内緒にしよう

真城詩

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内緒にしよう

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彼の服のすそをきゅ、と握った。それは、俺たちの間でだけ通じるサイン。
つまり、今夜はシたいってこと。彼は意外そうに俺を見ると、ニッと笑って俺を抱き上げた。
今日は残業してきたから、意外なのだろう。実際残業をしてきた日にはいつもは誘わない。でも、今日は、だって。
今日はどこでするんだろう。お風呂かな、ダイニングかな、それともベッド……?

「どこがいい?」
「俺は、ベッドでシたい、かな」

聞いてくれた。じゃあやっぱり、彼も気づいているんだ。俺が今日誘った理由。
ベッドに運ばれて、ゆっくり降ろされる。ここは、初めて俺たちがシた場所だから。
いつもその時のことを思い出して、ドキドキする。

「じゃあ、舐めて」

そう言って彼はもう大きくなっている自身をボクサーから取り出した。そのまま俺の口に近づける。
雄臭い。これから、この肉棒で、ぐちゃぐちゃにされちゃうんだ。
俺はそっと手を添えて、彼の先端に口づけた。よろしくねの挨拶だ。ちゅ、ちゅ、と音を立てて口づけると、彼が大きく息を吐いた。ぺろ、と舌で下から上へ、舐め上げる。上のところまで来たら、口の中に含んで、やっぱり先端を舌でちろちろと舐める。彼は先端が弱いんだ。もう何回もシたから知ってる。
そのうち、彼は俺の口から自身を引き抜いて、俺の腰を持ち上げた。そのまま俺の顔の上に俺の腰が来るまで引き上げる。ああ、この格好、恥ずかしい。彼は俺の尻穴に顔を近づけて、ふう、と息を吹きかけた。それだけでそこがひくついているのが分かる。舐めてくれるのを待っていると、

「何してほしい?」

彼がそう言った。言わせるなんて、答えはもうとっくに分かりきっているというのに。

「舐めてほし、い……」

舌が俺の菊門を這いずり回る。ついには中まで侵入してきて、つい、吐息が漏れてしまう。

「はっあ、う、んっ……」
「可愛い」

そして彼が自身に指を添えて、俺の後孔に宛がった。俺も彼も、期待しているのが分かる。こくん、とうなずけば質量が俺を貫いた。

「ああっ、あ、ひっんっ!」

中で暴れる彼は俺の身体なんかお構いなしに俺を犯す。

「っうあっ、やあっ」
「いやなんて言って、っは、ほんとは嫌じゃない癖に」

ああ、もうすぐだ。昂ぶりが見える。頂点に、今、達する。
俺の身体は俺の意思とは無関係に跳ねる。同時に、ナカの彼もびくびくとうねって、白濁を吐き出した。
お互いに肩で息をして、目を合わせる。彼が自身を引き抜くのと同時に俺の意識は薄れていった。

「だいすきだよ」

小声でそんな言葉が聞こえたことは内緒にしておこう。それくらいしてもきっと怒られない。だって今日は、俺たちの一周年記念日なのだから。
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