あなたにかざすてのひらを

あさまる

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駄目だ。
聞く耳を持たないゆかりとエル。
「ま、まぁ二人がそれで良いなら良いけど……。見苦しいものをみせちゃったらごめんね。」

それは、いつも通りのことであった。
今まで着替える為に、二人を追い出そうとしてきた。
しかし、のらりくらりとかわされてきたのだ。

今日もそうだった。
諦めて、かすみは着替え始めた。

「そんなことはない。かすみちゃんの着替えはお金を払ってでも見たいくらい。かつての小野小町や楊貴妃よりも綺麗。クレオパトラは実物を見たことがないけど多分かすみちゃんの方が上だから、もっと自信を持って。」
ふんす。
鼻息荒く、饒舌に話すゆかり。
先ほどまでとは大違いな数と速度であった。

「あはは、ど、どうも……?」
途中おかしなことを言った気がした。
それでも、今はそのことにつっこむよりも早く着替えを終わらせたい。
そう思うかすみであった。

……ピロン。
何か機械の音。
目覚まし時計の音ではない。
本来なら聞かないものだ。
それでも、かすみはよく聞くものであった。

それもいつも通りだ。
はぁ。
ため息をつくかすみ。

「お、おっと、ごめんなさい。私この前携帯替えたばかりだから未だに操作方法分からなくってつい録画しちゃっただけです。他意はありませんよ?」
あはは。
誤魔化すように笑ったエル。
そしてその後、早口で言うのであった。

二人とも、誤魔化す時は早口で話す。
そして、その内容もかすみに対するものだ。
存外似ているな。
そう思うかすみ。

そしてそうは言うが、録画を停止する気配は毛頭ない様子のエル。
そして、その目は画面のみを見て、真剣そのものであった。
疑惑が確信に変わる。
録画を止めるなど、あり得ない。

彼女はその美貌と明るさから、クラスのみでなく、校内で一位二位を争う人気者だ。
そんな彼女の真剣な眼差し。
彼ら、彼女らからすれば、垂涎ものだろう。

しかし、そこは幼馴染。
かすみには通用しない。

この言い訳、何ヵ月前から聞いているだろう。
エルにつられ、苦笑いするかすみ。
「……ネットには上げないでね……。」

「そ、そんな酷いことしません!私が一人で嗜む為に……いや、何でもないですよ、何でも……。」
途中から冷静になったエル。
あはは。
苦笑いで誤魔化した。

「……そ、そっか。」
しかし、もちろん、そんなことでは誤魔化せる訳がなかった。
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