267 / 300
19 12月のダイアリー
12月のダイアリー 11月18日
11月18日(月) 雨
今日は、朝から雨が降っている。
なんだか外に出るのがおっくうで、学校を休んで、ずっと部屋の片づけをしていた。
去年のわたしの誕生日に、みっこからもらったワンピース。
クリスマスのとき、プレゼント交換でもらったマフラー。
川島君からクリスマスにもらった、イニシャル入りのネックレスに、バレンタインのお返しでもらった、ハートのイヤリング。
『これいいよ』って言って、川島君が貸してくれたままの本とかCDとか、いっしょに作った同人誌とか、文化祭の準備のときに、みっこといっしょに撮った写真とか、ふたりを思い出すいろんなものが、次から次に出てくる。
見ているだけで、いろんな思い出がよぎっていく。
楽しかった思い出。
素敵な思い出。
みんな、過去のできごと。
そして、今年のわたしの誕生日に、ふたりからもらった、ミッキーマウスの腕時計と、万年筆…
ふたりの、裏切りの証し。
このプレゼントをもらったことで、わたしはふたりの仲を疑うようになり、その疑惑はまるで坂を転がり落ちる雪だるまのように、どんどん膨らんでいき、わたしを押し潰していった。
このプレゼントをもらわなければ、わたしたちの関係はまだ、続いていたかもしれない。
このプレゼントをいっしょに買うようなことを、ふたりがしなければ、みんな平和でいれたかもしれない。
だけどもう、なにもかも、過去のできごと。
ふたりからもらったものを、みんなひとつの箱にまとめて、押し入れの奥にしまった。
だけど、そんなことをしたって、わたしの気持ちはちっとも晴れない。
今日のしのつくような雨と同じ。
思い出の品を隠すのと同じで、わたしはいつも、現実から目をそらし、見ないようにして、逃げてきた。
その溜まりに溜まったツケが、11月5日のできごとだったというのに、わたしは今も、現実をまっすぐ見つめることができない。
みっこが藍沢氏と別れたときも、こんな気持ちだったのかな?
家から逃げ、恋人から逃げ、仕事からも逃げて、森田美湖はこの福岡にやってきた。
だけど去年の誕生日。
みっこは、『現実からずっと逃げ続けてきたあたしのツケを、払わなきゃいけない』って言って受け入れ、一歩成長できた。
今になって、彼女が言ったことをいろいろ思い出す。
『あたしは失敗して、いろんなものを無くしちゃったけど、だからこそ、本当に大切なものがなにか、よくわかった』
って、彼女は言った。
今なら痛いくらい、その言葉の意味がわかる。
よく、『失恋は人を成長させる』なんて、気楽に言う人がいるけど、それは違う。
その成長のためには、辛いことを乗り越えていかないといけない。
だれもがみな、失恋で『成長』できるわけじゃない。
乗り越えられないこともある。
なかには堕落して自暴自棄になって、命を絶つ人だっている。
みっこは成長できた。
強かった。
わたしはどう?
