132 / 300
12 CANARY ENSIS
CANARY ENSIS 7
「あ。ごめんよ」
そう言いながらも川島君の手は、わたしの太ももの裏側をやさしく愛撫するようになぞる。
どうして好きな人に触られると、気持ちいいんだろ?
なんだかジンジンくるような、甘い疼き…
川島君とは『Moulin Rouge』でキスして以来、少しずつお互いのからだに触れるようになったが、まだスキンシップに慣れていないというか、あんまり触れられすぎると、突然やってくる妙な感覚に戸惑ってしまって、怖くもなる。
「あ、ありがと。あとは自分でできるから」
お尻の下あたりに触れられたとき、不意にからだの奥がきゅっと締めつけられるような快感に戸惑い、あわててわたしは、ビーチチェアからからだを起こした。
そうしているうちに、スタッフのみんなが水着姿でビーチにやってきた。
「やあ、みっこちゃん。お待たせ」
「あらぁ。みっこちゃん、いかした水着着てるわね。それ撮影用?」
「センセ、乙女に対する褒め方が違うわよ。『あたしがいかした水着着てる』んじゃなくて、『いかしたあたしが水着着てる』でしょ?」
「みっこちゃん、相変わらずね~」
藤村さんと星川先生の間で、じゃれるように両手を組んだみっこは、天真爛漫な微笑みを見せていた。
「みんなも来たし、さっそくゲームしましょ。ビーチバレーボール」
「みっこちゃんはいつまでも子どもだねぇ」
「んもう。『ちゃん』づけはやめてって、言ってるのに」
「みっこちゃんにもう少し色気が出てきたら、『美湖さん』って呼んであげるよ」
「それもなんだかイヤだな~」
おとなの中にいて、全然違和感なく会話をするみっこ。わたしじゃこうはいかない。
年の割に、みっこが考え方も言動もおとなっぽく感じるのは、こうやって、小さい頃からおとなに混じって、モデルの仕事をしているからだろな。
みんなでビーチバレーボールをやったり、ダイビングを習ったり、ボートに乗ったりして遊んでいるうちに、陽は西に傾き、インディアナ・オーシャンは綺麗な緋色に染まっていった。
「ねえ。太陽が海に沈むのを見に行こうか?」
陽に焼けてほんのりと色づいた肌を、インド更紗のサリーに包んだみっこは、ホテルの裏の小さな丘に、わたしと川島君を案内してくれた。
丘の上はかすかに風が吹いていて、うなじを抜ける空気の流れが心地よい。
なぎさからよりも、雲ひとつない空と海の境界がよく見える。
水平線の彼方に、今にも身を沈めそうにのたうつ紅い太陽を、わたしは見つめた。
「よく聞いててね」
さっきまであんなにはしゃいでいたみっこは、金色に染まった夕陽に似合うような、しっとりとした口調で言う。
「海に太陽が触れた瞬間。『ジュッ』って音がするのよ」
「ほんとに?」
「ええ」
遠い大気が大きな丸い輪郭を震わせ、夕陽は震えながら海へと近づいていく。
そして太陽が海に触れた瞬間、燃える赤い球は炎を水平線にまき散らし、海は沸騰したかのように、泡立った… かに見えた。
なんだか、ギュッと胸が締めつけられてくる。
「…聞こえた?」
「…みたいな気がする」
「本当に、太陽は海に沈むんだな」
はるか彼方の水平線を見つめて、川島君は静かにつぶやく。
「感動したよ」
そう言った彼を黙って見つめながら、みっこは微笑んだ。
つづく
そう言いながらも川島君の手は、わたしの太ももの裏側をやさしく愛撫するようになぞる。
どうして好きな人に触られると、気持ちいいんだろ?
