あなたにかざすてのひらを

あさまる

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平和な日々。
どこにでもあるようなつまらない日常。
いつまでもそんな日々が続くだろう。
そう思っていた。


遠くから微かに聞こえる鳥の鳴き声。
そして、近くからけたたましく聞こえる蝉の鳴き声。
紅花かすみは目を覚ました。

どこにでもいる女子高生。
それが、彼女の自己評価であった。


七月のある日の朝。

通気性のある薄い布団。
そして、エアコンで気温を下げている。
しかし、それでも彼女の額からは、じんわりと汗が滲んでいる。

快適。
そう言うには少し無理がある。

はぁ……。
つい無意識にため息をついてしまったかすみ。

気分が良くない。
どこにも行きたくない。
叶うのならば、一日中布団の中に入っていたい。

……じんわり。
前言撤回。
かけ布団はいらない。
敷き布団だけで良い。

「かすみー!そろそろ起きなさいよー!遅刻するわよー!」
大きな声がする。
彼女の母の声だ。
それは、かすみのいる部屋までしっかり聞こえるほどの声量であった。

どうやらそんなのんびりしたことを思っている場合ではないようだ。
「起きてるー!」
そう返事するかすみ。

のそのそ。
重い身体に鞭を打ち、四つん這いで進む。

ガチャ……。
扉が開かれた。
かすみが開けたわけではない。
外から誰かが開けたのだ。

「……おはよう、かすみちゃん。」

「おはようございます!かすみさん!」

二人の少女が、かすみに挨拶をする。
彼女らは二人とも同じ制服を着ている。

「おはよう、ゆかりちゃん、エルちゃん。……いやぁ、いつもありがとう。」
苦笑い。
恥ずかしいところを見られてしまった。
そんな考えから出た笑みであった。

小声で挨拶をした少女。
ゆかちゃんと呼ばれた方だ。
真っ白な肌に、真っ黒な姫カットの髪。
日本人形のような可愛らしく、小柄な見た目。
そして、ルビーのような真紅の瞳のミステリアスな雰囲気を纏っている。
磯飛ゆかりという名前だ。

もう一人の明るく挨拶をした少女。
ゆかりに引けを取らない白い肌、そしてふわふわな輝く金髪に、高い鼻とサファイアのような蒼い瞳。
そして、すらりと伸びた手足に、グラマラスなスタイル。
神良エル。
イギリス人の父と日本人の母のハーフだ。

「……かすみちゃん、もしかして……いや、もしかしなくても今起きたの?」
ゆかりがかすみを見てそう言う。
それは、小さく簡単にかきけされそうなものであった。
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