ENDLESS SUMMER

茉莉 佳

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3日目 ありさの部屋

 夜10時くらいに解散。ファミレス前でみんなと別れた俺は、ありさとふたり帰途についた。
他人の目があるうちは、ありさも分別をわきまえてベタベタしてこないが、ふたりきりになるととたんに、『甘えたモード』に突入する。

「稜哉さん。今度の日曜はどこに行く?」

地下鉄の中で、ありさは並んで座ってる俺の手に軽く指を絡ませ、瞳を覗き込みながら、舌足らずな甘い声で訊いてきた。

「日曜? そうだな…」
「会えるんでしょ?」
「当たりまえだよ。毎週日曜日はありさとのデートに空けてるんだから」
「わたし、買い物に行きたいな」
「買い物?」
「式の準備とか新居の準備とか、いろいろあるでしょ。今から少しずつ見ておきたいし」
「そうか」
「あと、久し振りに天神に寄って、バーゲンの残りでも見よっか。いいものがあったら、稜哉さんに買ってあげる」
「え~? 俺、残り物?」
「ウソウソ。秋物見に行くのよ」
「こんなに暑いのに、もう秋物かぁ」
「いや?」
「嬉しいよ。ありさが選んでくれる方がセンスいいしな。じゃあ今度のデートは街で買い物だな」
「ええ。それにしても暑いわね、今年は」
「節電してるせいか、冷房も弱いしな」
「でも、もう夜だってのに、いつまでも蒸し蒸ししちゃって」

そう言いながら、ありさはブラウスの胸元をパタパタと扇ぐ。
その様を見ながら、俺は思わず息を呑む。
ブラウスがはためくたびに、隙間からありさのふくよかな胸の谷間が覗くのだ。
淡いピンクの花柄模様のブラに包まれたありさの胸は、ふたつのふくらみがぴったりとくっつきあって、深い谷間を刻み、からだの動きに合わせる様に、フルフルとわずかに揺れている。

触りたい。
今すぐその胸の谷間に顔を埋めて、ありさを味わいたい!

なにも考えず、ありさはそんな事をしているんだろうけど、こういう隙だらけの姿は、俺に心を許してる証。
そういう天然で男を誘う仕草が、ありさの悩ましいところでもあるのだ。



 悶々とした気持ちを抱えながら、俺はありさを送り、マンションの前まできた。

「いつも送ってくれてありがとう。今から帰るのって、大変でしょう?」

駅からありさのマンションまでは5分くらい歩くが、その間にもう、彼女のブラウスの背中にはうっすらと汗が滲んでいて、コロンに混じった汗の香りが、微かに漂ってきて、鼻腔をくすぐった。

「全然平気だよ。男の務めだしな」
「まだ時間、大丈夫そう?」
「ああ」
「今日は暑かったし、ちょっと寄って、うちでなにか冷たいものでも飲む?」

わずかに湿り気のある声でそうささやくと、ありさは恥ずかしそうに俺の腕を握ってうつむいた。

「ああ。サンキュ」

エレベーターのボタンを押しながら、俺は答える。
ふたりだけの密室に乗り込んで7階のボタンを押すと、俺たちはいきなり抱き合い、キスをした。
唇が離れ、目と目を合わせる。
トロンと潤んだ七分開きの瞳で、ありさは俺を見つめる。
もう、お互いに承知している。

『今日は暑かったし、部屋に寄って、うちでなにか冷たいものでも飲む?』

それは、俺を部屋に招き入れるための、ありさの口実だ。

『エッチしよ』
みたいな直接的な言葉で、露骨に誘ってくる様な事は、ありさはしない。
いつだって控えめに、ちょっとはにかみながら、だけどそれとわかる様に、意味深にサインを送ってくる。
そんな奥ゆかしくて情緒的で、だけど自分の欲求に正直なありさは、本当に可愛く愛おしい。


 部屋に入ると、ベッドに横たわる間も惜しんで、俺はありさを抱きしめ、濃厚なキスを交わしながら、彼女に見せつける様に、片手でネクタイを緩める。

「稜哉さんのスーツ姿、素敵」

そう言いながら、ありさは俺のワイシャツのボタンをふたつ程はずし、はだけた鎖骨をその細い指でなぞり、軽くくちづける。
そんな風にされると、ぞくぞくしてしまう。
俺もブラウスのボタンに指をかけ、背中に手を回してブラのホックをはずした。
パチンとブラがはじけ、張りのある真っ白な胸が露わになる。
ありさのうなじから胸元に、俺は唇を這わせていった。胸の谷間には汗をかいているのか、じっとりと湿っている。

「あん。汗いっぱいかいてるから、臭いわよ」
「臭くなんかないよ。いい匂いだよ」
「もうっ。恥ずかしいじゃない」

ありさの汗の匂いは、クラクラするくらい蠱惑こわく的で、そのふっくらとした胸の触感と相まって、俺の獣の本能を目覚めさせていく。
俺とありさは、もつれてベッドに倒れ込んだ。

つづく
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