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07 Carnival Night
Carnival Night 19
「その言葉、すっごいショックだったな~。
さつきちゃんがぼくのこと、友達としか思ってなかったなんて」
「…それは」
「あの夜もさつきちゃん、『モデル級の友達紹介しようか』って言ってただろ。
それで、『えみちゃんの話は本当だったんだ』って確信して、絶望して、つい、ヤケを起こして、さつきちゃんに対して攻撃的になってしまった。
あの時さつきちゃんは、理由つけて先に帰っただろ。
そうするよな。ふつう。
当たって砕けることもできない、愚痴るだけのふがいない自分なんか、嫌われて当然だもんな」
「…」
「次の日、さつきちゃんから『サークルやめる』って電話があった時、激しく悔やんだよ。後悔してもそれこそ、『あとの祭り』だけど」
「…」
「でも、ぼくの『祭り』は、このまま終わらせたくなかった。
だから今日、どんな理由をこじつけてでも、さつきちゃんに会いたかった」
「…」
「そして、ぼくの気持ちをちゃんと伝えたかった」
「…」
「最後まで聞いてほしい」
「…」
川島君はまっすぐ、わたしを見る。
からだが硬くなって脚が震える。
その次に、彼の口から出てくる言葉を予感して、心臓が激しく高鳴ってくる。
「あの、本屋で再会できた日。これは運命かと思った。いろいろ話ができて、すごく共感してもらえたり、さつきちゃんの話に共感したり、すごく嬉しかった。
そして、趣味を通して、いい友だちにもなれたと思う。
だけど、さつきちゃんといる時、ぼくはいつも、もやもやしたものを感じていた。
大切なことを伝えたいんだけど、どうしても言い出せなかった。
この気持ちを口にしてしまえば、せっかくの友達関係を自分から壊してしまう気がして、怖かったんだ。
本当に情けない。後悔しても、しきれない」
「…」
それは、わたしの気持ち・・・
シンクロしている。
からだの震えがとまらない。
ついさっきまでの喪失感とは違う、張りつめた緊張がからだを支配して、わたしはじっと、川島君の言葉だけを受け止めていた。
「さつきちゃんにとって、ぼくのことはただの友だちだろうけど、ぼくは…」
「待っ… 待って!」
その瞬間、わたしは思わず彼の言葉を遮った。
怒濤のように、このひと月半の間の、いろんな想いが押し寄せてくる。
再会の書店。
紅茶貴族での会話。
同人誌活動。
蘭恵美さんと沢水絵里香さん。
小説講座の帰り道。
地下街の公衆電話。
さまざまな恋の事件に巻き込まれ、喫茶店や港の埠頭で、みっこと恋についていろいろ語り、一度はしくじったわたしがにたどり着いた、最後の答え。
傷ついてもいい。
このまま受け身でいるより、自分からこの気持ちを伝えたい。
つづく
さつきちゃんがぼくのこと、友達としか思ってなかったなんて」
「…それは」
「あの夜もさつきちゃん、『モデル級の友達紹介しようか』って言ってただろ。
それで、『えみちゃんの話は本当だったんだ』って確信して、絶望して、つい、ヤケを起こして、さつきちゃんに対して攻撃的になってしまった。
あの時さつきちゃんは、理由つけて先に帰っただろ。
そうするよな。ふつう。
当たって砕けることもできない、愚痴るだけのふがいない自分なんか、嫌われて当然だもんな」
「…」
「次の日、さつきちゃんから『サークルやめる』って電話があった時、激しく悔やんだよ。後悔してもそれこそ、『あとの祭り』だけど」
「…」
「でも、ぼくの『祭り』は、このまま終わらせたくなかった。
だから今日、どんな理由をこじつけてでも、さつきちゃんに会いたかった」
「…」
「そして、ぼくの気持ちをちゃんと伝えたかった」
「…」
「最後まで聞いてほしい」
「…」
川島君はまっすぐ、わたしを見る。
からだが硬くなって脚が震える。
その次に、彼の口から出てくる言葉を予感して、心臓が激しく高鳴ってくる。
「あの、本屋で再会できた日。これは運命かと思った。いろいろ話ができて、すごく共感してもらえたり、さつきちゃんの話に共感したり、すごく嬉しかった。
そして、趣味を通して、いい友だちにもなれたと思う。
だけど、さつきちゃんといる時、ぼくはいつも、もやもやしたものを感じていた。
大切なことを伝えたいんだけど、どうしても言い出せなかった。
この気持ちを口にしてしまえば、せっかくの友達関係を自分から壊してしまう気がして、怖かったんだ。
本当に情けない。後悔しても、しきれない」
「…」
それは、わたしの気持ち・・・
シンクロしている。
からだの震えがとまらない。
ついさっきまでの喪失感とは違う、張りつめた緊張がからだを支配して、わたしはじっと、川島君の言葉だけを受け止めていた。
「さつきちゃんにとって、ぼくのことはただの友だちだろうけど、ぼくは…」
「待っ… 待って!」
その瞬間、わたしは思わず彼の言葉を遮った。
怒濤のように、このひと月半の間の、いろんな想いが押し寄せてくる。
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このまま受け身でいるより、自分からこの気持ちを伝えたい。
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