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19 12月のダイアリー
12月のダイアリー 11月30日
11月30日(土)曇り時々雪
今日で11月も終わる。
どうやら寒波がきているらしく、とっても寒い一日だった。
窓の外にはチラチラと、雪が舞っている。
初雪だ。
いろいろあった11月。
本当に辛くて、心が凍えそうな一ヶ月だった。
夜、久し振りに絵里香さんから電話があった。
沢水絵里香さんは、『志摩みさと』というペンネームで、小説や詩を書いている人で、川島君が主催している同人誌で知り合ったんだけど、時々こうして電話がかかってきたり、いっしょにお茶会したりして、小説や文学の話だけじゃなく、お互いの学校とか恋愛とか、プライベートな話もしている。
そういえば同人誌も、10月はじめに薄いコピー本を出したっきりで、最近は活動してない。
どうやら絵里香さんたちも、卒業制作や就職活動なんかで忙しく、同人誌までは手が回らないらしい。
『最近、川島君の様子がおかしいけど、あなたたちどうなってるの?』
って、絵里香さんが訊いてきた。
わたしは素直に、川島君と別れたことを話したけど、絵里香さんは残念そうにしていた。
彼女を通じて、川島君の近況を訊くことはできるだろうけど、わたしは敢えて、それをしなかった。
というか、するのが怖かった。
『新しい彼女ができたみたい』なんて、耳にするのがいたたまれない。
そして、その『彼女』がみっこだったりしたら、わたしは気が狂うかもしれない。
絵里香さんも、そんなわたしの気持ちをわかってくれたみたいで、川島君のことはそれ以上話さず、小説や作品の話だけして、電話を切った。
だけど、電話をしてるときも、切ったあとも、なんだか胸の奥にものがつかえているみたいに苦しくて、しかたなかった。
本当は知りたい。
川島君の様子が、どう、『おかしい』のか?
川島君は今、どうしているのか?
みっことは今、どうなっているのか?
だけど、怖くて訊けない。
…わたし、ちっとも成長してないな。
『真実を知るのが怖い』って言って、絵里香さんの言葉に耳を塞ぐなんて。
『ターニングポイント』を迎えても、わたしは現実に立ち向かおうとはせず、言い訳ばかり並べて真実に背を向けて、逃げてばっかり。
ディズニーランドのことも、みっこの好きな人のことも、『真実を知るのが怖い』って言って、敢えて触れないようにし、そのツケはどんどん膨らんでいった。
そして最後は『もういい』って言って、思考停止。
自分の書く小説も、そう。
心地よい言葉を並べるだけの、どこか現実離れした世界しか描けない。
『無理にストーリーを作ってるみたいで、キャラクターの言動が浮ついてる』って、いつか川島君は言ってたけど、現実を受け止められないわたしは、虚構の世界に逃げ込んで遊んでるだけかもしれない。
小説って、必ずしも自分の経験を書かないといけないわけじゃないけど、自分の気持ちともまともに向き合えないのに、人の心を打つお話しなんて、書けるわけがない。
こんなんじゃ、小説家の夢だって叶わない。
つづく
今日で11月も終わる。
どうやら寒波がきているらしく、とっても寒い一日だった。
窓の外にはチラチラと、雪が舞っている。
初雪だ。
いろいろあった11月。
本当に辛くて、心が凍えそうな一ヶ月だった。
夜、久し振りに絵里香さんから電話があった。
沢水絵里香さんは、『志摩みさと』というペンネームで、小説や詩を書いている人で、川島君が主催している同人誌で知り合ったんだけど、時々こうして電話がかかってきたり、いっしょにお茶会したりして、小説や文学の話だけじゃなく、お互いの学校とか恋愛とか、プライベートな話もしている。
そういえば同人誌も、10月はじめに薄いコピー本を出したっきりで、最近は活動してない。
どうやら絵里香さんたちも、卒業制作や就職活動なんかで忙しく、同人誌までは手が回らないらしい。
『最近、川島君の様子がおかしいけど、あなたたちどうなってるの?』
って、絵里香さんが訊いてきた。
わたしは素直に、川島君と別れたことを話したけど、絵里香さんは残念そうにしていた。
彼女を通じて、川島君の近況を訊くことはできるだろうけど、わたしは敢えて、それをしなかった。
というか、するのが怖かった。
『新しい彼女ができたみたい』なんて、耳にするのがいたたまれない。
そして、その『彼女』がみっこだったりしたら、わたしは気が狂うかもしれない。
絵里香さんも、そんなわたしの気持ちをわかってくれたみたいで、川島君のことはそれ以上話さず、小説や作品の話だけして、電話を切った。
だけど、電話をしてるときも、切ったあとも、なんだか胸の奥にものがつかえているみたいに苦しくて、しかたなかった。
本当は知りたい。
川島君の様子が、どう、『おかしい』のか?
川島君は今、どうしているのか?
みっことは今、どうなっているのか?
だけど、怖くて訊けない。
…わたし、ちっとも成長してないな。
『真実を知るのが怖い』って言って、絵里香さんの言葉に耳を塞ぐなんて。
『ターニングポイント』を迎えても、わたしは現実に立ち向かおうとはせず、言い訳ばかり並べて真実に背を向けて、逃げてばっかり。
ディズニーランドのことも、みっこの好きな人のことも、『真実を知るのが怖い』って言って、敢えて触れないようにし、そのツケはどんどん膨らんでいった。
そして最後は『もういい』って言って、思考停止。
自分の書く小説も、そう。
心地よい言葉を並べるだけの、どこか現実離れした世界しか描けない。
『無理にストーリーを作ってるみたいで、キャラクターの言動が浮ついてる』って、いつか川島君は言ってたけど、現実を受け止められないわたしは、虚構の世界に逃げ込んで遊んでるだけかもしれない。
小説って、必ずしも自分の経験を書かないといけないわけじゃないけど、自分の気持ちともまともに向き合えないのに、人の心を打つお話しなんて、書けるわけがない。
こんなんじゃ、小説家の夢だって叶わない。
つづく
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