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12 CANARY ENSIS
CANARY ENSIS 13
ちゃんと覚えているのは、そのあたりまでだった。
黙って目をつぶり、ベッドに横たわって、わたしは川島君のするままになっていた。
彼の唇や指先が、からだを通り過ぎていくのを、ただ、夢中で受けとめていた。
それがいつまで続くのか、どんな気持ちになればいいのかもわからず、本能のまま、からだ全部で彼の存在を感じていた。
わたしの脚の間にからだを入れてきた川島君は、潤った部分に自分の腰を当ててくる。
しばらくグイグイと押されている感覚があったが、そうしているうちに、不意に激しい痛みが、わたしのからだを貫いた。
「いっ… 痛いっ! 川島君っ?」
「さつきちゃん…」
あまりの痛みに、わたしは思わず川島君の腕を掴んだけど、彼はしっかりとわたしを抱きしめる。彼は何度もわたしの名前を呼んだ。
「んうっ。川島君…」
激流に翻弄され、なにがなんだかわからないまま、わたしは彼にしがみつき、必死に歯をくいしばった。
川島君の吐息はどんどん速くなり、熱くなっていく。
真っ赤に焼けた熱いかたまりが、おなかのなかで激しく脈打ち、意識が遠のく。
そのままわたしは、深い谷底に、どこまでもどこまでも落ちていった…
ふと気がつくと、川島君はベッドの脇で、わたしを心配そうに見つめていた。
「もう… 終わったの?」
わたしの言葉に、川島君は今まで一度も見せたことのないような、とってもやさしい、あったかな微笑みを浮かべた。
「痛かった? ごめんね」
「…ん。死ぬかと思った」
「でもとっても感動したよ。さつきちゃんの声。すごく可愛いよ」
「え? わたし声なんて出してたの?」
恥ずかしくなって、シーツで顔を覆う。
わたしって、どんな声を出していたんだろ?
自分がなにをして、どうなったのか、まるでわからない。
「でもありがとう。嬉しかった。ぼくの人生で最高の夜だったよ。さつきちゃんといっしょに、『おとなの階段』を登ることができて」
そう言って、川島君は髪をやさしく撫でてくれる。わたしはシーツをかぶったまま、コクンとうなずいた。
今はまだ、よくわからない。
自分のしたこととか、これからどうなっていくのかとか…
わからないけど、ふたりで今まで知らなかった、新しい扉を開いたのは確かよね。
わたしはそっと、隣に横たわる川島君のはだかの胸に、耳をあててみた。
コクン、コクンと、規則正しい音がする。
なんだかとっても安心できる響き。
「わたし… ひとの心臓の音を聴いたの。はじめて」
「そう… そうだよな。ぼくも聴いてみていい?」
そう言って川島君は、わたしの胸に耳を当てる。
「さつきちゃん。生きてる」
「…ん」
自分の胸元にいる川島君がとっても愛しくて、わたしは彼の髪を、やさしく撫でた。
「なんだか、気持ちいいな。髪を撫でられるのって」
川島君はそう言って上半身を起こし、わたしの頭に腕枕をして、自分の鼻をわたしの鼻にくっつけた。
「ぼくは今、最高に幸せだよ。こうやって大好きなさつきちゃんと、肌を重ねられて」
そう言いながらわたしを見つめ、彼はやさしく髪を撫でる。
くすぐったいけど、気持ちいい。
なんだかとっても安心できる手触り。
昔,お母さんやお父さんが、お布団の中で、わたしの髪を撫でてくれた。
そんな懐かしい感触を憶い出しながら、わたしはいつのまにか眠りについた。
つづく
黙って目をつぶり、ベッドに横たわって、わたしは川島君のするままになっていた。
彼の唇や指先が、からだを通り過ぎていくのを、ただ、夢中で受けとめていた。
それがいつまで続くのか、どんな気持ちになればいいのかもわからず、本能のまま、からだ全部で彼の存在を感じていた。
わたしの脚の間にからだを入れてきた川島君は、潤った部分に自分の腰を当ててくる。
しばらくグイグイと押されている感覚があったが、そうしているうちに、不意に激しい痛みが、わたしのからだを貫いた。
「いっ… 痛いっ! 川島君っ?」
「さつきちゃん…」
あまりの痛みに、わたしは思わず川島君の腕を掴んだけど、彼はしっかりとわたしを抱きしめる。彼は何度もわたしの名前を呼んだ。
「んうっ。川島君…」
激流に翻弄され、なにがなんだかわからないまま、わたしは彼にしがみつき、必死に歯をくいしばった。
川島君の吐息はどんどん速くなり、熱くなっていく。
真っ赤に焼けた熱いかたまりが、おなかのなかで激しく脈打ち、意識が遠のく。
そのままわたしは、深い谷底に、どこまでもどこまでも落ちていった…
ふと気がつくと、川島君はベッドの脇で、わたしを心配そうに見つめていた。
「もう… 終わったの?」
わたしの言葉に、川島君は今まで一度も見せたことのないような、とってもやさしい、あったかな微笑みを浮かべた。
「痛かった? ごめんね」
「…ん。死ぬかと思った」
「でもとっても感動したよ。さつきちゃんの声。すごく可愛いよ」
「え? わたし声なんて出してたの?」
恥ずかしくなって、シーツで顔を覆う。
わたしって、どんな声を出していたんだろ?
自分がなにをして、どうなったのか、まるでわからない。
「でもありがとう。嬉しかった。ぼくの人生で最高の夜だったよ。さつきちゃんといっしょに、『おとなの階段』を登ることができて」
そう言って、川島君は髪をやさしく撫でてくれる。わたしはシーツをかぶったまま、コクンとうなずいた。
今はまだ、よくわからない。
自分のしたこととか、これからどうなっていくのかとか…
わからないけど、ふたりで今まで知らなかった、新しい扉を開いたのは確かよね。
わたしはそっと、隣に横たわる川島君のはだかの胸に、耳をあててみた。
コクン、コクンと、規則正しい音がする。
なんだかとっても安心できる響き。
「わたし… ひとの心臓の音を聴いたの。はじめて」
「そう… そうだよな。ぼくも聴いてみていい?」
そう言って川島君は、わたしの胸に耳を当てる。
「さつきちゃん。生きてる」
「…ん」
自分の胸元にいる川島君がとっても愛しくて、わたしは彼の髪を、やさしく撫でた。
「なんだか、気持ちいいな。髪を撫でられるのって」
川島君はそう言って上半身を起こし、わたしの頭に腕枕をして、自分の鼻をわたしの鼻にくっつけた。
「ぼくは今、最高に幸せだよ。こうやって大好きなさつきちゃんと、肌を重ねられて」
そう言いながらわたしを見つめ、彼はやさしく髪を撫でる。
くすぐったいけど、気持ちいい。
なんだかとっても安心できる手触り。
昔,お母さんやお父さんが、お布団の中で、わたしの髪を撫でてくれた。
そんな懐かしい感触を憶い出しながら、わたしはいつのまにか眠りについた。
つづく
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