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「それが超絶美少女なわたしの生き方なのです」(最終回)
「やだ、、、あたし。脚が震えてきた」
ぽつりと優花さんがこぼした。
桃李さんや恋子さんも、さっきまでの屈託ない微笑みが消えていて、心なしか肩が震えている。
優花さんが口に出したおかげで、それまで気にもしていなかった緊張が、いっきにこみ上げてくる。
わたしの心臓も、ドキドキと鼓動を速めてきた。
リングピローを持つ手に汗が滲み、頬が火照ってくる。
自分のことではないとはいえ、一生一度の晴れ舞台で、緊張しないわけがない。
「凛子ちゃん、、、」
そんなわたしの不安を、いつになく真面目な表情で撮影していたヨシキさんが、目ざとく察し、小声で話しかけてきた。
「コスプレして、オレとつきあって、なにか変わった?」
「こ、こんなときになんですか?」
「いや。急に訊きたくなってさ」
「…」
しばらく沈黙したわたしは、ヨシキさんを見つめ、おもむろに答えた。
「よく、わかりました」
「なにが?」
「無理に変わろうとする必要は、なかったかなって」
「へえ」
「人は変わっていくものだって。
去年の夏からわたし、とっても貴重な経験をしました。ヨシキさんと」
「そうだな。オレも一生一度の思いをさせてもらったよ」
「わたしもそうです」
「ほんとに?」
「ええ、、 そしてヨシキさんは、わたしにとって、大切な、恋の、、、 出発点でした」
「、、、」
「今までありがとうございました」
「はは。凛子ちゃんのそういうとこ、惚れ直すよ。やっぱりオレは『手の届かない高嶺の花』に恋するのが好きみたいだな」
「ええ。いつまでもわたしのこと、好きでいて下さいね」
そう言って、わたしはニッコリ微笑んだ。
そのとき、チャペルの扉が開き、神々しい光が、部屋いっぱいに溢れてきた。
まぶしい扉の向こうに向かって、花嫁とその父は、ヴァージンロードへとゆっくりと踏み出してゆく。
続いて桃李さんが、レースのトレーンをうやうやしく掲げ、歩いていく。
恋子さんが、参列者に軽く手を振り、最後にわたしも、エンゲージリングを乗せたリングピローを手にして、新たな一歩を踏み出した。
“カシャカシャカシャカシャ!”
そんなわたしたちの後ろ姿を連写したヨシキさんは、風のように素早くみんなの横をすり抜け、あらゆるアングルからわたしたちを写していく。
花嫁のあとについて、わたしも純白のヴァージンロードを踏みしめる。
正面の祭壇には、兄が真っ白なタキシード姿で立っていた。
いつもとは違う優花さんの綺麗なウエディングドレス姿に、感動のあまり、頬を紅潮させているようだ。
いつかはこの道を、わたしもヒロインとして歩くかもしれない。
そのとき、わたしのとなりにいるのは、もちろんヨシキさんではないだろう。
だいたいこのわたしが、あいつに惚れるわけが…
ううん。
強がりはもう、やめよう。
素直に認めよう。
やっぱりわたしは、ヨシキさんに惚れていた。
桃李さん風に言うならば、一生一度の、はじめての、究極にして至高、最愛の恋だった。
たとえそれが過去のものになったとしても、そんな恋に巡り会えた幸せを、わたしは一生大事にしたい。
それがわたしの、
才色兼備で文武両道、薩摩島津家の末裔にして超絶美少女のお姫さま。
島津凛子の生き方なのだ。
END
2014.3.31
2015.9.26改稿
2016.3.10改稿
2016.8.24改稿
2018.8.15改稿
2018.12.6改稿
2021.7.18改稿
ぽつりと優花さんがこぼした。
桃李さんや恋子さんも、さっきまでの屈託ない微笑みが消えていて、心なしか肩が震えている。
優花さんが口に出したおかげで、それまで気にもしていなかった緊張が、いっきにこみ上げてくる。
わたしの心臓も、ドキドキと鼓動を速めてきた。
リングピローを持つ手に汗が滲み、頬が火照ってくる。
自分のことではないとはいえ、一生一度の晴れ舞台で、緊張しないわけがない。
「凛子ちゃん、、、」
そんなわたしの不安を、いつになく真面目な表情で撮影していたヨシキさんが、目ざとく察し、小声で話しかけてきた。
「コスプレして、オレとつきあって、なにか変わった?」
「こ、こんなときになんですか?」
「いや。急に訊きたくなってさ」
「…」
しばらく沈黙したわたしは、ヨシキさんを見つめ、おもむろに答えた。
「よく、わかりました」
「なにが?」
「無理に変わろうとする必要は、なかったかなって」
「へえ」
「人は変わっていくものだって。
去年の夏からわたし、とっても貴重な経験をしました。ヨシキさんと」
「そうだな。オレも一生一度の思いをさせてもらったよ」
「わたしもそうです」
「ほんとに?」
「ええ、、 そしてヨシキさんは、わたしにとって、大切な、恋の、、、 出発点でした」
「、、、」
「今までありがとうございました」
「はは。凛子ちゃんのそういうとこ、惚れ直すよ。やっぱりオレは『手の届かない高嶺の花』に恋するのが好きみたいだな」
「ええ。いつまでもわたしのこと、好きでいて下さいね」
そう言って、わたしはニッコリ微笑んだ。
そのとき、チャペルの扉が開き、神々しい光が、部屋いっぱいに溢れてきた。
まぶしい扉の向こうに向かって、花嫁とその父は、ヴァージンロードへとゆっくりと踏み出してゆく。
続いて桃李さんが、レースのトレーンをうやうやしく掲げ、歩いていく。
恋子さんが、参列者に軽く手を振り、最後にわたしも、エンゲージリングを乗せたリングピローを手にして、新たな一歩を踏み出した。
“カシャカシャカシャカシャ!”
そんなわたしたちの後ろ姿を連写したヨシキさんは、風のように素早くみんなの横をすり抜け、あらゆるアングルからわたしたちを写していく。
花嫁のあとについて、わたしも純白のヴァージンロードを踏みしめる。
正面の祭壇には、兄が真っ白なタキシード姿で立っていた。
いつもとは違う優花さんの綺麗なウエディングドレス姿に、感動のあまり、頬を紅潮させているようだ。
いつかはこの道を、わたしもヒロインとして歩くかもしれない。
そのとき、わたしのとなりにいるのは、もちろんヨシキさんではないだろう。
だいたいこのわたしが、あいつに惚れるわけが…
ううん。
強がりはもう、やめよう。
素直に認めよう。
やっぱりわたしは、ヨシキさんに惚れていた。
桃李さん風に言うならば、一生一度の、はじめての、究極にして至高、最愛の恋だった。
たとえそれが過去のものになったとしても、そんな恋に巡り会えた幸せを、わたしは一生大事にしたい。
それがわたしの、
才色兼備で文武両道、薩摩島津家の末裔にして超絶美少女のお姫さま。
島津凛子の生き方なのだ。
END
2014.3.31
2015.9.26改稿
2016.3.10改稿
2016.8.24改稿
2018.8.15改稿
2018.12.6改稿
2021.7.18改稿
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