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プロッシモ村の『シスターズ』
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一人とは思えないほど迫力のあるコール。
そして、それに合わせた手拍子。
完璧なまでのそれらは、キクリを身震いさせた。
何という圧だろうか。
下手すれば厄介なファンとして摘まみ出されてもおかしくないだろう。
しかし、そのボーダーラインスレスレな暴れっぷり。
現に、周囲は彼女を気にしていない。
なるほど。
ここはそれで良いのか。
ブランクがある。
しかし、それでも今は現時点での全力をぶつけてみせよう。
キクリは目を閉じて呼吸を整える。
そして、落ち着いたところで深呼吸。
やるぞ。
やってやる。
全力で応援してやる。
覚悟を決め、カッと目を見開くキクリ。
「はいっ!はいっ!はいはいはいっ!」
「っ!?……はいっ!はいはいはいっ!」
キクリの声に驚き、舞台上から彼女の方へ視線を移す少女。
しかし、即座に自身の世界に戻り、視線を戻してコールを続けた。
舞台上のアイドルを応援しながらも、キクリとその少女は互いに理解していた。
彼女はただ者ではない、いや、本物だ、である。
加熱する応援合戦。
当事者からすると、熱く滾るものだ。
しかし、第三者から見れば、呆れてしまうものであった。
「……イオリ。」
「うん。」
「……何か私達、馬鹿みたいね。」
「……そうだね。」
キクリの様子に冷や水をぶっかけられたような気分だ。
二人の胸中に渦巻いていた嫉妬心がスーッと消えていくような気がした。
「あなた、やるね……この辺で見ない顔だけど、もしかして他でのライブとかでこういうの慣れてる?」
いつの間にかキクリの横まで来ていた少女が言う。
その目は同士を見つけたという嬉しさにキラキラと輝いていた。
「あなたもね。」
同じく良い表現をして返答をするキクリ。
「……観光?」
ここに来た目的はなんだろうか。
キクリへの興味が湧き、追及していく。
「うん、それもあるけど、今は首都に向かう途中だよ。」
「……キャピタルに?」
「うん、『アイドル』に会いに行きたくてね。」
「……『アイドル』に?……おっと、次の曲が始まる。また後で語り合おう。」
キクリが『アイドル』に会いたがっているのに一瞬の怪訝な表現を見せた。
「うん!」
彼女らはがっちり握手した。
健闘を称え合い、再度舞台上へ視線を戻す彼女らであった。
その後も続くライブ。
それは、村がオレンジの夕陽に染まる頃まで続いた。
そして、それに合わせた手拍子。
完璧なまでのそれらは、キクリを身震いさせた。
何という圧だろうか。
下手すれば厄介なファンとして摘まみ出されてもおかしくないだろう。
しかし、そのボーダーラインスレスレな暴れっぷり。
現に、周囲は彼女を気にしていない。
なるほど。
ここはそれで良いのか。
ブランクがある。
しかし、それでも今は現時点での全力をぶつけてみせよう。
キクリは目を閉じて呼吸を整える。
そして、落ち着いたところで深呼吸。
やるぞ。
やってやる。
全力で応援してやる。
覚悟を決め、カッと目を見開くキクリ。
「はいっ!はいっ!はいはいはいっ!」
「っ!?……はいっ!はいはいはいっ!」
キクリの声に驚き、舞台上から彼女の方へ視線を移す少女。
しかし、即座に自身の世界に戻り、視線を戻してコールを続けた。
舞台上のアイドルを応援しながらも、キクリとその少女は互いに理解していた。
彼女はただ者ではない、いや、本物だ、である。
加熱する応援合戦。
当事者からすると、熱く滾るものだ。
しかし、第三者から見れば、呆れてしまうものであった。
「……イオリ。」
「うん。」
「……何か私達、馬鹿みたいね。」
「……そうだね。」
キクリの様子に冷や水をぶっかけられたような気分だ。
二人の胸中に渦巻いていた嫉妬心がスーッと消えていくような気がした。
「あなた、やるね……この辺で見ない顔だけど、もしかして他でのライブとかでこういうの慣れてる?」
いつの間にかキクリの横まで来ていた少女が言う。
その目は同士を見つけたという嬉しさにキラキラと輝いていた。
「あなたもね。」
同じく良い表現をして返答をするキクリ。
「……観光?」
ここに来た目的はなんだろうか。
キクリへの興味が湧き、追及していく。
「うん、それもあるけど、今は首都に向かう途中だよ。」
「……キャピタルに?」
「うん、『アイドル』に会いに行きたくてね。」
「……『アイドル』に?……おっと、次の曲が始まる。また後で語り合おう。」
キクリが『アイドル』に会いたがっているのに一瞬の怪訝な表現を見せた。
「うん!」
彼女らはがっちり握手した。
健闘を称え合い、再度舞台上へ視線を戻す彼女らであった。
その後も続くライブ。
それは、村がオレンジの夕陽に染まる頃まで続いた。
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