失恋の壁は、高くて険しく、わたしには乗り越えられる気がしない。
つづく
今日は、朝から雨が降っている。
なんだか外に出るのがおっくうで、学校を休んで、ずっと部屋の片づけをしていた。
去年のわたしの誕生日に、みっこからもらったワンピース。
クリスマスのとき、プレゼント交換でもらったマフラー。
川島君からクリスマスにもらった、イニシャル入りのネックレスに、バレンタインのお返しでもらった、ハートのイヤリング。
『これいいよ』って言って、川島君が貸してくれたままの本とかCDとか、いっしょに作った同人誌とか、文化祭の準備のときに、みっこといっしょに撮った写真とか、ふたりを思い出すいろんなものが、次から次に出てくる。
見ているだけで、いろんな思い出がよぎっていく。
楽しかった思い出。
素敵な思い出。
みんな、過去のできごと。
そして、今年のわたしの誕生日に、ふたりからもらった、ミッキーマウスの腕時計と、万年筆…
ふたりの、裏切りの証し。
このプレゼントをもらったことで、わたしはふたりの仲を疑うようになり、その疑惑はまるで坂を転がり落ちる雪だるまのように、どんどん膨らんでいき、わたしを押し潰していった。
このプレゼントをもらわなければ、わたしたちの関係はまだ、続いていたかもしれない。
このプレゼントをいっしょに買うようなことを、ふたりがしなければ、みんな平和でいれたかもしれない。
だけどもう、なにもかも、過去のできごと。
ふたりからもらったものを、みんなひとつの箱にまとめて、押し入れの奥にしまった。
だけど、そんなことをしたって、わたしの気持ちはちっとも晴れない。
今日のしのつくような雨と同じ。
思い出の品を隠すのと同じで、わたしはいつも、現実から目をそらし、見ないようにして、逃げてきた。
その溜まりに溜まったツケが、11月5日のできごとだったというのに、わたしは今も、現実をまっすぐ見つめることができない。
みっこが藍沢氏と別れたときも、こんな気持ちだったのかな?
家から逃げ、恋人から逃げ、仕事からも逃げて、森田美湖はこの福岡にやってきた。
だけど去年の誕生日。
みっこは、『現実からずっと逃げ続けてきたあたしのツケを、払わなきゃいけない』って言って受け入れ、一歩成長できた。
今になって、彼女が言ったことをいろいろ思い出す。
『あたしは失敗して、いろんなものを無くしちゃったけど、だからこそ、本当に大切なものがなにか、よくわかった』
って、彼女は言った。
今なら痛いくらい、その言葉の意味がわかる。
よく、『失恋は人を成長させる』なんて、気楽に言う人がいるけど、それは違う。
その成長のためには、辛いことを乗り越えていかないといけない。
だれもがみな、失恋で『成長』できるわけじゃない。
乗り越えられないこともある。
なかには堕落して自暴自棄になって、命を絶つ人だっている。
みっこは成長できた。
強かった。
わたしはどう?
失恋の壁は、高くて険しく、わたしには乗り越えられる気がしない。
つづく
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
魔力値1の私が大賢者(仮)を目指すまで
ひーにゃん
ファンタジー
誰もが魔力をもち魔法が使える世界で、アンナリーナはその力を持たず皆に厭われていた。
運命の【ギフト授与式】がやってきて、これでまともな暮らしが出来るかと思ったのだが……
与えられたギフトは【ギフト】というよくわからないもの。
だが、そのとき思い出した前世の記憶で【ギフト】の使い方を閃いて。
これは少し歪んだ考え方の持ち主、アンナリーナの一風変わった仲間たちとの日常のお話。
冒険を始めるに至って、第1章はアンナリーナのこれからを書くのに外せません。
よろしくお願いします。
この作品は小説家になろう様にも掲載しています。
死んだはずの貴族、内政スキルでひっくり返す〜辺境村から始める復讐譚〜
のらねこ吟醸
ファンタジー
帝国の粛清で家族を失い、“死んだことにされた”名門貴族の青年は、
偽りの名を与えられ、最果ての辺境村へと送り込まれた。
水も農具も未来もない、限界集落で彼が手にしたのは――
古代遺跡の力と、“俺にだけ見える内政スキル”。
村を立て直し、仲間と絆を築きながら、
やがて帝国の陰謀に迫り、家を滅ぼした仇と対峙する。
辺境から始まる、ちょっぴりほのぼの(?)な村興しと、
静かに進む策略と復讐の物語。
愛のかたち
凛子
恋愛
プライドが邪魔をして素直になれない夫(白藤翔)。しかし夫の気持ちはちゃんと妻(彩華)に伝わっていた。そんな夫婦に訪れた突然の別れ。
ある人物の粋な計らいによって再会を果たした二人は……
情けない男の不器用な愛。