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18 Rip Stick ~After side
Rip Stick 33
受話器の向こうでみっこが懇願する声も聞かず、わたしは一方的に電話を切った。
わたしって、最低。
なにもかもブチまけてしまって、わたしはいったいどうしたいの?
今、いちばん傷ついているのは、川島君の言うとおり、森田美湖なのに。
それなのにわたしは、彼女の気持ちをまったく考えてやることもできず、わたしの一方的な感情ばかり振りかざして。
わたしはきっと、みっこに復讐したかったのかもしれない。
酷い言葉を投げつけて、みっこのこと、傷つけてやりたかったのかもしれない。
この半年の間、みっこにはずっと、鬱屈した思いを味わわされてきた。
そうして結果的に、どういういきさつだったしても、みっこのせいで、わたしと川島君は別れてしまった。
だから、わたしが辛い思いをした分、みっこにも同じくらい傷ついてほしい、って…
そんな勝手なことを考えていたのかもしれない。
もう、自暴自棄というか、やけっぱち。
そりゃ、『みっこのこと、少しは見習ったら』って、川島君から言われるのも、当たり前か。
みっこもあきれてるよね。
ううん。
あそこまで言ってしまったんだもん。
怒ってるよね。
わたしのこと、許せないくらいに。
電話であんなひどいことを言った以上、もうみっことも、友だちでいられない。
わたしは、自分がいちばん大事にしていた恋人と親友。川島祐二と森田美湖のふたりを、いっぺんに失くしちゃったんだ。
わたしはいつでも、あのふたりに対する、コンプレックスがあった。
川島祐二は、わたしが果たせない夢を、確実に現実にしていき、自分の道をしっかりと歩いている。
森田美湖は、わたしにない魅力をみんな持っていて、だれが見ても素敵な女性。
このふたつの現実から逃げようと、この半年くらい、わたしはそればかりを考えていたのかもしれない。
今日、ふたりにあんなにまでヒステリックに当たり散らしたのも、そんなわたしのコンプレックスの裏返し。
もし、『ディズニーランド事件』のことも、『長崎事件』のことも、そのときにちゃんと向き合って、話し合って解決していたら、わたしたちはこんなひどい結果にならなかったかもしれない。
ううん。
そんなことない。
いずれはこうなる、運命だったのかもしれない。
人間なんて、結局ひとりぽっちなんだから。
恋人だって親友だって、長い人生の間で、一瞬だけ交わるエトランゼ。
所詮、他人じゃない。
「いいもん。今までだって、みっこも川島君もいなくてやってこれたんだから、その頃のわたしに戻るだけじゃない。これからだって、新しい友だちや彼氏作って、楽しくやっていけるわよ!」
そんな強がりを言いながら、わたしはようやく、涙が溢れてきた。
そうすると、今度は止まらない。
わたしは一晩中、ベッドのなかで泣き明かした。
その日から、川島祐二からも森田美湖からも、もう電話がかかってくることはなかった。
END
21th Sep. 2011
18th Apr.2016 改稿
6th Jul.2020 改稿
わたしって、最低。
なにもかもブチまけてしまって、わたしはいったいどうしたいの?
今、いちばん傷ついているのは、川島君の言うとおり、森田美湖なのに。
それなのにわたしは、彼女の気持ちをまったく考えてやることもできず、わたしの一方的な感情ばかり振りかざして。
わたしはきっと、みっこに復讐したかったのかもしれない。
酷い言葉を投げつけて、みっこのこと、傷つけてやりたかったのかもしれない。
この半年の間、みっこにはずっと、鬱屈した思いを味わわされてきた。
そうして結果的に、どういういきさつだったしても、みっこのせいで、わたしと川島君は別れてしまった。
だから、わたしが辛い思いをした分、みっこにも同じくらい傷ついてほしい、って…
そんな勝手なことを考えていたのかもしれない。
もう、自暴自棄というか、やけっぱち。
そりゃ、『みっこのこと、少しは見習ったら』って、川島君から言われるのも、当たり前か。
みっこもあきれてるよね。
ううん。
あそこまで言ってしまったんだもん。
怒ってるよね。
わたしのこと、許せないくらいに。
電話であんなひどいことを言った以上、もうみっことも、友だちでいられない。
わたしは、自分がいちばん大事にしていた恋人と親友。川島祐二と森田美湖のふたりを、いっぺんに失くしちゃったんだ。
わたしはいつでも、あのふたりに対する、コンプレックスがあった。
川島祐二は、わたしが果たせない夢を、確実に現実にしていき、自分の道をしっかりと歩いている。
森田美湖は、わたしにない魅力をみんな持っていて、だれが見ても素敵な女性。
このふたつの現実から逃げようと、この半年くらい、わたしはそればかりを考えていたのかもしれない。
今日、ふたりにあんなにまでヒステリックに当たり散らしたのも、そんなわたしのコンプレックスの裏返し。
もし、『ディズニーランド事件』のことも、『長崎事件』のことも、そのときにちゃんと向き合って、話し合って解決していたら、わたしたちはこんなひどい結果にならなかったかもしれない。
ううん。
そんなことない。
いずれはこうなる、運命だったのかもしれない。
人間なんて、結局ひとりぽっちなんだから。
恋人だって親友だって、長い人生の間で、一瞬だけ交わるエトランゼ。
所詮、他人じゃない。
「いいもん。今までだって、みっこも川島君もいなくてやってこれたんだから、その頃のわたしに戻るだけじゃない。これからだって、新しい友だちや彼氏作って、楽しくやっていけるわよ!」
そんな強がりを言いながら、わたしはようやく、涙が溢れてきた。
そうすると、今度は止まらない。
わたしは一晩中、ベッドのなかで泣き明かした。
その日から、川島祐二からも森田美湖からも、もう電話がかかってくることはなかった。
END
21th Sep. 2011
18th Apr.2016 改稿
6th Jul.2020 改稿
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