さい! わたしも見てみたいです!」
「じゃあ、ぼくに写真撮らせてよ」
「ええ~っ?! 川島くんもコスプレにはまって、カメコっていうのになるの?
そのうちイベントに行きはじめて、『萌え~』とか言いながらレイヤーさんを撮って、ブログとかに写真アップはじめるんじゃない?」
「ははは。それもいいかも。そのときはコスプレ用のカメラマンネーム作って、こっそり活動するかな」
「もうっ。川島くんったら」
真剣か冗談かわからない川島さんの言葉に、みっこさんは呆れていたけど、ぱっと花が咲いたような笑顔を見せて、提案してきた。
「じゃ、こうしましょ。
だれに撮られるかもわかんないようなイベントでのコスプレ活動はNGだけど、あたしたちの間でするのはOKって。
もちろん、川島くんのスタジオでみんなで撮影したり、泊まりがけでロケ撮とか行ったり。いろいろしたいわね。ブログとかはしないとしても、オフで楽しむ分はいいんじゃない?」
「それ、いいかもしれません!」
「じゃあ、ヨシキも誘ってやろう。あいつは撮影もレタッチもうまいし、CGのセンスも技術もなかなかだから」
「ヨシキくんかぁ… まあ、いいけどね」
『ヨシキも誘ってやろう』という言葉に、わずかに戸惑った様子のみっこさんだったが、すぐにわたしの方を向き直って、ニッコリ微笑んだ。
「じゃあ凛子ちゃん、今度コスプレのこといろいろ教えてね。あたしはまだ未経験だけど、ポージングなら負けないわよ!」
「コスプレには独特のポージングや、メイクとかカメラワークがあるんですよ。おふたりとも早く、わたしやヨシキさんに追いついて下さい。レベルが違いすぎる合わせとか、わたしイヤですから」
「んむむ。言うわね凛子ちゃん」
「はは。ぼくもカメラワーク頑張らないといけないってこと? 今度ヨシキの撮影スタイルを盗んでやるか」
「あ~っ、今から楽しみ。あたしどんなコスプレしよっかな。すっごいエロい衣装も着てみたいし。今からいろいろリサーチしておかなくっちゃね」
「エロコス、いいね~。ぼくも張り切るよ」
「せっかくだから、それはヨシキくんに撮ってもらおうかな。彼の方がコスプレ撮影スキル、高いし」
「ええっ。そりゃないよ。ぼくにも撮らせてくれよ」
「ったく、いきなりカメコみたいになるんだから、川島くん」
「あ、はははは」
思わず失笑する。
想像するだけでおかしい。
トップモデルのみっこさんがコスプレして、ゲームやアニメのキャラのポーズとって、それをヨシキさんや川島さんが撮ってる姿なんて。今は芸能人でもオタクな人は多いから、それもありよね。
だけどふたりともノリがいい。
純粋っていうか、若いっていうか。
みっこさんなんか、こんなに瞳をキラキラ輝かせて。
まったく、現役高校生のわたしが追いつけないくらい。
そんなことを考えて微笑みながら、なに気なく大通りに目線を移したわたしは、渋滞に巻き込まれてノロノロと動いている黒いクルマを見て、ハッと眼を見開いた。
つづく
「古い武家屋敷とかお城とか、断崖絶壁とか廃墟とか、そういう雰囲気に合ったロケで撮って世界観を表現していけば、展示会にも並べられる作品になると思うよ。ぼくもそういうの、チャレンジしてみたいかも」
「えっ、ほんとですか? じゃ今度、コスプレ卒業記念に撮って下さい!」
「ああ。任せといてよ」
「確かに… あのコスプレは可愛いわよね」
わたしたちの会話を聞いていたみっこさんも、身を乗り出して話に入ってきた。
「あたし、コミックやゲームのことは詳しくないけど、長いツインテールをなびかせて、ミニのプリーツスカートがひらひらした衣装って、すっごいキュートだと思うわ。
メイドさんのエプロンドレスとかも洒落てて、ニーハイソックスも可愛いし、思わず着てみたくなるわよね♪」
「そうなんです!
