Campus91

茉莉 佳

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19 12月のダイアリー

12月のダイアリー 11月18日

11月18日(月) 雨

今日は、朝から雨が降っている。
なんだか外に出るのがおっくうで、学校を休んで、ずっと部屋の片づけをしていた。

去年のわたしの誕生日に、みっこからもらったワンピース。
クリスマスのとき、プレゼント交換でもらったマフラー。
川島君からクリスマスにもらった、イニシャル入りのネックレスに、バレンタインのお返しでもらった、ハートのイヤリング。
『これいいよ』って言って、川島君が貸してくれたままの本とかCDとか、いっしょに作った同人誌とか、文化祭の準備のときに、みっこといっしょに撮った写真とか、ふたりを思い出すいろんなものが、次から次に出てくる。
見ているだけで、いろんな思い出がよぎっていく。
楽しかった思い出。
素敵な思い出。
みんな、過去のできごと。

そして、今年のわたしの誕生日に、ふたりからもらった、ミッキーマウスの腕時計と、万年筆…
ふたりの、裏切りの証し。
このプレゼントをもらったことで、わたしはふたりの仲を疑うようになり、その疑惑はまるで坂を転がり落ちる雪だるまのように、どんどん膨らんでいき、わたしを押し潰していった。
このプレゼントをもらわなければ、わたしたちの関係はまだ、続いていたかもしれない。
このプレゼントをいっしょに買うようなことを、ふたりがしなければ、みんな平和でいれたかもしれない。


だけどもう、なにもかも、過去のできごと。

ふたりからもらったものを、みんなひとつの箱にまとめて、押し入れの奥にしまった。

だけど、そんなことをしたって、わたしの気持ちはちっとも晴れない。
今日のしのつくような雨と同じ。
思い出の品を隠すのと同じで、わたしはいつも、現実から目をそらし、見ないようにして、逃げてきた。
その溜まりに溜まったツケが、11月5日のできごとだったというのに、わたしは今も、現実をまっすぐ見つめることができない。

みっこが藍沢氏と別れたときも、こんな気持ちだったのかな?
家から逃げ、恋人から逃げ、仕事からも逃げて、森田美湖はこの福岡にやってきた。
だけど去年の誕生日。
みっこは、『現実からずっと逃げ続けてきたあたしのツケを、払わなきゃいけない』って言って受け入れ、一歩成長できた。
今になって、彼女が言ったことをいろいろ思い出す。
『あたしは失敗して、いろんなものを無くしちゃったけど、だからこそ、本当に大切なものがなにか、よくわかった』
って、彼女は言った。
今なら痛いくらい、その言葉の意味がわかる。

よく、『失恋は人を成長させる』なんて、気楽に言う人がいるけど、それは違う。
その成長のためには、辛いことを乗り越えていかないといけない。
だれもがみな、失恋で『成長』できるわけじゃない。
乗り越えられないこともある。
なかには堕落して自暴自棄になって、命を絶つ人だっている。

みっこは成長できた。
強かった。
わたしはどう?
失恋の壁は、高くて険しく、わたしには乗り越えられる気がしない。

つづく
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