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level 27
「今日の合い言葉は『ハッピー』ですね」
「準備の方はいかがですか? そろそろお式のはじまる時間です」
にこやかに微笑むアテンドさんに『了解~っす』と応え、ヨシキさんは両手で、わたしたちを寄せるゼスチャーをしながら、カメラを構えた。
「よしっ。式の前のド緊張した四人のオフショ、撮っとこうぜ」
「え~? 緊張なんかしてないですよ~。凛子ちゃん桃李ちゃん恋子ちゃん、写真撮ろ!」
屈託なく笑いながら、優花さんはわたしたちを手招いた。
桃李さんは満面の微笑みを浮かべて、優花さんの腕をギュッと抱きしめる。
「やったぁ。桃李嬉しいですぅ。
麗しい花嫁さんと撮って頂けるなんて (/д\*))((*/Д\)キャッ
このお写真は一生の宝物にしまっす °˖✧◝(・∀・)◜✧˖
花嫁さんに悪さする悪魔はみんな、桃李が囮になって引き受けますので、優花さんはどうか幸せになってくださ~い ヾ(*´∀`*)ノ」
わたしも優花さんの横に立って、彼女に言った。
「優花さん、幸せになって下さい。そして、兄も幸せにしてあげて下さい」
「あははは。任せといてよ」
「あたしも、幸せのおこぼれに預からせてもらうわ。みぃ~んなでハッピーになろっ!」
そう言った恋子さんが、うしろからみんなの肩を抱く。
純白のウエディングドレス姿の優花さんを真ん中にして、わたしたちは顔を寄せ合い、レンズに向かってピースをした。
「じゃあ撮るぞ。今日の合い言葉は『ハッピー』で。いいか、みんなで!」
「ハッピー」「ハッピー」「ハッピー」「ハッピー」
“カシャカシャ!”
片手でピースサインを送りながら、ヨシキさんはシャッターを切った。
中腰の姿勢で構えるそのポーズは、相変わらずキマってる。
この9ヶ月ほどの出来事が、頭のなかを駆け巡ってくる。
今、やっとヨシキさんのことを、肯定的に捉えることができる気がする。
わたし、この人と恋愛できて、本当によかった。
そりゃ、モヤモヤすることもムカつくこともあったけど、今思い返すと、初めて経験する刺激的で新鮮な出来事ばかりで、楽しいことや幸せなこともたくさんあって、それはわたしの人生の糧になった気がする。
別れてしまって、なにもかもが消えてなくなるわけじゃない。
いっしょに過ごした半年あまりの日々は、砂のように、指の間からみんなこぼれていったと思っていたけど、違った。
わたしにも、ヨシキさんにも、その手のひらには、貝殻のかけらのように、なにかが残っている。
キラキラ輝く、小さななにかが。
両開きの重々しい扉の向こうから、荘厳な賛美歌が漏れてくる。
花嫁は今、チャペルの入口で父と腕を組み、入場の時を待っている。
そのうしろには、長いウエディングドレスのトレーンの裾を持った桃李さんがいて、結婚のサインボードを持った恋子さんが続き、わたしはいちばんうしろで、リングピローを両手に掲げていた。
つづく
にこやかに微笑むアテンドさんに『了解~っす』と応え、ヨシキさんは両手で、わたしたちを寄せるゼスチャーをしながら、カメラを構えた。
「よしっ。式の前のド緊張した四人のオフショ、撮っとこうぜ」
「え~? 緊張なんかしてないですよ~。凛子ちゃん桃李ちゃん恋子ちゃん、写真撮ろ!」
屈託なく笑いながら、優花さんはわたしたちを手招いた。
桃李さんは満面の微笑みを浮かべて、優花さんの腕をギュッと抱きしめる。
「やったぁ。桃李嬉しいですぅ。
麗しい花嫁さんと撮って頂けるなんて (/д\*))((*/Д\)キャッ
このお写真は一生の宝物にしまっす °˖✧◝(・∀・)◜✧˖
花嫁さんに悪さする悪魔はみんな、桃李が囮になって引き受けますので、優花さんはどうか幸せになってくださ~い ヾ(*´∀`*)ノ」
わたしも優花さんの横に立って、彼女に言った。
「優花さん、幸せになって下さい。そして、兄も幸せにしてあげて下さい」
「あははは。任せといてよ」
「あたしも、幸せのおこぼれに預からせてもらうわ。みぃ~んなでハッピーになろっ!」
そう言った恋子さんが、うしろからみんなの肩を抱く。
純白のウエディングドレス姿の優花さんを真ん中にして、わたしたちは顔を寄せ合い、レンズに向かってピースをした。
「じゃあ撮るぞ。今日の合い言葉は『ハッピー』で。いいか、みんなで!」
「ハッピー」「ハッピー」「ハッピー」「ハッピー」
“カシャカシャ!”
片手でピースサインを送りながら、ヨシキさんはシャッターを切った。
中腰の姿勢で構えるそのポーズは、相変わらずキマってる。
この9ヶ月ほどの出来事が、頭のなかを駆け巡ってくる。
今、やっとヨシキさんのことを、肯定的に捉えることができる気がする。
わたし、この人と恋愛できて、本当によかった。
そりゃ、モヤモヤすることもムカつくこともあったけど、今思い返すと、初めて経験する刺激的で新鮮な出来事ばかりで、楽しいことや幸せなこともたくさんあって、それはわたしの人生の糧になった気がする。
別れてしまって、なにもかもが消えてなくなるわけじゃない。
いっしょに過ごした半年あまりの日々は、砂のように、指の間からみんなこぼれていったと思っていたけど、違った。
わたしにも、ヨシキさんにも、その手のひらには、貝殻のかけらのように、なにかが残っている。
キラキラ輝く、小さななにかが。
両開きの重々しい扉の向こうから、荘厳な賛美歌が漏れてくる。
花嫁は今、チャペルの入口で父と腕を組み、入場の時を待っている。
そのうしろには、長いウエディングドレスのトレーンの裾を持った桃李さんがいて、結婚のサインボードを持った恋子さんが続き、わたしはいちばんうしろで、リングピローを両手に掲げていた。
つづく
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