コスプレって一度はじめると病みつきになるっていうか、なかなか抜け出せないんです!」
「なんか、わかる気がするわ」
「みっこもやってみるかい? コスプレ」
おどけた口調で、川島さんが言う。
「まさかぁ。今さらあたしがあんな可愛い服着ても、痛々しいだけよ」
「そんなことないですよ。みっこさんだったらきっと似合うと思います。今度衣装持っていきますから、ぜひ着てみて下さい! わたしも見てみたいです!」
「じゃあ、ぼくに写真撮らせてよ」
「ええ~っ?! 川島くんもコスプレにはまって、カメコっていうのになるの?
そのうちイベントに行きはじめて、『萌え~』とか言いながらレイヤーさんを撮って、ブログとかに写真アップはじめるんじゃない?」
「ははは。それもいいかも。そのときはコスプレ用のカメラマンネーム作って、こっそり活動するかな」
「もうっ。川島くんったら」
真剣か冗談かわからない川島さんの言葉に、みっこさんは呆れていたけど、ぱっと花が咲いたような笑顔を見せて、提案してきた。
「じゃ、こうしましょ。
だれに撮られるかもわかんないようなイベントでのコスプレ活動はNGだけど、あたしたちの間でするのはOKって。
もちろん、川島くんのスタジオでみんなで撮影したり、泊まりがけでロケ撮とか行ったり。いろいろしたいわね。ブログとかはしないとしても、オフで楽しむ分はいいんじゃない?」
「それ、いいかもしれません!」
「じゃあ、ヨシキも誘ってやろう。あいつは撮影もレタッチもうまいし、CGのセンスも技術もなかなかだから」
「ヨシキくんかぁ… まあ、いいけどね」
『ヨシキも誘ってやろう』という言葉に、わずかに戸惑った様子のみっこさんだったが、すぐにわたしの方を向き直って、ニッコリ微笑んだ。
「じゃあ凛子ちゃん、今度コスプレのこといろいろ教えてね。あたしはまだ未経験だけど、ポージングなら負けないわよ!」
「コスプレには独特のポージングや、メイクとかカメラワークがあるんですよ。おふたりとも早く、わたしやヨシキさんに追いついて下さい。レベルが違いすぎる合わせとか、わたしイヤですから」
「んむむ。言うわね凛子ちゃん」
「はは。ぼくもカメラワーク頑張らないといけないってこと? 今度ヨシキの撮影スタイルを盗んでやるか」
「あ~っ、今から楽しみ。あたしどんなコスプレしよっかな。すっごいエロい衣装も着てみたいし。今からいろいろリサーチしておかなくっちゃね」
「エロコス、いいね~。ぼくも張り切るよ」
「せっかくだから、それはヨシキくんに撮ってもらおうかな。彼の方がコスプレ撮影スキル、高いし」
「ええっ。そりゃないよ。ぼくにも撮らせてくれよ」
「ったく、いきなりカメコみたいになるんだから、川島くん」
「あ、はははは」
思わず失笑する。
想像するだけでおかしい。
トップモデルのみっこさんがコスプレして、ゲームやアニメのキャラのポーズとって、それをヨシキさんや川島さんが撮ってる姿なんて。今は芸能人でもオタクな人は多いから、それもありよね。
だけどふたりともノリがいい。
純粋っていうか、若いっていうか。
みっこさんなんか、こんなに瞳をキラキラ輝かせて。
まったく、現役高校生のわたしが追いつけないくらい。
そんなことを考えて微笑みながら、なに気なく大通りに目線を移したわたしは、渋滞に巻き込まれてノロノロと動いている黒いクルマを見て、ハッと眼を見開いた。
つづく
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