なんだかジンジンくるような、甘い疼き…
川島君とは『Moulin Rouge』でキスして以来、少しずつお互いのからだに触れるようになったが、まだスキンシップに慣れていないというか、あんまり触れられすぎると、突然やってくる妙な感覚に戸惑ってしまって、怖くもなる。
「あ、ありがと。あとは自分でできるから」
お尻の下あたりに触れられたとき、不意にからだの奥がきゅっと締めつけられるような快感に戸惑い、あわててわたしは、ビーチチェアからからだを起こした。
そうしているうちに、スタッフのみんなが水着姿でビーチにやってきた。
「やあ、みっこちゃん。お待たせ」
「あらぁ。みっこちゃん、いかした水着着てるわね。それ撮影用?」
「センセ、乙女に対する褒め方が違うわよ。『あたしがいかした水着着てる』んじゃなくて、『いかしたあたしが水着着てる』でしょ?」
「みっこちゃん、相変わらずね~」
藤村さんと星川先生の間で、じゃれるように両手を組んだみっこは、天真爛漫な微笑みを見せていた。
「みんなも来たし、さっそくゲームしましょ。ビーチバレーボール」
「みっこちゃんはいつまでも子どもだねぇ」
「んもう。『ちゃん』づけはやめてって、言ってるのに」
「みっこちゃんにもう少し色気が出てきたら、『美湖さん』って呼んであげるよ」
「それもなんだかイヤだな~」
おとなの中にいて、全然違和感なく会話をするみっこ。わたしじゃこうはいかない。
年の割に、みっこが考え方も言動もおとなっぽく感じるのは、こうやって、小さい頃からおとなに混じって、モデルの仕事をしているからだろな。
みんなでビーチバレーボールをやったり、ダイビングを習ったり、ボートに乗ったりして遊んでいるうちに、陽は西に傾き、インディアナ・オーシャンは綺麗な緋色に染まっていった。
「ねえ。太陽が海に沈むのを見に行こうか?」
陽に焼けてほんのりと色づいた肌を、インド更紗のサリーに包んだみっこは、ホテルの裏の小さな丘に、わたしと川島君を案内してくれた。
丘の上はかすかに風が吹いていて、うなじを抜ける空気の流れが心地よい。
なぎさからよりも、雲ひとつない空と海の境界がよく見える。
水平線の彼方に、今にも身を沈めそうにのたうつ紅い太陽を、わたしは見つめた。
「よく聞いててね」
さっきまであんなにはしゃいでいたみっこは、金色に染まった夕陽に似合うような、しっとりとした口調で言う。
「海に太陽が触れた瞬間。『ジュッ』って音がするのよ」
「ほんとに?」
「ええ」
遠い大気が大きな丸い輪郭を震わせ、夕陽は震えながら海へと近づいていく。
そして太陽が海に触れた瞬間、燃える赤い球は炎を水平線にまき散らし、海は沸騰したかのように、泡立った… かに見えた。
なんだか、ギュッと胸が締めつけられてくる。
「…聞こえた?」
「…みたいな気がする」
「本当に、太陽は海に沈むんだな」
はるか彼方の水平線を見つめて、川島君は静かにつぶやく。
「感動したよ」
そう言った彼を黙って見つめながら、みっこは微笑んだ。
つづく
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
秘花~王太子の秘密と宿命の皇女~
めぐみ
BL
☆俺はお前を何度も抱き、俺なしではいられぬ淫らな身体にする。宿命という名の数奇な運命に翻弄される王子達☆
―俺はそなたを玩具だと思ったことはなかった。ただ、そなたの身体は俺のものだ。俺はそなたを何度でも抱き、俺なしではいられないような淫らな身体にする。抱き潰すくらいに抱けば、そなたもあの宦官のことなど思い出しもしなくなる。―
モンゴル大帝国の皇帝を祖父に持ちモンゴル帝国直系の皇女を生母として生まれた彼は、生まれながらの高麗の王太子だった。
だが、そんな王太子の運命を激変させる出来事が起こった。
そう、あの「秘密」が表に出るまでは。
Emerald
藍沢咲良
恋愛
教師という仕事に嫌気が差した結城美咲(ゆうき みさき)は、叔母の住む自然豊かな郊外で時々アルバイトをして生活していた。
叔母の勧めで再び教員業に戻ってみようと人材バンクに登録すると、すぐに話が来る。
自分にとっては完全に新しい場所。
しかし仕事は一度投げ出した教員業。嫌だと言っても他に出来る仕事は無い。
仕方無しに仕事復帰をする美咲。仕事帰りにカフェに寄るとそこには…。
〜main cast〜
結城美咲(Yuki Misaki)
黒瀬 悠(Kurose Haruka)
※作中の地名、団体名は架空のものです。
※この作品はエブリスタ、小説家になろうでも連載されています。
※素敵な表紙をポリン先生に描いて頂きました。
ポリン先生の作品はこちら↓
https://manga.line.me/indies/product/detail?id=8911
https://www.comico.jp/challenge/comic/33031
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。